経済の急速な再開と拡大にともなって、食肉市場全体が強い需要に沸いている。オクラホマ州立大学のダレル・ピール氏によると、特定の食肉製品の卸売価格が記録的な高値をつけ、1年前のパンデミックによる混乱で記録した水準を超えるケースも数多いという。
昨年とは違って、供給不足の問題はない。今年は牛・豚・鶏肉すべての累計生産量は、昨年だけでなく2019年と比べても高い水準にある。ブロイラーのムネ肉の価格は、クイックサービスレストランによるチキンサンド向けの争奪戦でつり上がり、5月に過去最高水準に達した。チキンレッグ、レッグクオーターの価格は、年始以降、急激に上昇している。
ポークのカットアウト価格は、今年に入って上昇し続けており、昨年のパンデミックで起きた急騰の水準を超え、2014年以来の最高値をつけている。5月最終週の平均価格は100ポンド当たり130.22ドル、前年同週比72.2%高。ビーフのカットアウト価格も年初から上昇基調で推移してきた。
ミドルミート(ロイン系)がカットアウト価格の上昇をけん引しており、テンダーロインはポンド当たり17ドル、リブアイは13ドルを超えて過去最高を更新している。テンダーロインは主にレストラン向けの品目だが、リブアイはレストランやスーパー、さらに輸出でも人気が高い。
ストリップロインは、今年は特にスーパーでの人気が高く、価格も急激に上がっているが、昨年のパンデミックによる高値を超えるまでには至っていない。ブリスケットの価格は1月以降劇的に上昇しており、5月の平均価格は7ドルを超えた。これは、バーベキューが再開されつつあるもう一つの指標だとピール氏は指摘する。
チャックやラウンドなどのエンドミートの価格も、ミドルミートほどではないものの、上昇している。輸出需要とあわせて、スーパーで値ごろなカットやひき材に使用されることで需要
が高まっている。
トリミングの価格も高値が続いている。50CLが4月中旬をピークに値下がりしているが、これは重量の重い肥育牛のと畜が増えて供給量が比較的多いことが要因のようだ。5月最終週の50CLの平均価格は94.42ドル、前年同週比11.6%高。赤身率の高い90CLの平均価格は265.84ドル、同10.4%安だった。
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