印刷する
 

TRADER'S Be & Po

vol.376 Mar.26.2021
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 生体牛・カットアウト価格ともに続伸
供給減と需要好調で豚肉価格上昇、加工用の高値続く
トピック 米国の牛肉業界は世界で最もサステナブル―新論文が示す
輸出動向 2月の輸出、牛肉・豚肉ともに昨年を下回る
リテール 2020年の食肉販売額19%増、2021年は減少見通し
小売業者が投じたCOVID対応コスト、240億ドルに
フードサービス レストラン業界、パンデミックで1割が閉店
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2021年2月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
定期購読(無料)の登録はこちら バックナンバーはこちら
 
市況ニュース

生体牛・カットアウト価格ともに続伸

 
 

生体牛とボックスビーフの価格は、季節的な上昇が続いている。生体牛の現金取引価格は、過去2週間で100ポンド当たり5〜7ドル上昇した。4月第1週の主要5州の去勢牛平均価格は118.09ドル、枝肉は189.36ドル。それぞれ前週比2.49ドル高、4.49ドル高だった。

第2週は、火曜日に4月限の先物取引の終値が122.72ドルに上昇したことを受けて、現金取引はさらに強気となった。水曜日には、肥育業者は生体牛を122ドル強で売り出し、主要5州で7万2126頭が売買され、北部では123ドル台をつけた。

牛肉の需要は、5〜6月に年間で最も高くなる。これを原動力に、肥育牛価格はさらに勢いを増すだろう。アナリストは、「消費者には給付金支給もあり、潤沢な現金と短期資金がある。その総額は全米で3兆ドル、うち1.6兆ドルは現金だ。外食需要も徐々に回復しており、季節的な最需要期にここまで好材料が揃ったことは過去にない」と指摘する。

過去2週間の牛肉生産量の減少も、カットアウト価格を引き上げる要因となった。4月第1週のカットアウト価格の全体平均は241.81ドル(前年同週比2.7%高)。前週比8.85ドル高で、チョイスは同7.44ドル高の238.72ドル、セレクトは9.69ドル高の231.30ドルだった。

同週の総取引量6712ロード(≒コンテナ)のうち、フォーミュラ取引の割合が50%超と過去数週間で群を抜いて高く、その分スポット市場への出回り量は減少した。前週のチョイスのカットアウト価格は、週前半の4日間で17.65ドル上昇し、木曜日には270.50ドルをつけた。セレクトは同16.86ドル高の263.83ドル。

枝肉重量は、依然として昨年の水準を超えて推移している。3月最終週の去勢牛の平均重量は899ポンド(前年同週比8ポンド増)、未経産牛は830ポンド(同5ポンド増)。同週のプライムの格付け割合は11.70%。6週連続で11%を超え、過去最高(昨年5〜6月の6週連続)を更新する勢いで推移している。

 

※2021年4月12日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

供給減と需要好調で豚肉価格上昇、加工用の高値続く

 
 

肥育豚の現金取引価格は、4月に入っても堅調に推移している。飼養頭数の減少による供給低下と、国内および輸出需要の回復が要因だ。4月第1週の生体豚の現金取引価格(加重平均)は100ポンド当たり98.5ドル、前週比3%高。COVID-19で混乱した前年を下回っているが、2019年との比較では26%高となっている。

カットアウト価格は、加工用部位の値上がりで全体を引き上げている。4月9日の終値は113.2ドル、2月上旬に比べて41%・33ドル高。この上昇分のうち13ドルがベリーの値上がりに起因している。ベリープライマル価格は206.17ドル、2カ月前に比べ67%高だ。

年明けから3カ月間は、テーブルミートよりも加工用品目がカットアウト価格をリードすることが珍しくない。祝祭日(イースター向けモモ)需要や、夏場に向けた在庫確保の動きに後押しされる傾向にあるためだ。

今後は、春の行楽シーズンでチルドポークの需要も増加する。すでにロイン、バット、ピクニックの価格も上がり始めている。9日のロインプライマルの価格は97.3ドル、2月上旬比24%高、バットは112.2ドル、同58%高となっている。

生体豚の高値と連動して、カットアウト価格と副産物価格も上昇しており、パッカーはマージンを維持しているため、今後のと畜計画でもフル稼働を維持するだろう。4月10日までの4週間のと畜頭数は1002万8000頭、2019年比で14万1000頭増。同期間の平均重量は横ばいで、生産者が積極的な出荷を続けていることを示している。

今後の課題は、夏場に向けて肥育豚の供給不足が懸念されることだ。また中国向けなどトリムせずに製品を出荷する輸出市場の強さもあり、気温が上がればトリミング不足に陥る可能性がある。12〜2月に生産された子豚へのPRRS(豚繁殖・呼吸障害症候群)の影響も注視が必要だ。

 

※2021年4月12日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  ポークカットアウト価格の推移(日次ベース)
 
トピック

米国の牛肉業界は世界で最もサステナブル―新論文が示す

 
 

コロラド州立大学などの研究者がまとめた論文(『牛肉生産の気候への影響の低減:管理システムとグローバル地域全体のライフサイクルアセスメント』)で、「米国の牛肉生産が世界で最もサステナブルな生産システムである」ことが証明された。

この論文の要旨は、温室効果ガスの排出削減のために、牛肉の消費量の削減を主張しているものの、米国の肉牛および牛肉の生産モデルの有益性を指摘。米国の肉牛産業の温室効果ガス排出量は米国全体のわずか2%、世界の排出量全体の0.5%にとどまっていることを強調している。

この研究では、世界中の家畜ライフサイクルアセスメント(LCA)を調査し、結論として、世界の家畜生産方法には大幅な改善の余地があることを指摘する一方で、米国の肉牛業界がサステナブルな牛肉生産のリーダーになるべく、これまでに行ってきた取組みとその成果も認めている。

米国の肉牛生産者が1960年代から2018年までの間に、牛肉の生産量を66%増やすと同時に、二酸化炭素排出量を40%削減したことは周知の事実だが、この研究論文の発表を受けて、NCBA(全米肉牛生産者・牛肉協会)のジェリー・ボーン会長は、この研究論文は米国がサステナブルな牛肉生産のリーダーであることを裏付けているが、牛肉消費量の削減を提唱する要旨には失望したとしている。

 

※2021年4月7日 Foodmarket.com

 
輸出動向

2月の輸出、牛肉・豚肉ともに昨年を下回る

 
 

USDA公表・USMEF編さんの食肉輸出統計によると、2月の米国産牛肉(バラエティーミート含む)の輸出量は10万3493トン(前年同月比8%減)、輸出額は6億6950万ドル(同2%減)。豚肉は23万9240トン(同12%減)、6億2940万ドル(同13%減)。一部港湾での船積み遅れや海上輸送コンテナの確保問題などの影響もあり、いずれも前年同月を下回った。

【牛肉】中国、韓国向け好調、日本はSGの影響

2月の牛肉輸出額は、と畜牛1当たりに換算すると、345.37ドル(前年比1%増)に相当。牛肉生産量に占める輸出割合は14.4%、正肉単体では12.3%だった。

中国向けは8644トン、6600万ドル。前年同月比ではそれぞれ16.2倍、17.2倍と急拡大し、4番目に大きな輸出先となった。1〜2月の輸出量は1万6506トンに達し、早くも2019年の年間数量を上回った。

韓国向けは、前年同月とほぼ同じ2万3537トン。金額は1億6931万ドル(同1%増)で、日本を抜いて第1位となった。日本向けは2万4879トン(同8.1%減)、1億6508万ドル(同3.7%減)。日米貿易協定に定めたセーフガードの発動懸念が、2月の出荷に影響を与えた。日本向けの1〜2月累計は4万6897トン(同10%減)。

その他の1〜2月輸出では、中米向けが3107トン(同8%増)と増加。昨年好調だった台湾向けは7638トン(同24%減)と減少しているが、船積み遅れなどの影響によるもので需要は衰えていない。実際に台湾向けのチルドビーフは4250トン(同3%増)と増加している。メキシコ向けは3万3734トン(同19%減)。

  米国の牛肉(バラエティミート含む)の月別輸出量推移
 

【豚肉】フィリピンや中米向けが増加、中国、日本は減少

2月の豚肉輸出額は、と畜豚1当たりに換算すると60.34ドル(同11%減)に相当。豚肉生産量に占める輸出割合は29.4%、正肉単体では26.9%。

中国/香港向けは7万1011トン(同21%減)。国内生産の再建に取り組む中国向けは、予想どおり低下傾向に転じているが、依然として最大の輸出先である。中国では、新たなASF発生による国内生産への懸念が再燃している。

同様にASFの影響を大きく受けているフィリピン向けは、1〜2月で1万1532トン(同114%増)と倍増。今後1年間は豚肉の輸入関税率を大幅に引き下げる方針であり、さらなる成長が見込まれる。

日本向けは3万1750トン(同10%減)、1〜2月累計は6万4082トン(同4%減)。日米貿易協定に基づき、4月1日には関税率がさらに低下するため、今後は伸びが期待される。メキシコ向けは1〜2月で12万838トン(同9%減)と減少しているが、中米向けは同2万1658トン(同44%増)と堅調な拡大を続けている。

  米国の豚肉(バラエティミート含む)の月別輸出量推移
 
リテール

2020年の食肉販売額19%増、2021年は減少見通し

 
 

Numerator社の調査によると、2020年に小売店における食肉の販売額は前年比19%増加し、販売量は11%増加した。その反動で、2021年はレストランの再開に伴って、必然的に減少する見通しだ。

パンデミック関連の規制緩和にともなう外食の増加で、スーパーや他の食品小売店がどれほど影響を受けるか測定するために、同社が新たに作成した指標(Grocery Vulnerability Index)によると、食肉は、レストランが再開した際に売上が減少する可能性が他の食料品の平均と比べて50%高いという。

一方で、同社が消費者の購買習慣を指数化した調査(Buyers Habit Index)によると、消費者10人のうち7人は、レストランの再開後も自炊を続けるとされ、また牛肉および冷凍食肉は他の食品カテゴリー平均に比べて、パンデミック中にリピート購入が習慣化された割合が高いことから、COVID-19後においても消費が定着する可能性があるという。

 

※2021年4月12日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

小売業者が投じたCOVID対応コスト、240億ドルに

 
 

FMI(全米食品マーケティング協会)の調査「パンデミックのレシート:食料品店がCOVID-19中に行った投資と基幹産業がもたらした経済学」によると、パンデミック1年目に食料品店が事業継続と顧客・従業員の保護のために投じた費用(安全性・労働者・テクノロジー・コンプライアンス関連)は240億ドルに達し、この反動で2021年の食品小売業は売上と利益が低下する見込みだという。

このレポートは、全米50州ならびにコロンビア特別区の食品小売業者のうち約40%に当たる、会員企業52社を対象とした調査結果を基に作成された。回答企業の営業店舗数は合計で約1万4000店、雇用者数は約200万人に及ぶ。

約240億ドルのうち、半分は小売店の全従業員に対する給与や、インセンティブの増加によるものだ。FIMは食品小売業界が営業の継続とアメリカ人への食品提供の継続のため、直面する消費者行動や習慣の変化にどのように対応したのか測定し、その営業コストを店舗単位で定量化したという。

 

※2021年4月5日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
フードサービス

レストラン業界、パンデミックで1割が閉店

 
 

フードサービス関連の調査会社Datassential社によると、昨年3月のCOVID-19のパンデミック開始以降、全米のレストランの10%以上が廃業したという。同社独自のデータベース(Firefly)によると、コロナ禍の開始当初に営業していた77万8807店舗のレストランのうち、10.2%に当たる7万9438店舗が閉店した。

業態別では、最も打撃を受けたのがフードトラックで、22.5%が事業から撤退。最も閉店割合が低いのはQSR(クイックサービスレストラン)の9.8%で、特に500店舗以上の大手チェーンは、単独店や小規模チェーンに比べて健闘している。

一方、Technomic社の「チェーンレストラン上位500社(2021)」レポートによると、パンデミック関連の閉店と店内営業規制の結果、2020年の上位500チェーン全体の売上高は8%減となった。

ドライブスルーや宅配中心のチェーンが独り勝ち状態となり、マクドナルド、チックフィレイ、ドミノピザなどが軒並み売上を伸ばした半面、フルサービスのレストランの多くはランキングを下げ、上位20社には1社も入らなかった。

 

※2021年4月12日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ビーフ・ファクト・シート