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TRADER'S Be & Po

vol.391 Dec.6.2021
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 生体牛価格は続伸、カットアウトは値下がり
季節的な供給増加でポークカットアウト下落
ワールドトレード ベトナムが米国産豚肉の関税率引き下げへ
生産動向 フィードロットへの導入増、飼養頭数は前年並み回復
ポーク関連ニュース メキシコ向け輸出回復、モモの価格を下支え
業界ニュース 牛肉供給を混乱させた“ブラックスワン”の影響終わる
USMEFインフォメーション USMEFが戦略計画会議開催、新役員を選出
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ポーク(2021年10月)米国の輸出、と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

生体牛価格は続伸、カットアウトは値下がり

 
 

生体牛の現金取引価格は10月初旬から上昇傾向にあり、11月第3週も続伸した。水曜日の取引量は少なく、生体牛が100ポンド当たり132ドル、枝肉は207ドルだったが、木曜日には取引が活発化し、生体牛133〜134ドル、枝肉は209〜211ドルをつけた。

枝肉重量が引き続き減少傾向にあることも、価格の上昇に影響している。11月6日までの去勢牛の週間平均重量は919ポンド(前年同週比5ポンド減)で、前週比1ポンド減。未経産牛は842ポンド(同4ポンド減)と、前週比横ばい。

一方カットアウト価格は、月曜から木曜までにチョイスが100ポンド当たりで8.14ドル下落し、276.16ドルに。セレクトは6.37ドル安の263.16ドルとなった。この4日間の取引量は509ロードと非常に多く、パッカーは祭日(11月25日の感謝祭)を前に、牛肉の在庫を一掃するため、価格を引き下げて積極的に販売したようだ。

11月第2週のカットアウト価格は289.43ドル(前週比1.91ドル高)だったが、チョイスの平均は284.43ドル、同0.91ドル安。同週のカット・ひき材・トリムを合わせた総取引量6940ロードのうち、事前取引が23.8%を占め、2016年以来最も高い割合となった。

アナリストは、「祝祭日に向けた事前取引の契約数としては記録的な高水準だ。これが生体牛の現金取引価格とカットアウト価格の下支え要因となったが、今後、この取引で小売業者や卸業者の在庫が積み増しされれば、需要が低下して、市況は鈍るだろう」と予想する。

 

※2021年11月22日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

季節的な供給増加でポークカットアウト下落

 
 

11月19日のポークのカットアウト価格は、100ポンド当たり89.92ドル。前週比で約5ドル安となった。これはロイン、ピクニック、ベリーの下落が要因であり、特にベリーが急落した。これまで最も高い価値を維持していたベリーの下落が、カットアウト全体に大きく影響した。

11月12日時点で、ベリープライマル価格は152ドル、これに次いでリブは133ドルをつけていた。しかし先週金曜までに、ベリーは約30ドル(19.4%)値下がり。9月下旬以降で見ると、ベリーは41%も下落しており、同期間のカットアウト価格の下落の半分近くを占めている。

10月上旬以降、ポークの卸売価格も下落傾向にある。季節的なと畜増加と、祝祭日による稼働休止といった短期的な要因も影響している。例年、肉豚のと畜頭数は12月上旬に年間のピークを迎える。11月第3週の週間と畜頭数は、推定263万5000頭(前年同週比3.4%減)、2019年比5%減だが、それでも8月下旬に比べると18〜20万頭多い。

10月上旬以降、出荷豚の重量は5ポンド増加しており、同期間としては過去5年で最も速いペースで増加した。その要因は生産・供給過剰ではなく、処理工場でフル稼働が困難になっていることだ。

10月の平日の1日当たり平均と畜頭数は、47万5934頭(前年比2.1%減)、2019年比2.4%減。土曜日の平均は20万4998頭(同18.5%減)、同19.7%減。生産者が出荷のタイミングを守ろうとすればするほど、生体豚価格に値下げ圧力が加わることになる。

今秋初めまでカットアウトの高値をけん引してきたロインとベリーの急落は、処理工場の休日シフトや小売業者のホリデーシーズン向けの在庫補充の影響が強いように見える。小売業者が販促を拡充し、ベーコン加工業者が春季の需要増へ向けた手当を再開すれば、2022年上旬にはこの2品目が再びカットアウト価格を押し上げるはずだ。

 

※2021年11月22日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  ポークカットアウト価格のプライマル(パーツ別)価格の変化率(左)/ポークカットアウト日次価格の推移(右)
 
ワールドトレード

ベトナムが米国産豚肉の関税率引き下げへ

 
 

ベトナムは、最恵国待遇における冷凍豚肉関税を15%から10%に引き下げると発表した。米国産豚肉の関税引き下げは、2022年7月1日に発効する見通し。

ベトナム市場へのアクセス改善に取り組んできた全米豚肉生産者協議会(NPPC)のジェン・ソレンセン会長は、「ベトナムは大きな豚肉消費国だが、アフリカ豚熱への対応に追われている。国内の豚肉生産は急激に減少し、輸入豚肉への依存度が増している。米国産豚肉は関税の引き下げによって輸出を拡大し、ベトナムの人々のニーズを満たすことができる。ただ、米国とベトナムは自由貿易協定を結んでいないため、欧州、ロシア、CPTPP締結国などの豚肉供給国との競争においては、依然として不利な立場にある。例えばCPTPP締結国がベトナムへ輸出する冷凍豚肉の関税率は7.5%にすぎない」とのコメントを発表した。

米国産豚肉に対する高い関税率と非関税障壁や、両国間に自由貿易協定・特恵貿易協定がないことで、2020年の米国産豚肉のベトナム輸出はおよそ2万5000トン・5400万ドル相当にとどまっている。

NPPCは、ベトナムの関税引き下げを推進した政権に対し、11カ国が加盟するCPTPPに参加するよう要請している。米国はその貿易協定の前身である環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の一員であり、NPPCはこれを強く支持していたが、トランプ政権は成立前にこの協定から離脱した。

 

※2021年11月18日 FOODSMARKET.com

 
生産動向

フィードロットへの導入増、飼養頭数は前年並み回復

 
 

10月フィードロットへの導入が増え、11月1日のフィードロット総飼養頭数は、前年に近い水準にまで増加する見込みだ。アナリストの予想では、10月の導入頭数は前年同月比4%増。と畜日が昨年より1日少ないため、出荷頭数は同4%減と見られている。

10月に素牛導入が促進されたのは、肥育素牛の季節的な供給増加と飼料コストの上昇による肥育期間の短縮化、また生体牛の期近の先物価格が現金取引に比べて大幅に割高となる見通しが濃厚になっているためだ。

LMICのアナリストは、「導入は例年の季節的パターンに沿って、9月より増える見込みだ。10月の肥育素牛の輸入は昨年より約3万5000頭少ない予想。導入が4.4%増加すれば、飼養頭数はほぼ前年水準並みに達するだろう」と予想している。

MBSリサーチのアナリストは、「11月1日の飼養頭数はほぼ前年並みで、過去3番目に多い水準になるだろう。これにより、冬季下旬から来春にかけて肥育牛の供給は潤沢になるが、12月から年明けには導入が減少するため、来年の第一四半期の供給は前年を下回るだろう」と予想する。

この数カ月間、肥育期間は昨年に比べて短縮されている。9月の去勢牛の平均肥育期間は、昨年の175日間および過去5年(2015-19年)平均の165日間に対して、159日間だった。未経産牛は昨年の176日間に対して、今年は169日間だった。

LMICによると、去勢牛の増体コストは、今年の年始に比べて100ポンド換算で32.8%・27ドル増加したという。未経産牛は37.2%・32ドルの増加。主な要因は、トウモロコシが47.7%、アルファルファの飼い葉が31.2%値上がりしたことだ。

 

※2021年11月15日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
ポーク関連ニュース

メキシコ向け輸出回復、モモの価格を下支え

 
 

11月第3週の中国向け豚肉輸出量は4364トンで、過去4週間の平均に比べて11.6%増加したが、前年同週比では67%減と落ち込んでいる。この減少の一部を相殺しているのがメキシコ向けの輸出増加だ。

メキシコ向けの同週の輸出量は1万6233トン、過去4週間平均比5.9%増、前年同週比35%増。この4週間の週当たり平均輸出量は1万6800トン、前年同期比で17%増と大幅に増加している。

メキシコ向けの輸出回復に伴い、ボンインハム(骨付きモモ)の価格は40ドル後半から60ドル前半へと回復している。このメキシコ向けの需要がホリデーシーズン後も継続するかどうかが、今後の市況の一つのカギになる。過去10年間の米国産豚肉のメキシコ向け輸出量データを見ると、メキシコ向けの年間輸出量の1カ月当たり平均に対して、11月は12%、12月は24%、1月は9%上回っている。

輸出全体で見ると、中国からの需要が減少しているため、やや弱気にならざるを得ない。先週の中国向けは極端に少ない。さらに重要なのは、まだ中国から2022年の輸入予約がないことだ。

 

※2021年年11月22日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

 
業界ニュース

牛肉供給を混乱させた“ブラックスワン”の影響終わる

 
 

2019年8月9日の金曜夜、カンザス州ヘルコムの牛肉工場で火災が発生した。大規模工場の営業が停止した後、いわゆる「ブラックスワン」と呼ばれる市場への悪影響の発生で、生体牛の現金価格は5週間で100ポンド当たり11.67ドルも下落。回復には10月までかかった。

同じく第二の「ブラックスワン」というべきCOVID-19パンデミックによる影響は、前回をはるかに超えている。昨年4月上旬以降、牛のと畜頭数と牛肉の生産量に大きな打撃を与えた。

と畜頭数の減少は6月まで続き、出荷時期を過ぎた牛の滞留が発生した。6月1日の肥育日数150日以上の頭数は、前年同月比で100万頭も増加していた。アナリストは、「この滞留の解消には1年か、それ以上を要する」と予測した。

実際には18カ月間もかかったが、滞留がほぼ解消されたことで、10月最終週から11月第1週にかけて、生体牛価格は5.56ドル上昇した。

一方、10月の牛肉小売価格は過去最高値を更新して、前年同月比12%高となった。チョイスのポンド当たり平均価格は、9月の7.87ドルから7.90ドルに上昇した。これは昨年10月の平均価格6.35ドルに比べて12.4%も高い。

生鮮牛肉全体の平均価格は、7.40ドルから7.55ドルに上昇。チョイスよりも生鮮牛肉全体の値上がり幅が大きいのは、牛ひき肉の小売価格の上昇が影響している。

 

※2021年11月15日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
USMEFインフォメーション

USMEFが戦略計画会議開催、新役員を選出

 
 

米国食肉輸出連合会(USMEF)は11月10〜12日の3日間、カリフォルニア州カールスバッドで戦略計画会議及びボードメンバー役員会を開催しました。さまざまなテーマとセッションを通して2021〜2022年の活動報告・方針・計画などが討議されるとともに、新しいボード役員が選出されました。

パット・ビンガー会頭(カーギル・プロテイン・ノースアメリカ)の後任となる新会頭には、コロラド州に本拠を置くビルコ・コーポレーションのマーク・スワンソンCEOが就任しました。

最終日には、事務所開設30周年を迎えた韓国市場に焦点を当てたセッションが行われ、ジヘイ・ヤン韓国ディレクターがアメリカンビーフ・ポークともに著しい成長を遂げている韓国市場の足跡と成功事例を紹介しました。

  The 2021-22 USMEF officer team:(左から)Secretary-Treasurer Steve Hanson,Vice Chair Randy Spronk, Chair-elect Dean Meyer and Chair Mark Swanson
 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ポーク・ファクト・シート