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TRADER'S Be & Po

vol.393 Jan.17.2022
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
年頭所感 『2022年 新たな挑戦の年に向けて』
市況ニュース 2022年の生体牛価格、大幅な上昇見通し
豚肉供給は夏季まで抑制的、需要増で価格上昇
ランキング 2021年ビーフパッカー上位30社、と畜能力微増
生産動向 2022年の牛肉生産量、前年比2.5%減の見通し
フィードロット飼養頭数、季節的なピークに達する
USMEFインフォメーション 1月19〜20日開催の焼肉ビジネスフェアに出展
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ポーク(2021年11月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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年頭所感

―USMEF日本事務所開設45周年―
『2022年 新たな挑戦の年に向けて』

米国の食肉業界を代表し、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

COVID-19パンデミックは、世界の経済・社会環境を大きく変容させました。新たな生活様式『ニューノーマル』が求められ、生活者の消費行動が変化し、それに伴って食肉の需要構造も激変しました。最も影響を受けてきた外食市場は、緊急事態宣言の解除により、ようやく回復の兆しが見え始めたところです。

変異株等の問題もあり、今後の感染状況等について予断はできませんが、食肉業界にとりまして、2022年がコロナ禍からの本格的なリカバリ―(回復)元年となることを切望しています。

 昨年、USMEFはコロナ禍の環境を考慮して活動してきました。小売向けでは、マネキン試食販売に代わる手法としてレシピ訴求資材の開発・提供を充実。家庭内食に対応した『Eat At Home』キャンペーンを連続展開し、シーズニング・ソースの小袋提供も含めて、簡単に、おいしく食べられる提案レシピの普及を図りました。

外食向けには、テイクアウト需要の増加に対応して専用資材の開発・提供を行うとともに、企業毎の要望に応じた販促支援を実施。また、セミナーや料理教室などの情報提供活動では、WEB・SNSの活用を強化し、特にYoutubeでは「アメリカンビーフ&ポーク公式チャンネル」を開設し、生産者・商品・レシピ等の情報に加え、キャンペーン参加店舗などを紹介する体制を整えました。

さらに、昨年はSMトレードショーやFOODEXはじめ7つの展示会に出展し、ユーザーの皆様に対面・リアルでの提案ができました。消費者向けでは、SNSを使った「クッキング」「バーベキュー」などのイベントや『Journey to American beef 2021』をテーマにした全国キャンペーンを通して、米国の生産者の品質や安全性への思いをお伝えするとともに、アメリカンミートのおいしさをアピール。シニア向けには、新聞などの紙媒体を利用してアメリカンミートの健康面の有用性を訴求しました。

2022年の活動計画では、日本のビジネス・パートナーの皆様が「アフター・コロナ」「ウイズ・コロナ」の時代を克服し、回復軌道を確実にするためのサポート活動をより具体的に実施したいと考えています。

好評の全国規模キャンペーンは、アメリカンビーフ・ポークのおいしさをお伝えし、内容をより充実させて販売数量のアップを目指します。個々の企業とのコラボ・キャンペーンも拡充します。新規施策では、アウトドア需要が増加する中、キャンプでのより楽しいアメリカンビーフ・ポークの食べ方提案、BBQ提案を強化します。

社会的な環境が整えば、マネキン試食販売を含めた有人イベント、有人セミナーなどを復活します。特にセミナーに関しては、日本の全国各地域の皆様のところへお伺いして実施したいと考えています。

アメリカンビーフでは「おいしさ」「品質の高さ」を消費者に継続的にアピールし、小売向けにはアメリカンビーフが持つ商品特長を最大限に伝えられるよう、販促資材等を充実させます。外食向けには、5年目となる高品質なグルメバーガーの訴求を継続しつつ、新たに「ビーフサンドイッチ」の浸透を図るPR活動を行います。また、アメリカンビーフを使用するレストランを様々な媒体で紹介するほか、オンラインセミナー等を通じて新しいメニューコンセプト等を発信していきます。

アメリカンポークは「かたまり肉」「低温調理」のメニュー提案、食べ方提案を継続し、特に「プルドポーク」の更なる普及を目指します。同時に、関税率の低下を見据えた新アイテムやポーク加工品の提案も実施。さらに2021年に新しく展開したアメリカンポーク『Porktober』の更なる拡大、2021年末から打ち出した”Roast pork is American pork”=「クリスマス、ホリデーシーズンにはアメリカンローストポークを」の提案を引き続き訴求していきます。

アメリカンラムは、「羊好き」の方にアメリカンラムの品質の高さを訴求するPR活動を充実し、導入・販売店舗を増やす方針です。

USMEFはアメリカンビーフ・ポーク・ラムの食シーンを増やすことで、日本の食肉需要全体の拡大に貢献したいと考えています。おかげさまで、2022年は当連合会東京事務所の開設45周年を迎えます。環境が許せば記念行事も開催したいと考えています。今後とも「おいしいアメリカンミート」へのご支援とご指導をよろしくお願い申し上げます。

米国食肉輸出連合会(USMEF)
ジャパンディレクター 山庄司 岳道

 
  アメリカンビーフ及ごちポロゴ画像
 
市況ニュース

2022年の生体牛価格、大幅な上昇見通し

 
 

2022年の生体牛現金価格は、前年比の上昇幅が過去7年間で最大になる見通しだ。2021年の生体牛の平均価格(100ポンド当たり)は122.29ドル。これに対して、2022年の平均価格は135ドル前後になると予想され、2015年以降で最大の上昇幅となる見込みだ。

2022年の最高値は、第1四半期および第4四半期になると予想され、週間平均で150ドルを超える週もあると見られる。週間価格の底値は130ドル弱の予想。こうした上昇予想の主因は、ここ3年間で米国の牛群が大幅に減少したことだ。

2022年1月1日時点の肉牛飼養頭数は、前年比で140万頭近く減少したと推測される。12月中旬までの経産牛の出荷頭数は、週当たり平均6900頭で推移した。これは2020年(年間36万頭)とほぼ同水準であり、1月1日時点でフィードロット外にいる子牛・肥育素牛はおよそ50万頭減少している可能性がある。さらにアナリストは、「雌牛の急速な減少によって、2022年の子牛生産頭数は40万頭縮小する可能性がある」と予想する。

肥育素牛の供給縮小に伴って、フィードロットの導入コストは上昇するだろう。しかしアナリストは、「素牛価格が上昇してもフィードロットの入れ替え需要は勢いを増すと予想され、肥育素牛の年間平均価格は500〜550ポンドの去勢牛が昨年の175ドルから205ドルに、750〜800ポンドは同145ドルから175ドル前後に上昇する」と見ている。

 

※2022年1月3日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

豚肉供給は夏季まで抑制的、需要増で価格上昇

 
 

2022年上期の供給見通し:USDA(米国農務省)が公表した最新の豚飼養動向調査によると、12月1日時点の肥育豚飼養頭数は6801万1000頭(前年同月比4.4%減)。これは事前予想値の下限で、アナリストの予想平均は2.9%減だった。USDAとアナリストの予測のズレの主因は、6〜8月期の子豚生産頭数だろう。

同期間に生まれた180ポンド超の肥育豚は前年比6%減、120〜179ポンドは同6.2%減。アナリストは「子豚生産頭数がこれほど減少するとは予想できなかった。この数値なら、2022年1〜2月の肉豚供給はかなり限定的になる」と指摘する。

昨年1〜2月の週間と畜頭数は、およそ268万8000頭だった。今回のレポートから推定すると、今年は250万頭余りとなる。この発表を受けて、先物の期近取引はすでに上昇傾向を示している。

50〜119ポンドの肥育豚は推定1918万5000頭(同2.5%減)。事前予想の2.7%減に近い数値だが、これらは2月下旬から4月中旬の間に出荷される。この期間中の週間と畜頭数は推定で246万頭前後。豚肉は在庫量が少ないこともあり、この水準であれば4月の先物取引も上昇するだろう。

4月下旬から5月下旬にかけて出荷される50ポンド未満は、推定2117万4000頭(同3.7%減)。週間と畜頭数は232万頭前後と推定される。これは非常に低い数値であり、最近の先物取引が90ドル台半ばから後半で高止まりしている理由もここにある。

  米国の子豚生産頭数の増減(四半期毎)
 

繁殖豚と夏秋季の見通し:12月1日の繁殖豚の飼養頭数は618万頭。前年同月をわずかに上回っているが、9月と比べると1万頭少ない。2021年は生産者マージンがおおむね黒字であったものの、高い飼料コスト、不透明な輸出需要、そしてカリフォルニア州の「Prop 12」(家畜に対する残酷な行為を防止するための法案)による混乱の影響で、生産拡大にブレーキがかかった。

一部の生産者は、2020年の大幅な赤字を受けて収益性の向上を図ったようだ。雌豚を繁殖用に保持する比率は、2017〜2019年の水準より低下しており、生産者の供給拡大に関する懸念を伺わせる。

生産者は3〜5月期の分娩見込み頭数を、前年比0.8%減としている。このため、同四半期の子豚生産頭数は前年同期とほぼ同水準で、秋季の肉豚供給もほぼ横ばいで推移すると予想される。

  (左)米国の繁殖豚の飼養頭数の推移/(右)母豚の一腹当たりの産子数の推移
 

※2022年1月4日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

 
ランキング

2021年ビーフパッカー上位30社、と畜能力微増

 
 

CBW紙は、第34回目となる「全米ビーフパッカー年間ランキング上位30社」(2021)を公表した。上位30社合計の1日当たりと畜能力は、55工場・12万7915頭。前回の54工場・12万6095頭から1820頭増加した。

上位企業のランキングに変化はなく、上位5社のと畜能力は27工場・9万7500頭で前年と変わらず。商業用と畜における大手3社の能力シェアは58.8%で、昨年の60.4%から低下した。肥育牛(去勢牛・未経産牛)のと畜におけるシェアは、昨年の68.1%から67.7%に低下した。

上位5社の能力シェアは、昨年の76.1%から75.7%に低下、肥育牛と畜におけるシェアは83.8%から84.3%に拡大した。と畜能力の増加は、施設拡張によるものが主体で、最も増加したのはキャビネスビーフ社の900頭増。

 

※2021年12月20日 CATTLE BUYERS WEEKLY

  2021ビーフパッカー上位30社
 
生産動向

2022年の牛肉生産量、前年比2.5%減の見通し

 
 

2022年の牛肉供給の様相を一言で表すと「輸入牛肉以外は全て減少」ということになるだろう。干ばつにより、フィードロットへの早期導入が急速に進まない限り、フィードロットの飼養頭数はほぼ全ての月で前年水準を下回る見通しだ。

それに伴って、肥育牛のと畜頭数も前年を割り込み、結果的に牛肉の生産量は減少する。本紙がアナリスト等から収集した2022年の牛肉生産量予測は、概ね271億ポンド。2021年の推定生産量278億ポンドに比べて2.5%減、7億ポンド少ない。

牛肉の供給がタイトになれば、2022年のカットアウト価格は基本的に前年を上回るだろう。昨年は、9月に季節的傾向に反してカットアウト価格が急上昇するなど上下動が激しかったが、今年は従来の季節的パターンに近い値動きとなることが予想される。

国内外の牛肉需要は引き続き旺盛だ。不安材料はコロナウイルスとその変異株。現在、オミクロン株の感染が急速に拡大しており、この感染が落ち着きを見せるまで、外食産業、特にレストラン業界は混乱が続く可能性がある。

また、インフレの進行も牛肉需要に対する脅威の一つだ。米国の2021年11月のインフレ率は6.8%と加速し、1982年6月以来の最高水準となり、FRB(米連邦準備制度理事会)の目標とするインフレ率2%を9カ月連続で上回った。世界的な物価上昇に伴う原価高騰に加えて、需要の増加・賃金の上昇圧力・サプライチェーンの混乱など、牛肉の価格上昇へ向けた状況が揃っている。

 

※2022年1月3日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

フィードロット飼養頭数、季節的なピークに達する

 
 

USDAが公表した11月のCOF(フィードロット飼養動向調査)によると、11月のフィードロットからの出荷頭数は過去21年間で最多を記録し、フィードロットの飼養頭数は季節的なピークに達したとみられる。

12月1日時点のフィードロット飼養頭数は1198万5000頭(前年同月比0.4%減)。前月比で3万7000頭増加した。11月の出荷頭数は187万3000頭(同5.3%増)、導入頭数は197万1000頭(同3.6%増)。

出荷の増加は、と畜日数が昨年より1日多かったことも影響している。導入の増加は、600ポンド未満(前年同月比4万5千頭)、600-699ポンド(同2万5千頭増)、700-799ポンド(5000頭増)の軽量級の3区分で増加したことによるもので、800ポンド以上の3区分は小幅減から横ばいだった。

 

※2022年1月3日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
USMEFインフォメーション

1月19〜20日開催の焼肉ビジネスフェアに出展

 
 

米国食肉輸出連合会(USMEF)は1月19、20日の両日、東京・豊島区の池袋サンシャインシティ文化会館/展示ホールで開催される「第14回〜ミートフードEXPO〜焼肉ビジネスフェア2022 in 東京」(同時開催=居酒屋 Japan 2022)に出展します。

アメリカンビーフ、ポークともに付加価値を高める提案と情報提供に注力し、提案アイテムの展示・試食、提案メニューのリーフレットや各種ガイドブックを配布します。アメリカンビーフでは、ここ数年、提案を強化している「グルメバーガー」に加え、「ビーフサンドイッチ」などテイクアウト需要に対応できるアメリカンビーフを使ったメニューを提案します。アイダホ州のソウルフードである「アイダホフィンガーステーキ」の試食も行います。

 アメリカンポークでは、4月から重量税が低下することを見据えて、価格メリットが発揮しやすくなるピクニック(ウデ)の活用アイデアを提案します。ピクニックは、従来からの用途である切り落としやひき肉以外にも汎用性を持っています。近年、人気が高まりつつあるアメリカのBBQ料理の一つである「プルドポーク」でのピクニックの活用や焼肉用のカッティングを展示・試食を通じて提案します。

 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ビーフ・ファクト・シート