この数か月間、生体豚の現金取引価格に値下げ圧力がかかっている。季節的な供給の増加、処理工場での労働力不足、不透明な輸出需要などがその要因だ。しかし現在の「生体豚価格」の形成は、以前に比べて複雑になっている。
価格形成には、スポット市場の相対取引価格と、卸売取引における日次のカットアウト価格の双方が反映されると同時に、一部のフォーミュラ取引では特別な属性(妊娠ストール、抗生物質の使用の有無など)も考慮される。多様な決定方法があり、2022年1月1日にカリフォルニアProp 12が発効すれば、さらに複雑化するだろう。
10月最終週の生体豚価格の取引範囲は、相対取引の62.90ドルから、いわゆる「その他の購入契約」で決定した80.77ドルにまで幅がある。生体豚先物取引の決済に使用される、2日間の「CME Lean Hog Index」(シカゴ商品取引所のリーグホツグ指標)は、直近で79.04ドルと算出される。
しかし、現金価格もCME豚指数の価格決定に関連する要素の1つであり、取引関係者はいずれの価格がどの程度動いたのか注意を払う必要がある。昨日の相対の現金取引価格は平均60.98ドル。辛うじて前年を上回っているが、2月上旬以降で最も低い価格だ。
11月第1週の豚と畜頭数は、255万1000頭(前年同週比5.3%減)。第2週は260万頭弱、同3.8%減と推定される。過去4週間の平均と畜頭数は、前年比3.5%減。通常、と畜頭数が減少して豚肉供給が低下すれば、生体豚の現金取引価格は締まる。
しかし、肥育豚の重量が通常より速いスピードで増加し、それに連動して価格も下落している現在の状況から判断すると、生産者の出荷が若干遅れていることがわかる。処理工場の労働力問題でと畜頭数が減少し、それが出荷を鈍らせている。
と畜能力との相関で、肥育豚の供給は短期的には潤沢に見えるが、最新の飼養動向調査によれば、と畜頭数は12月以降に前年比6%減少する見通しだ。この点からみると、今後はと畜能力の問題から、年末年始後の国内・輸出需要が重視されるだろう。
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