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TRADER'S Be & Po

vol.369 Dec.21.2020
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 生体牛の現金取引価格、110ドルで横ばい
来年の第1四半期、ポークカットアウトは不透明感強い
トピック 食肉3団体がCOVIDワクチンの優先的配分を要請
ワールドトレード 豚肉輸出量、10月は増加も11月は減少見込み
来年の中国の牛肉輸入は鈍化の見通し、豪州産の供給減で
業界ニュース パッカー業界、最大の課題は労働力
生産動向 フィードロット飼養頭数、過去最多で推移
ランキング ビーフパッカー上位30社、処理能力は微増
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ポーク(2020年10月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

生体牛の現金取引価格、110ドルで横ばい

 
 

この1カ月間、生体牛の現金取引価格は109〜110ドル、枝肉価格は172〜174ドルの横ばいで推移している。パッカーは、年末向けの手当に対応するために肥育牛の取引を増やしつつあるが、肥育日数120〜150日以上の牛の供給はまだ増加していないため、今後は多少なりとも強気配になるだろう。実際、先週のテキサスでは生体牛が112ドルの高値で地元パッカーに販売されるケースもあった。

11月最終週の生体牛価格は100ポンド当たり110.27ドル、枝肉の平均価格は173.37ドル。それぞれ前週比0.70ドル高、1.67ドル高。枝肉重量は依然として前年を上回っているが、季節的なピークは過ぎて低下傾向にある。11月21日までの去勢牛の平均重量は923ポンド(前年同週比12ポンド増)、前週比では7ポンドの減少。未経産牛は847ポンド(同5増)、同1ポンド増で、全体平均は839ポンド(同8ポンド増)、同4ポンド減。

一方、ボックスビーフ価格は11月中に続伸したが、ここにきて反落に転じた。ホリデーシーズン向けの手当がほぼ一巡したため、今後は下落が続く見通しだ。11月最終週のカットアウト価格は、総合平均で234.32ドル、前週比7.94ドル高、4週前と比べて29.67ドル高をつけた。チョイスの平均価格は234.43ドル、同8.22ドル高、28.86ドル高。

総取引量6659ロード(≒コンテナ)に対して週間輸出量1663ロードと、この5年間で4番目に多い数量となった。ショートプレートの大量輸出を反映したものだが、先週のチョイスのカットアウトは前半4日間で3.66ドル値下がりした。

 

※2020年12月7日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

来年の第1四半期、ポークカットアウトは不透明感強い

 
 

米国の豚肉パッカーの工場の周辺地域でCOVIDの感染者数が急増しているが、これまでのところ、と畜頭数への影響は限られている。USDAの最新データでは、先週のと畜頭数は推定278万9000頭(前年同週比0.5%減)と、3月のパンデミック発生以来、最も 高い水準を維持した。

土曜日のと畜頭数は、前週の38万頭に続き、33万1000頭となった。近年、パッカーは第4四半期に土曜のシフトを増やすことで、出荷頭数の増加を何とか補ってきた。2019年第4四半期の土曜日の平均と畜頭数は30万4000頭。今年はこの水準に達する可能性は低いが、それでも10月以降の土曜日の平均と畜頭数は28万6000頭、12月は30万頭超を維持する見込みだ。

豚肉生産量は、枝肉重量の増加にも下支えされている。先週の平均枝肉重量は219ポンド(前年比1.4%増)。前年より1頭当たりで3ポンド多いため、と畜頭数の減少分を相殺している。実際、豚肉生産量は前年比で約1%増加している。

しかし、工場の稼働が全て元通りになったわけではない。トリミングおよび除骨ラインの人員配置は、依然としてパッカーと処理業者に共通する重要課題であり、一部品目では影響が大きい。ホリデーシーズンの需要によって、その影響はさらに拡大する可能性がある。最も顕著なのは、ボンインとボンレスのハム(モモ)間の値差の開きが大きいことだ。

2014年から今年3月までの間、ボンレスハム対ボンインハムの平均比率は1.89だった。過去にこの比率が3を超えたのは2016年の秋。今年と同様にパッキング能力が低下した時である。今年4月から11月までの比率は平均3.55。先週は2.95、先月の平均は2.89だった。この相関は、最終的には例年の水準に戻っていくと考えられるが、それにはまだ2、3カ月を要するだろう。

パンデミックによって労働力不足・人件費上昇がコストアップの要因となる状況は続くものの、今後はと畜頭数も減少する。出荷される豚が減少すれば、パッカーはハムの除骨に充てる労働力を増やせるかもしれない。ベリーの需要を含めて、ポークのカットアウト価格は、不透明感の強い状況が続くだろう。

 

※2020年12月7日 Pork Merchandiser's Profit Maximizer

  米国の週当たり豚と畜頭数の推移
 
トピック

食肉3団体がCOVIDワクチンの優先的配分を要請

 
 

食肉3団体は、全米の州知事に対して、「医療従事者および介護施設従事者」に次いで食肉・家きん類業界の労働者に、新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンを優先的に割り当てるよう要請した。

北米食肉協会(NAMI)、全米肉牛生産者・牛肉協会(NCBA)、全米豚肉生産者協議会(NPPC)が12月4日に各州知事らあてに送った書簡では、「国土安全保障省は、食肉・家きん類従事者や家畜生産者などの食品製造業を、必要不可欠なインフラ区分として認め、工場の稼働継続を促した。これらの人々は絶えず最前線で、アメリカ人が安全かつ栄養価の高い手頃な食品が入手できるよう保証している。特にパッキング工場やその供給元である生産者が、パンデミックの初期段階で直面した困難は、未曾有かつ忍耐を強いられるものだった。食肉業界が力強く回復した今、サプライチェーンは完全な状態を維持している」と述べている。

CDC(疾病予防センター)の予防接種諮問委員会(ACIP)が、COVID-19ワクチンの初回投与分についてフェーズ1aを提言(※参照)したことを受けて、MANIの規制・科学課ディレクターであるケイティーローズ・マクロウ氏(哲学博士・公衆衛生学修士)は書簡を提出し、次のフェーズ1bで食肉・家きん類従事者がワクチンの優先対象となるようACIPに要請した。NPPCも同様のコメントを提出した。

各団体は、食肉・家きん類業界が従業員の支援・保護における手順と管理に対して10億ドル超を投じてきたことに言及。その対策には、「施設の物理的改造、個人用防護具(PPE)、衛生設備の拡大、高度な喚起システム、広範な検査、および接触者追跡、ヘルスケアサービスの拡大など」があるとしている。

※CDCはワクチンを段階的に割り当てる方針で、フェーズ1aが医療従事者と介護施設従事者、1bがエッセンシャルワーカー、1cがリスクの高い疾患を持つ65歳以上の人となっている。

 

※2020年12月8日 MEAT+POULTRY

 
ワールドトレード

豚肉輸出量、10月は増加も11月は減少見込み

 
 

米国の10月の豚肉輸出量(チルド・フローズンおよび加工品含む)は、製品重量ベースで推定20万1721トン(前年同月比11%増)。今年上半期の最大の輸出先は中国だったが、10月はメキシコ向けが5万304トン(同13.7%増)で首位となった。これは豚肉輸出量の25%に相当する。

中国向けは4万6379トン(同26%増)。10月は日本向けおよびカナダ向け輸出も増加したが、韓国向けは意外にも大幅な減少(34%減)となった。韓国は、9月にアフリカ豚熱が発生したドイツからの豚肉輸入を停止した。その代替え需要が米国産に集まるとの期待があったが、米国産ベリーの価格急騰で輸入が抑制されたようだ。

11月の豚肉輸出量は、昨年より鈍化すると予測される。現時点での週間輸出量を基に推定すると、前年同月比で5〜7%減と見られる。中国向けは現時点で20%減となる見込みだ。

今後の中国向け輸出については、春節(2月上旬)の連休向けの手当が終了すれば激減するだろうとの見方や、中国内の豚肉価格が依然高騰していることから発注が継続するだろうという予想まで、不確定な要素が多い。このため、来年第1四半期の生体豚の先物は安定性を欠いており、この2カ月間は64ドルから72ドルの幅で値動きしている。

 

※2020年12月7日 Pork Merchandiser's Profit Maximizer

  米国の豚肉輸出量の推移(全世界) / 米国の中国向け豚肉輸出量の推移
 
 

来年の中国の牛肉輸入は鈍化の見通し、豪州産の供給減で

 
 

2021年の中国の牛肉輸入量は、成長率が20%未満に鈍化する見通しだ。主要輸出国である豪州の供給減少と、国内の豚肉生産量の回復が背景にある。ラボバンク社のシニアアナリストが記者会見で見通しを述べた。

中国の近年の牛肉輸入量は急速に拡大し、世界の牛肉貿易量の約4分の1を占めている。2019年の輸入量は前年比60%増の166万トン、今年はこれまでの時点で40%増だ。しかし、中国にとって三番目に大きな輸入元である豪州は、牛肉生産の減少と二国間の政治的緊張の高まりの最中にある。

中国は表示問題等の理由から、豪州の6工場からの輸入を停止している。「これによって、中国の牛肉輸入は向こう2年間ほど鈍化し、成長率は20%を下回ると予測される。また、ASFによって打撃を受けていた国内の豚肉供給も、予想を上回る速さで回復している」という。

成長率は鈍化するものの、中国の全体的な牛肉需要は依然として旺盛で、国内価格の高さがそれを裏付けている。今年初めの都市封鎖で新型コロナウイルスの拡大が抑制されると同時に、レストランが閉鎖されたことで、消費者は自宅調理用の牛肉を購入するようになった。

「牛肉は中国の伝統的な食事の一部ではなかったが、コロナウイルスの流行で、従来の外食から自宅での消費へと変化した。特に急速に拡大するEコマースがその役割を担っている」という。

 

※2020年12月8日 Foodmarket.com

 
業界ニュース

パッカー業界、最大の課題は労働力

 
 

米国の食肉処理業者(家きん含む)は、COVID-19の発生以降、従業員の保護と工場復帰への不安を払しょくするために、これまで10億ドルを優に超える資金を投じてきた。にもかかわらず、ビーフパッカーの多くが、直面する第一の課題に労働力不足と従業員の保護を挙げている。これは本紙(CBW)が行った恒例の調査「米国ビーフパッカー上位30社」への回答で明らかになった。

ビーフパッカー各社の経営トップは、「業界が直面する重要課題は、依然として労働力だ。COVID-19によって深刻化したこの課題は、以前から長きにわたって重要な問題だった。失業率が高水準にあってもなお、パッキング工場は能力の維持に苦戦している」(クリークストーン・プレミアムファーム・ビーフ社)。

「第一の課題は依然として従業員の教育、就業、それらを維持することだ」(キャビネス・ビーフパッカーズ社)。「最大の課題は、労働力不足と製品に対する様々なチャンネルからの要望への対応など、COVID-19によって生じた問題だ」(グレート・オマハパッキング社)。「COVID-19に関連して変動する製品需要への対応と労働力問題。従業員の入れ替わりや欠勤が普段より多く、工場の能力維持が難しくなった」(セントラルバレーミート社=ハリスランチビーフ社の親会社)−など、いずれも雇用と労働力問題を優先課題に挙げている。

大手ビーフパッカーも、「従業員の安全確保と安全な食品生産の重要性」を強調している。JBS.USA社は、「食肉・家きん類業界は、パンデミック下で安全な食品生産を行うために努力を続けている。労働力の安定確保のために改革を続け、業界が創出する社会的利益を伝え続けなければならない」と指摘。

タイソンフレッシュミート社は、「チームメンバーの健康と安全が依然として最優先事項だ。最前線の従業員を保護するために当社が講じてきた対策は、ウイルスの次なる波に向けた準備にもなっている。これまでウイルス対策としての施設改善や戦略的検査の実施に、数億ドル(2020年度5億4000万ドル)を投じてきた。健康サービス部門のスタッフを増員し、医務部長のポジションも設けた。当社の努力は業界の先駆けとなっている」としている。

 

※2020年12月7日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
生産動向

フィードロット飼養頭数、過去最多で推移

 
 

米国内のフィードロットの牛総飼養頭数は、過去最多の水準で推移している。USDAの最新データによると、11月1日時点の飼養頭数は1197万3000頭(前年同月比1.3%増)。前年同日より15万7000頭多く、11月1日としては過去最多を記録した。

10月の導入頭数は219万2000頭(同11.0%減)。アナリストの予想平均より1.8%少なく、いずれの重量区分でも前年を下回った。600ポンド未満は57万頭(3万頭減)。600〜699ポンドは49万5000頭(4万5000頭減)。700〜799ポンド46万5000頭(5万2000頭減)、800〜899ポンド38万7000頭(7万3000頭減)、900〜999ポンド18万5000頭(4万5千頭減)、1000ポンド以上9万頭(2万5000頭減)。

出荷頭数は187万3000頭(同0.1%減)。カリフォルニア、アイダホ、ネブラスカ、オクラホマ、テキサス、ワシントンでは前年より増加した。飼養頭数の最多はテキサス291万頭(4万頭増)、2位はカンザス252万頭(10万頭増)、3位はネブラスカ250万頭(5万頭増)。導入が昨年より増えたのは、アリゾナ、サウスダコタ、ワシントンの3週のみ。主要州のうち、テキサスでは9%減、カンザス4%減、ネブラスカ16%減。

 

※2020年12月7日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
ランキング

ビーフパッカー上位30社、処理能力は微増

 
 

本紙調査による2020年の全米ビーフパッカー上位30社によると、1日当たりのと畜能力は、52工場で12万7729頭。昨年の52工場・12万6430頭から1299頭増加した。

上位5社のと畜能力は、27工場・9万7500頭。昨年から1000頭減少した。と畜実績における上位5社の2019年のシェアは76.1%と、前年から0.7ポイント低下した。去勢牛・未経産牛のと畜シェアは83.8%(同0.6ポイント減)。上位3社のシェアは60.4%(1.1ポイント減)。

1日当たりのと畜能力ではJBS USA社が1位だが、年間売上ではタイソン社が1位だ。JBSのと畜能力は9工場・2万9000頭で、タイソン社は6工場・2万5800頭。JBSは穀物肥育牛以外の牛も取り扱っているため、2019の牛と畜頭数は700万頭と、タイソン社の685万1000頭を上回っている。

2019年度の総売上高は、タイソン社が158億2800万ドル、JBSは141億ドル。と畜能力3位はカーギル・プロティン社の2万3000頭。同社の2019年の総と畜頭数は640万頭、売上高131億ドル。次いで4位はナショナルビーフ社で、と畜能力1万3200頭、2019年度の売上高は85億ドル、と畜頭数は350万頭。

 

※2020年12月7日 CATTLE BUYERS WEEKLY

  2020ビーフパッカー上位30社
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ポーク・ファクト・シート