歴史的に見て、肥育豚価格は生体牛価格より安く、価格差もかなり大きい。しかし、今年は肥育豚価格が急上昇している一方で、生体牛価格の値上がりは抑え気味であり、「肥育豚価格が生体牛価格を上回る可能性もある」との指摘が出始めた。
豚枝肉価格を全国の加重平均ベースでみると、年初は100ポンド当たり61.85ドルだったが、2週間前に102.22ドルと100ドルを突破。4カ月余りで40.37ドル、65.3%も上昇した。豚枝肉価格の高騰で、ポークのカットアウト価格も右肩上がりで推移している。この急上昇は、肉豚の供給ひっ迫を反映したものだ。
主要5州の生体牛価格(去勢牛)は、年初には111.28ドルだったが、4月中旬までに10.76ドル、9.7%上昇の122.03ドルとなった。今年これまでの最高値であり、5月第3週時点では119.73ドル、ピーク時に比べて2.30ドル安となっている。
牛の週間と畜頭数は平均65万頭。1月第1週と2月の寒波の時期を除くと、パンデミック以降の週間と畜頭数としては最高に近い。処理施設ではCOVID-19に関する業務変更でと畜頭数が制限されている。これも一因となって、チョイスのカットアウト価格は年初に比べて84.29ドル、41.2%上昇しているという。
5月上旬の先物価格を見ると、6月限の生体豚(リーンホッグ)の取引価格は114ドル近辺で、6月限の生体牛は115ドル近辺だったとLMIC(家畜マーケティング情報センター)のマクロック氏は指摘する。(5月20日の終値は6月限生体豚112.25ドル、同生体牛116.60ドル)。
3週間前の主要5州の去勢牛価格と、肥育豚価格の価格差はわずか16.67ドルだった。これは2011年8月以降で最も狭い。もし肥育豚価格が生体牛価格を上回ることがあれば、約20年ぶりのことになる。
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