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TRADER'S Be & Po

vol.352 Apr 2.2020
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
トピック 3月第2週の食肉販売77%増、COVID-19対応で
市況ニュース 新型コロナの影響拡大、牛肉需要に脅威
豚肉価格は小売が下支え、ベリーは外食需要悪化響く
業界ニュース サプライチェーン維持が牛肉業界の焦点に
景気後退で需要に打撃か、労働力にも懸念
ポーク関連ニュース 2月末の豚肉在庫7.5%増、2015年4月以来の高水準
フードサービス 2020年の外食市場、11〜27%のマイナス成長予想
USMEFインフォメーション 4〜6月に消費者向け 春夏キャンペーンを展開 ビーフ300kg、ポーク1トンの山分けプレゼント
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2020年1月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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トピック

3月第2週の食肉販売77%増、COVID-19対応で

 
 

COVID-19関連対策として、学校閉鎖やソーシャル・ディスタンシング(社会的距離)などの措置が強化された3月第2週(15日までの週)に、食肉の販売額・取引量は急拡大した。長期化する自宅待機やリモートワーク、レストランの営業停止に備え、全米規模で食肉類のストック買いが起こり、小売業者は食肉売場の商品補充に追われた。

データ分析会社のIRI社によると、3月第2週の食肉類の販売は前年同週比76.9%増という驚異的な増加を示した。販売量は68.7%増。パッカーはと畜能力を増強し、卸売業者は外食から小売店へ供給をシフトすることで実現した。

デリ・ミートも40.4%増加。チルドビーフ、ポーク、チキン、ターキー、ラム、スモークド・ミート、デリ・ミートなど全ての肉類が買われた。

同週の販売額トップ5は牛ひき肉(1億7910万ドル増)、チキンブレスト(8950万ドル増)、ポークロイン(3690万ドル増)、チャック(3630万ドル増)、リブアイ(3160万ドル増)。トップ10品目ではこれにビーフラウンド、ショートロイン、ターキーひき肉、調理済み牛肉、チキンウイングが加わる。

用途が広く調理が簡単なことから、ひき肉の販売は肉の種類に関係なく増え続けている。伸び率は牛ひき肉99.7%増、ターキーひき肉87.3%増、鶏ひき肉88.3%増、豚ひき肉69.9%増、ラムひき肉53.2%増。

同週のチルドビーフの販売額は9億ドルに達し、前年同週比73.1%増・3億7600万ドル増加した。過去12週間のスパンで見ると9.8%増、同4週間では23.4%増。販売量は59.2%増。

牛肉の売上構成で40%超を占める牛ひき肉は、同99.7%増・1億7900万ドル増と倍増した。2位のチャック、3位のリブアイに比べて販売額は小さいものの、伸び幅の高いのはフランク・プレート102.3%増、サーロイン100.2%増、リブ94.0%増、ブリスケ・シャンク89.1%増など。

チルドポークの販売額も同89.2%増・8790万ドル増と急拡大。豚肉販売高の45%を占めるポークロインは同77.2%増・3690万ドル増。次いでポークリブ112.4%増・1760万ドル増、ショルダーブレード117.0%増・1200万ドル増。

 

※2020年3月26日 FOODMARKET.com

 
市況ニュース

新型コロナの影響拡大、牛肉需要に脅威

 
 

COVID-19の感染拡大による日常生活への影響がいつまで続くのかは予測できない。外食産業では牛肉の需要が悪化し、逆に小売では牛肉の販売が爆発的に伸びている。牛肉輸出は3月中旬までで、前年同期比10%増と今のところ大きな影響は表れていない。

今後数週間、感染の危機が拡大するにつれて出張や会議が大幅に削減されることで、ホテルやレストランが最も深刻な打撃を受けるだろう。特にビジネス客の依存度が高い高級レストランやファミリー層を引き込むカジュアルダイニング店にとって、外出抑制は大きな痛手だ。一部のレストランは、カーブサイド・ピックアップ(駐車場での商品受け取り)や宅配で損失の緩和を試みている。ファストフードはドライブスルーが頼みの綱だ。

一方、小売では食肉類の販売が急増している。この2週間、多くのスーパーで食肉のショーケースが空になった。3月15日までの1週間の牛肉販売増加を受け、先週は小売業者の補充買いが殺到。ビーフのカットアウト価格は1996年の調査開始以降で最高値を記録し、先週の月・火(16、17日)も続騰した。

先週月曜日に、チョイスのカットアウトは100ポンド当たり16.22ドル高、セレクトは同14.73ドル高と急騰。火曜日にはチョイスがさらに15.57ドル高、セレクトは12.61ドル高と続伸。2日間の取引量は433ロード(≒コンテナ)と記録的な数量に達した。

カットアウトが3日間連続で急伸したのは、2003年10月以来のこと。同年5月にカナダで初のBSEが発生し、北米の牛肉供給がひっ迫したことが要因だったが、当時の3日間計の上昇幅は7.60〜8.80ドル高だった。

先週月・火曜日の取引は、実質的にすべてが小売による補充買いだったが、アナリストは「短期的にそれほど大量の食肉を仕入れるのは物流上困難。小売業者は少なくとも、もう1週間は食肉のショーケースやバックルームを完全に補充することはできない。しかし、外食需要が激減している中で、食料品店での牛肉販売が鈍った時、カットアウト価格は急反落する恐れがある」と予想する。

 

※2020年3月23日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

豚肉価格は小売が下支え、ベリーは外食需要悪化響く

 
 

消費者のパニック買いで、ポークの一部品目の価格上昇が顕著になった。下図は非常事態宣言が出された3月13日以降のポーク・プライマルカットの価格上昇の違いを示している。バットは対3月13日比で39%高、ロインは31%高。

この価格上昇は長くは続かないだろう。すでに小売業者は供給が潤沢であることがわかり、価格は軟化する兆しを見せ始めている。フードサービスの需要減は劇的だ。多くの店舗が次々に営業を停止し、パッカーと卸売業者の段階で注文の取り消しが相次いでいる。

卸売価格の急騰で、小売価格も高騰する。小売業者がいち早く実質的な値上げを実施する手法は販促の中止だ。3月27日までの週の小売における牛肉販促活動指数は前年比、過去5年平均比ともに約47%減と史上最低を記録。豚肉販促指数も前年比39%減、過去5年平均比52%減となった。

1週間前の消費者調査では、消費者の約51%がまだストックができていないと答えており、まだ多少は備蓄買いが続くかも知れないが、これもやがて終わりを迎えるだろう。

先週の失業保険申請者数は、前週の約26万8000人に対して約330万人に達した。消費者の家計ショックとフードサービス需要の急激な落ち込みが、食肉価格にも波及するだろう。

フードサービスの需要減少は、今後数週間でより顕在化するだろう。多くのレストランが宅配やピックアップビジネスを試みているものの、実際に体制が整っている企業は少ない。需要の落ち込みを最もよく表しているのは50CL(高脂肪牛ひき材)とポークベリーだ。

ベーコンの70%はフードサービスで売られていると推定されている。フードサービス需要が半減する恐れがあり、年始に120セットと予想されていたベリープライマルの価格は、3月13日対比で60%を割り込んでいる。

 

※2020年3月30日 Pork Merchandiser's Profit Maximizer

  豚肉の主要部位の価格推移 (3月13日対比)
 
業界ニュース

サプライチェーン維持が牛肉業界の焦点に

 
 

スーパーでパニック買いが起きて食肉のショーケースが空になる今、米国の牛肉業界では、農場から食卓までというサプライチェーンの維持を保証できるかが大きな焦点になっている。連邦政府は先週、日常的な食品は牛乳から卵や食肉にいたるまで十分に供給できると強調した。

食肉最大手のタイソン・フーズは先週、全米で食肉は不足しないと保証し、さらに努力していくとコメントを発表した。自社のブログで「米国の食品供給は十二分にある」と投稿。「需要の増加に応えて今後の安定的供給を確実にするため、我々は様々な手段を講じている。供給できる食品は十二分にある」とし、「レストラン向けに供給していた鶏肉、牛肉、豚肉製品を食料品店向けに生産をシフトさせる予定だ。過去にもこうしたことはあったが、今回のようなスケールは未だかつてない。これまでで着手した中で最大のシフトだ」としている。

パッカーは、労働者がコロナウイルス(COVID-19)検査で陽性となった場合にも工場の稼働を続け、閉鎖しないための措置を講じている。タイソンは全米の140施設で来訪者を禁止、メンバーには体調不良の際は自宅待機するよう要請。工場に入る前の全員検温も2工場で実施しており、可能な限り早く全施設に拡大するという。

NCBA(全米肉牛生産者牛肉協会)は、牛肉のサプライチェーンが円滑に機能していることを確認するために、多くの連邦政府機関と毎日連絡を取り合っている。NCBAの政府担当バイスプレジデントであるイーサン・レーン氏は「最優先事項はサプライチェーンの維持だ。同時に市場動向と牛肉価格の監視も続けている。現時点ではシカゴ商品取引所から先物市場の変化は予測されておらず、先物市場を閉鎖することは賢明ではない」と話す。

また、NCBAは肉牛生産者や関連産業に対し、必要に応じて財政的支援や救済を提供するためのさまざまな方法についても議論している。家畜取引市場に関しては、集会の制限から免除されているため、運営は継続できるという。

2〜3月は年間で最も生産が落ち込む時期だが、と畜頭数は前週の63万5000頭から65万2000頭に上方修正され、パッカーは積極的な生産スケジュールを維持している。カナダとの国境閉鎖は、牛や牛肉の貿易には支障がない。

アナリストは、「現時点では需要の破壊の程度を示すことは不可能だ。カットアウトが先例のない高騰を見せたが、パイプラインが補充されれば失速する。消費者の可処分所得が圧迫されることから、他の食肉と牛肉の価格差が需要を左右する。買いだめは将来の需要の“借り”だ。近い将来に起こるビジネス活動の停滞により、第2四半期の米国および世界のGDPが大幅に低下し、恐らく前例のないコストが発生するだろう」と懸念している。

 

※2020年3月23日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

景気後退で需要に打撃か、労働力にも懸念

 
 

米国経済が今年中に景気後退へと陥る可能性が濃厚になってきた。これまで一部のエコノミストは、米国の第2四半期のGDPを前年比2%増としていたが、今やその予測はマイナス10〜15%だ。連邦政府は先週、最悪のシナリオ下では失業率が20%になるとの警告を発した。牛肉の中・長期的な需要減を警戒する必要がある。

食品医薬品局(FDA)は、食品施設における労働力の安全確保と、食品製造業者が施設への来訪者数を制限するためのプログラムのために、定期的な施設検査を見送り、“必要不可欠”な検査のみを継続するという。海外で行う全ての食品安全検査は少なくとも4月末まで休止する。

空港および港湾における輸入品への食品検査は、通常の国内業務の一環として継続される。FDAは、食品または食品包装がCOVID-19の感染に関連しているという証拠はないとしている。

食肉加工工場では労働力不足の懸念も起きている。全米豚肉生産者協議会(NPPC)によると、COVID-19によって国務省がメキシコでのビザ申請手続きの一時停止を決定したことで、豚肉業界のみならず米国の農業全体で労働力不足が悪化する恐れがあるという。

 

※2020年3月23日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
ポーク関連ニュース

2月末の豚肉在庫7.5%増、2015年4月以来の高水準

 
 

2月末の豚肉在庫は6億6170万ポンド(同7.5%増)、過去5年平均比で6.4%増と大幅に増加した。2015年4月以降で最も多い。国内生産量が前年水準を大幅に上回っており、在庫が膨らんだ。現在は好調な小売需要が支えとなっているものの、ベリーなど在庫過多状態になっている部位は、販促や輸出増への取り組みが必要になるだろう。

ハム(モモ)の在庫は1億1910万ポンド(同6.8%減)。前月比では3.9%増、過去5年平均比では13%増。ベリーは7440万ポンド(同38%増)、5年平均比では50%増。リブは1億4160万ポンドでほぼ前年並み。好調な小売需要が今春のリブの価値を支えているが、ロースも供給増で4950万ポンド(同27.9%増)と在庫が重荷になっている。

なお、牛肉在庫は4億9090万ポンド(前年同月比3.6%増)、過去5年平均比0.9%増。内訳は骨なし4億5680万ポンド(同2.5%増)、骨付き3410万ポンド(同20.3%増)。牛肉生産量が前年を上回っている中で、1月から2月上旬にかけて輸入量が多かったことで、在庫が積み増しとなった。

 

※2020年3月30日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  豚肉の月末冷凍在庫の推移
 
フードサービス

2020年の外食市場、11〜27%のマイナス成長予想

 
 

COVID-19はフードサービス業界全体に重大な影響をもたらし続けることになるだろう。その影響範囲を理解するため、テクノミック社は数々のシナリオをモデル化した。現在予想される影響は、年率11〜27%のマイナス成長だ。

旅行やレジャーへの打撃が最も大きいことに疑いの余地はない。フードサービス分野は、オフィスの閉鎖や工場の営業停止の影響を強く受けており、学校給食関連の損失も深刻になりそうだ。

学校が地域の貧困層に給食の提供を続けていることで、若干は緩和される可能性もあるが、外出禁止令を出す地方自治体や州が増加しているため、フードサービス業界は228億ドルの機会損失に直面している。

レストラン店内での食事サービスの禁止や厳密な定員制限の設定、あるいはドライブスルーや配達サービスを主軸とするよう求める州が日ごとに増えている。DoorDashやGrubhubなどの配信アプリは、レストランに対し休業中の手数料を撤廃、一時停止、または削減すると発表している。

フードサービス業界がこの嵐を乗り切るために、レストラン事業者に迫られているのは「完全な営業停止」か「テイクアウトやデリバリーに軸足を据える」かの選択だ。サプライヤーに必要なのは、COVID-19への対応と組織内で行われている安全対策について、すべての取引先と透明性を保つこと、業界の縮小予想に基づき計画の調整を始めること、より配達向けの製品などミクロでニッチな機会を模索することだ。

 

※2020年3月25日 FOODMARKET.com

 
USMEFインフォメーション

4〜6月に消費者向け 春夏キャンペーンを展開 ビーフ300kg、ポーク1トンの山分けプレゼント

 
 

米国食肉輸出連合会(USMEF)は、食肉の大きな需要期である夏に向け、アメリカンビーフならびにアメリカンポークの消費者向けキャンペーンを実施します。4月より交通広告に加え、ウェブバナー及びInstagram、Facebook等のソーシャルメディアを通し、キャンペーンを盛り上げます。各キャンペーンの概要は以下のとおりです。

「ごちそうステーキ肉が当たる!アメリカンビーフ300kg山分け!プレゼントキャンペーン」

期  間: 2020年4月1日(水)〜6月30日(火)23:59まで
賞  品: 4月=アメリカンビーフヒレステーキ(テンダーロイン)600g 100名
5月=アメリカンビーフサーロインステーキ(ストリップロイン)1kg 120名
6月=アメリカンビーフリブロースステーキ(リブアイロール)1kg 120名

応募方法: パッケージにキャンペーンシールの付いたアメリカンビーフを購入。シールに記載の二次元バーコードで応募ページにアクセス後、シリアルナンバーを入力して応募すると、その場で結果がわかります。

キャンペーンサイトURL
https://www.americanmeat.jp/csm/topics/beef_steak_yamawake_cp/

問い合わせ: アメリカンビーフキャンペーン事務局 TEL03-6447-3847(平日10時〜17時土・日・祝日除く)

「ごちそうステーキ肉が当たる!アメリカンビーフ300kg山分け!プレゼントキャンペーン」

【アメリカンポーク1トン山分けパネルクイズキャンペーン】

期  間: 2020年4月1日(水)〜6月30日(火)23:59まで
賞  品: アメリカンポーク1kg 1,000名(キャンペーン期間中合計)
【アメリカンポーク1トン山分けパネルクイズキャンペーン】

Wチャンス賞:アメリカンポーク詰め合わせ3kg 30名(毎月10名×3カ月)

参加方法:キャンペーンサイトにあるパネルクイズに正解し、ルーレットで当たりが出ると、アメリカンポーク1kgをプレゼント。期間中毎日、どなたでも参加でき、結果はその場でわかります。また、クイズに正解し、パネル上のごちポを揃えると、1列を1口としてWチャンスに自動エントリーされ、毎月抽選でアメリカンポーク詰め合わせ3kgが当たります。

キャンペーンサイトURL
https://cp2.americanmeat.jp/csm/present/200401/

問い合わせ:アメリカンポークキャンペーン事務局 TEL03-4334-3937
(平日10時〜17時土・日・祝日除く)

 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ビーフ・ファクト・シート