今年1〜7月の牛肉格付におけるプライムの割合は10.6%。同期間の平均発生率としては過去最高で、前年同期に比べて約2%高い。枝肉重量も昨年より増加しているため、プライムの生産量は記録的な水準になっている。
ミシシッピ州立大学のジョッシュ・メープルス氏は、「生産増加に伴い、プライムのプレミアムが低下する懸念がある」と警鐘を鳴らす。プレミアム低下に追い打ちをかけたのは、COVID-19パンデミックによる、フルサービスレストランやプライムの使用量の多い高級レストランの営業停止だ。
プライムの格付割合は、2010〜2015年の平均が4.1%、2016〜2019年は7.4%と着実に増加してきた。対照的にセレクトの割合は、2010〜2015年28.3%、2016〜2019年18.5%と低下し続け、2020年1〜7月は14%、前年同期比で3.5%低下した。
チョイスの割合は、2010〜2015年が67.3%、2016〜2019年74%、今年7月までの平均は75.2%。プライムを合算したチョイス以上の割合は85.8%に達している。品質等級の格付けは長期的に向上傾向にあるとはいえ、2020年の割合は並はずれて高い。春季の処理工場の稼働停止で、牛の肥育が長期化したことが大きな要因だ。
メープル氏は、プライムに格付された枝肉のプレミアムは低下しているという。USDAの主要5州の週間統計で見ると、2020年4月〜7月までの平均プレミアムは100ポンド当たり8.37ドル。これは前年同期比で3.52ドル低い。2015〜2019年の4〜7月の平均14.03ドルだった。
プライムの総生産量が増加する中で、外出禁止や高級レストランでの外食が激減したことが、プライムの需要に大きな打撃を与えた。供給・需要両面での変化により、プライムの格付けを達成したことに対する生産者の報酬は制限されている。
ただ、ボックスビーフのカットアウト価格を見ると、プライムとチョイスの価格差は今年初めの最低値から拡大しつつある。今年4〜7月の価格差は、100ポンド当たりわずか10.59ドルだったが、8月以降の価格差は平均23.71ドルに広がっており、レストランの再開などにより、今後は通常の水準に回復する可能性を示唆している。
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