食肉供給が短期的にひっ迫し、牛肉・豚肉ともに卸売価格が暴騰している。5月第1週の牛肉生産量は、3億6700万ポンド(前年同週比31%減)。3月最終週に比べると1億9700万ポンド・35%減。豚肉生産量も3億8100万ポンドで同2億1600万ポンド・36%減と激減した。
大幅かつ急激な供給減少によって実需者の必需買いが殺到し、先物取引で販売された製品やフォーミュラ取引の製品を含めて、近年に類を見ない大規模な買い戻しラリーが展開された。
供給減少が劇的だったため、スポット市場での取引に回る供給量は最小限にとどまり、この数日間、牛肉・豚肉製品の取引はオークション(競り上げ)状態となって急上昇した。
数週間前、ポークベリー価格は100ポンド当たり30ドル台だったが、今や200ドル超をつけている。下図が示す通り、現在の価格高騰は、供給不足と需要の固定化の相関によるものだ。
農場の家畜は不足していない。問題は処理能力がどれだけのスピードで回復できるかだ。それによって今夏の価格動向も左右される。今後のリスクは、と畜頭数が回復し始めた時に、現在の価格水準と需要にギャップが生じて変動性が増大し、乱高下につながる可能性があることだ。
最も懸念されるのは、と畜頭数の急激な減少によって生体の在庫が膨らんでいることだ。170万〜190万頭の豚の出荷が滞留しており、5月のと畜頭数が必要水準に達しないと、その数は増加し続ける可能性が高い。
先物市場は現在、見通しが非常に不安定だ。一方で、カットアウト価格に連動するフォーミュラ取引では、カットアウト価格の高値が生体豚価格の下支えに役立っているが、メモリアルデーの需要は不透明感が強い。
モモの価格は、全体のラリーより遅れて推移している。除骨やトリミングに必要な労働力が不足しているためだ。加工ラインの人手不足は一部のカットの価格を高止まりさせる可能性がある。
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