印刷する
 

TRADER'S Be & Po

vol.394 Jan.31.2022
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース オミクロン株拡大で生産抑制、生体牛は下落
生体豚価格は横ばい、小売向けカットは好調
生産動向 2022年の米国の豚肉生産量予想0.9%減
ワールドトレード 世界の食肉需給予測―中国の食肉供給は拡大続く
ポーク関連ニュース インドが米国産豚肉の輸入で合意、ナイジェリアも
USMEFインフォメーション SMトレードショーに出展、2月16日から幕張メッセで
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2021年11月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
定期購読(無料)の登録はこちら バックナンバーはこちら
 
市況ニュース

オミクロン株拡大で生産抑制、生体牛は下落

 
 

米国ではオミクロン変異株による感染拡大で労働力が不足し、牛肉生産量が引き続き制限されている。1月第2週のと畜頭数は、例年の65万頭余りに対して、推定62万1000頭にとどまり、2020年5月以来の低水準となった。

これを受けて、生体牛の現金取引価格は下落を続け、一方でカットアウト価格は大幅に上昇した。1月第1週の主要5州の生体牛(去勢牛)の平均価格は、100ポンド当たり138.41ドル、枝肉は同219.98ドル。12月最終週に比べて、それぞれ1.18ドル安、0.91ドル安だった。

第2週は、月曜日から下落傾向でスタートし、カンザスとテキサスで生体牛2520頭が135〜137ドル、火曜は7373頭が136〜137ドルで取引された。ネブラスカでは3175頭が138ドル、枝肉218ドルで販売された。

水曜、木曜日は北部、南部ともに下げ止まり傾向となったが、アナリストは「オミクロン株の拡大が続けば、多くの食肉処理工場で労働力不足が悪化する可能性があり、買い手・売り手とも警戒を強めている」という。

祝祭日週の稼働短縮と労働力不足で、牛肉生産量が減少しているため、牛肉卸売価格は年始から急上昇している。1月7日までの週間カットアウト価格は100ポンド当たり270.18ドル。前週比2.39ドル高、前年同週比では30.7%高をつけた。チョイスは265.89ドル、前週比3.09ドル高。

スポット市場での取引量が少ないこともあり、第2週のチョイスの平均価格は週前半の4日間で11.04ドル上昇し、木曜日に282.86ドルまで高騰した。セレクトは12.66ドル上昇の272.76ドルとなった。

 

※2022年1月17日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

生体豚価格は横ばい、小売向けカットは好調

 
 

年明け以降、米国の生体豚の先物価格は下落基調にある。これは、と畜頭数の低下を反映したものだ。1月第2週の週間と畜頭数は240万頭ほどで、予想より約10万頭少ない。ロイターが週初に報じた「COVID-19の感染拡大で食肉工場の生産遅れが発生」との報道を裏付けている。

肥育牛のと畜頭数は62万頭前後で、予想より約3万頭少なかった。肥育豚のと畜頭数も鈍化しているものの、生体豚の現金取引市場には大きな影響を与えておらず、市況は横ばいを保っている。

肥育豚の処理能力の低下により、肥育豚の滞留が生じているとの見方もあるが、現時点では推測に過ぎず、データの裏付けはない。1月後半と2月前半のと畜重量を注視する必要があるだろう。

 COVID-19の感染者増に伴う欠勤率の上昇で、パッカーのサブプライマルの処理能力に悪影響が表れているのは現実だ。ハム(モモ)のプライマル価格の変動性の高さがその最たる例だ。

USDAのデータによると、1月11日のハムのプライマル価格は100ポンド当たり43ドルだったが、13日までに82.3ドルに跳ね上がり、14日には64.2ドルに急反落した。スポット市場では、ボンレス(骨抜き)ハムの入手が困難になっており、ボンイン(骨付き)ハムとの価格差は5倍以上に開いているという。

カットアウト価格全体にとっての好材料は、チルドの小売向けカットが引き続き良好なことだ。ロインとバットの取引価格は昨年よりはるかに高い。現在、鶏ムネ肉の入手が困難になりつつあり、牛ひき肉価格は過去3週間で25%上昇していることから、小売における豚肉の競争力が高まりつつある。

 

※2022年1月17日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  ポークカットアウト価格の推移(日次ベース)
 
生産動向

2022年の米国の豚肉生産量予想0.9%減

 
 

2021年の米国の豚肉生産量は、前年比2.3%減となった。減少の一因は2020年のコロナ禍の混乱で、肥育豚の滞留が生じ、生産者はその一掃を余儀なくされ、母豚の淘汰も行われた。

このため、2020年の豚肉生産量は2.5%増加した。これが2021年の生体豚出荷の制限に繋がり、豚肉供給が減少した。2022年の豚肉供給についても大幅な回復は見込めない。現在の予想では、2022年の豚肉生産量は273億9000万ポンド、前年比0.9%減と見込まれる。減少の大半は上半期に起きると予測される。

繁殖豚の飼養頭数は、2019年12月下旬のピークから5.7%減少している。昨年、生産者マージンは良好だったものの、飼料コストの高騰・輸出の不透明感・カリフォルニア州の販売規制を要因に、生産拡大の動きは進まなかった。

2022年の米国の豚肉輸出量は横ばい、輸入は減少すると予想される。その結果として、国内市場の豚肉供給量は前年比2.7%減と予想。2021年の1.8%減、2020年の1.6%減に続き、3年連続で減少することになる。

 

※2022年1月17日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  米国の豚肉生産量の推移(枝肉換算)
 
ワールドトレード

世界の食肉需給予測―中国の食肉供給は拡大続く

 
 

USDA―FAS(米国農務省海外農業局)は1月12日、世界の食肉需給予測の最新版を発表した。それによると、2022年の中国の食肉供給量は合計7900万トンと予想される。前回予想(2021年10月)から7%上方修正し、アフリカ豚熱(ASF)発生前の食肉供給量を再び上回る見通しとなった。

上方修正の主因は、豚肉生産量の大幅な増加が見込まれることだ。豚肉生産量は2年連続の増加で、生体豚価格は記録的な低水準で推移してきたが、秋季に底をつけて以降は回復している。

小規模生産者は、現在の価格環境では苦戦が続きそうだが、大規模事業者は、政府支援と相まって、急速な拡大と現代化によるコスト高騰を少なくとも短期的にはカバーすることができそうだ。合併傾向に拍車がかかることも予想される。

国内産の供給が潤沢なことから、輸入需要は圧縮され、2022年の豚肉輸入は前年比5%減と予想される。これは前回予想より12%の下方修正。国内生産量が輸入の減少を相殺する以上の伸びと予想されることから、2022年の豚肉供給は5370万トンに達すると予測される。

一方、牛肉は国内生産が微減、輸入は前年維持と予想され、供給量は1020万トンの予測。これは前回予測より1%近い下方修正だが、中国の牛肉消費に占める輸入の割合は増え続けることが見込まれる。

2022年の鶏肉の供給予想は1510万トン。豚肉の入手可能性がASF前の水準を大幅に超えて拡大することから、鶏肉の輸入は圧縮される見通しで、予想輸入量は前回予測より11%下方修正された。

  中国の食肉供給量予測
 

◆ 世界の牛肉需給、生産量5820万トン、輸出1%増

2022年の世界の牛肉生産量予測は5820万トン(前年比0.7%増)と、前回予想より6万7000トン増加した。

主要生産国では、ブラジルの2021年の牛肉生産量が2%下方修正された。9月のBSE(非定型)の発生を受けて、第4四半期に中国向け輸出が一時停止されたことから、この期間に牛のと畜遅れが生じたことが要因。しかし、この問題はすでに解消されており、中国からの強い輸入需要で、2022年のブラジルの牛肉生産は増加に拍車がかかると予想される。

豪州の2022年の生産量は、前回予想より増加。牛群の再構築が現在進行していること、悪天候で輸送に影響が出たために12月にと畜遅れが発生したことなどが要因である。これらの変化が欧州および中国の生産減を相殺する見通しで、世界的に牛肉生産・供給は増加することが見込まれる。

2022年の世界の牛肉輸出量は1200万トン(同2.7%増)。前回予想より1%上方修正された。アルゼンチン、豪州、ブラジルの増加により、EUや日本の小幅な減少を相殺する見通し。世界の輸入量予測は前回と変わらず。ブラジル・中国間でBSEをめぐる貿易問題が解決したことで、中国の牛肉輸入量は10%増と予想される。

  世界と主要国の牛肉・子牛肉生産量/国内消費量
  世界と主要国の牛肉・子牛肉輸出入量
 

◆ 世界の豚肉需給、生産1億990万トン、輸出1.4%減

2022年の世界の豚肉生産量予測は、10月の予想から5%上方修正されて1億990万トン(同3.6%増)となった。中国の生産が、前回より13%高い4950万トン(同1%増)と予想されることが主因だ。

中国の繁殖豚数は2021年中ごろにピークを迎えたと報告されており、現在は減少傾向にあるものの、2022年初めの母豚の飼養頭数は前年水準を上回ると予想さる。中国では、生産性の低い母豚が淘汰されるに従って生産性も向上している。

メキシコは、枝肉重量の低下による生産の抑制が予想される。米国は、2021年に母豚が減少したことから、2022年上半期の子豚生産頭数が低下し、2022年の生産は制限される見込み。

2022年の世界の豚肉輸出量予測は1230万トン(同1.4%減)。最大の輸入国である中国の需要の緩みを主因に、前回予想から3%下方修正された。輸入については、世界的な供給増加の中で、コロナ禍からの経済回復が見込まれる日本(2%増)、韓国(3%増)などで増加する見込み。メキシコもいわゆるリベンジ消費と米国からの輸出増加で活発な貿易が維持される見通しで、前回予想より4%上方修正された。

  世界と主要国の豚肉生産量/国内消費量
  世界と主要国の豚肉輸出入量
 
ポーク関連ニュース

インドが米国産豚肉の輸入で合意、ナイジェリアも

 
 

全米豚肉生産者協議会(NPPC)は1月11日、世界第二位の人口を誇るインドが、米国産豚肉および豚肉製品の輸入受け入れで合意したとの両政府の発表について、これを歓迎するコメントを発表した。

Jen Sorenson会長は、「何十年もの努力が実を結び、これまで閉じていた市場が米国産豚肉に開かれる。我々の製品の市場アクセスにおいてインドと合意に達したバイデン政権に、NPPCは感謝の意を示したい。手ごろで健康的かつ栄養価の高い米国産豚肉製品を、インドの消費者に提供できることを楽しみにしている」とコメントした。

米国産豚肉を事実上禁止してきたインドは人口12億6000万人であり、潜在的な市場機会は莫大だ。米国との合意は、さらなる貿易交渉発展への基盤となる。米通商代表部(USTR)は2019年6月、米国産豚肉を含む複数の米国産製品に対して、公正かつ合理的な市場アクセスが損なわれていることを理由に、インドを一般特恵関税制度(GSP)から除外している。インド市場へのアクセス獲得は、NPPCの最優先課題の一つだった。

1月14日には、ナイジェリアも米国産豚肉への市場アクセスを部分的に受け入れることを発表した。ソーセージをはじめ、一部の米国産豚肉製品の輸出が可能になる。

同会長は、「ナイジェリアのGDPはアフリカで最も高く、人口は2億1100万人を超える。米国産の食肉が初めてナイジェリアへの市場アクセスを得たのは素晴らしいことだ。合意に至るまでの両国政府の尽力に感謝する」とのコメントを発表した。

 

※2022年1月12日・14日 FOODMARKET.com

 
 
USMEFインフォメーション

SMトレードショーに出展、2月16日から幕張メッセで

 
 

米国食肉輸出連合会(USMEF)は、2月16〜18日の3日間、千葉市の幕張メッセで開催される「第56回スーパーマーケット・トレードショー2022」にメンバー企業3社とともに出展します。USMEFブースでは、アメリカンビーフ・ポークの需要拡大に向けた2022年の販促提案を紹介します。

アメリカンポークでは、リテール向け提案として①春夏向けの販促アイテムとして、メーカー5社とのタイアップにより新たに開発をした7種類のソース・スパイス(小袋)を使用したメニューの試食提案②4月からの従量税低下に伴い、コストメリットの発揮が期待されるピクニック(ウデ)の新たなカッティング提案やプルドポークとしての活用アイデアB付加価値向上に向けたアメリカンポークのブランディングを提案・紹介します。

外食向けには、春夏にかけてアメリカンポークの頻出度をあげるための、BBQプロモーションとともに、昨年から取り組みを開始した「ポークトーバー」の今年の展開について紹介します。

アメリカンビーフでは、①量販店向けの消費者キャンペーンおよび販促資材等の紹介②外食向けのテイクアウト需要に対応できるアメリカンビーフを使ったサンドイッチ、ハンバーガーの提案③8月〜9月にかけて展開する全国規模のキャンペーンを紹介します。ビーフ、ポークともに提案メニューの試食提供をはじめ各種パンフレット・ガイドブック等も配布しますので、ご来場の際は是非ともUSMEFブースにお立ち寄り下さい。なお、パッカーブースには以下の3社が出展します。

【共同出展メンバー企業】

  • Jones Dairy Farm
  • Berkwood Farms
  • TREX CORP,Inc.
 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ビーフ・ファクト・シート