COVID-19の影響で、4〜5月に落ち込んだ米国の食肉生産はほぼ完全に回復した。過去4週間のと畜頭数は、前年同期比で豚7%増、牛1%減、家きん3.6%減。供給量は前年水準に近づいたものの、パッカーは労働力の関係から一部製品の供給を制限しており、トリミングや除骨の有無、整形の度合いによって、カットや製品間に格差が出ている。
下図は、ベーコンの小売価格とベリープライマルの卸売価格の相関を示している。これまでは、ベーコンの小売価格と6〜7週間前のベリー価格は非常に連動性が強かった。従来通りなら、小売業者はベリー価格の急落を活用して、ベーコンの販促拡大に向けて発注を増やすことが考えられる。
同時に逆のパターンもありえる。供給のひっ迫、輸出の増加などでベリー価格が上がれば、小売業者は利益確保のために販売価格を上げる。だが今年はCOVID-19による混乱以降、こうした相関が完全に崩れてしまっている。
USDA公表の8月前半のベーコンの平均小売価格は、ポンド当たり5.20ドルと5月よりも9%高い。これは労働統計局の月間インフレ率のデータと一致する。7月のベーコンの平均小売価格は5.78ドル。ベリープライマルの安値が長期間続いている中で、ベーコンの小売価格は高いままだ。
従来なら、現在のベーコン小売価格はベリープライマルの卸売価格1.60ドル前後に相当する。しかし実際には、6・7月のベリープライマルの平均価格は97セントだった。小売業者がベリーの安値を活用した販促を拡大しない理由は、ベーコンの加工工場における人手不足だ。
労働力の制約は、ハム(モモ)のボンインとボンレス製品にも影響が出ている。ボンインとボンレスの価格比率は、加工に必要な人件費高騰をカバーするために拡大傾向にある。この比率は、通常1.7〜2.3の範囲にある。今年1〜3月はほぼ2.0だったが、人手不足が深刻になった4月以降は3.8に急上昇し、ここ2週間で4.9へとさらに上昇している。
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