米農務省(USDA)によると、6月の主要4食肉(牛・豚・鶏・七面鳥)の合計生産量は推定90億4600万ポンド(前年同月比8.2%増)。稼働日が2日多かったこともあり、前年同月より6億8900万ポンド増加した。
豚肉の生産量(枝肉換算)は推定24億ポンド(同12.8%増)、前年同月比2億7300万ポンドの増加。7月も週当たりの平均と畜頭数が8.8%増、枝肉重量が1〜1.5%増で推移しているため、月間で10%程度の増加となることが予測される。
生産の急増で豚肉の卸売価格は値下がりしている。新型コロナウイルスの拡大で外食需要が打撃を受け続けている中で、例年のこの時期よりも明らかに多くの豚肉が市場に出回っている。その影響を過剰に受けているのが、ベリーとモモの価格だ。
ベーコンは例年7〜8月に、供給の減少と外食・小売双方の需要増が相まって価格が上昇する。しかし今年は外食需要が少ないため、7月31日のベリープライマルは100ポンド当たり96.78ドル(前年同日比34%安)。ポークのカットアウト価格は65.31ドル(同25%安)、前年同日比21.3ドル安で、この下落の約3分の1はベリーによるものだ。
価格低迷が続いてきたハム(モモ)は、安値推移がメキシコやアジア市場向けの輸出増を後押しし、価格が持ち直しつつあったが、7月末に再び急落した。為替相場におけるメキシコ・ペソの弱さもあり、おそらく輸出バイヤーや国内のトレーダーの様子見感が強まったと見られる。
モモの最大輸出先であるメキシコ向けは、7月の週平均輸出量が1万2785トン。6月の同8803トン、5月の同4920トンを大幅に上回っている。中国向けを含めて輸出が堅調であるにもかかわらず、生体豚の先物価格は値下がりした。これは下半期の中国向け輸出に関する懸念が影響している。
中国向けは、これまでの増加基調が維持できるかどうか不透明だ。先週の中国向け出荷量は1万186トン、過去4週平均と比べると19%減だった。ほんの数週間前は2万2000トン近かったが、その後は期待外れが続いている。
中国・香港向け輸出の未出荷分は現在9万8327トン、ちょうど8週間分の供給量にあたる。米国の下半期の豚肉供給は昨年より多いため、国内販路の圧迫を防ぐためには、中国向け輸出の増加が不可欠だ。
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