ラボバンク社の第4四半期牛肉レポートによると、世界的に需要が増加している牛肉は、米国の生産が縮小傾向に向かっていることから、今後は供給がひっ迫する見通しだ。
2021年に米国の経産牛のと畜頭数は6%増加しており、2022年の牛肉生産量は2.5%減少する見通しだ。干ばつと牧草の状況は改善しているものの、飼料や牧草の供給は依然として限られている。
米国産牛肉の輸出は、2022年も高い回復力を維持すると予想さている。日本・韓国・メキシコ・カナダへの輸出が堅調なことに加え、中国の需要増が輸出拡大を加速すると予想される。
同レポートでは、米国の牛肉輸入量は生産の縮小にともなって増加する可能性があるという。しかし、経産牛のと畜頭数は依然高い水準にあり、豪州やNZからのカウミートの輸入量の増加は限定的だろう。ブラジルからの輸入は、2021年前半の9カ月間で61%増加したが、BSE発生に伴う懸念が輸入増に歯止めをかける可能性があるという。
COVID-19により、多くの国でフードサービス店に規制がかかっている。特に厳格な規制を敷く中国と感染が増加する欧州では、現在の規制・対策が成功しない場合、今後数カ月間にわたりフードサービス市場での牛肉需要が減る可能性がある
しかし、中国では高品質な牛肉への需要が高まっていることから、米国からの中国向け輸出は拡大を続けると予想している。同社のアナリストは、「現在も続く豪州産の供給制限や南米からの輸出停止も相まって、この拡大が世界市場での価格高騰のベンチマークになるだろう」と分析する。
米国の牛肉生産量は、今後少なくとも2023年までは回復する可能性が薄い。中国の牛肉輸入が拡大を続け、日本・韓国の輸入需要も好調を維持すれば、米国産牛肉への輸入需要はさらに拡大する。ブラジルや他の輸出国の輸出が拡大しなければ、2022年末に世界の牛肉市場は、より厳しい供給状況になるかもしれない。 |