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TRADER'S Be & Po

vol.365 Oct.19.2020
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 生体牛現金取引、軟調から一転、続伸へ
供給動向 肥育豚供給、秋季に増加も2021年は前年割れ
トピック プライムの発生率が過去最高に、プレミアム感の低下も
ワールドトレード 中国、豚肉自給率95%を目標に
リテール 2020年の牛肉小売価格は9%上昇の見通し
消費動向 ハンデミック下の3〜7月の食肉販売、35%増
ポーク関連ニュース ホリデーシーズンへ向けて冷凍豚肉在庫はタイトに
USMEFインフォメーション アメリカンポーク「あなたにジャストミートキャンペーン」
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ポーク(2020年8月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

生体牛現金取引、軟調から一転、続伸へ

 
 

9月の生体牛現金価格は、月の後半に巻き返した。月初から2週間は続落、その後で反発に転じて3週連続で続伸。生体牛価格は100ポンド当たり5ドル近く、枝肉価格は6ドル余り上昇した。主要5州の第4週(21〜26日)の平均価格は、生体牛105.05ドル、枝肉164.89ドルと、それぞれ前週比1.51ドル高、1.64ドル高だった。

9月30日は南部、北部とも取引が活発化し、合計で4万6650頭が生体牛107ドルで取引され、テキサスでは生体牛108ドル、枝肉167ドルの最高値をつけた。アナリストは「10月中は上昇基調が続くだろう」と予想する。強気予想の理由は、肥育牛の処理マージンが好調なことだ。

9月のパッカーマージンは1頭当たり平均300ドルを超えて推移し、現状も300ドル前後を確保している。例年、ビーフカットアウト価格は10月に季節的な上昇を始め、それが12月まで続くが、今年の上昇幅は昨年に比べてかなり小幅にとどまるとの見方が強い。このことはパッカーも織り込み済みだ。

ホリデーシーズン(年末需要)に向けた手当はすでに始まっている。USDAのレポートではここ数週間、事前契約の取引量が増加している。9月第3週に販売されたカット・ひき材・トリムの合計8662ロード(≒コンテナ)のうち、30.8%に当たる2665ロードが22日以上の受渡し契約によるものだ。これは前年同週比19.0%増、週間取引量としては過去最多。第4週もひき材からストリップロイン、ピールドナックルまで幅広い品目がフォワード取引で売買されている。

9月第4週のカットアウト価格は、総合平均で100ポンド当たり213.95ドル、前週比0.26ドル安。チョイスは213.75ドル、同2セント高。週間ベースでは下げ止まり、今後は日次ベースで一進一退を繰り返しながらも上昇基調に向かうと予想される。

 

※2020年10月5日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
供給動向

肥育豚供給、秋季に増加も2021年は前年割れ

 
 

米国農務省(USDA)が公表した最新の豚飼養動向調査(9月1日現在)によると、肥育豚の飼養頭数は7276万6000頭(前年同月比0.8%増)。前年に比べて61万3000頭増となっている。事前予想との差はごくわずかだが、重量区分で見ると、肥育豚頭数に明らかな食い違いがある。

180ポンドを超える肥育豚の飼養頭数は1416万9000頭(同9.8%増)、前年比で127万頭も多い。例年なら、この肥育豚の多くが9月にと畜されているはずだが、今年9月の週間と畜頭数は前年同月比1%減だ。このため、先物市場関係者の一部はこれらの数値を疑問視しているが、季節的な供給の減少、夏の暑さ、ラクトパミンの使用中止を生産者が効果的に利用して、供給フローを調整することができているとも考えられる。

6〜8月期の子豚生産頭数は推定3.4%減と、125万4000頭の減少。120ポンド未満の肥育豚頭数は1.5%減、155万1000頭減とすると、生産者はと畜スケジュールに合わせて販売価格を必死で下げる必要はないかもしれない。

しかし生産者にとって、今秋が正念場であることに変わりはない。例年、寒冷な気温と新鮮なトウモロコシによって、飼料転換率が向上する。出荷が遅れている肥育豚もある程度残されている。昨年10・11月の通常稼働週の週間と畜頭数は、平均272万頭。パッカーが今年もこの水準のと畜を達成できなければ、12月に肥育豚の供給余剰が起こるかもしれない。

9月1日付の繁殖豚頭数は633万3000頭(同1.5%減)、6月1日に比べると7000頭増加した。6〜8月期の間に母豚のと畜が前年同期比12%増加したことを考慮すると、未経産豚の保留率が昨年より上がっているかも知れない。いずれにしろ、繁殖豚が減少していることから判断すると、2021年の肥育豚の供給は前年を下回ることが確実だ。

 

※2020年9月28日 Pork Merchandiser's Profit Maximizer

  米国の四半期毎の子豚生産頭数の推移(2020年Q4〜2021年Q1は推定分娩頭数に基づく予測)
  米国の繁殖豚の飼養頭数の推移
 
トピック

プライムの発生率が過去最高に、プレミアム感の低下も

 
 

今年1〜7月の牛肉格付におけるプライムの割合は10.6%。同期間の平均発生率としては過去最高で、前年同期に比べて約2%高い。枝肉重量も昨年より増加しているため、プライムの生産量は記録的な水準になっている。

ミシシッピ州立大学のジョッシュ・メープルス氏は、「生産増加に伴い、プライムのプレミアムが低下する懸念がある」と警鐘を鳴らす。プレミアム低下に追い打ちをかけたのは、COVID-19パンデミックによる、フルサービスレストランやプライムの使用量の多い高級レストランの営業停止だ。

プライムの格付割合は、2010〜2015年の平均が4.1%、2016〜2019年は7.4%と着実に増加してきた。対照的にセレクトの割合は、2010〜2015年28.3%、2016〜2019年18.5%と低下し続け、2020年1〜7月は14%、前年同期比で3.5%低下した。

チョイスの割合は、2010〜2015年が67.3%、2016〜2019年74%、今年7月までの平均は75.2%。プライムを合算したチョイス以上の割合は85.8%に達している。品質等級の格付けは長期的に向上傾向にあるとはいえ、2020年の割合は並はずれて高い。春季の処理工場の稼働停止で、牛の肥育が長期化したことが大きな要因だ。

メープル氏は、プライムに格付された枝肉のプレミアムは低下しているという。USDAの主要5州の週間統計で見ると、2020年4月〜7月までの平均プレミアムは100ポンド当たり8.37ドル。これは前年同期比で3.52ドル低い。2015〜2019年の4〜7月の平均14.03ドルだった。

プライムの総生産量が増加する中で、外出禁止や高級レストランでの外食が激減したことが、プライムの需要に大きな打撃を与えた。供給・需要両面での変化により、プライムの格付けを達成したことに対する生産者の報酬は制限されている。

ただ、ボックスビーフのカットアウト価格を見ると、プライムとチョイスの価格差は今年初めの最低値から拡大しつつある。今年4〜7月の価格差は、100ポンド当たりわずか10.59ドルだったが、8月以降の価格差は平均23.71ドルに広がっており、レストランの再開などにより、今後は通常の水準に回復する可能性を示唆している。

 

※2020年9月28日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
ワールドトレード

中国、豚肉自給率95%を目標に

 
 

中国が豚肉の自給率95%を目指していることが明らかになった。ASF(アフリカ豚熱)の大規模な流行などで、中国の食料供給不足に注目が高まる中、公開された家畜部門の計画文書で、中国政府は国内の豚群を急速に再構築する目標を強調した。

この文書は、海外でのコロナウイルスの発生が食品輸出業者に影響を及ぼし、主要貿易相手国との間で緊張が続いていることから、供給面に懸念があるとしているものの、目標達成のための期間については言及していない。

世界最大の豚肉消費国である中国は、これまではほぼ完全な自給自足国であり、2000年から2018年までの豚肉輸入量は、平均で国内生産量の1%程度だった。しかし、ASFの流行で国内生産が急減し、今年前半の輸入量は約200万トンと消費量の約10%に達している。

中国政府は、来年までに豚群は従来の水準まで回復する見込みだと繰り返し述べており、新規を含めて生産者の支援策を強化している。同文書では、牛肉・羊肉の自給率は約85%、牛乳は70%超、卵および家きん類は引き続き完全な自給を目指すとしている。

ラボバンク社のシニア・アナリストは、「牛肉の目標は達成が難しいだろう」と見る。中国の牛肉輸入は、この数年、毎年増加傾向にあり、2019年には国内需要量の約25%にまで達している。中産階級の急速な拡大によって急増する需要に、国内生産は追いつけていない。同文書でも「国内の市場供給の補完および調整」のために、食肉や食肉製品の輸入相手国を拡大する可能性があると述べている。

 

※2020年9月29日 Foodmarket.com /Copyright Thomson Reuters

 
リテール

2020年の牛肉小売価格は9%上昇の見通し

 
 

USDAの食料品価格調査によると、2020年の牛肉・子牛肉の小売価格は、2019年に比べて9%上昇する見通しだ。豚肉は5.5%高、鶏肉は4.5%高、食肉・家きん類全体では6.5%上昇すると予想される。

食肉の小売価格は、春季のコロナウイルスによる急騰以降、下落しているが、そのペースは予想より遅く、2020年の平均価格はCOVID-19前の水準には戻らない見込みだ。このため、USDAは今年の食品インフレ率を3%と予想している。これは2011年の3.7%以降で最も高い。

一方、全米食品協会(FMI)の「2020 Power of Foodservice at Retail」では、3月から7月までの間に、COVID-19パンデミックによって消費者の食品購入が外食店から小売店へと、いかにシフトしたかの詳細が明らかになった。

同レポートによると、消費額のうち「内食」は2月の50%から4月に68%に、「外食」は同52%から同32%まで低下。COVID-19の襲来によって両者が急速に逆転した。小売店内のイートインショップの売上高は、3〜7月に17%減少したという。

 

※2020年10月5日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
消費動向

ハンデミック下の3〜7月の食肉販売、35%増

 
 

COVID-19パンデミックの中、小売店は来店客数・来店頻度および客単価のすべてが上昇。この前例のない高い伸びを反映して、3月15日から7月26日までの間に、食肉・家きん類の販売額は34.6%増加した。食肉は前年比79億ドル増、家きんは14億ドル増加した。生鮮食肉の中では牛肉が61%を占め、特に牛ひき肉の伸びが高かった。

「The Power of Meat 2020年中間報告版レポート」によると、消費者の半分近く(48%)が、家庭内食を維持するために食肉の購入回数と量を劇的に増やした。1週間のうち、家庭の夕食に食肉が使われる頻度は4.6倍に激増した。

半面、「献立に悩む」とする消費者が76%と増えた。パンデミック前の5ヵ月間、消費者の悩みは新たなレシピや食事のアイデア(49%)、献立(40%)だった。一時的に食肉の供給がひっ迫したことで、価格の高騰や在庫切れが発生。選択肢の減少により、「普段とは異なる」購買行動を引き起こしたという。

ミレニアル世代を筆頭に、消費者の51%がパンデミック前とは「違う種類の食肉」を購入し、50%が「違うカット(部位)」を、58%が「違うブランド」を購入している。在庫切れが主な理由だが、「意図的に購入する食肉を変えた」とする消費者が多く、その58%は「今後も幅広い品目を購入する」と答えている。

購入するカットや種類を変える動機として、価格(42%)、新たなレシピに挑戦したい(37%)、来店頻度を減らしたい(35%)などの回答が多かった。意図的に、あるいは意図せずに違った買い物をすることで、結果的に消費者の63%が食肉に対する知識が深まったと回答している。

同レポートでは、食肉の購入先、購入理由などの変化を分析した上で、「消費者は食肉が良い栄養源だと気付いているが、幸福感の高いバランスの取れた食事であるとの認識はまだ広まっていない」とし、価格とプロモーションの役割が一層重要になっていると指摘。強まる経済的圧力を踏まえると、今後、価格の重要性はますます強まるとしている。

また「パンデミック中に、食肉業界が供給の安定と食品安全ならびに従業員の安全に尽力したことを、消費者は評価している」と伝えている。

 

※2020年9月28日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
ポーク関連ニュース

ホリデーシーズンへ向けて冷凍豚肉在庫はタイトに

 
 

8月末の豚肉の冷凍在庫は、推定4億6770万ポンド(前年同月比22.9%減)、過去5年平均比では22.7%減と大幅に減少している。8月の前月比は、過去5年平均では2.6%増だが、今年は1.5%増にとどまった。

豚肉の輸出は、引き続き前年水準を超えて推移している。にもかかわらず冷凍在庫が減少しているのは、エンドユーザーが今秋の豚肉価格の下落を予想し、在庫を絞っていたためだろう。小売需要が良好なことに加え、ドイツでのASF発生による価格上昇リスクの増大に直面して、エンドユーザーの手当が活発化し、卸売価格は値上がりしている。

このため、モモは需要のピークへ向けた在庫形成がさらに制限される可能性がある。8月末のモモの冷凍在庫は1億4810万ポンド(同27%減)、過去5年平均比31%減。モモの在庫は7月から8月にかけて8%増加したが、過去5年平均の増加率14%増に比べるとかなり少ない。バラの在庫は3050万ポンド(同33%減)。

 

※2020年9月28日 Pork Merchandiser's Profit Maximizer

  米国の豚モモ肉の冷凍在庫の推移
 
USMEFインフォメーション

アメリカン・ポーク「あなたにジャストミートキャンペーン」

 
 

米国食肉輸出連合会(USMEF)は11月1日〜12月25日まで「アメリカン・ポーク あなたにジャストミートキャンペーン」を実施します。コロナ禍における内食需要拡大に対応し、アメリカンポークがお客様の様々な需要にお応えできることを訴求する消費者プレゼントキャンペーンです。

コロナ禍によって、家庭の食事情が変化しました。外食が減少し、自宅での食事が増加し、食事・料理への取り組みも変化しています。USMEFは各種の消費者調査から、2つの大きなニーズがあることに注目しました。

家事負担の増加や在宅時間が長くなったことで、日々の料理を簡単かつバラエティ多くつくりたいとする「手軽・時短」ニーズと、おうち時間を活用し、料理・食事を楽しみたいとする「工夫・楽しむ」ニーズです。さらに普段取り組まない料理を作りたいとの意向も強まっています。

これらの実際の生活軸を起点に、「簡単・お手軽メニュー」「家族団らんメニュー」「かたまり肉&低温調理こだわりメニュー」の3つのカテゴリーでのキャンペーンテーマを設定し、それぞれのメニュー、レシピを提案。“こんなあなたには、こんなポークを”というように、1人1人のタイプや好みによってアメリカンポークを選んでもらうキャンペーンです。

専用サイトの開設とともに、店頭展開用の資材も新たに開発しましたので、ご活用ください。

《キャンペーン概要》

●タイトル:アメリカンポークあなたにジャストミートキャンペーン
●形式:クローズドキャンペーン(ハガキ応募受付)
●応募方法:①応募シールの貼られたアメリカンポークを購入し、シールを必要枚数集める。②シールを専用応募ハガキに貼付け、必要事項を記入し、キャンペーン事務局まで郵送。
●応募期間:2020年11月1日(日)〜12月25日(金)※当日消印有効
●選考方法:厳選なる抽選を行った上で、賞品の発送をもって当選発表とする。
●賞品:かんたん料理コース=シロカおりょうりケトルちょいなべSK-M151、シロカ電気圧力鍋SP-D131。だんらん鍋コース=récolteポットデュオフェット、DANSK CASSEROLE 両手鍋18cm。こだわり一皿コース=・藤田金属鉄フライパンジュウ&ハンドルセットLサイズ、BNQ-01B 低温調理器。

  あなたにジャストミート!キャンペーン
 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

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