全米豚肉生産者協議会(NPPC)は「米国の豚肉産業における集中度に関する調査報告書(2022年1月)」を公表し、現在の豚肉価格の上昇が上位企業の集中によるものではなく、米国産豚肉への強い需要と市場要因によるものであることを明らかにした。
NPPCのジェン・ソーレンセン会長は、「豚肉加工業界における上位企業の集中度は、15年前に比べて大きく上昇してはいない。最近の豚肉価格の上昇は、豚肉への高い需要と原価の高騰、賃金の上昇、そしてサプライチェーンによる業界全体のボトルネックが引き起こしたものだ。小売価格が上昇している間に、卸売業界が高い利益を得たことを示す根拠はない」と強調している。
豚肉パッカー上位4社への集中度は、この5年間で約7%低下している。上位4社の集中度は、1995年から2016年までの間に企業合併と拡大によって44.5%から72.0%に上昇したが、2017年から2020年の間に複数の新規工場が開業したため、現在は64.6%になっている。
一方で、全米の豚肉価格(ポークチョップの小売価格)は、他7カ国との比較で依然として最も安く、豚枝肉価格も調査対象18カ国の中で2番目に安い。報告書は、上位企業の集中度の変遷と小売価格の変化には相関はないと指摘している。
分析を行った経済学者らが提言したもう一つの問題点は、生産者価格と卸売価格の価格差だ。これはパッカーのコストと利益を形成する要素だが、パッカー業界では週当り賃金・輸送コスト・包装コストが上昇しているにもかかわらず、この価格差は縮小を続け、過去6カ月間で15%縮小している。
同期間に、卸売価格と小売価格の価格差は35%以上拡大した。小売業者のコストが高騰したこと、昨年夏の卸売価格の高騰に小売価格が連動するまで潜在的なタイムラグがあったことが要因だ。小売価格の高騰にもかかわらず、ここ数カ月のパッカーの売上総利益は過去5年平均に近づいており、パンデミック前の通常の範囲内に戻りつつある。
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