印刷する
 

TRADER'S Be & Po

vol.372 Feb.15.2021
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース ビーフカットアウトが大幅続伸
生体豚先物、春夏期のプレミアム続く
生産動向 飼料価格の上昇が豚肉の生産拡大を抑止
トピック 出荷待ちの肥育牛頭数、5月まで大量に
供給動向 2021年の一人当たり牛肉消費量は減少の見通し
ポーク関連ニュース 豚肉在庫にタイト感、短期的な価格の下支え要因に
リテール 2020年の牛肉小売価格、前年比9.7%高
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2020年12月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
定期購読(無料)の登録はこちら バックナンバーはこちら
 
市況ニュース

ビーフカットアウトが大幅続伸

 
 

ボックスビーフの価格上昇が続いている。今年の1月は、昨年よりと畜稼働日が2日少なかったこともあり、牛肉生産量が昨年より大幅に減少した一方で、小売店での牛肉の売れ行きが好調なことが要因だ。

カットアウト価格は、過去3週間にわたって急上昇した。1月第1週のカットアウト平均価格は、100ポンド当たり206.76ドル。第2週は3.95ドル高、第3週は5.64ドル高。先週はさらに7〜8ドル上げ、チョイスは前半4日間で9.17ドル急伸した。

チョイスの格付割合が1月第2週の73%から先週には77%まで上昇しており、カットアウト全体に与える影響も大きくなっている。小売業者はチョイスを中心に販売しており、12月のチョイスの平均小売価格は、ポンド当たり6.29ドル(前年同月比3.3%高)。生鮮牛肉全体の平均小売価格も6.23ドル(同4.5%高)と上昇した。

アナリストは「ビーフ全体の需要見通しは依然良好だ。今後も消費者は牛肉を選ぶだろう。低所得層の賃金が上昇している中で、この傾向はより強まる。牛肉の小売価格は昨年6月をピークに下落しており、小売業者のマージンも活発な販促を続けるのに十分な水準を保っているため、食肉部門全体の売上増をけん引するだろう」と予想している。

1月前半3週間の牛肉の生産量は、前年比7.5%減。牛と畜頭数は、第2・第3週に65万頭を超えたものの、同9.8%減。先週は推定65万3000頭だったが、今週から2月末にかけて、週間と畜頭数は急激に減少する見込みだ。主要パッカーの少なくとも3社が、毎年実施している工場のメンテナンスのために一時閉鎖や稼働時間の短縮を行うことから、週当たりのと畜頭数は62万8000〜63万5000頭に減少すると予想される。

 

※2021年2月1日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

生体豚先物、春夏期のプレミアム続く

 
 

年明け直後の豚肉市況見通しは、と畜頭数の増加予想や需要鈍化の可能性など多くの不確定要素があり、不透明感が強かった。しかしこの2週間で、生体豚の先物価格は2月受渡し契約分が約6%、4月契約分は7%上昇。2020年の水準に比べて42%高をつけている。

2020年はCOVIDパンデミックの影響を受けて価格が不安定であったが、現在の先物価格の水準は2019年に比べて12%高い。パンデミックの混乱から需要が回復したことに加えて、価格を押し上げる大きな要因となっているのは穀物価格の上昇である。

先週、中国がトウモロコシ2億3000万ブッシェル相当の購入を予約したことで、穀物の輸出をめぐる情勢が今後の豚肉生産と価格形成に影響を与えることがより鮮明になった。

トウモロコシの生産年度はまだ半分も経過していないが、すでに年度末までに中国へ輸出または輸出予約済のトウモロコシの合計量は、USDA(米国農務省)が予測する今年度の輸出量全体に対して、すでに85%近くに達している。

 

※2021年2月1日 Pork Merchandiser's Profit Maximizer

  生体豚(リーンホッグ)の先物価格の推移
 
生産動向

飼料価格の上昇が豚肉の生産拡大を抑止

 
 

2020年12月の母豚のと畜頭数は、前年同月比11%増となった。と畜の稼働日数(豚の出荷日)が1日多いことが一因だが、この2週間の豚と畜頭数も前年を大きく上回っている。

1月は出荷日が昨年より2日少ないことから、月間のと畜頭数は前年割れになるだろう。12月1日の豚の飼養動向調査から予想される12〜2月期の母豚のと畜頭数は81万6000頭(前年同期比3.7%減)と、前年より2万9000頭少ない。

しかし問題は、母豚の飼養頭数に占める割合が推定で13%に達することだ。これは2011・2012年の12〜2月期の水準と一致しており、穀物価格の上昇による収益性の低下を見込んだ動きだろう。

生産者の収益性は、経営形態や値決め方法が異なることから、全体を把握するのは困難だが、アイオワ州の生産者収益性モデルを用いて試算すると、2020年は一貫経営の生産者で毎月1頭当たり平均2ドルの赤字が算出される。

このモデルを基に、飼料価格をトウモロコシ5.25ドル、大豆ミール425ドルとして試算すると、肉豚の損益分岐点は100ポンド当たり80ドル超となる。現在の生体豚先物相場が平均79ドル、前年比42%高をつけている理由も、ここにあることが伺えるだろう。

 

※2021年2月1日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  米国の週当たり豚と畜頭数の推移
 
トピック

出荷待ちの肥育牛頭数、5月まで大量に

 
 

フィードロットにおけるフロントエンド(肥育日数150日超の牛)の供給は、依然として多い。12月のフィードロットの出荷頭数は185万3000頭(前年同月比1.0%増)と期待外れだった。アナリストの予想平均より0.3%ポイント低く、昨年より出荷日が1日多いことを勘案すれば、実質的には3.5%減となる。2・3月に処理ペースが低下すると、生体牛価格にも大きな影響を与えそうだ。

1月1日時点のフィードロットの牛総飼養頭数は、1196万5000頭(同0.1%増)。しかし肥育日数150日以上の牛は、2月1日時点の推定で223万5000頭(前年27%増)と、前年より44万4000頭多い。3月1日の予想は27%・54万9000頭増、4月1日は9%・22万3000増と予想される。

2・3月も肥育業者が積極的な出荷を維持すれば、5月1日までに前年を下回る見込みだが、大手パッカーがメンテナンスによる工場の一時停止や時間短縮を予定しており、これらの工場の生産減が他工場で補完されるかどうかを注視する必要がある。

一部の大手パッカーは、工場の閉鎖中は他工場で処理する方向で調整していることを表明しているが、アナリストは「労働力不足のため、大手パッカーが営業短縮分を全て相殺することは不可能だろう」と指摘する。

 

※2021年2月1日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
  供給動向

2021年の一人当たり牛肉消費量は減少の見通し

 
 

USDA・ERS(米国農務省経済調査局)によると、2021年の一人当たりの牛肉消費量(供給量)は、前年に比べて推定1ポンド減少する見込みだ。牛肉・豚肉の消費量は約1%減り、111ポンドになると予想されている。ブロイラーは同96.1ポンドから96.0ポンドに、家きん肉合計は1%減の113ポンドと予想される。

牛肉の消費量は、前年の58.6ポンドに対し、57.6ポンドに減少。豚肉は前年の51.9ポンドに対し、52.1ポンドに増加すると予想される。牛肉の減少は、輸出が予想以上に好調なことと輸入の減少、豚肉の増加は生産の増加が主因だ。

ERSは、2021年の牛肉生産量予想についても、先月時点より7000万ポンド少ない272億ポンドに下方修正した。修正の一因は、2020年第4四半期のフィードロットの導入頭数の減少に伴い、2021年第2四半期のと畜頭数が減少する見込みとなったこと。また、2021年は飼料コストの高騰が枝肉重量の低下に繋がる可能性も指摘している。

 

※2021年2月1日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
ポーク関連ニュース

豚肉在庫にタイト感、短期的な価格の下支え要因に

 
 

12月末時点の食肉(牛・豚・鶏・七面鳥肉)の合計在庫は、推定20億2900万ポンド(前年同月比10.6%減)。過去5年間、11月末と12月末の在庫量はほぼ同水準だったが、この12月はボンレスビーフの冷凍在庫が増加したことを主因に、前月比では1.2%増加した。

12月は豚肉生産が堅調だったにもかかわらず、豚肉の冷凍在庫は依然として前年水準を大きく下回っている。12月末の豚肉在庫は4億840万ポンド(同29.6%減)、過去5年平均比21.4%減。前月比は過去5年平均の2.5%減に対して2.7%減となり、11月末よりもタイト感が強まった。

これは国内需要と輸出が順調であることが要因であり、このことがポークカットアウト価格を下支えしている。今後、エンドユーザーがタイトな冷凍在庫と価格のインフレ予想を受けて、在庫の積み増しに動くことが予想される。

ハム(モモ)の在庫は5360万ポンド(同37.6%減)、過去5年平均比28.8%減。ベリーの在庫は3070万ポンド、前年比54%減、過去5年平均比30%減。今年はイースターの日程が4月4日と早いこと、第2四半期に豚肉価格が上昇する見通しにあることから、在庫の争奪戦が早めにスタートするだろう。

 

※2021年2月1日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  (左)豚肉の冷凍在庫の推移/(右)ポークベリーの冷凍在庫の推移
 
リテール

2020年の牛肉小売価格、前年比9.7%高

 
 

2020年の牛肉小売価格は、前年比で9.7%上昇した。年間の上げ幅としては、2014年(13.4%)以来で最大である。テキサスA&M大学のデビッド・アンダーソン氏は、「2014年の高騰は干ばつによって牛肉の供給がひっ迫したために生じたものだ」として次のように解説する。

2014年の牛肉価格の上昇は、主に第2四半期に始まって、前年比18%高まで上昇、第3四半期も同11%高となり、干ばつの余波の中で供給が減り続ける中で需要は増え続けたため、牛肉小売価格は5四半期連続で前年を上回った。

2020年の価格上昇と今後の見通しについては、「牛肉の小売価格がパンデミック前の水準にいつ戻るのか」が焦点だ。牛肉小売価格は前年水準を上回ったままだが、低下傾向にある。USDAの生鮮牛肉全体の平均価格は、2020年6月のポンド当たり7.38ドルがピーク。6月を境に低下傾向に転じ、8月には6.38ドル、12月は6.23になった。パンデミック前の3月は5.96ドルだった。

小売店の牛肉販売は、量・金額ともに増加している。12月の牛肉価格は、前年に比べて牛ひき肉が約2%高、チャックローストや多数のステーキカットは約6%高など、多くのカットで前年を上回っている。卸売価格と生体牛価格が前年を下回る中で、小売価格のみが上回っているが、コロナウイルスに関わる規制遵守や処理上の制約、卸売・小売間のコスト増、さらに今年は牛肉生産の周期的な減少が予想されることやレストラン需要の回復期待などから、牛肉の平均小売価格が今後数カ月以内にパンデミック前の水準に戻ることはないだろう。

 

※2021年1月25日 CATTLE BUYES WEEKLY

 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ビーフ・ファクト・シート