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TRADER'S Be & Po

vol.361 Aug.24.2020
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 生体牛価格が小幅続伸
供給増でポークカットアウト下落、ベリー・モモ大幅安
業界ニュース アグリ・ビーフ社が新工場の計画を発表
フードサービス レストランの売上、再度落ち込む
生産動向 牛飼養調査、フィードロット外の子牛が意外な少なさ
飼料関連ニュース トウモロコシと大豆の収穫量は過去最高の見通し
USMEFインフォメーション アメリカンビーフ・ハンバーガーのインスタグラムキャンペーン
実用日米食肉専門用語集の初版をWebに掲載
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ポーク(2020年6月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

生体牛価格が小幅続伸

 
 

生体牛の現金取引価格は5週連続で上昇し、8月第1週の後半には、北部で前週比3ドル高の100ポンド当たり103ドルで取引された。南部でも6月中旬以降で初めて100ドル台を回復した。

予想外の上昇が続いた背景には、パッカーマージンが1頭当たり250ドル近辺で、依然として黒字であること。また、パッカーがフォワード取引で9月に多くの牛肉を販売済であり、その対応もあって引き続き一定の頭数確保が必要になっているという理由があるようだ。

7月最終週の主要5州の肥育牛(去勢)平均価格は同98.66ドル、枝肉価格は160.03ドル。それぞれ前週比1.42ドル高、1.93ドル高だった。8月第1週は月曜から強気配で始まり、アイオワで生体牛480頭が102ドルをつけた。火曜はカンザスで1万3868頭が100ドル、テキサスで434頭が99ドルで取引された。

水曜のFed Cattle Exchangeオークションでは、1400頭のうち95%が100ドルで取引成立したが、この平均肥育日数は203日、6ヵ月半を超えていた。これを受けてテキサスでも活発な取引が行われ、1万5640頭が100ドルで売買された。これは1日の取引頭数としては記録的な規模だ。カンザスでも5329頭が100ドル、北部では9000頭弱が102〜103ドルで販売された。

210 Analytics社のレポートによると、小売市場では、3月15〜7月19日までの牛肉の累計販売額が前年同期比35.3%増、販売量は21.9%増加し、小売市場の食肉部門の売上高は77億ドル(牛肉35億ドル、鶏肉11億ドル、豚肉8億1400万ドル)増加したが、外食市場の需要損失を埋めるまでには至っていない。

アナリストは、7月末から8月第1週には月末の支出切り詰めと失業給付の上乗せ期限が切れることへの懸念から、小売の牛肉販売も鈍化したという。しかし7月最終週のカットアウト平均価格は200.61ドル、前週比1.09ドル高。「チョイスのカットアウト価格は200ドルを保っており、この水準なら生体牛価格を最大116ドルまで支えられるだろう」との見方もある。

 

※2020年8月10日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

供給増でポークカットアウト下落、ベリー・モモ大幅安

 
 

米農務省(USDA)によると、6月の主要4食肉(牛・豚・鶏・七面鳥)の合計生産量は推定90億4600万ポンド(前年同月比8.2%増)。稼働日が2日多かったこともあり、前年同月より6億8900万ポンド増加した。

豚肉の生産量(枝肉換算)は推定24億ポンド(同12.8%増)、前年同月比2億7300万ポンドの増加。7月も週当たりの平均と畜頭数が8.8%増、枝肉重量が1〜1.5%増で推移しているため、月間で10%程度の増加となることが予測される。

生産の急増で豚肉の卸売価格は値下がりしている。新型コロナウイルスの拡大で外食需要が打撃を受け続けている中で、例年のこの時期よりも明らかに多くの豚肉が市場に出回っている。その影響を過剰に受けているのが、ベリーとモモの価格だ。

ベーコンは例年7〜8月に、供給の減少と外食・小売双方の需要増が相まって価格が上昇する。しかし今年は外食需要が少ないため、7月31日のベリープライマルは100ポンド当たり96.78ドル(前年同日比34%安)。ポークのカットアウト価格は65.31ドル(同25%安)、前年同日比21.3ドル安で、この下落の約3分の1はベリーによるものだ。

価格低迷が続いてきたハム(モモ)は、安値推移がメキシコやアジア市場向けの輸出増を後押しし、価格が持ち直しつつあったが、7月末に再び急落した。為替相場におけるメキシコ・ペソの弱さもあり、おそらく輸出バイヤーや国内のトレーダーの様子見感が強まったと見られる。

モモの最大輸出先であるメキシコ向けは、7月の週平均輸出量が1万2785トン。6月の同8803トン、5月の同4920トンを大幅に上回っている。中国向けを含めて輸出が堅調であるにもかかわらず、生体豚の先物価格は値下がりした。これは下半期の中国向け輸出に関する懸念が影響している。

中国向けは、これまでの増加基調が維持できるかどうか不透明だ。先週の中国向け出荷量は1万186トン、過去4週平均と比べると19%減だった。ほんの数週間前は2万2000トン近かったが、その後は期待外れが続いている。

中国・香港向け輸出の未出荷分は現在9万8327トン、ちょうど8週間分の供給量にあたる。米国の下半期の豚肉供給は昨年より多いため、国内販路の圧迫を防ぐためには、中国向け輸出の増加が不可欠だ。

 

※2020年8月3日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

 
 
業界ニュース

アグリ・ビーフ社が新工場の計画を発表

 
 

アグリ・ビーフ社(本社・アイダホ州ボイジ)は、アイダホ州ジェロームに牛肉処理工場を新設する計画を発表した。新工場の完成は来年後半から2022年前半に予定され、1日当たり500頭を処理する計画。同社が施設の主な所有者となるが、地域の牛生産者や肥育農家も株主となる。

同社は、ワシントン州トッペニッシュに1日1550頭の処理能力を有する工場を持ち、業界で11番目に大きい牛肉加工業者だが、ジェローム工場の500頭が追加されると、第8位となる。

新工場は400人を雇用。と畜、ファブリケーション、レンダリング、ハイドのオペレーションが一つの建物内で行われる完全一体型施設で、大規模施設が優位を占めるビーフパッカー業界で、新たなモデルとして設計されている。

同州の1月1日時点の牛総飼養頭数は249万頭。うち乳牛雌63万5000頭、肉用牛雌49万5000頭。7月1日時点のフィードロット飼養頭数は28万頭。2019年に同州のフィードロットから出荷された肥育牛は47万7000頭に及ぶが、同州では牛肉の処理能力が不足していたことから、新施設への期待は大きい。

アイダホ州のブラッド・リトル知事は「新施設はアイダホ州の農業にとって大きな後押しとなる。単なる一日500頭ではない。非常に貴重で付加価値が高く、世界中で販売される市場価値の高い500頭だ」と期待を寄せる。

同社に関連するブランドには「Snake River Farms」「Double R Ranch」「St. Helens Beef」「Rancho El Oro」などがあり、またアイダホとワシントン州で計3つのフィードロット(収容能力計11万5000頭)を有している。

 

※2020年8月10日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
フードサービス

レストランの売上、再度落ち込む

 
 

米国全体のレストランの売上は回復傾向を見せていたが、COVID-19感染が再度急増し、営業再開計画が撤回されたことで、6月中旬から再び減少となった。6月の売上は1・2月の水準を28%下回り、調査会社のNPDグループによると、6月第2週以降、主要レストランチェーンの来店者数は前年同週比11〜14%減少した。

関係団体の推測によると、COVID-19パンデミックの影響で、全国のレストランの30%がいまだに閉店しているという。これは牛肉業界にとって大きなダメージだ。ミドルクラスから高級店まで、ステーキハウス・チェーンの売上が前年比で大幅に減少し、最高級カットの卸売価格と加工業者や業務用卸業者のビジネスに打撃を与えている。

NPDによると、7月第2週の主要レストランチェーンの来店者数は、前年同週比12%減。カリフォルニア州に全米のレストラン群の13%が集中し、その全店が店内での食事提供を禁止されているという。同週のクイックサービスレストランチェーン(QSR)の来店者数は同11%減、フルサービスレストラン(FSR)チェーンは同27%減。

多くのレストランが、提供メニューや営業時間を通常より大幅に縮小して営業している。パンデミックへの対応とともに、労働力を確保することが困難になっているためだ。レストラン業界に再び客足が戻ってCOVID-19発生前の状態に回復できるのか、あるいは消費者の自宅での食事が増えて「新しい標準」にリセットされるのか、予断を許さない状況が続いている。

 

※2020年8月3日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
生産動向

牛飼養調査、フィードロット外の子牛が意外な少なさ

 
 

米農務省(USDA)の最新の牛飼養動向調査(既報)で示された、フィードロット外にいる肥育素牛および子牛の頭数に関して、アナリストの多くは驚いている。USDAは2020年の子牛生産頭数を3580万頭(前年比1%減)と予想。上半期の子牛生産頭数は推定2610万頭(同1%減)、下半期には970万頭の子牛が生産される見通しだ。

フィードロットの飼養頭数は1360万頭で、前年比横ばい。500ポンド未満の子牛およびフィードロット外にいる500ポンド超の他の未経産牛・去勢牛は、計3740万頭(同1%増)。前年の3710万頭からわずか30万頭しか増加していない。多くのアナリストは100万頭以上の増加を予想していた。

この区分は、4月1日時点で前年比65万7000頭増とされていた。第2四半期のフィードロット導入頭数は同35万7000頭減だった。4月1日のフィードロット飼養頭数と、第2四半期中の導入減を合わせると101万4000頭になる。

 

※2020年8月3日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
飼料関連ニュース

トウモロコシと大豆の収穫量は過去最高の見通し

 
 

米農務省(USDA)が公表した8月度の世界農業需給予測では、2020/2021年度の米国のトウモロコシおよび大豆の収穫量が、前回予想値から上方修正された。レポートを受けた値動きは、トウモロコシが25セント高、大豆は3セント安と大きな変動は出ていない。

トウモロコシはエーカー当たりの平均収穫量が推定181.3ブッシェル(前回予測値178.5ブッシェル)、年度生産量は152億7000万ブッシェル(同150億ブッシェル)に、大豆はエーカー当たり平均が推定53.3ブッシェル(同49.8ブッシェル)、年間生産量44億2000万ブッシェル(同41億3000万ブッシェル)に、それぞれ上方修正された。

期首在庫は、トウモロコシが推定22億2000万ブッシェル(同22億4000万ブッシェル)、大豆6億1500万ブッシェル(同6億2000万ブッシェル)と、いずれもわずかに減少。期末在庫は、トウモロコシ27億5000万ブッシェル(同26億4000万ブッシェル)、大豆6億1000万ブッシェル(4億2500万ブッシェル)と上方修正された。

収穫量予想と期末在庫が上方修正され、民間予想をかなり上回ったものの、アナリストは「この生産増加の一部は、飼料用の使用量増加と輸出で相殺される」「値下がりと米ドルの弱さで、トウモロコシの価格は今後も競争力が持続されるだろう。大豆の期末在庫が引き上げられたが、輸出量も上方修正されており、予想の範囲内だ」としている。

 

※2020年8月12日 Successful Farming

 
USMEFインフォメーション

アメリカンビーフ・ハンバーガーのインスタグラムキャンペーン

 
 

米国食肉輸出連合会(USMEF)は「Burger is AMERICAN BEEF Instagram キャンペーン2020」を8月21日から9月22日まで実施します。アメリカンビーフのパティのおいしさを訴求するキャンペーンは2018年からスタート、毎年好評を得ていることから今年で3年連続の展開となります。

今回のキャンペーンでは「撮って、食べて、アメリカンビーフ1ポンドが当たる!」をキャッチコピーに、東京を代表するハンバーガーショップ6店舗を紹介。対象店舗でアメリカン・バーガーの写真を撮って、インスタグラムに投稿すると、抽選で「アメリカン・ビーフ1ポンド(約450g)」または「アメリカンビーフ クーラーバック」を各10名にプレゼントします。

対象店舗は、雑誌「東京カレンダー」(8月21日発売号)の特集「人気店のシェフが愛するアメリカンビーフのパティに迫る!」で、アメリカンビーフを使用したパティのおいしさの理由とともに、各店のこだわりが紹介されています。

 
 
 
 

実用日米食肉専門用語集の初版をWebに掲載

 
 

米国食肉輸出連合会(USMEF)は、アメリカンビーフ、ポークそれぞれの実用日米食肉専門用語集を取りまとめ、公式 Web サイトに掲載しました。この用語集は、日米の食肉貿易に関わる様々なシーン(会議・商談・視察等)で、比較的使用頻度が高い専門用語を集めたものです。

元々は、訪米・訪日チームの通訳をされる方向けの事前教材でしたが、今回、メンバーパッカー等の協力を得て、生産から加工・管理・輸出までの工程ごとや貿易用語などに整理し、専門かつ実務的な用語を大幅に追加しました。

下記URLでダウンロードできるようになっていますので、米国関係者との会議、商談、視察チーム等でご活用いただければ幸いです。

◎アメリカン・ビーフ実用日米食肉専門用語集
https://www.americanmeat.jp/trd/publications/glossary/pdf/usmef_glossary_beef_2020.pdf

◎アメリカン・ポーク実用日米食肉専門用語集
https://www.americanmeat.jp/trd/publications/glossary/pdf/usmef_glossary_pork_2020.pdf

 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ポーク・ファクト・シート