生体豚と豚肉の価格は、予想より速いペースで上昇している。第一の要因は、肥育豚の飼養頭数が当初の予想より少ないことだ。昨年の春から夏にかけて、生産者はコロナによる混乱のために母豚を減らした。
さらに冬季には、新たなPRRSの発生が子豚の死亡率に影響を及ぼした。飼料コストの上昇や需要の不透明感も、生産者の拡大意欲を減退させた。この結果、3月1日時点の繁殖豚頭数は、2018年以降で最低の水準となっている。
第二の要因は、豚肉の冷凍在庫がかなり低水準で推移していることだ。コロナ感染が今後も続き、フードサービスの需要回復が遅れるとの憶測から、在庫の積み増しが進まなかった。しかし、この2カ月間でワクチン接種が加速したため、需要の見通しは急速に変化した。
外食事業者は、春から夏の間に需要が増加する可能性の高さに気づき、急ぎ処理業者への注文を増やしている。小売業者も、昨年のこの時期のパニック買いによる高い販売実績をベースに販売計画を立てている。
米国の豚肉生産量は、2021年が前年比1.2%減、2022年は横ばいと予想される。これは、今年から来年にかけての国民一人当たりの出回り量が低下することを意味する。2021年の国民一人当たり消費量は前年比2.8%減と予想される。
国内供給量は輸出次第で変化するが、現時点の2021年および2022年の輸出量は、2020年に比べて微増と予想される。こうした状況を踏まえると、2021年および2022年の生体豚価格の予想は上方修正すべきだろう。
現時点での生体豚の予想価格は、2021年が100ポンド当たり91ドル(前年比51%高)、過去5年平均比39%高。2022年は81ドル(同11%安)、過去5年平均比24%高と予想される。
2022〜2023年の見通しは、今秋の穀物価格に大きく左右される。トウモロコシ価格は現在のブッシェル当たり6.5ドルから、来年には5ドル以下にまで下がる見通しだが、トウモロコシ価格が下がらなければ、生体豚および豚肉の高値は予想よりさらに長期化するだろう。
|