米国食肉輸出連合会(USMEF)は、新型コロナウイルス感染(COVID-19)が世界中に広がり続けている中で、海外の顧客が米国のサプライチェーンに懸念を抱いていることを理解しています。そこで、COVID-19に関連する影響とその対策を知っていただくための情報をまとめました。
米国の食肉業界は米国産食肉の信頼性、一貫性、安全性を確保するために、各種の対策を行っています。政府と関連機関・食肉業界が食肉輸出のサプライチェーンを保護、サポートするために行っている主な対策は以下のとおりです。
◎食肉業界を重要なインフラ産業と位置付け
ホワイトハウス・コロナウイルス特別委員会とアメリカ疾病管理予防センター(CDC)は、「大統領のアメリカ向けコロナウイルス・ガイドライン―コロナウイルスの蔓延を遅らせるための30日間」と題したリリースを発表。この中で、食糧を供給する会社は重要なインフラ産業の一部であると述べています。 (https://www.whitehouse.gov/wp-content/uploads/2020/03/03.16.20_coronavirus-guidance_8.5x11_315PM.pdf)
国土安全保障省(DHS)も、農業や食料を含む重要なインフラ産業を特定し、下記のガイダンスおよび付随するリストを発表しています。 (https://www.cisa.gov/sites/default/files/publications/CISA_Guidance_on_the_Essential_Critical_Infrastructure_Workforce_508C_0.pdf)
北米食肉協会(NAMI)はこれらの取り組みを支援するため、重要なインフラ産業指定の中に食肉業界のサプライヤーを含めることの重要性を強調する覚書をDHSに提出しました。 (https://www.meatinstitute.org/index.php?ht=a/GetDocumentAction/i/166350)
自宅待機命令を発出する州が増え続けている中で、従業員が「重要なインフラ産業」と見なされる仕事に従事できるようにするための対策が講じられています。覚書には、従業員が出・退勤中に移動を止められた場合に、当局に提供するための雇用主からの書類や、重要なインフラ産業に関連する供給品の発送についての文書が含まれます。
米国農務省・農業マーケティング局(AMS)は覚書を発行し、米国農務省の職員が自宅待機期間中も勤務することを許可しています。 (https://www.meatinstitute.org/ht/a/GetDocumentAction/i/166537)
AMSは、牛肉の格付け、プログラムおよび輸出認証など、食肉生産の鍵となるサービスを提供しています。これを促進するために、輸出認証プログラムの監査プロセスに変更を加え、必要な監視を行い、運用を継続できるようにしました。 (https://content.govdelivery.com/accounts/USDAAMS/bulletins/2835604)
各種食品業界団体も同じように、食品(人間用および動物用)、飲料、消費者向けパッケージ製品などの製造業者には集会および外出制限禁止令を免除するよう求める文書を、連邦、州、地方自治体に送付しました。(http://www.meatinstitute.org/ht/a/GetDocumentAction/i/166354)
この関連では、全米知事協会が開設したコロナウイルス・ウェブサイトで州別の関連情報などを提供しています。(https://www.nga.org/coronavirus/)
◎サプライチェーン対策―陽性者判明でも検査・生産を継続
米国農務省・食品安全検査局(FSIS)は、工場内の検査官または工場の従業員がCOVID-19陽性と判明した際に発生する可能性がある問題に対して、非常に積極的な対処を行っており、食肉のサプライチェーンがCOVID-19のパンデミックにあっても機能し続けることを保証しています。さらにFSISは消費者に情報を提供して、食肉や家禽肉、および梱包材がCOVID-19の公衆衛生上のリスクを引き起こさないようにしています。
米国農務省(USDA)は、食糧生産とCOVID-19についてよくある質問の情報サイトを設置しています。(https://www.usda.gov/coronavirus)
ここではすべてのUSDA機関からの情報を網羅して、食糧生産とCOVID-19に関する消費者の懸念に対応しています。3月17日、USDAはさらに、食品安全担当副次官とマーケティング・規制プログラム担当次官から業界に向けた書簡を公開し、USDAがCOVID-19によるサプライチェーンへの課題に対処することを保証しています。 (https://www.usda.gov/media/press-releases/2020/03/17/usda-ensures-food-safety-during-covid-19-outbreak)
FSISは、下記を含む政府機関のCOVID-19対策について、定期的に業界と連絡を取り合っています。
►検査官が、食肉施設での輸出証明を含む検査活動を実施できるようにし、また生産を妨げないように検査官の欠勤に備えています。これには、FSISの出張所が現場のスタッフを動員して、COVID-19検査で陽性となった検査官を交代させることができるという事項も含まれています。
►FSISは、従業員または検査官のCOVID-19陽性が判明しても、いかなる施設にも生産の一時停止は要求しないと述べています。
►FSISの検査官と工場の管理者は、陽性反応を示した従業員または検査官について、該当する同僚やその他の通知が行われるように、定期的に連絡を取り合います。FSISの検査官は、工場の従業員と同じく、工場に入るときには定められたCOVID-19スクリーニング措置(温度測定、口腔症状の調査など)を受けることになっています。
◎生産・供給・物流の安定化に注力
米国での食品の需要がフードサービスから小売りへと劇的に移り変わったため、FSISは製品のラベルおよびパッケージについての規制を柔軟に運用し、本来はフードサービス向けに生産された製品を小売り向けに移行できるようにしました。FSISの規制に関する最新情報のページに詳細が記載されています。 (https://www.fsis.usda.gov/wps/wcm/connect/7169d91b-01d3-488f-ab44-a79c481a074b/ConstUpdate-03272020.pdf?MOD=AJPERES&CONVERT_TO=url&CACHEID=7169d91b-01d3-488f-ab44-a79c481a074b)
米国の食肉施設では、COVID-19陽性の従業員が出た場合を想定し、生産に与える影響を限定的にするための対策を確認しています。
食品飲料流通連盟(FBIA)は、企業の従業員がCOVID-19陽性となった場合の業界推奨プロトコルと、従業員同士の物理的な距離を確保するための緊急対策を発表しました。(https://www.feedingus.org/)
米国食品医薬品局(FDA)とCDCは、必要なリスクの防止と評価方法に関するメーカー向けのガイダンスも掲載しています。 (https://www.fda.gov/food/food-safety-during-emergencies/food-safety-and-
coronavirus-disease-2019-covid-19) (https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/php/risk-assessment.html)
業界は、従業員がCOVID-19陽性となった場合、または従業員や検査官が感染のリスクにさらされた場合に備えて、最適な実践の手引きを作成しました。 (https://static1.squarespace.com/static/5e7d1107dac60a6b3e3f098d/t/5e8664c27e5db072ad336918/1585865924826/FBIA+COVID19%2BCase+Recommended+Protocols_2April20+Version+4.pdf)
この手引書は、FBIAウェブサイト(https://www.feedingus.org/)で定期的に更新されています。これには、COVID-19陽性および感染のリスクにさらされた従業員の検疫措置、洗浄と消毒の手順、食品の処分、そして従業員や検査官が仕事に復帰することを許可する時期に関するガイダンスが含まれています。
米国の食肉業界は、米国運輸省(DOT)、連邦自動車輸送安全局(FMCSA)、連邦海事委員会(FMC)およびその他の輸送機関と協力して、安全で効率的な食品供給・輸送を確保しています。多くの州で自宅待機命令が出されている中、トラック運転手、港湾作業員、物流業界などの多くの労働者が、米国内外で食品を流通させ続けるために不可欠かつ重要な存在と見なされています。そのために、以下のような対策が行われています。
►米国運輸省は、トラック運転手の勤務時間を延長し、期限切れになった商用運転免許証(CDL)の延長を許可しています。
►州境や国境を横断することを禁じる在宅命令から、トラック運転手を免除しています。
►港湾労働者を「必須の従業員」と見なし、貨物港がフル稼働できるように、在宅命令から免除しています。
►米国産業界は、米国農務長官、国家経済評議会理事長、FMCに書簡を送り、遅延コンテナの滞納請求を放棄するように求めました。
その他のCOVID-19関連情報は下記を参照下さい。
北米食肉協会 「コロナウイルス情報ページ」: https://www.meatinstitute.org/index.php?ht=d/sp/i/164447/pid/164447
全米肉牛生産者・牛肉協会「COVID-19に関する質問と回答」: https://www.ncba.org/CMDocs/BeefUSA/Publications/COVID-19%20Talking%20Points_032720-07.pdf
全米豚肉委員会「COVID-19について知っておくべきこと」: https://www.pork.org/public-health/what-you-need-to-know-about-covid-19/
グローバル・コールド・チェーン・アライアンス「Coronavirusについて」: https://www.gcca.org/resources/responding-coronavirus
アメリカ疾病予防管理センター(CDC)
「コロナウイルス(COVID-19)ウェブサイト」: https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/index.html
CDCのコロナウイルス感染状況の要約 https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/cases-updates/summary.html?CDC_AA_refVal=https%3A%2F%2Fwww.cdc.gov%2Fcoronavirus%2F2019-ncov%2Fsummary.html
CDC 「コロナウイルスに関する事実を知り、噂の蔓延を阻止するために」 https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/daily-life-coping/share-facts.html?CDC_AA_refVal=https%3A%2F%2Fwww.cdc.gov%2Fcoronavirus%2F2019-ncov%2Fsymptoms-testing%2Fshare-facts.html
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