新型コロナウイルス(COVID-19)による感染症が中国以外にも拡大していることは、食肉の需要悪化の前兆であり、豚肉の今後の価格予想を下方修正する必要があるだろう。
この感染症によって最も強い値下げ圧力を受けるのは牛肉需要だ。感染症発生国においては、外食需要が多大な影響を受けている。中国、韓国、イタリアで起きている状況が世界の他の国々にも広がる可能性がある。
近年、外食でも豚肉の使用が増えているが、依然として豚肉は小売品目としての傾向が強い。全米豚肉委員会(NPB)の調査では、チルドポークの約7割は小売チャンネルで販売されている。加工品(サラミ、ホットドッグ、ハム等)も外食や小売で販売されている。
また輸出もこの10年間で米国産豚肉の主要市場となった。12月の輸出量は豚肉生産量の28%に相当し、過去最高を記録している。これらの点からも、今年の第2四半期の肥育豚および豚肉価格は、小売と輸出がカギになるといっても過言ではない。
最新の調査によると、第2四半期の豚と畜頭数は前年同期比3.8%増と予想されている。生体重量がやや前年を下回ると仮定した場合、豚肉生産量は約68億4700万ポンド(前年同期比3.5%増)。これは2019年より2億3200万ポンド多く、2018年より5億ポンド余り多い。
この点で、輸出は非常に重要だ。世界農業需給予測(WASDE)によると、2020年の全米の豚肉輸出は前年比16.7%増。第2四半期の輸出を17%増とすれば、豚肉輸出は2億6500万ポンド増えることになるが、それでもなお記録的な水準の豚肉が残る。
第2四半期の輸出が30%の大幅増と仮定しても、国民一人当たりの消費可能量は2016、2017年と同等の水準となる。グリルシーズンへ向けた豚肉の供給は依然として潤沢だ。
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