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TRADER'S Be & Po

vol.360 Aug.11.2020
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 肥育牛価格、現金取引が小反発
豚肉の小売価格、卸売価格の急落後も高値続く
供給動向 牛肉業界、今後も続く課題は滞留と重量増
豚肉の供給潤沢、増加分の吸収は輸出市場がカギ
業界ニュース 牛肉・豚肉の生産量はV字回復へ
ポーク関連ニュース 豚生産者の損失、2020年は47億ドルに
ポークカットアウトと豚枝肉の価格差拡大
フードサービス TGIフライデーズがミールキット“Butcher Shop”拡大
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2020年6月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

肥育牛価格、現金取引が小反発

 
 

例年なら生体牛の現金取引価格は7月下旬に下げ基調となるが、今年は横ばいから小幅高で推移した。その要因は、先物取引で8月分契約が現金価格に対してプレミアムをつけていること。またパッカーマージンが依然として高いことで、肥育業者への値下げ圧力がなかったことだ。

生体牛価格(100ポンド当たり)は引き続き100ドルを割り込んでいるが、この3週間で約3ドル上昇した。7月第3週の主要5州の生体牛(去勢)平均価格は96.36ドル(前週比0.38ドル高)、枝肉価格は157.56ドル(同0.1ドル安)。

第4週は火曜日にサザンプレーンズで生体牛2万3725頭が95〜96ドル、アイオワ・ミネソタでは787頭が97〜100ドルで取引された。木曜はサザンプレーンズで96ドル、北部では98〜100ドル、枝肉で158ドルを付けた。

水曜日午前のFed Cattle Exchange Auctionでは422頭が96.09ドルで売買されたが、注目されたのは、売買牛の平均肥育日数が189日だったことだ。アナリストは「今後、150日以上肥育の牛の供給が記録的に高まるが、現状の高い出荷率を維持できれば、秋季には滞留が解消し、第4四半期には前年水準を下回るまで減少する可能性がある」という。

一方、ボックスビーフ価格は依然として前年を大きく下回っている。第3週のカットアウト総合(カット、ひき材、トリム)平均価格は100ポンド当たり202.01ドル(前年同週比4.3%安)。第4週は週前半4日間でチョイスが1.79ドル上昇し202.26ドルとなったが、セレクトは190.79ドル、0.48ドル高とわずかな回復にとどまっている。

 

※2020年7月27日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

豚肉の小売価格、卸売価格の急落後も高値続く

 
 

6月の豚肉の小売価格は、ポンド当たり推定4.25ドル(前年同月比8.3%高)。前月比では4.9%高となり、卸売価格が急落したにもかかわらず値上がりした。小売価格と卸売価格を算出するためのカット(部位)の構成が若干異なるものの、卸売価格はモモとベリーの値下がりで大幅に下落した。

6月の豚肉の平均卸売価格はポンド当たり0.685ドル(同14.7%安)、前月比35%安。ポークロイン、バット、ピクニックも値下がりしており、7・8月にはさらに価格が軟化する可能性がある。

豚肉の小売価格は変動が少ない傾向にある。象徴的なのは2014年の値動きだ(グラフ参照)。PEDv(豚流行性下痢症)によって高騰した卸売価格は、その後の供給回復で急落したが、小売価格が連動して下方調整されることはなかった。今回も同様の動きとなることが想定される。

過去3年間、堅調な輸出需要が豚肉の生産・供給拡大を支えてきた。豚肉小売価格が高騰したことで、今後の豚肉需要を底支えするには輸出ビジネスがこれまで以上に重要になる。

 

※2020年7月20日 Pork Merchandiser's Profit Maximizer

  豚肉の小売価格と卸売価格の推移
 
供給動向

牛肉業界、今後も続く課題は滞留と重量増

 
 

米国の牛肉業界におけるCOVID-19パンデミックの影響は、最悪の状況から抜け出しつつある。しかし需給面で、短期的には解消できない課題が残されているのも現実だ。最大の課題はフィードロット内外で牛が滞留していること。出荷時期を過ぎた肥育牛の滞留は、推定で6月に20万頭減少したものの、いまだ80万頭に及んでいる。

アナリストは「肥育牛の滞留の解消は10月上旬までかかる」と指摘する。またフィードロット外の子牛の飼養頭数は昨年より103万頭多い。子牛が通常より長期間牧草地にとどまっていることは、今後の導入素牛が通常より重い状態でフィードロットに導入されることを意味する。

6月以降の導入頭数は、今後4カ月以内の出荷には影響しないが、11月以降の出荷には影響を与える。「夏から秋季の導入が例年通りのパターンであれば、冬季以降に出荷牛がかなり増える可能性がある」とアナリストは警告する。

肥育牛の滞留解消は、パッカーが少なくとも現在の水準以上のと畜頭数を維持することが焦点となる。6月から7月前半までの6週間のと畜頭数は、USDAの当初予想よりも6万6856頭少なかった。アナリストは「COVID-19関連で従業員の欠勤などが再び増加して、稼働率が低下する懸念は払しょくできない」と指摘する。

コロラド州立大のステファン・クーンツ氏によると、飼養頭数の多さと肥育の長期化によると畜時の重量増加が、直面する課題だという。「と畜重量は昨年の季節的な底に比べておよそ50ポンド重い。出荷頭数が減少しても、重量増で生産量は減らない可能性もある」とし、先物市場も回復が明確になるのは12月もしくは来年までかかるかも知れないと予想する。

一方で同氏は、ニューメキシコ州北部、コロラド州西部で発生している干ばつ状況も注視する必要があるという。東部で飼料用牧草の価格が緩やかながら上昇している。

 

※2020年7月27日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

豚肉の供給潤沢、増加分の吸収は輸出市場がカギ

 
 

7月第3週の豚のと畜頭数は推定251万8000頭(前年同週比10%増)。前週(同7.2%増)に引き続き大幅に増加した。しかしUSDAの最新の飼養動向調査(6月1日現在)から推測される肥育豚の滞留を吸収するにはまだ十分でない。

6月1日から7月18日までの豚のと畜頭数は、推定1728万5000頭(同5.1%増)で、前年同期比で83万1880頭増加した。しかし同調査では、180ポンド超の飼養頭数は1468万7000頭(同12.8%増)で、昨年より167万頭多い。単純にみると、前年比増加分の半分ほどしか吸収できていない。

同調査によると、120〜179ポンドも前年比11.8%増、167万4000頭多い。このため、今後2〜3カ月間の潤沢な供給を吸収するためには、豚のと畜頭数は週当たり260万頭を維持する必要がある。7月中旬から8月末まで260万頭が維持できれば、前年同期比で100万頭増となる。それでも6月上旬から9月上旬までの推定出荷増(前年比約300万頭増)のうち、190万頭分しか吸収できない。

現在、8月の生体豚先物価格は大幅なプレミアムをつけている。輸出の増加という「希望」が先物価格の底支え要因だ。先週の豚肉輸出量は4600万ポンドを超え、前年同週の2倍、3月中旬以降では最高記録に達した。

この輸出量にはカナダ、メキシコ向けは含まれず、バラエティーミートも含まれていないが、すべての主要輸出先で大幅に増加している。モモとベリーの輸出も増加し、これによって危惧されていた「モモ30セント台、ベリー70セント割れ」を防いでいる。供給増の吸収には輸出需要がカギになりそうだ。

 

※2020年7月20日 Pork Merchandiser's Profit Maximizer

  週当たり豚と畜頭数の推移
 
業界ニュース

牛肉・豚肉の生産量はV字回復へ

 
 

米国の食肉業界は、COVID-19パンデミックが引き起こした混乱からV字回復へと向かっている。牛のと畜処理は全施設が稼働を再開し、能力の95%で稼働している。問題は需要、特にフードサービス市場の回復だ。

ソーシャル・ディスタンシングによる制限や、消費者が不要不急の外出を避けていることから、完全な回復には至っていない。COVID-19により数千万人が失業し、さらに政府の補償が今後減少する見通しであることから、今夏の牛肉価格には値下げ圧力がかかりそうだ。

それでもCoBank's社の調査によると、2020年の牛肉供給は緩やかな成長が予想されている。5・6月の牛の生体重量が前年同月比で5〜6%増加し、この傾向は夏期も継続するとして、2020年の牛肉生産量を1%増と予想している。

一方で豚肉生産者は、処理工場の閉鎖や稼働率低下によってサプライチェーンに滞留が生じ、数十万頭の安楽死に直面したが、3月下旬に前年の半分近くにまで落ち込んだ豚肉生産量は、2カ月後に前年水準まで回復した。第2四半期最終週には前年同週比10%増を達成している。

 

※2020年7月27日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
ポーク関連ニュース

豚生産者の損失、2020年は47億ドルに

 
 

全米豚肉生産者協議会(NPPC)は、COVID-19パンデミックと生体豚価格の下落に伴う養豚農家の損失は、2020年で47億ドルに及ぶとの見通しを示した。この推定は、Kerns & Associatesのエコノミスト、スティーブ・マイヤー氏がNPPCの記者会見で明らかにした。

同氏は、米国の養豚農家は過去2年間の報復関税問題によって財政状態が弱体化していた上に、今回のCOVID-19パンデミックで史上最悪の経済的打撃を受けるという。現在、豚の週間と畜頭数は250万頭を超えているが、依然として農場には200万頭の豚が滞留している。このことが大きな問題として顕在化しており、影響は2021年まで続く可能性があるという。

また同氏は、3月1日および7月10日のリーンホッグの先物価格と生体豚の実勢価格に基づいて分析を行った結果、2020年の養豚農家の収益見通しは、COVID-19の危機が始まる前の予想と比較すると、生産全体で50億ドル、または豚一頭当たり37ドルの損失が見込まれるとした。

NPPCのハワード・ロス会長は、米国の養豚農家の多くがこの危機を乗り越えられないだろうと語り、上院が次のCOVID-19の補償パッケージに着手するにあたり、生産者が受けている重大な打撃を軽減するため、全国の養豚農家に必要不可欠なライフラインを提供するよう国会議員に要請するとした。

7月上旬にジム・インホーフ上院議員らによって提案された「2020年生産者向けRELIEF法」の導入に続き、コリン・ピーターソン議員(民主党・ミネソタ州)の提案による連邦の追加支援を強く支持するとコメントした。

 

※2020年7月27日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

ポークカットアウトと豚枝肉の価格差拡大

 
 

食肉・食品関連情報の大手プロバイダー「Urner Barry」の分析によると、COVID-19による工場閉鎖と、それに伴う豚肉価格の乱高下の中で、豚肉のカットアウトと生体豚の価格差は5月11日に最大となり、ポークパッカーの推定マージンは過去最高に達した。

3〜4月に消費者が長期のロックダウンへの準備に動き、小売需要が急激に高まり、カットアウト価格は暴騰した。一方で工場の稼働率低下で生体豚価格は2002年以来の安値に急落。4月第1週からでマージンは急上昇し、わずか1カ月半で1頭当たり105ドル、約370%も上昇した。その後、33%の揺り戻しがあり、現在の1頭当たり70ドルまで低下したが、それでもこの時期の最高記録(2017年の40ドル)をはるかに上回っている。

  米国の豚の枝肉価格とカットアウト価格の推移 / ポークパッカーの推定マージンの推移
 
フードサービス

TGIフライデーズがミールキット“Butcher Shop”拡大

 
 

TGIフライデーズは、自宅で快適かつ安全に、同店の味が楽しめる新たなコンセプト“Butcher Shop”のメニューを拡大する。このコンセプトは、COVID-19パンデミックがピークだった4月に打ち出したもの。当時は多くの州で飲食店の店内営業が禁止され、食料品店でタンパク質の品不足が発生していた。

同社は、家庭での調理用に特別な食肉製品を提供することでニーズに応え、新たな販路を築いた。キットのラインナップは、プレミアムミート、シーフード、チキン、リブ、サイドメニューなど。いずれも自宅で簡単に調理できるように、あらかじめカットされて下味がつけられ、グリルするだけになっている。こうした製品は、パンデミックによるパニック買いが終わった現在も人気があり、今回、新たなキットを加えてメニューを拡大した。新キットの一部は以下のとおり。
サーフ&ターフキット:フラットアイアン・ステーキ2ピース、チキンブレスト4ピース、サーモンフィレ2ピース、ガーリックマリネのシュリンプ18ピース、サイドメニュー、サラダ、スティックパン、シーズニング、バター、TGI Fridays特製ウィスキーグレーズ付
オールアメリカン・チーズバーガーキット:7オンスバーガーパティ、ハッラーのバンズ、アメリカンチーズ、トッピング、ポテトチップス(4人前)
特製ウィスキーグレーズ・リブキット:下処理済み、再加熱用リブ4ピース、サイドメニュー、追加用TGI Fridays特製ウィスキーグレーズ付(4人前)
特製ウィスキーグレーズ・バーガー&チキンキット:7オンスバーガーパティ、チキンブレスト、ハッラーのバンズ、アメリカンチーズ、トッピング、ポテトチップス、特製ウィスキーグレーズ・ソース(6人前)
ステーキ&リブキット:リブ2ピース、フラットアイアン・ステーキ2ピース、サイドメニュー、サラダ、スティックパン、ウィスキーグレーズ・シーズニング。

 

※2020年7月22日 Foodmarket.com

 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ビーフ・ファクト・シート