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TRADER'S Be & Po

vol.371 Feb.1.2021
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 生体牛価格は反落、カットアウトは上昇
飼料価格の高騰で、夏場以降の豚先物価格が上昇
業界ニュース 食肉工場従事者のCOVID感染、12月は5月の5分の1に
ワールドトレード フィリピン、豚肉輸入を3倍に拡大、国内価格高騰で
リテール 2020年の食肉の小売販売、牛肉販売が急拡大
フードサービス 生体牛価格安定もカットは外食需要の影響続く
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ポーク(2020年11月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

生体牛価格は反落、カットアウトは上昇

 
 

上昇基調にあった生体牛の現金取引価格は反落に転じた。例年、牛肉需要は1月上旬までは強いが、中旬から2月に向けて低下するため、価格の下落も予想されていたことだ。

フィードロットのフロントエンドの供給(肥育日数150日以上の牛)が記録的な高水準にあることから、この余剰感が解消されるまでは、生体牛価格は下落しやすい状況が続くだろう。

1月第2週の主要5州の去勢牛平均価格は100ポンド当たり111.27ドル、枝肉価格は175.79ドル。それぞれ前週比で0.24ドル安、0.12ドル高だったが、第3週は週明けとともに下落。火曜日にネブラスカおよびアイオワ・ミネソタで、約4万頭が生体牛108〜110ドル、枝肉価格173〜174ドルで取引された。水曜日は南部で取引が活発化し、1万6803頭が110ドル、北部では1万3561頭が106〜112ドル、枝肉価格172〜173ドルで取引された。

アナリストは「フロントエンドの供給が記録的な水準にあり、年始の価格上昇は短期的なものと予想されていた。2月1日までに肥育日数150日以上の牛は前年水準を24%上回り、3月には26%増とピークを迎える」と予測する。

2020年第4四半期の素牛導入は、前年同期比で55万頭減少したと推定されることから、6月1日までにフロントエンドの供給は前年比で25%減少すると推測される。しかし、現在は過去5年平均比でも11%増加しており、供給面からの市況回復は、第2四半期後半から第3四半期になるかも知れない。

第2週のカットアウト価格の平均は100ポンド当たり206.76ドル、チョイスは204.80ドル。前週比ではそれぞれ1.75ドル安、1.94ドル安。第3週は前半4日間でチョイスが6.57ドル上昇し、213.37ドルに。セレクトも4.38ドル上昇して201.07ドルとなった。

 

※2021年1月18日 CATTLE BUYES WEEKLY

 
 

飼料価格の高騰で、夏場以降の豚先物価格が上昇

 
 

COVID-19のワクチン開発の成功が発表されたのを契機に、先行きの需要に楽観論が広がる一方で、南米の気候現象や中国の需要から飼料穀物が上昇に転じ、2021年の商品市況の予想が大きく変化している。

生体豚の先物価格は、夏季と秋季の受け渡し契約が上昇している。12月1日時点の繁殖豚飼養頭数が2017年以降で最低となり、冬季から春季の子豚生産頭数が減少し、夏季から秋季に豚肉供給が減少することを示唆しているためだ。

トウモロコシと大豆ミール価格がいずれも急騰しているため、養豚業者は特に今後6〜12カ月間の生産・出荷に慎重になることで、豚肉供給力はさらに減る可能性がある。

輸出需要も市況を左右する重大な要素であり、特に中国の動向がカギを握っている。中国は豚肉の自給率回復に取り組んでおり、繁殖豚の推定飼養頭数は、ASF発生前の2018年に比べて約950万頭(20%)減までに回復している。

欧州の繁殖豚は2018年比で50万頭減。ASFとCOVIDが欧州の豚肉生産者に甚大な影響を与えており、生体豚価格は生産コストを下回っている。これに飼料価格上昇の影響が加わり、欧州の豚肉供給も低下することが確実視される。

現状の豚肉供給は潤沢だ。パンデミック中に生じた出荷の滞留があるためだが、これが解消されると、4月下旬までに豚の週間と畜頭数は現在の水準に比べて35万頭も減少する可能性があり、豚肉価格は上昇に転じる見通しだ。

 

※2021年1月20日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  (左)生体豚(リーンホッグ)の先物価格の変化/(右)トウモロコシの先物価格
  トウモロコシ価格の推移(オマハベース)
 
業界ニュース

食肉工場従事者のCOVID感染、12月は5月の5分の1に

 
 

北米食肉協会(NAMI)は、12月のCOVID-19感染率が一般集団では5月の9倍に膨れ上がったのに対し、食肉および家きん類の従事者における感染率は、5月の5分の1に減少したとの報告を発表した。

食肉工場(家きん含む)の従事者の感染者数(10万人当たり)は、5月が平均98.39人だったのに対し、12月は平均19.91人だった。ニューヨーク・タイムズの報道によると、米国における人口10万人あたりの新規感染者数は、5月は1日平均7.11人だったが、12月には同63.01人に急増している。

NAMIのアンナ・ポッツ会長兼CEOは、「食肉業界は昨春以降に包括的な感染防止策として15億ドル以上を投資し、従事者を保護した。この数字は、業界がパンデミックの軌道から抜け出したことを裏付けている」とし、NAMIメンバーに、効果の証明されたこれらの対策を引き続き講じるように要請した。

そして「食肉産業界は、この危機の間もたえずアメリカ人の冷蔵庫を満たし、農場の経済機能を維持させるために貢献してきた。最前線にいる食肉・家きん類従事者に今後できる限り早くワクチンを配布し、全てのアメリカ人へのワクチン配布までも支援できるよう、新政権とともに取り組む」としている。

NAMIは、食品関係の全米最大の労組である全米食品商業労組と共同で、各州知事に対し、COVID-19のワクチンをCDC(疾病管理センター)のガイダンスに従って、医療従事者と介護施設関係者に次いで、食肉・家きん類部門の最前線の従事者がいち早くワクチンを接種できるように要請している。

 

※2021年1月14日 Foodmarket.com

 
ワールドトレード

フィリピン、豚肉輸入を3倍に拡大、国内価格高騰で

 
 

フィリピンの農業大臣は、1月18日の記者会見でASF(アフリカ豚熱)による豚群の淘汰の影響で、豚肉価格が前年比で50%以上も高騰していることに対応し、「年間5万4000トンのミニマム・アクセス関税率適用枠(MAV)を、3倍の16万2000トンまで引き上げる計画だ。最初の5万4000トンは2月か3月までに到着する予定だ」とした。

フィリピンは、COVID-19パンデミックで国内需要が落ち込む以前は世界7番目の豚肉輸入国で、主に米国、カナダ、フランス、オランダ、スペインから豚肉を輸入している。

フィリピンは昨年、ASFで30万頭以上の豚を殺処分し、豚の飼養頭数は約3%減少。豚肉生産量は推定で前年比20%減少した。主にルソン島でASFが検出されたため、特に首都圏で豚肉の価格が高騰。2020年の第4四半期には強い台風に見舞われ、食品、特に食肉や野菜類の価格上昇に拍車がかかった。インフレを抑制するため、輸入鶏肉にかかる関税を40%に引き上げる計画を先送りし、関税を5%で維持することも決定した。

 

※2021年1月19日 Foodmarket.com

 
リテール

2020年の食肉の小売販売、牛肉販売が急拡大

 
 

米国の2020年の小売市場における食肉販売では、牛肉の販売額・量が急拡大した。210 Analytics社の調査によると、昨年の食肉・家きん類の小売販売額は前年比18.4%増、販売量は10.3%増加した。

これは、COVID-19のパンデミック下にあって小売店の食肉販売額が前年比で127億ドル増加したことを示しているが、この増加の内訳は牛肉が57億ドル増、鶏肉16億ドル増、豚肉11億ドル増。

食肉類全体の総販売額は820億ドル。内訳は生鮮食肉が550億ドル(前年比19.8%増)、加工食肉が270億ドル(同15.7%増)。生鮮食肉の内訳では牛肉が302億ドル(同23.1%増)と最も多く、次いで鶏肉134億ドル(同13.9%増)、豚肉72億ドル(同18.1%増)、ターキー27億ドル(同15.4%増)、ラム4億8900万ドル(同24.3%増)などとなっている。

 

※2021年1月18日 CATTLE BUYES WEEKLY

 
フードサービス

生体牛価格安定もカットは外食需要の影響続く

 
 

2021年の生体牛価格は、昨年のような劇的な上下動はなく、比較的安定した推移をたどるだろう。COVID-19のパンデミックによる工場の生産停止の再発がなければ、生体牛価格は全4四半期を通じて100ポンド当たり112ドルから119ドルの範囲で推移する可能性が高い。年間平均は114〜116ドルと予想される。

2020年の調査で、米国の消費者は豚肉や鶏肉より牛肉を好み、牛肉により多く支出する意欲があることが明らかになった。牛肉の小売の販売量は急増し、外食の需要減少の一部を相殺した。2021年は、レストランの営業再開に伴って外食需要が回復すれば、牛肉にとって追い風になるだろう。

世界的に外食需要が回復すれば、米国産牛肉の輸出、特に主要市場である日本や韓国向け輸出が増加するだろう。しかし、オクラホマ州立大学のダレル・ピール氏は「2020年のボックスビーフ価格は、最終的に前年とほぼ同水準になった。外食の需要回復や小売の需要増が継続するのか、見通しは曖昧になっている」と指摘する。

チャックやラウンドの価格は、リブと並んで昨年より高値で推移しているが、半面ロインは下落している。外食への依存度の高いテンダーロインは14%安、ペテット・テンダーは25%安、ブリスケットも4%安と引き続き影響を受けている。小売店で人気のストリップロインは12%高。「全体的な牛肉需要は今後も引き続き強いものの、カットごとの需要にはバラつきがあり、供給サイドの試練は続くだろう」と分析する。

 

※2021年1月11日 CATTLE BUYES WEEKLY

 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ポーク・ファクト・シート