USDAの最新の豚飼養動向調査では、先行きの豚肉供給がタイトになる見通しとなり、価格は上昇基調に転じた。アナリストの事前予想で「微増」と見られていた3月1日時点の肥育豚の飼養頭数は、前年同月比で約140万頭も減少し、2019年とほぼ同水準となった。
さらに繁殖豚も同16万頭減少したため、3〜5月期の子豚生産頭数の減少が必至となり、今年後半の豚肉供給の先細りが確実視される。特に第4四半期の供給不足が懸念される。前年はCOVIDによる混乱があったため、2019年との比較に焦点を当てて、今後の供給予想のポイントを整理してみる。
春・夏季の供給:3月1日時点の総飼養頭数は7477万3000頭(前年比1.8%減)。2019年比では微増しているが、アナリストの予想範囲の下限を下回っており、今後の強気ムードが広がった。肥育豚の頭数は推定6860万頭(同1.8%減)、2019年比0.4%増。180ポンド超の肥育豚は1344万6000頭(同2.5%減)だが、2019年比では5.3%増。3月の週間当たりの平均と畜頭数が2019年比1.9%増であることを考慮すると、アナリストはこの区分の調査結果は実際とはかけはなれているのではないかと推測する。
120〜179ポンド(出荷可能になるのは4月中旬から5月後半)は2019年比2%減。2019年の同期間の週間と畜頭数は235万頭。従って、今年の週間と畜頭数は230万頭余りにとどまると予想される。これは2017年以来の低い水準だが、国内および輸出需要は2017年より明らかに良好で、現在の価格上昇が需給均衡を見越したものと考えられる。
総合的に見れば、5月中・下旬から8月末までの期間の供給は、2019年の同時期とほぼ同水準と予想するのが妥当だろう。2019年の5月中・下旬から7月下旬までの週間と畜頭数は平均238万7000頭。7月下旬から8月末までの平均は240万頭だった。
秋・冬季の供給:繁殖豚の飼養頭数は621万5000頭(同2.5%減)。前回12月調査(12月1日)に比べて1%減。これは2018年3〜5月期以降で最も低い水準である。繁殖豚の縮小によって、3~5月期の子豚生産頭数は抑制される。調査に対する生産者の回答によると、3〜5月期の分娩頭数の予想は2020年比2.5%減、2019年比2%減。12〜2月期の一腹当たりの産子数は依然2019年より2.2%高かったため、3〜5月期も2019年と同水準になると見込まれる。
2019年9〜11月期の週間と畜頭数は平均268万頭。2020年は264万頭。今年のと畜頭数も、これらの水準近辺で推移を続けるだろう。繁殖豚の減少や飼料コストの上昇から、2年前と比べても供給は拡大しない。人口増加、国内需要の回復、そして輸出の増加を勘案すれば、供給低下によって秋冬季の価格は上昇する。
豚肉の冷凍在庫:依然として昨年より大幅に少なく、最近の価格上昇に拍車をかけている。2月末時点の冷凍在庫は4億9150万ポンド(同24.3%減)、過去5年平均比20%減。モモは9250万ポンド(同19%減)、過去5年平均比23.7%減。
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