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TRADER'S Be & Po

vol.376 Mar.26.2021
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
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市況ニュース ビーフカットアウト価格、記録的な上昇続く
肥育豚の供給タイトで豚価上昇、受注対応で前倒しも
トピック ASFウイルスワクチン候補、細胞株内で製造可能に
業界ニュース パッカーは肥育牛のと畜頭数増加が必須に
フードサービス 3月の食肉輸出、牛肉・豚肉とも過去最高に
ポーク関連ニュース 豚肉輸出好調、中国向けの減少を他市場がカバー
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2021年3月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース
 

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市況ニュース

ビーフカットアウト価格、記録的な上昇続く

 
 

小売と外食、さらに輸出需要の強さから、ビーフのカットアウト価格は記録的な上昇を続けている。週間カットアウト価格(カット、ひき材、トリム)は、4月末までの6週間で100ポンド当たり53ドル上昇した。

パンデミックを発端とする昨春の高騰を除き、この時期の上昇としては過去にない上昇幅だ。5月第1週も上昇が続き、チョイスのカットアウト価格は前半4日間で前週比9.87ドル高、セレクトは6.31ドル高となった。

4月最終週のカットアウト平均価格は281.97ドル、同8.02ドル高。3月第3週は228.77ドルだった。すべてのカットが上昇しているが、特にミドルミート(ロイン系)や輸出需要の強い品目の上昇が目立つ。

5月3日に、プライマルのロインは3月中旬比49%高の451ドル、リブの価格も39%高を付けた。こうしたミドルミートの高値が、カットアウト価格全体の上昇のおよそ3分の2を占めている。小売業者がメモリアルデー(5月最終月曜日)の連休に向けて意欲的に事前予約したため、レストランの営業が再開される中で、スポット市場への供給は依然として限られている。

アナリストは「ステーキハウスはリブアイやフィレをテンダーライズドやラウンドに置き換えることは難しい。昨年5月に外食需要が崩壊した時には、スーパーはテンダーロインをポンド当たり7.99ドルで販売したが、今やテンダーロインの卸売価格は16ドルと史上最高値をつけている」という。

牛肉価格の急騰は、コロナ対策の給付金支給などで消費者の資金が増えているためだとの指摘もある。ただUSDAの小売販促指標をみると、それは微妙なところだ。4月上旬以降に販促指数が上昇しているのは、昨年より価格の安い牛ひき肉だからだ。

現在のカットアウト価格の高値は、6月から7月にかけての小売の販促に影響を与えるだろう。

 

※2021年5月10日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

肥育豚の供給タイトで豚価上昇、受注対応で前倒しも

 
 

現金取引市場の肉豚供給は依然としてタイトで、豚価上昇の最因となっている。全国の相対取引における枝肉平均価格(LM_HG200)は、5月7日時点で100ポンド当たり113.87ドル。前週比2%高、前月比13.5%高となっている。

夏季に向けて肉豚供給がタイトになるのは珍しいことではなく、過去数十年間に、ほぼ毎年起きている。ただ昨年は例外で、COVID感染に伴う工場閉鎖により、肥育豚の出荷が滞留し、工場の稼働が再開した6・7月に出荷(と畜頭数)が増加した。

この数週間で出荷された肥育豚頭数は、USDAの豚飼養動向調査に基づく予想よりも若干多かったようだ。先週のと畜頭数は2400万頭、前週比約5000頭減。過去4週間の平均と畜頭数は、2019年の同期間と比較して3.8%多い。

3月1日時点の飼養調査を見ると、120〜179ポンドの飼養頭数は2019年より2%少なかったが、180ポンド以上を合算すると2815万1000頭となり、2019年と比べて1.4%多い。3月第1週以降の合計と畜頭数は2491万頭(前年比2.5%増)。

供給が若干多いにしろ、大きくは外れていない。豚肉需要が強く、小売や外食の注文に対応するため、パッカーが一部供給を前倒しで処理している可能性もある。パッカーはマージンが低下している可能性もあるが、短期的には顧客満足度の維持を優先して対処しているのかも知れない。

これを裏付ける理由の一つは、4月の枝肉重量が前月比2ポンド(0.9%)減り、2019年同期比では1.5ポンド減少していることだ。もう一つの注視すべき問題は、地域別の肥育豚価格だ。

肉豚供給は、特に中西部でタイトだ。全国平均の枝肉価格とアイオワ・ミネソタ州の平均価格の価格差が大幅に開いている。週5日移動平均を算出すると、5月7日のアイオワ・ミネソタ平均価格(相対取引・枝肉ベース)は100ポンド当たり121.3ドルで、全国平均価格より4.75ドル高い。

東部コーンベルト地帯の価格は公表されていないが、かなり低いと見られる。これは、現金価格をベースに取引している関係者(バイヤー等)にとっては大きな問題ではないかも知れないが、生産者、特に全国価格をベースにフォーミュラ計算している生産者にとっては重要だ。地域別価格と全国価格の価格差を注視することが重要になる。

 

※2021年5月10日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  米国の週当たり豚と畜頭数の推移
 
トピック

ASFウイルスワクチン候補、細胞株内で製造可能に

 
 

米国農務省・農業調査局(USDA・ARS)は、ASF(アフリカ豚熱)のウイルスワクチン候補が細胞株内での増殖に適応したと発表した。これはワクチンの製造工程において、生体豚とその細胞に依存する必要がなくなることを意味する。

ARS科学者のマヌエル・ボルカ博士は、「これでワクチンの大規模製造への扉が開く。ワクチンはウイルス根絶の可能性へ向けた貴重なツールだ」と話す。ASFは毒性が強く、豚や野生いのししに高い致死率をもたらすことで知られ、ヨーロッパ東部からアジアに至る広範囲な国々で発生している。

豚から人へは感染しないため、人間には脅威ではないが、地域の豚肉産業や世界の貿易に著しい経済損失を与える。米国では発生していないが、もし全国的に発生すれば、2年間で最低140億ドル、10年で500億ドルの損害・費用が発生すると推定されている。

現在、ウイルスの拡大防止に有効な市販ワクチンはない。今回の発見は、ASFワクチンの製造における主な課題の1つを克服するものだ。新たに開発されたワクチンは、連続的に培養できる細胞株(豚からそのつど採取する必要がなく、連続して培養できる不活性細胞)内で増殖し、生体豚の細胞から製造された元のワクチンと同様の特性を持つ。

グラドゥ博士は「従来ワクチン候補の製造には、生体豚から採取した細胞が使用されていたため、大規模製造への大きな制約となっていた。しかし今回の発見により、ワクチンの特性を維持したまま、実験室で培養した細胞内でワクチンを増殖することができる。生体豚からの新鮮な細胞の採取に依存する必要がなくなった」という。

連続的に培養できる細胞株によるワクチン候補は、市販の豚の品種を用いて実験され、安全かつウイルスから豚を保護すると判断された。悪影響は観察されなかった。この研究は、米国国土安全保障省と米国農務省による省庁間協力に支援されている。

 

2021年5月11日 Foodmarket.com

 
業界ニュース

パッカーは肥育牛のと畜頭数増加が必須に

 
 

パッカーが小売業者からの事前受注に応えるためには、5月後半から6月にかけて肥育牛(去勢牛・未経産牛)の週間と畜頭数を増加させる必要があるだろう。週間と畜頭数は4月第4週に52万2713頭まで増加した後、翌週(26〜5月1日)には推定50万9000頭に落ち込んだ。土曜日のと畜頭数が6万頭から4万4000頭に減少したためだ。

これは、土曜日のと畜頭数を増やすための工場(特に脱骨・整形ライン)の従業員の確保難が続いていることに加え、枝肉保管庫の清掃スケジュールが組み込まれているためだが、アナリストは「肥育牛の週間と畜頭数を2019年と同程度にする必要がある」という。

2019年5月の週間と畜頭数は、週ごとに53万6000頭・53万1000頭・52万頭・47万1000頭(メモリアルデーの祝祭日週)。6月は53万2000頭・53万9000頭・53万7000頭・53万9000頭。7月は46万7000頭(独立記念日週)・53万7000頭・52万5000頭・52万6000頭・50万5000頭。

去勢牛・未経産牛のと畜頭数の増加は、高騰しているビーフカットアウト価格の値下げ圧力になるだろう。アナリストは「現在のカットアウトの上昇は薄氷を踏むような状態であり、メモリアルデーの手当が一巡すれば急激な下落が進む可能性がある」と指摘する。

小売価格の上昇に対して消費者も反発し始めており、小売業者はマージンが薄くなることで、値上げや販促を減らす方向に踏み切るだろう。コロラド州立大学のステファン・クーンツ氏は、「生体牛と肥育素牛の先物取引市場は、現金取引に比べると楽観ムードで推移してきたが、4月を通してかなり弱まった。原価率(生体コスト)は過去数年間で最も高く、今後2、3カ月間の値下がりが現実味を帯びてきている」としている。

 

※2021年5月10日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
輸出動向

3月の食肉輸出、牛肉・豚肉とも過去最高に

 
 

3月の米国産食肉の輸出は、牛肉・豚肉ともに3月としては過去最高を記録した。米国食肉輸出連合会(USMEF)によると、牛肉の輸出量(バラエティーミート含む)は12万4808トン(前年同月比8%増)と、BSE発生以降2番目に多く、輸出額は初の8億ドル超えとなる8億190万ドル(同14%増)を記録した。

このうち正肉は9万8986トン(同13%増)・7億1830万ドル(同17%増)で、いずれも過去最高を更新した。輸出額は肥育牛1頭当たりに換算すると348.66ドル(同13%高)。3月の牛肉生産量に占める輸出割合は14.7%、正肉単体では12.5%で、それぞれ昨年の13.9%、11.3%から拡大した。

これにより、第1四半期(1〜3月)の輸出量は前年とほぼ同水準33万3348トン、輸出額は21億2000万ドル。正肉は26万2914トン(同4%増)・19億ドル(同5%増)。1頭当たり換算は335.45ドル(同6%高)、輸出割合は全体で14.1%、正肉単体では11.9%となった。

3月は、韓国向けが2万4104トン(同7%増)・1億7590万ドル(同6%増)と引き続き好調。韓国向けの第1四半期計は6万8996トン(同8%増)・5億390万ドル(同8%増)。チャックロール、ショートプレート、ショルダークロッド、ロインの輸出が増加している。

中国向けは、月間記録となる1万4552トン・1億990万ドルに達した。第1四半期累計は3万1058トン・2億3410万ドル。前年同期の約15倍を超えた。2020年の第4四半期に比べても、約25%増加している。中国市場での米国産シェアは3.4%と、前年同期の1%から拡大した。USMEFは「中国向けは、4月に新たな輸出認定工場が追加され、今後数カ月間はさらなる成長が見込まれる」という。

日本は依然として輸出額トップの市場だが、3月はセーフガード発動による関税率の上昇が影響して伸び悩んだ。第1四半期累計は7万5409トン(同9%減)・4億8520万ドル(同7%減)。

台湾向けは、3月に4905トンと今年最高を記録したが、第1四半期累計は1万2543トン(同20%減)・1億1830万ドル(同13%減)。チルドビーフは昨年より8%増え、台湾のチルドビーフ市場における米国産のシェアは78%へと拡大した。

一方で豚肉は、日本、メキシコ、中央アメリカ、フィリピン向けにけん引され、3月に月間の過去最高を記録。中国向けの第1四半期累計は23万6498トン(同20%減)・5億3230万ドル(同27%減)と減少したものの、依然として最大の輸出先となっている。

 

※2021年5月10日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
ポーク関連ニュース

豚肉輸出好調、中国向けの減少を他市場がカバー

 
 

3月の米国の豚肉(調製品含む)輸出量は24万7664トン(前年同月比1.7%増)と、3月としては過去最高を記録した。中国向けの減少により、前年を下回ると予想されていたが、他のアジア市場向けが成長し、前年を上回った。

これまでの輸出急増は、中国向けがけん引したものだった。中国向けは3月も5万9168トンで最も多いが、前年同月比では1万368トン・15%少ない。この減少は、メキシコ、日本、フィリピン向けなどの増加によって補完された。

フィリピンは、ASF(アフリカ豚熱)による国内供給への影響が著しく、政府は4月に第2四半期中の関税割当分の適用税率を30%から5%に引き下げ、それ以降は10%とすることを発表した。割当量(40万4210トン)を超えてものについては、従来の40%ではなく15%の関税が適用される。3月のフィリピン向けは11,736トン、前年に比べて9741トン増加し、中国向けの減少分を相殺した。

フィリピン向けは4月も1万トンに達する勢いで、メキシコ、中国ならびにいくつかの小規模市場向けの増加にけん引され、4月の輸出量も過去最多を更新すると予測される。しかしそれ以降の輸出量は、豚肉価格の高騰によって抑制される可能性がある。

 

※2021年5月10日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  米国の豚肉(調製品含む)の輸出量の推移
 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ビーフ・ファクト・シート