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TRADER'S Be & Po

vol.375 Apr.12.2021
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 肥育牛価格、ついに115ドルを突破
豚肉供給の縮小確実に、価格は上昇に転じる
業界ニュース 拡大する牛と畜能力、工場新設や拡張が相次ぐ
ポーク関連ニュース 小売好調、外食回復で第2四半期はインフレも
リテール 昨年の牛肉小売価格、前年比10%高
消費動向 食肉購入が記録的に増加、Meat IQ高めるチャンス
USMEFインフォメーション アメリカンポークCAMP&BBQキャンペーン
アメリカンビーフ焼肉提案ウェビナーを生放送配信
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ポーク(2021年1月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

肥育牛価格、ついに115ドルを突破

 
 

生体牛の現金取引価格は、8週間連続の114ドル台(100ポンド当たり)をついに抜け出し、115ドル台に乗せた。3月第4週の水曜日(24日)は全国的に活発な取引が行われ、概ね115ドル台で5万7271頭が販売された。北部では116ドルに迫り、枝肉価格はさらに勢いをつけ、平均185ドルに達した。

3月第3週の主要5州の去勢牛平均価格は114.23ドル、枝肉価格は181.33ドル。それぞれ前週比0.61ドル高、2.10ドル高だった。4月限の生体牛先物は、3月25日の終値が119.55ドル。一部の取引関係者はベーシス(現金と先物価格間の価格差)の好転や4月限取引の受渡し開始を待っている。

同週のカットアウト価格は、前週比0.87ドル安の228.77ドル。しかし、日次ベースのカットアウトは週前半の4日間で大きく上昇した。木曜日のチョイスのカットアウト価格は同6.46ドル高の236.45ドル、セレクトは6.30ドル高の226.25ドル。また副産物の週間平均価格も10.16ドル(前年同週比22.0%高)と2018年3月最終週以来、およそ3年ぶりに10ドルを突破した。

さらに興味深いのは、ポークのカットアウト価格が上昇していることだ。同週の平均価格は102.79ドル。これは前年同週比で34.7%高く、COVID-19の影響で卸売価格が急騰した昨年5月末以降で最も高い水準だ。アナリストは、豚肉価格の上昇は消費者の牛肉志向をさらに強めるだろうとみている。

 

※2021年3月29日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

豚肉供給の縮小確実に、価格は上昇に転じる

 
 

USDAの最新の豚飼養動向調査では、先行きの豚肉供給がタイトになる見通しとなり、価格は上昇基調に転じた。アナリストの事前予想で「微増」と見られていた3月1日時点の肥育豚の飼養頭数は、前年同月比で約140万頭も減少し、2019年とほぼ同水準となった。

さらに繁殖豚も同16万頭減少したため、3〜5月期の子豚生産頭数の減少が必至となり、今年後半の豚肉供給の先細りが確実視される。特に第4四半期の供給不足が懸念される。前年はCOVIDによる混乱があったため、2019年との比較に焦点を当てて、今後の供給予想のポイントを整理してみる。

春・夏季の供給:3月1日時点の総飼養頭数は7477万3000頭(前年比1.8%減)。2019年比では微増しているが、アナリストの予想範囲の下限を下回っており、今後の強気ムードが広がった。肥育豚の頭数は推定6860万頭(同1.8%減)、2019年比0.4%増。180ポンド超の肥育豚は1344万6000頭(同2.5%減)だが、2019年比では5.3%増。3月の週間当たりの平均と畜頭数が2019年比1.9%増であることを考慮すると、アナリストはこの区分の調査結果は実際とはかけはなれているのではないかと推測する。

120〜179ポンド(出荷可能になるのは4月中旬から5月後半)は2019年比2%減。2019年の同期間の週間と畜頭数は235万頭。従って、今年の週間と畜頭数は230万頭余りにとどまると予想される。これは2017年以来の低い水準だが、国内および輸出需要は2017年より明らかに良好で、現在の価格上昇が需給均衡を見越したものと考えられる。

総合的に見れば、5月中・下旬から8月末までの期間の供給は、2019年の同時期とほぼ同水準と予想するのが妥当だろう。2019年の5月中・下旬から7月下旬までの週間と畜頭数は平均238万7000頭。7月下旬から8月末までの平均は240万頭だった。

秋・冬季の供給:繁殖豚の飼養頭数は621万5000頭(同2.5%減)。前回12月調査(12月1日)に比べて1%減。これは2018年3〜5月期以降で最も低い水準である。繁殖豚の縮小によって、3~5月期の子豚生産頭数は抑制される。調査に対する生産者の回答によると、3〜5月期の分娩頭数の予想は2020年比2.5%減、2019年比2%減。12〜2月期の一腹当たりの産子数は依然2019年より2.2%高かったため、3〜5月期も2019年と同水準になると見込まれる。

2019年9〜11月期の週間と畜頭数は平均268万頭。2020年は264万頭。今年のと畜頭数も、これらの水準近辺で推移を続けるだろう。繁殖豚の減少や飼料コストの上昇から、2年前と比べても供給は拡大しない。人口増加、国内需要の回復、そして輸出の増加を勘案すれば、供給低下によって秋冬季の価格は上昇する。

豚肉の冷凍在庫:依然として昨年より大幅に少なく、最近の価格上昇に拍車をかけている。2月末時点の冷凍在庫は4億9150万ポンド(同24.3%減)、過去5年平均比20%減。モモは9250万ポンド(同19%減)、過去5年平均比23.7%減。

 

※2021年3月29日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  米国の繁殖豚の飼養頭数の推移(左)/豚肉の冷凍在庫量の推移(右)
 
輸出動向

拡大する牛と畜能力、工場新設や拡張が相次ぐ

 
 

米国の牛肉業界のと畜能力は、1990年代以降で初の拡大期を迎えている。本紙の推定では、1日当たりのと畜能力のピークは1995〜2000年の14万5000頭だった。その後、緩やかながら右肩下がりで推移し、現在は13万1000頭だが、公表されている複数の計画では、新設や拡張によって3800頭が増加する見込みだ。

ネブラスカ州の新興企業「Sustainable Beef LLC」は、同州ノース・プラットに2億ドルを投じて30万平方フィート規模の牛肉処理工場を建設する。同工場の1日当たりの能力は1500頭。同社は先々週、ノース・プラット周辺の牛生産者、行政および学校関係者などに対して計画説明会を開催した。

地元紙によると、デイビッド・ブリッグスCEOは、工場では年間40万頭を処理し、875人を雇用する意向を示した。資金の75%程度を調達済みで、今年秋に着工し、18カ月間の工期を見込んでいるという。

このほか、ビーフパッカー4位のナショナルビーフパッキング社は、アイオワ州タマのアイオワプレミアムビーフ工場に1億ドル超を投じて、処理能力を倍増する計画を発表。この拡張で工場は2シフトとなり、処理能力は1300頭から2500頭に増加する。プロジェクトの完了は2022年の終わりになる予定。

ミズーリ州のMissouri Prime Beef Packersは、同州プレザント・ホープで1日500頭の工場を今年3月1日から操業。またアイダホ州ボイジのAgri Beef Co.は、同州ジェロームに500頭を処理する新工場を建設する計画だ。

 

※2021年3月29日CATTLE BUYERS WEEKLY

 
ポーク関連ニュース

小売好調、外食回復で第2四半期はインフレも

 
 

春夏季の家畜先物取引は、大幅なプレミアムを維持している。飼料穀物価格の高騰はインフレを引き起こしやすい。生産者コストが増加し、やがては値上がりという形で消費者にまで波及する。

バイデン大統領は、米国の消費者に数千億ドルを支給することを含む1.9兆ドルの経済対策に署名した。これはパンデミックの影響を受けた消費者集団を支援する一方、インフレ見込みも高めている。ワクチン接種は6月上旬までに米国人口の半数が終える見通しで、市場関係者は季節的な需要改善とともにCOVID-19の影響は弱まると予想している。

こうした背景を踏まえて、エンドユーザーや処理業者は需要回復に備えている。ベリーの価格は、まさにこうした理由で急上昇した(グラフを参照)。ポークのカットアウト価格は、2月上旬以降で18ドル高、22%高となっている。

1月の小売およびフードサービスにおける合計売上額は1187億ドルで、前月比4.5%増とパンデミック以降で最高を記録した。需要の回復に伴い、春夏季にはインフレが起こる可能性がある。1月の食料品店の売上は640億4500万ドル(前年比11.4%増)、前月比では2.5%増。パンデミックによって消費者の自宅調理が増え、小売の売上は好調を持続している。

フードサービスの売上額は、多くの州でCOVID関連規制が緩和された8・9月に改善。12月には再び感染者数が増加し、新たな営業停止が開始されたために落ち込んだが、1月には回復した。今年第2四半期には、昨年8・9月の水準を大幅に超えると予想される。

需要に関する見通しは強気に転じたが、消費者の行動は、市場関係者の予測に比べてかなり慎重だ。複数のアンケート結果では、回答者の40%が「家族や友人と再会するならレストランより自宅が良い」と考え、ベビーブーマーの半数は「家にこもっていた方が安全だ」と考えている。

このため、少なくとも夏の間中は小売需要が強いだろう。相場の変動要因は、上げ要因としては穀物価格の急騰によって予測以上に供給が制限され、需給ひっ迫する可能性があること。下げ要因は、処理業者や小売業者がパイプラインの補充に際して需要を前倒ししているため、需要が回復しなければ急落もあり得るということだ。市場環境は依然として不安定、かつリスクが大きい状況が続いている。

 

※2021年3月15日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  米国のフードサービスとリテールの売上高の推移(左)/ポークベリーの価格推移(右)
 
リテール

昨年の牛肉小売価格、前年比10%高

 
 

昨年はCOVID-19パンデミックの影響で、牛肉需要が食料品店に集中し、結果的に牛肉の小売価格は2019年より10%近くも上昇して過去最高を記録した。USDA(米国農務省)発表の生鮮牛肉の小売価格を基にしたUrner Barry社の分析によると、2020年の平均小売価格はポンド当たり6.38ドルだった。

これは2019年より9.7%高く、年間の上げ幅としては過去2番目に高い。上げ幅が最も高かったのは2014年(前年比13.4%高)。干ばつが引き起こした急騰だったが、2020年は年間を通じていずれの月も2019年を上回り、特に6月は7.38ドルと過去最高を記録した。

牛肉の小売価格は、昨年6月をピークに値下がりしてきたが、依然として前年を上回っている。USDA公表の2月の生鮮牛肉の平均小売価格は6.30ドル(前同月比6.1%高)で1月比1セント高。チョイスは6.41ドル(同6.0%高)。豚肉の平均小売価格は4.15ドル(同7.5%高)、前月比3セント高。鶏肉は1.99ドル(同5.9%高)、前月比4セント安となっている。

 

※2021年3月22日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
消費動向

食肉購入が記録的に増加、Meat IQ高めるチャンス

 
 

ビッグデータの調査分析を行うIRI社の報告によると、現在、米国の消費者は食肉をかつてないほど購入している。パンデミックの間、自宅時間の増加によって食料品店の食肉の売上が急増し、2019年から2020年の間に20%増加した。

全米調査によると、アメリカ人の4人のうち3人が「食肉は健康的でバランスの取れた食事である」と回答(2020年に比べ20%増加)、94%が「食肉から良質なタンパク質が採れる」ことを購入理由に挙げている。

この調査結果について、北米食肉協会のアンナ・ポッツ会長兼CEOは、「アメリカ人は、健康的でバランスの良い食事の一つとして食肉を選ぶことに、これまでになく前向きになっている」と述べている。

全米のほぼ全世帯(98.4%)が2020年に食肉を購入し、43%がパンデミック前より購入を増やしている。第一の理由は、自宅調理が増えたことだ。自宅調理の割合は、2020年4月の89%がピークだったが、12月も84%と高く、パンデミック前の水準から大幅に増えている。特に、以前は外食の割合が多かったミレニアル世代でこの傾向が顕著になった。

2020年に食肉をオンラインで購入した消費者は40%増え、その大半(59%)が2021年も概ね同じ量をオンラインで購入し続けると回答。また、新たな調理方法にも積極的になっており、電気フライヤーの所有者が24%増加するとともに、レシピ検索ではYouTubeの使用が50%増加、デジタルチラシで特売情報を見るも33%増加しており、食肉の購入・消費でデジタル化の活用が進んでいる。

全米の食品流通業の代表団体であるFMI(全米食品マーケティング協会)のリック・スタイン副会長は、「消費者は自宅調理する機会が増え、食肉の調理や下ごしらえに対する自信もついてきた。食品小売業者は、手軽なミールソリューションがカギであること、また栄養価や調理方法など消費者の関心度が高い事項に関してより多くの情報を提供することが、消費者の選択肢を広げるチャンスであると理解した。私たちはこれを“Meat IQ”を高めると表現している」とコメントしている。

 

※2021年3月25日 Foodmarket.Com

 
USMEFインフォメーション

アメリカンポークCAMP&BBQキャンペーン

 
 

米国食肉輸出連合会(USMEF)は、4月30日〜6月30日まで「アメリカンポーク CAMP&BBQ マストバイキャンペーン」を展開します。キャンプやBBQに最適なアメリカンポークを買って、LINEを通じて応募すると、抽選でコールマン社製のアウトドアグッズやアメリカンポークのオリジナルグッズが当たります。

コロナ禍において生まれた多様な「生活の楽しみ方」の一つとして、「密」を避けるレジャーとしてキャンプ需要が大幅に増加しています。キャプ予約サイト「なっぷ」の調べによると、新規会員登録数は2020年11月時点で前年比278.9%にまで増加しています。

このメガトレントと同時に、自然発生した「おうちキャンプ」「ベランピング」「テラスでBBQ」などのマイクロトレンドに対して、USMEFは「新たな需要喚起」と「消費拡大」をサポートするために当キャンペーンを企画し、店頭での購買プッシュと買い回りを促進する「販促ツール」各種を用意しました。

キャンペーンへの応募は、QRコードからLINEにアクセスし、USMEFのLINEアカウントを友だち追加し、購入したアメリカンポークのレシートと商品ラベルを撮影してアップロードすれば完了(何度でも応募可)するもので、購入金額のコースに応じて下記の賞品が当たります。販促ツールを希望される方は、USMEFの公式HPの販促ツール専用ページからお申し込み頂けます。
https://www.americanmeat.jp/trd/publications/tool/online/input.php

  リーフレット/店舗POP/ラベル
  賞品
 
 

アメリカンビーフ焼肉提案ウェビナーを生放送配信

 
 

米国食肉輸出連合会(USMEF)は、4月19日15時〜16時20分まで「コロナ禍でも強い!町焼肉」〜アメリカンビーフが提案する焼肉、ホルモンメニューの裏技〜をテーマとするウェビナーを開催します。

焼肉業界の歴史と最新動向や今後の可能性に加え、アメリカンビーフの具体的な活用策を紹介する80分番組として、Youtube内にて生放送で配信します。参加は無料。ご視聴の申し込みをされた方のみにURLを送信します。

主なプログラムは以下のとおりです。

テーマ①「今話題の焼肉酒場、町焼肉とは」

(フードリンクニュース編集局長・小山裕史氏)

テーマ②「焼肉業界の発展とアメリカンビーフ(仮題)」

(全国焼肉協会専務理事・旦有孝氏)

テーマ③「焼肉向けアメリカンビーフのご紹介」

(USMEFジャパンディレクター・山庄司岳道)

詳しい内容、お申し込みフォームは下記を参照願います。
https://www.foodrink.co.jp/foodrink_seminar/2021/03/yakiniku/

 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ポーク・ファクト・シート