米国の豚肉パッカーの工場の周辺地域でCOVIDの感染者数が急増しているが、これまでのところ、と畜頭数への影響は限られている。USDAの最新データでは、先週のと畜頭数は推定278万9000頭(前年同週比0.5%減)と、3月のパンデミック発生以来、最も
高い水準を維持した。
土曜日のと畜頭数は、前週の38万頭に続き、33万1000頭となった。近年、パッカーは第4四半期に土曜のシフトを増やすことで、出荷頭数の増加を何とか補ってきた。2019年第4四半期の土曜日の平均と畜頭数は30万4000頭。今年はこの水準に達する可能性は低いが、それでも10月以降の土曜日の平均と畜頭数は28万6000頭、12月は30万頭超を維持する見込みだ。
豚肉生産量は、枝肉重量の増加にも下支えされている。先週の平均枝肉重量は219ポンド(前年比1.4%増)。前年より1頭当たりで3ポンド多いため、と畜頭数の減少分を相殺している。実際、豚肉生産量は前年比で約1%増加している。
しかし、工場の稼働が全て元通りになったわけではない。トリミングおよび除骨ラインの人員配置は、依然としてパッカーと処理業者に共通する重要課題であり、一部品目では影響が大きい。ホリデーシーズンの需要によって、その影響はさらに拡大する可能性がある。最も顕著なのは、ボンインとボンレスのハム(モモ)間の値差の開きが大きいことだ。
2014年から今年3月までの間、ボンレスハム対ボンインハムの平均比率は1.89だった。過去にこの比率が3を超えたのは2016年の秋。今年と同様にパッキング能力が低下した時である。今年4月から11月までの比率は平均3.55。先週は2.95、先月の平均は2.89だった。この相関は、最終的には例年の水準に戻っていくと考えられるが、それにはまだ2、3カ月を要するだろう。
パンデミックによって労働力不足・人件費上昇がコストアップの要因となる状況は続くものの、今後はと畜頭数も減少する。出荷される豚が減少すれば、パッカーはハムの除骨に充てる労働力を増やせるかもしれない。ベリーの需要を含めて、ポークのカットアウト価格は、不透明感の強い状況が続くだろう。
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