米国の牛肉業界におけるCOVID-19パンデミックの影響は、最悪の状況から抜け出しつつある。しかし需給面で、短期的には解消できない課題が残されているのも現実だ。最大の課題はフィードロット内外で牛が滞留していること。出荷時期を過ぎた肥育牛の滞留は、推定で6月に20万頭減少したものの、いまだ80万頭に及んでいる。
アナリストは「肥育牛の滞留の解消は10月上旬までかかる」と指摘する。またフィードロット外の子牛の飼養頭数は昨年より103万頭多い。子牛が通常より長期間牧草地にとどまっていることは、今後の導入素牛が通常より重い状態でフィードロットに導入されることを意味する。
6月以降の導入頭数は、今後4カ月以内の出荷には影響しないが、11月以降の出荷には影響を与える。「夏から秋季の導入が例年通りのパターンであれば、冬季以降に出荷牛がかなり増える可能性がある」とアナリストは警告する。
肥育牛の滞留解消は、パッカーが少なくとも現在の水準以上のと畜頭数を維持することが焦点となる。6月から7月前半までの6週間のと畜頭数は、USDAの当初予想よりも6万6856頭少なかった。アナリストは「COVID-19関連で従業員の欠勤などが再び増加して、稼働率が低下する懸念は払しょくできない」と指摘する。
コロラド州立大のステファン・クーンツ氏によると、飼養頭数の多さと肥育の長期化によると畜時の重量増加が、直面する課題だという。「と畜重量は昨年の季節的な底に比べておよそ50ポンド重い。出荷頭数が減少しても、重量増で生産量は減らない可能性もある」とし、先物市場も回復が明確になるのは12月もしくは来年までかかるかも知れないと予想する。
一方で同氏は、ニューメキシコ州北部、コロラド州西部で発生している干ばつ状況も注視する必要があるという。東部で飼料用牧草の価格が緩やかながら上昇している。
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