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TRADER'S Be & Po

vol.388 Oct.25.2021
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 生体牛先物が反発、現金取引の下支えに
ランキング 養豚企業ランキング2021、上位37社の母豚数微増
トピック 供給のボトルネック・労働力不足、予想以上に長引く
供給動向 フィードロット頭数高水準、出荷停滞と導入増で
輸出動向 8月の牛肉輸出額が初の10億ドル超え、豚肉も記録的
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2021年8月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

生体牛先物が反発、現金取引の下支えに

 
 

生体牛の先物価格が反発に転じたことで、現金取引価格も下げ止まった。9月最終週の生体牛の先物取引は、10月限の終値が100ポンド当たり120.27ドルだったが、週替わりの月曜日(10月4日)には222ポイント上げ、木曜日には125.25ドルを付けた。

9月最終週の現金取引価格は生体牛122.56ドル、枝肉195.217ドル。それぞれ前週比1.08ドル安、1.13ドル安だったが、10月4日からの週は水曜日に取引が活発化し、南部で生体牛が123.50〜124ドル、ネブラスカで生体牛123.34ドル、枝肉195ドルで取引された。アイオワは生体牛122ドル、枝肉196ドルだった。

生体牛価格を支えたもう一つの要因は、9月最終週の加工処理頭数が推定49万5000頭、週間と畜頭数が63万7000頭にとどまったことだ。この減少は、いくつかの大規模工場で枝肉保管庫の季節的な清掃が行われたことによると見られる。

10月の肥育牛のと畜頭数は、9月に比べて増加基調にある。10月4日の週のと畜頭数は前半4日間で前週より1万頭多く、週間では65万7000頭前後のペースだ。ただし、肥育牛の枝肉重量は依然として前年を大幅に下回っている。

9月最終週の去勢牛の週間平均重量は914ポンド(前年同週比10ポンド減)、過去5年平均比では9ポンド増。未経産牛は833ポンド(同5ポンド減)、同3ポンド増。全体平均は831ポンド(同14ポンド減)、過去5年平均比3ポンド減となっているが、これは昨年に比べて経産牛のと畜頭数が増加している影響だ。

一方カットアウト価格は、ミドルミート(ロイン系)の暴落に引きずられて、ここ6週間急落している。先週のカットアウト全体(カット、ひき材、トリム)の平均価格は298.83ドル、前週比9.20ドル安。8月27日の週につけた今年の最高値332.62ドルと比べて、33.79ドル安。チョイスは先週の前半4日間で7.06ドル値下がりし、285.30ドルとなった。

アナリストは、「チョイスの価格が小売業者の一つの目標値である285ドルに近づいたことで、値下げ圧力は緩むはずだ」という。急激な値下がりを受けて、小売業者は10月下旬から11月にかけて再び牛肉の販促を活発化させ、一部のミドルミートの販促も復活させるだろう。

 

※2021年10月11日 CATTLE BUYER’S WEEKLY

 
ランキング

養豚企業ランキング2021、上位37社の母豚数微増

 
 

Successful Farming誌が発表した「ポーク・パワーハウス・2021ランキング」(保有母豚数に基づくトップ37社)によると、上位37社合計の母豚数は414万8638頭と前年に比べて2万813頭、0.5%増加した。

昨年(トップ40社)は、COVID-19に伴う混乱の影響で10年ぶりに母豚数が減少(1.4%減)したが、同誌では「今回の調査で、微増ながら増加に転じたことは、大規模農場が困難な時を耐えて縮小に歯止めをかけることができた証だ」という。

2020年に比べて、母豚数は11社で増加、7社で減少、19社は前年と同じだった。AMVC Management Servicesのジェイソン・ホッカー氏は、「市場価格の強さに支えられ、今年は当初の予想以上に好転し、回復の1年になった」という。

養豚企業の黒字化は2022年も継続すると予想されているが、多くの企業が人員不足に直面しており、コロナ感染症の再拡大やアフリカ豚熱(ASF)の防御、カリフォルニア州の新たな規制など課題が山積しているのも現実だ。

Livingston Enterprisesのブルース・リビングストン氏は「COVIDによる損失のから再び収益を得ることが出来たのは素晴らしいことだが、農業分野で養豚業界ほどストレスの多い業界はない」と話している。なお、最大手スミスフィールドは公式データを提供しておらず、保有母豚数は推定。

 

※2021年10月6日 Successful Farming

  米国の養豚企業トップ37社(上位20社抜粋)
 
トピック

供給のボトルネック・労働力不足、予想以上に長引く

 
 

最新の全米雇用統計によると、9月の新規雇用者数は19万4000人と予想のわずか半数にとどまった。7月時点の求人数は1000万人を超えていた。多くの経済学者は、新学期の開始と失業給付金の上乗せの終了により、労働力への復帰が進むと考えていたが、それに反して9月の就労者は18万3000人減少した。就業率も同様に、8月の61.7%から61.6%に低下した。

減少の理由は何か。ウォールストリートジャーナルによれば、最も減少幅が大きかったのは州および地元教育機関の雇用者数で、16万1000人減少した。コロナの感染リスクや、いくつかの州で義務化されたワクチン接種を避けて、高年層の教師が早期退職を選んだことが主な理由と考えられるという。

現在の労働力は、2020年2月に比べて310万人少ない。その中で、パンデミックによる給付金や貯蓄率の増加によって国内に資金が溢れ、消費者需要は上向いている。

食肉パッカー大手は先日、全米にある45の全拠点で、今年2度目の雇用イベントを開催した。事前予約なしで参加・応募を受け付けるもので、新規雇用者の多くに3000ドルの就業祝い金を支給する。同社では6月にストライキの危機があったが、賃上げや福利厚生の拡大へ向けて水面下で組合と協議を行い、速やかに新たな協約に至っている。

他の大手パッカーも25〜30%の賃上げを実施している。輸送・配送、パッケージ、エネルギーにかかるコスト増加とともに、こうした賃金増による商品コストへの波及が続いている。

牛・豚・鶏肉の価格は、ここ数週間で若干反落したものの、依然として前年水準を大幅に上回っている。季節的要因の価格への影響もあるが、経済全体のインフレ傾向を一因に、2022年へ向けて大幅な原材料価格のインフレが続く見通しだ。

パッカーが生産ラインの人員配置に苦慮していることから、除骨、トリム等の特に労働力を必要とする製品は、引き続き大幅な割高が続きそうだ。

 

※2021年10月11日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  米国の就労率(民間ベース)月次、季節調整済み、更新:2021年9月
  過去10年間の就労者の増減(左)/求人と離職率調査(JOLTS)(右)
 
供給動向

フィードロット頭数高水準、出荷停滞と導入増で

 
 

米国農務省(USDA)によると、9月1日時点のフィードロットの総飼養頭数は1123万4000頭(前年比1.4%減)。アナリストの予想平均より0.5%多く、9月としては1996年の統計開始以降で2番目に多い。

出荷頭数は188万5000頭(同0.4%減)。と畜日が昨年より1日多いことを勘案すると、5%減に相当する。総飼養頭数に対する出荷率は17.0%。過去5年平均は17.7%。わずかな差だが、頭数に換算すると7万7500頭の減少に相当する。その分、9月に出荷が繰り越され、フロントエンド(肥育日数150日以上の牛)の供給の季節的減少も先送りされたことになる。

導入頭数は210万4000頭(同2.3%増)。重量区分でみると、最も増加したのは「900−999ポンド」(27万5000頭)で4万5000頭増。「800−899ポンド」(53万4000頭)は1万2000頭増、「700−799ポンド」(48万頭)は1万頭増、「1000ポンド以上」(10万頭)も5000頭増加した。「600ポンド未満」は横ばい、「600−699ポンド」は2万5000頭減。

テキサスA&M大学のデイビッド・アンダーソン氏は、「900-999ポンドの導入は19.6%増加した。この大部分、3万頭はネブラスカで導入されたものだが、同州では800ポンド超も35万頭導入されている。全体でも導入素牛の約43%が800ポンドを超えており、年末から2022年初めにかけての肥育牛供給が増加することを示している」という。

 

※2021年10月4日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
輸出動向

8月の牛肉輸出額が初の10億ドル超え、豚肉も記録的

 
 

USDA公表・USMEF編さんの食肉輸出統計によると、8月の米国産牛肉類(バラエティーミート含む)の輸出額が初めて10億ドルの大台を突破し、過去最高を記録した。豚肉(同)の輸出も2020年の記録を超えるペースを保っている。

USMEFのダン・ハルストロム会長兼CEOは、8月の輸出実績について「国内外でCOVIDに関連した障壁がある中で、この結果を達成したことは驚異的だ。輸送や労働力確保の困難さやフードサービスへの規制などの経済的な逆風により、顧客のビジネスは依然として不確実な環境に直面しているが、それでも、米国産食肉の一貫した品質が支持されている。牛肉輸出額が10億ドルを突破したことは、大きなマイルストーンであり、広範囲の市場で総力を挙げなければ成しえないことだ。また米国産豚肉の輸出も良好だ。わずか2、3年前までは、年間輸出額が60億ドルに達すれば偉業と言えたが、今年は第3四半期でそれを上回る見通しだ」。

◎牛肉は中国からの需要増続く、日本向けは今年最多

8月の牛肉輸出量は13万2577トン(前年同月比21%増)、輸出額は10億4000万ドル(同55%増)。1-8月累計は95万5407トン(同18%増)、66億2000万ドル(同34%増)。過去最高を記録した2018年と比べても、輸出量は6%増、輸出金額は20%増で推移している。

8月の牛肉輸出額は、1頭当たり換算で468.75ドル(同55%高)と過去最高を記録した。8月の牛肉生産量に占める輸出比率は16.4%、正肉単体では14.2%。いずれも前年同月より2ポイント以上上昇した。1-8月の輸出比率は15%、正肉単体で12.8%。

主要輸出先別にみると、中国向けが順調に増加している。8月の中国向け輸出量は初めて2万トンを超え、輸出金額は1億8220万ドルに達した。輸出量・輸出金額ともに前年の5倍以上で、過去最高を更新した。1-8月累計は11万9685トン、9億5520万ドルで、いずれも前年の8倍以上。中国の輸入牛肉における米国産牛肉のシェアは5.6%で、前年の1%未満から大幅に拡大している。

日本向けは、今年最多の3万1573トン(同21%増)。輸出金額は2億3360万ドル(同79%増)と急増し、韓国を上回る最大の輸出先国となった。1―8月累計は21万6409トン(同3%増)、15億1000万ドル(同14%増)。

日本向けは、小売需要の強さとともに、輸送の遅延を最小限に抑えるためにチルドビーフが拡大(1-8月累計13%増)しており、日本のチルドビーフ輸入量に占める米国産のシェアは52.5%に達している。(昨年は47.6%)。

韓国向けは、2万4294トン(同11%減)、2億1690万ドル(同18%)。金額ベースでは2021年5月に次いで過去2番目に多い。1―8月累計は18万9963トン(同13%増)、15億1000万ドル(同28%増)。韓国でも米国産チルドビーフの輸入量が記録的な伸び(1-8月累計で26%増)を示しており、輸入チルドビーフおける米国産のシェアは66.3%に上昇している。

メキシコ向けも引き続き力強い回復を続けている。輸出量は1万6908トン(同37%増)、輸出金額は2倍以上の1億4800万ドル(108%増)。1-8月累計は13万2097トン(同17%増)、6億7,910万ドル(同38%増)。メキシコは牛バラエティーミートの最大の輸出先であり、1-8月累計で6万2844(同11%増)、1億6490万ドル(同18%増)に達している。

台湾向けは6460トン(同13%減)、7,080万ドル(同11%増)。1-8月累計は4万1636トン(同2%減)、4億1210万ドル(同13%増)。

◎豚肉はメキシコ向けが過去最高に、日本向けも9%増

8月の豚肉輸出量は22万5822トン(同4%増)、輸出金額は6億3390万ドル(同20%増)。メキシコ向けが過去最高を記録したことに加え、他の多くの市場で高い成長を記録し、中国向けの鈍化を相殺した。1-8月累計は1.5%増加し、200万トンを超えた。輸出金額は56億2000万ドル(同10%増)。輸出金額の1頭当たり換算は59.74ドル(同26%増)。輸出比率は28.3%、正肉単体では24.3%。

メキシコ向けは8万779トン(同47%増)で、2016年12月の過去最高をわずかながら上回った。輸出金額は1億6240万ドル(109%増)。1-8月累計は54万3550トン(同25%増)、11億ドル(同56%増)。

国内生産が回復している中国向けは、正肉の輸出が減少しているものの、豚バラエティーミートに対する需要は依然として強く、枝肉価値を最大化する上で重要な役割を果たしている。中国と香港向けの合計は23万1283トン(同23%増)、5億5800万ドル(同29%増)。

日本向けは3万2837トン(同9%増)、1億4,370万ドル(同16%増)。1-8月累計は27万1880トン(同7%増)、11億5,000万ドル(8%増)。このうち、チルドは14万900トン(同6%増)。

韓国向けは9872トン(同10%増)、3640万ドル(同40%増)。ここ数カ月の減少基調から増加に転じた。1-8月累計は11万9679トン(同6%増)、3億8810万ドル(同20%増)。特にチルドが増加しており、1-8月累計で6635トン(同195%増)と倍増している。

 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

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