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TRADER'S Be & Po

vol.359 July.28.2020
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 生体牛価格、先物反発で現金取引安定化
食肉の供給潤沢、ビーフカットアウトの値下げ圧力に
供給動向 肥育豚の滞留は年内続く、供給減は年末から来年に
トピックス 米国と日本の有機相互認証、有機畜産物の追加で合意
ワールドトレード USMCAが正式発効、食肉貿易は従来どおりゼロ関税
豪州の牛肉輸出、6月は米国がトップ、中国向け25%減
セーフティ関連 口蹄疫ワクチンの初回購入を発表―APHIS
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ポーク(2020年5月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

生体牛価格、先物反発で現金取引安定化

 
 

COVID-19のパンデミック発生以来、生体牛の先物取引価格が暴落し、それに連動して現金取引価格も100ポンド当たり100ドル割れまで下落。6月末には週間の安値記録を更新した。

肥育業者は、現物と先物のベーシス(価格差)を活用してヘッジ取引を行ってきており、工場閉鎖が続いた5月を除き、週を追うごとに下がっていく現金取引価格を受け入れてきた。

しかし先物の6月取引が終了し、期近が8月分取引に移ると、価格は急激な回復を見せた。7月6日の生体牛先物の終値は100ポンド当たり100.10ドルと100ドル台を回復。主要5州の現金取引価格96.21ドルを上回った。

ベーシスが急に縮小したことで、肥育業者は現金取引の値上げを試みたが、少なくとも南部平原(サザン・プレーンズ)では実現できなかった。しかし、先物の回復は、フィードロットの牛の滞留が解消できるとの見通しが強まっていることを示唆する。

先物価格は10月・12月取引分も上昇しており、7月第1週の現金取引もネブラスカやアイオワ・ミネソタでは反応をみせた。月曜には4458頭が枝肉価格100ポンド当たり160ドルで取引された。これは前週平均の154.78ドル(前週比5.92ドル安)から5.22ドル高。火曜、水曜はより活発な取引が行われ、枝肉は155〜160ドル、生体牛は99〜100ドルをつけた。

カンザスとテキサスでは価格維持に苦戦した。しかし、アナリストは「南部平原に対してコーンベルト地帯の価格にプレミアムがついていることは、長期的には価格が上昇局面に向かう兆候だ」という。

 

※2020年7月13日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

食肉の供給潤沢、ビーフカットアウトの値下げ圧力に

 
 

主要食肉の供給は潤沢で、卸売価格はいずれも前年を下回っている。このため、最も高単価な牛肉は今後数週間、豚肉や鶏肉に比べて値下げ圧力が強まる可能性が大きい。

7月4日までの累計牛肉生産量は前年同期比3.2%減。しかしと畜頭数の回復と、記録的に重い枝肉重量によって、現在の週間生産量は前年を上回る水準で推移している。豚肉の累計産量は同0.6%増、ブロイラーは3.1%増。すべての食肉供給が潤沢であるため、ボックスビーフの価格は値下がり傾向が続くだろう。

ビーフおよびポークのカットアウト価格は5月第3週に、いずれも最高値を更新したが、以降は暴落している。同週のビーフカットアウト平均価格は100ポンド当たり421.80ドル、6月最終週は206.82ドル(前年同週比3.2%安)。同期間のポークのカットアウト平均価格は115.12ドルから64.60ドル(同11.2%安)まで下落した。

豚肉・鶏肉の卸売価格が前年よりかなり安いことから、小売業者は今後数週間、牛肉の販促を控えるだろう。季節的にも7月は6月より牛肉需要が弱まる。チョイスのカットアウトは7月第1週の前半4日間で1.85ドル安の203.59ドル、セレクトは3.93ドル安の194.83ドル。と畜頭数が激減しない限り、7月いっぱいは値下がりが続くだろう。

 

※2020年7月13日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
供給動向

肥育豚の滞留は年内続く、供給減は年末から来年に

 
 

USDA(米農務省)の最新の豚飼養動向調査(6月25日公表)を基に、今後の肥育豚の出荷を予想すると、年内は潤沢な供給が続き、減少に転じるのは来年第一四半期になると予想される。

最近の市況見通しでは、4・5月のと畜工場の稼働停滞で発生した肥育豚の出荷滞留の規模が焦点となる。6月1日時点の180ポンド超の肥育豚は前年同月比12.8%増、昨年より167万頭多い。通常、この重量区分の豚は6月から7月第1・2週の間に出荷される。

6月4週間のと畜頭数は前年同期比4.7%増・45万5000頭増。単純計算では7月1日時点で出荷待ちの豚が100万頭余り滞留していることになる。生体豚の現金取引価格が低い理由は、この出荷滞留とその解消が長期化すると見込まれるためだ。

120〜179ポンドの肥育豚も同11.8%増で、昨年より169万4000頭多く、7・8月は週当たり270万頭近いと畜頭数が必要になるが、それでも出荷遅れは完全には解消されない。50〜119ポンドは推定で3.4%増・67万7000頭増。これらは8月第3週から10月上旬に出荷されるが、昨年のこの期間の週間平均と畜頭数は約259万頭。生産者が積極的に出荷しても267万頭前後が限界だろう。

50ポンド未満は前年比0.2%減と推定されるが、わずか5万頭減だ。10月上旬から11月に出荷されるが、滞留がなかったとしても前年と同水準に近いと畜頭数が必要になるが、前年同期の週間と畜頭数は270万頭を超えていた。

6月1日時点の繁殖豚頭数は推定632万6000頭(前年同月比1.3%減)。調査公表以前のアナリストの予想平均は同1.9%減で、予想よりも母豚が減少していない。6〜8月期の分娩頭数は前年比4.6%減、9〜11月期は5.4%減と推定されている。一腹当たりの産子数を1%増と仮定すると、6〜8月期の子豚生産頭数は3.6%減、12〜2月期の出荷は約3.5%減となる。9〜11月の産子数も1%増であれば、2021年3〜5月期の出荷は4.5%減少する。週間と畜頭数は12〜2月期が260万頭割れ、3〜5月期は約240万頭と予想される。

 

※2020年7月6日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  週当たりの豚と畜頭数の推移と推定される出荷頭数
 

※2020年6月1日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
トピックス

米国と日本の有機相互認証、有機畜産物の追加で合意

 
 

米農務省(USDA)は日本との有機相互認証の範囲を拡大し、有機畜産物を加えることで合意したと発表した。7月16日から施行される。これにより、オーガニック(有機)畜産物の二重認証の必要性がなくなり、費用や検査、事務手続きなどのコスト削減とプロセスの合理化が実現できる。

同省は「米国の有機農家に新たな市場を開くことは、USDAにとって常に優先度の高い課題だ。日本はすでに、米国の有機製品にとって重要な輸出市場の一つであり、互いに大切なパートナーだ。今回の認証拡大で、米国の有機畜産農家や米国の輸出者は3番目に大きな市場へ向けたアクセスが保護・拡大された」という。

米国と日本の二国間では、2014年以降、有機農作物については両国の有機基準(米国:NOP、日本:有機JAS制度)で認証することが可能になっていた。これに有機畜産物および有機畜産物を原料とする有機加工食品が追加された。

USDAは、カナダ、EU、日本、韓国、スイス、台湾などの主要な有機輸出市場と同等性の相互認証を合意している。今回の発表に先立ち、米国と日本の技術専門家が徹底した現地監査を実施し、規制、品質管理基準、認証条件、および表示方法に矛盾がないことを確認した。両国は今後も定期的な議論を続け、定期的に相互にプログラムを見直し、取り決めの条件が満たされていることを確認する。

 

※2020年7月14日 FOODSMARKET.com

 
ワールドトレード

USMCAが正式発効、食肉貿易は従来どおりゼロ関税

 
 

アメリカ・メキシコ・カナダ協定(USMCA)が7月1日から正式に発効した。26年間にわたり北米貿易へ適用されてきたNAFTAに代わる新協定は、2年間の交渉と、その後1年間の各国の批准作業を経て実効された。3カ国間の家畜の移動と食肉取引に関する規定は以前と変わらない。

この協定によって、米国の酪農生産者にカナダ市場が開かれ、メキシコでの労働基準が厳格化され、北米の製造品が奨励される。USMCAは3カ国間の多くの貿易において関税ゼロを維持し、米国の食肉・家きん製品のアクセスを保証する。

全米肉牛生産者牛肉協会(NCBA)の会長は、カナダの養牛協会会長、メキシコのCNOG会長との共同書簡で3カ国のリーダーへ感謝の意を表した。書簡には生産者と消費者の双方へ提供し続ける市場の自由によって、この3カ国は多くの国々の羨望の的になると記している。

メキシコとカナダは、米国の牛肉、豚肉の輸出先で上位4カ国に入り、食肉産業にとって北米市場はほとんど完全に一体化されており、この一体化が市場の長期的な成長能力にとって不可欠だった。

1994年のNAFTA発効以来、米国産牛肉のカナダおよびメキシコ向け輸出額は6億5600万ドルから2019年には17億5千万ドルにまで成長。豚肉輸出額は3億2200万ドルから20億ドルに拡大。2019年の輸出先別シェアでカナダとメキシコは牛肉で22%近くを占め、豚肉では30%を占めている。

 

※2020年7月6日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

豪州の牛肉輸出、6月は米国がトップ、中国向け25%減

 
 

豪州産牛肉の輸出動向をみると、6月の輸出(船積ベース)は比較的良好だったが、1〜6月累計は前年同期比では微減にとどまっている。MLA(豪州食肉家畜生産者事業団)によると、6月の牛肉輸出量は9万6500トン(同3%減)。東部で牛のと畜頭数が前年割れで推移(6月計で前年同月比8%減)する中で健闘した。

しかし今年は牛の供給がタイトになると予想される。また主要市場でCOVID-19の影響が長引くことで国外需要が変動する可能性もあり、今後数カ月間の輸出量は圧迫されそうだという。

6月の輸出先トップは米国で2万6000トン(前年同月比30%増)。しかし米国向けの1-6月累計は7%減少している。6月に輸出が上向いたのは、5月に米国の牛肉生産量が落ち込こんだことによるもので、米国の生産が回復していることから、7月の輸出需要は6月より抑制される可能性がある。

一方、5月に大手4工場からの輸出が一時停止された中国向けは1万7000トン(同25%減)と急減した。中国市場の変動性が高まりと、4工場の一時停止による影響が明らかになる中で、中国向けの輸出に変化が起きている。

4工場は中国向け牛肉輸出のおよそ20%を占め、うち3工場はクイーンズランド州にある。6月の中国向けのうち、クイーンズランド州のシェアは45%にまで落ち込み、ビクトリア州とニューサウスウェールズ州のシェアが拡大した。クイーンズランド州からの輸出は米国と韓国へシフトしているという。

今年の輸出量は総じて減少しているものの、輸出額は好調に推移しているという。国内の牛価格の高騰と、豪ドルの弱さによって輸出額は上昇。5月までの累計輸出額は43億ドル、前年同期比14%増。

 

※2020年7月13日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
セーフティ関連

口蹄疫ワクチンの初回購入を発表―APHIS

 
 

米国農務省・動植物検疫局(USDA/APHIS)は、全米動物ワクチン対策バンク向けの初のワクチン購入を発表した。APHISは疾病発生時の家畜保護と蔓延防止に使用することを想定し、口蹄疫ワクチンに2710万ドルを投資する。

口蹄疫(FMD)は、牛、豚、羊などの偶蹄類の動物が罹るウイルス性感染症。食品安全や人間の健康を脅かすものではない。しかし、口蹄疫は世界の多くの地域の風土病であり、発生すると即時に輸出市場を失うなど、家畜や農業に広範囲かつ長期的な影響を及ぼす。

APHISの担当次官は「1929年以降、口蹄疫の国内侵入を防御している。今後も防御することを確信しているが、仮に疾病が侵入した場合にワクチンがあるというのは重要な保険だ。使用については状況次第であり、罹患した動物の業界と連携して注意深く対処する」としている。

口蹄疫ワクチンバンクの設立は、全米豚肉生産者協議会(NPPC)の長きにわたり最優先課題だった。2018年の農場法で、口蹄疫ワクチンバンクに5年間で1億5000万ドルの資金提供が定められた。

アイオワ州立大の研究によると、FMDが発生すれば、牛肉・豚肉分野の損失は計1280億ドル、トウモロコシ・大豆の生産農家の損失はそれぞれ440億ドル、250億ドルにのぼり、農業全体で10年間に150万人以上の雇用損失をもたらすとしている。今回のワクチン購入に対しては、全米肉牛生産者牛肉協会(NCBA)も歓迎、評価するコメントを発表している。

 

※2020年7月9日 FOODSMARKET.com

 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ポーク・ファクト・シート