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TRADER'S Be & Po

vol.390 Nov.22.2021
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 牛肉全て高値、ひき材高騰、副産物も記録的水準
豚カットアウト、高値維持も労働力不足が値下げ圧力に
サスティナビリティ NAMIが気候変動対策で意欲的な目標を発表
トピック 西部で厳しい干ばつ続く、子牛生産に影響
リテール 食肉の小売価格が記録的高値に
消費者の選択はリブアイから牛ひき肉へ
フードサービス レストラン業界は店内営業の苦境続く
USMEFインフォメーション 12月1日から「冬こそアメリカンポーク!キャンペーン」展開
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2021年9月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

牛肉全て高値、ひき材高騰、副産物も記録的水準

 
 

アメリカでは国内外ともに牛肉需要が高く、多くの品目が前年を大幅に上回る高値になっている。特に牛ひき肉が高騰しており、50CL(赤身率50%の牛ひき材)は100ポンド当たり87.77ドル(前年同週比146.1%高)と2倍以上、90CLも275.80ドル(同41.7%高)を付けている。

ハイド(原皮)や内臓などの副産物価格は16.37ドル(同96.5%高)で、2014年4月23日につけた最高値16.69ドルに次いで高い。去勢牛の1頭当たりに換算すると、枝肉価格に200ドルを超える価値を付加している。

10月最終週のカットアウト価格は283.43ドル。前週比0.23ドル高だが、前年同週比では38.4%高。経産牛の週当たりと畜頭数は前年比7000頭ほど多いものの、小売・外食ともに牛ひき材に対する需要が高いことで、牛肉全体の価格を底上げしている。チョイスのラウンドは255.92ドル(同52.3%高)、チャックは232.34ドル(同39.0%高)。

ステーキカットは、9・10月の高騰で消費離れが起こり、牛ひき肉へのシフトが進んだ。牛肉全体の売れ行きは鈍っているものの、今年は感謝祭向けの冷凍ターキーの供給が過去3年間平均比で24%少ないため、牛肉の需要増への期待もある。

ホリデーシーズンに向けた手当が増えるにつれて、カットアウト価格はさらに上昇する可能性もある。11月1週は前半4日間でチョイスが4.50ドル上げ、木曜日に290.22ドル、セレクトは4.85ドル高の268.22ドルを付けた。

 

※2021年11月8日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

豚カットアウト、高値維持も労働力不足が値下げ圧力に

 
 

この数か月間、生体豚の現金取引価格に値下げ圧力がかかっている。季節的な供給の増加、処理工場での労働力不足、不透明な輸出需要などがその要因だ。しかし現在の「生体豚価格」の形成は、以前に比べて複雑になっている。

価格形成には、スポット市場の相対取引価格と、卸売取引における日次のカットアウト価格の双方が反映されると同時に、一部のフォーミュラ取引では特別な属性(妊娠ストール、抗生物質の使用の有無など)も考慮される。多様な決定方法があり、2022年1月1日にカリフォルニアProp 12が発効すれば、さらに複雑化するだろう。

10月最終週の生体豚価格の取引範囲は、相対取引の62.90ドルから、いわゆる「その他の購入契約」で決定した80.77ドルにまで幅がある。生体豚先物取引の決済に使用される、2日間の「CME Lean Hog Index」(シカゴ商品取引所のリーグホツグ指標)は、直近で79.04ドルと算出される。

しかし、現金価格もCME豚指数の価格決定に関連する要素の1つであり、取引関係者はいずれの価格がどの程度動いたのか注意を払う必要がある。昨日の相対の現金取引価格は平均60.98ドル。辛うじて前年を上回っているが、2月上旬以降で最も低い価格だ。

11月第1週の豚と畜頭数は、255万1000頭(前年同週比5.3%減)。第2週は260万頭弱、同3.8%減と推定される。過去4週間の平均と畜頭数は、前年比3.5%減。通常、と畜頭数が減少して豚肉供給が低下すれば、生体豚の現金取引価格は締まる。

しかし、肥育豚の重量が通常より速いスピードで増加し、それに連動して価格も下落している現在の状況から判断すると、生産者の出荷が若干遅れていることがわかる。処理工場の労働力問題でと畜頭数が減少し、それが出荷を鈍らせている。

と畜能力との相関で、肥育豚の供給は短期的には潤沢に見えるが、最新の飼養動向調査によれば、と畜頭数は12月以降に前年比6%減少する見通しだ。この点からみると、今後はと畜能力の問題から、年末年始後の国内・輸出需要が重視されるだろう。

 

※2021年11月8日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  生体豚(リーンホッグ)の価格推移(日次ベース)
 
サスティナビリティ

NAMIが気候変動対策で意欲的な目標を発表

 
 

北米食肉協会(NAMI)は、「将来の人間・動物・気候のための持続可能性フレームワークとプロテインPACT」を通じて開始する最新のコミットメントとして、持続可能性のための枠組みと、新たな5つの目標を発表した。

会員の100%がパリ協定の目標に沿って科学に基づく温室効果ガスの削減目標を自主的に設定し、Science Based Targets Initiative(SBTi)から承認を受けて、2030年までに目標を達成する。

ジュリー・アンナ・ポッツ会長兼CEOは、「我々は持続可能性のための包括的な枠組みを通じて、全ての規模のミートパッカーや加工業者が、科学に基づく温室効果ガスの排出量削減目標を自主的に確立し、承認されるように後押しする技術的なサポートを作り出す」とのコメントを発表した。

NAMIは、会員の設定する温室効果ガスの削減目標の承認サポートとともに、透明性のある基盤を確立し、アニマルケア、食品の安全性、労働と人権、健康とウェルネスに関する意欲的な目標へ向けた進捗状況を検証するため、基準となるデータを収集する。その他の目標は次のとおり。

  • 2022年中に、食肉生産の90%を占める会員企業すべてが、NAMIの持続可能性の枠組みに沿ってデータを報告し、2030年までに100%の会員がすべての指標となるデータを報告する。
  • 2025年までに、家畜を扱う会員100%が、家畜の輸送および取扱いにおいて第三者機関の監査をパスし、全てのサプライヤーに対して、義務的な従業員教育の実施と、アニマルケアに関する基準の順守を求める。
  • 2025年までに、USDAならびにフィーディング・アメリカと協力して、タンパク質の需給ギャップの測定と是正に努め、必要とする世帯に、米国の栄養基準を満たす高品質なタンパク質を確実に提供する。
  • 2030年までに、NAMIの会員は労働災害(1999年から10年間で75%の低減を達成した2019年を基準に)さらに50%低減することを目指す。
 

※2021年11月9日 FOODSMARKET.com

 
トピック

西部で厳しい干ばつ続く、子牛生産に影響

 
 

この1年を通じて米国西部を襲った干ばつは、特にアルファルファの生産に多大な影響を与えている。USDAによると、カリフォルニア、アリゾナ、ネバダ、オレゴン、ワシントン、アイダホ、モンタナ、ノースダコタが厳しい状況にあり、10月12日時点で西部の52%を超える地域が「非常に厳しい」または「特に厳しい」状況にある。

この地域の干ばつは、2020年後半から2021年の前半に始まったが、全米のアルファルファの45%超が影響を受けており、その面積割合は過去10年で最大だという。アルファルファは家畜や酪農の経営上で重要な資源。生産の減少は、飼料コストにも影響を及ぼす。

干ばつの影響により、西部の子牛生産農家や育成農家の多くが、通常よりも早い時期に、素牛を軽量のままフィードロットへ出荷せざるをえなかった。これは、3・4月のフィードロット導入牛のうち、最軽量の600ポンド未満が昨年より18万頭多かったことでも明らで、素牛供給が7月1日時点で前年比60万頭減少した理由の一つでもある。干ばつは、現在の牛群の縮小傾向にも影響している。

 

※2021年11月8日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
リテール

食肉の小売価格が記録的高値に

 
 

牛肉の小売価格は、9月の記録的な高値から、10月には徐々に下がり始めているものの、食肉全般の小売価格は依然として記録的な高値にある。

9月のチョイスビーフの小売価格(ポンド当たり)は7.87ドル(前年同月比23.5%高)。2020年6月に記録したこれまでの最高値7.38ドルを上回った。生鮮牛肉全体では7.40ドル(同17.8%高)で、やはり高値記録を更新した。

豚肉の平均価格は4.72ドル(同16.4%高)で、6カ月連続の最高値更新。ブロイラー価格も2.16ドル(同8.0%高)と、これまでの最高値2.15ドルを超えた。9月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比5.4%上昇。食肉の指数は同12.6%と大幅に上昇し、家きん類も6.1%上昇した。

アナリストは、「チョイスのカットアウト価格(100ポンド当たり)が332.62ドルまで上昇した8月下旬には、牛肉の小売マージンは完全に消失していた。カットアウトが280ドルにまで下落したことを受けて、一部では少しずつ値下げし始めている」という。

価格高騰による牛肉の販売量縮小が起きたのは2003年以来のこと。アナリストは、「前回は牛肉価格が上昇し、競合する食肉との価格差が拡大したことで、牛肉の販売量が鈍化した。売上額は前年比ではプラスのままだったが、今回のシナリオは、これで終わりではない。小売価格がコロナ前の水準に戻ることは期待できず、上昇した新たな価格帯に定着するだろう」と見ている。

小売業者には、マージンを維持するために新しい価格帯が必要だ。「これは、今後2、3年間で牛肉の供給が周期的に減少することで確定される。チョイスの小売価格は7.20〜8.00ドルになるだろう」と予測する。

 

※2021年年11月1日CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

消費者の選択はリブアイから牛ひき肉へ

 
 

食料品価格の上昇が家計を圧迫していることから、米国の消費者はステーキの消費を減らしている。調査会社IRIによると、リブアイなどの製品価格が前年比約40%も急騰したことを受けて、スーパーでは牛肉から豚肉や鶏肉などより手ごろな代替品へシフトする消費者が増えているという。

アラバマに拠点を置くスーパーの食肉ディレクターは、「消費者は自分の財布事情に合うものを探している。最近は、ストリップやリブアイステーキといったミドルミートのカットは縮小し、牛ひき肉の販売が拡大している」という。

米国の労働統計局によると、9月に家庭で消費されたすべての食品価格は4.5%値上がりしたが、その主因は食肉・家きん類・魚類・卵の価格が10.5%も上昇したことだ。食肉バイヤーは「手羽やポークリブの他、手作業が必要な食肉のカットのコスト増は、スーパーの食品部門の中で最大だ」という。食料品価格が上昇する中で、消費者は食肉価格により敏感になっており、小売業者は高価な食肉を減らし、安価なカットの販売を増やしている。

 

※2021年11月8日 FOODMARKET.com

 
フードサービス

レストラン業界は店内営業の苦境続く

 
 

米国のレストラン業界の業績は、昨年の急激な落ち込みから回復に向かっているが、依然としてパンデミック前の水準には戻っていない。店内の来店客数が伸び悩んでいるためだ。NPDグループの最新調査によると、9月までの1年間のオンラインと実店舗の合計利用者数は、前年同期比で5%増加したが、2019年同期比では6%減だ。

NPDの食品業界アドバイザーは、「米国の外食業界において、店内営業は今も逆境の渦中にある。労働力の課題があり、また消費者が店内食を渋っていることで、特にフルサービスレストランでは、入店制限とメニューの絞り込みが続いている。高品質な牛肉の売上高、特に高級レストランやステーキハウスへの売上高は、依然として例年の水準を下回っている」という。

9月までの12か月間、店内営業の来店者数は、パンデミック前の2019年同期と比べて48%減少した。持ち帰り、ドライブスルー、宅配といった店外利用は、同20%増。フルサービスのレストラン(FSRs)は、店内の利用客(約80%)に大きく依存しており、パンデミック中は最も苦しい状況にあった。来店客数はこの1年間で7%増加したが、2019年比では23%減とまだまだ回復途上だ。

一方、パンデミック中に店外利用を拡大してきたクイックサービスレストラン(QSRs)は、パンデミック前も店内利用者が全体の28%で、FSRsほど店内営業に依存していないが、この1年間で店内利用の客数はパンデミック前に比べて52%減少し、利用割合も14%に低下した。

 

※2021年11月8日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
USMEFインフォメーション

12月1日から「冬こそアメリカンポーク!キャンペーン」展開

 
 

米国食肉輸出連合会(USMEF)は、12月1日〜22年1月12日まで「冬こそアメリカンポーク!キャンペーン」を実施します。日本最大級のレシピ動画メディア「DELISH KITCHEN」とのタイアップにより、参加店舗での買い回りを促進し、消費額を拡大する「マストバイキャンペーン」として展開します。

400円以上の商品ラベルとレシートで応募が可能で、抽選によりA賞=アメリカンポーク「ロースかたまり肉1s(500g×2)」を500名、B賞=DELISH KITCHENコトコト煮込みシェフを200名にプレゼントします。

DELISH KITCHENは、総ダウンロード数2100万人超、SNSフォロワー数520万人以上、月間総リーチ数2500万人以上を誇り、食やヒット傾向に関する豊富なノウハウを有し、蓄積データやトレンドを分析したレシピ提案力が強みです。

USMEFでは、プロの料理家が開発した、冬こそ召し上がっていただきたいアメリカンポークのオリジナルレシピ=「辛みそ漬け焼」「ゆず塩麹チャーシュー」「チーズポークプルコギ」「ごまみそ豆乳鍋」の動画公開と、アプリバナーへの配信で、参加店舗への送客を図ります。

  アメリカンポークキャンペーン
 

【11月25日より発送開始】
以下のUSMEFサイトより発注して下さい

https://www.americanmeat.jp/trd/publications/tool/online/input.php

 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

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