USDA(米農務省)の最新の豚飼養動向調査(6月25日公表)を基に、今後の肥育豚の出荷を予想すると、年内は潤沢な供給が続き、減少に転じるのは来年第一四半期になると予想される。
最近の市況見通しでは、4・5月のと畜工場の稼働停滞で発生した肥育豚の出荷滞留の規模が焦点となる。6月1日時点の180ポンド超の肥育豚は前年同月比12.8%増、昨年より167万頭多い。通常、この重量区分の豚は6月から7月第1・2週の間に出荷される。
6月4週間のと畜頭数は前年同期比4.7%増・45万5000頭増。単純計算では7月1日時点で出荷待ちの豚が100万頭余り滞留していることになる。生体豚の現金取引価格が低い理由は、この出荷滞留とその解消が長期化すると見込まれるためだ。
120〜179ポンドの肥育豚も同11.8%増で、昨年より169万4000頭多く、7・8月は週当たり270万頭近いと畜頭数が必要になるが、それでも出荷遅れは完全には解消されない。50〜119ポンドは推定で3.4%増・67万7000頭増。これらは8月第3週から10月上旬に出荷されるが、昨年のこの期間の週間平均と畜頭数は約259万頭。生産者が積極的に出荷しても267万頭前後が限界だろう。
50ポンド未満は前年比0.2%減と推定されるが、わずか5万頭減だ。10月上旬から11月に出荷されるが、滞留がなかったとしても前年と同水準に近いと畜頭数が必要になるが、前年同期の週間と畜頭数は270万頭を超えていた。
6月1日時点の繁殖豚頭数は推定632万6000頭(前年同月比1.3%減)。調査公表以前のアナリストの予想平均は同1.9%減で、予想よりも母豚が減少していない。6〜8月期の分娩頭数は前年比4.6%減、9〜11月期は5.4%減と推定されている。一腹当たりの産子数を1%増と仮定すると、6〜8月期の子豚生産頭数は3.6%減、12〜2月期の出荷は約3.5%減となる。9〜11月の産子数も1%増であれば、2021年3〜5月期の出荷は4.5%減少する。週間と畜頭数は12〜2月期が260万頭割れ、3〜5月期は約240万頭と予想される。
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