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TRADER'S Be & Po

vol.351 Mar.16.2020
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 新型コロナウイルス拡大で各市場総崩れ
底値を探るビーフカットアウト、牛ひき材急落
豚価格は輸出と小売がカギ、新型コロナが値下げ圧力
ポーク関連ニュース 豚肉の在庫増加、ベリー31%増、ロイン43%増
業界ニュース 3月は全米デリ・ミート月間―2団体が共同キャンペーン
生産動向 フィードロット飼養頭数、過去4番目の多さ
USMEFインフォメーション 4〜6月に「春のアメリカン・ビーフキャンペーン」
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ポーク(2020年1月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

新型コロナウイルス拡大で各市場総崩れ

 
 

新型コロナウイルスが世界各国へ拡大していることで、世界の商品市場の均衡が総崩れしている。先週の月・火曜日に米国の商品取引市場は暴落し、生体牛の先物取引価格も深刻な打撃を受けた。

2月受け渡し契約分の先物価格は2日間で469ポイント下げ、火曜日の終値は100ポンド当たり115.02ドル。4月契約分は530ポイント低下の112.95ドルとなった。先物価格の急落に連動し、現金取引価格も前週比で大幅に下落。アイオワ・ミネソタでは生体牛が平均116.44ドル、ネブラスカでは枝肉価格が同187ドルとなった。

火曜は全域で取引が活発化し、生体牛は南部で115ドル、北部では115〜116ドル、枝肉価格は186ドルと続落した。水曜から木曜は期近の先物取引が大幅続落し、2月契約分の木曜の終値は112.62ドル、4月契約分110.47ドル、6月契約分103.92ドルをつけた。

現金価格は前週の平均価格119.71ドルから5ドル近く下落し、枝肉価格も同190.07ドルから4〜5ドルの下落となった。生体牛価格は3週間の続落を経てようやく価格が安定しつつあったが、新型コロナウイルスによる暴落には肥育業者も打つ手がなく、事態収束の兆しが見えるまでは不透明感が広がり、市場では保守的な動きが続きそうだ。経済アナリストは「感染がパンデミックになれば、世界同時不況が起きる可能性がある。中国経済に打撃を与えている新型コロナウイルスは、いまや世界経済にも脅威を与えている」と警告する。世界同時不況となれば、これまで好調だった牛肉需要への悪影響が危惧される。

 

※2020年3月2日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

底値を探るビーフカットアウト、牛ひき材急落

 
 

ボックスビーフのカットアウト価格は底値を探る状況が続いている。一方で低脂肪の牛ひき材(90CL)は急落した。2〜3月は年間で最も需要の落ち込む時期であり、これに新型コロナウイルスの影響が重なった。

しかしパッカーは、まだと畜頭数を減らしてはいない。今年最初の7週間の総と畜頭数は、前年同期比3万5000頭の増加。加えて、枝肉重量が昨年より大幅に増えている。枝肉重量の増加分をと畜頭数に換算すると、週間1万頭分の増加に相当する。

最新の調査では、去勢牛の枝肉平均重量(2月15日までの週)は905ポンド。これは前週比2ポンドの増加だが、前年同週比では26ポンドも増加している。未経産牛の枝肉平均重量は833ポンド、前週比1ポンド減、前年同週比14ポンド増。

全体平均は834ポンド、同4ポンド増、同22ポンド増となり、枝肉重量の増加が牛肉の生産量を押し上げている。アナリストの試算では、これは同週のと畜頭数62万1342頭に、1万6835頭が加算されたのに等しいという。

2月第3週のカットアウト総合平均価格は100ポンド当たり210.86ドル(前週比0.87ドル安)。チョイスは210.18ドル(同0.27ドル高)、セレクト204.90ドル(同1.88ドル安)。90CLは2月1日に今年の最高値244.09ドルを付けて以降、先週までに226.12ドルまで続落した。

 

※2020年3月2日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

豚価格は輸出と小売がカギ、新型コロナが値下げ圧力

 
 

新型コロナウイルス(COVID-19)による感染症が中国以外にも拡大していることは、食肉の需要悪化の前兆であり、豚肉の今後の価格予想を下方修正する必要があるだろう。

この感染症によって最も強い値下げ圧力を受けるのは牛肉需要だ。感染症発生国においては、外食需要が多大な影響を受けている。中国、韓国、イタリアで起きている状況が世界の他の国々にも広がる可能性がある。

近年、外食でも豚肉の使用が増えているが、依然として豚肉は小売品目としての傾向が強い。全米豚肉委員会(NPB)の調査では、チルドポークの約7割は小売チャンネルで販売されている。加工品(サラミ、ホットドッグ、ハム等)も外食や小売で販売されている。

また輸出もこの10年間で米国産豚肉の主要市場となった。12月の輸出量は豚肉生産量の28%に相当し、過去最高を記録している。これらの点からも、今年の第2四半期の肥育豚および豚肉価格は、小売と輸出がカギになるといっても過言ではない。

最新の調査によると、第2四半期の豚と畜頭数は前年同期比3.8%増と予想されている。生体重量がやや前年を下回ると仮定した場合、豚肉生産量は約68億4700万ポンド(前年同期比3.5%増)。これは2019年より2億3200万ポンド多く、2018年より5億ポンド余り多い。

この点で、輸出は非常に重要だ。世界農業需給予測(WASDE)によると、2020年の全米の豚肉輸出は前年比16.7%増。第2四半期の輸出を17%増とすれば、豚肉輸出は2億6500万ポンド増えることになるが、それでもなお記録的な水準の豚肉が残る。

第2四半期の輸出が30%の大幅増と仮定しても、国民一人当たりの消費可能量は2016、2017年と同等の水準となる。グリルシーズンへ向けた豚肉の供給は依然として潤沢だ。

 

※2020年3月2日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

 
ポーク関連ニュース

豚肉の在庫増加、ベリー31%増、ロイン43%増

 
 

主要4食肉(牛肉・豚肉・鶏肉・七面鳥肉)の1月末の推定冷凍在庫は計23億7400万ポンド(前年同月比2.4%増)。過去5年平均比では6%増。12月末に比べると4.5%増加した。豚肉の冷凍在庫は6億2520万ポンド(同11.1%増)、過去5年平均比では8.2%増。前月比では8%増。

12月、1月の豚肉輸出は堅調だったが、豚肉生産量が記録的に多かったことで冷凍在庫も急増した。在庫の急増が製品の積み増しなのか、パッカーや輸出業者が輸出向けの備蓄を増やしたのか、現時点で判断するのは難しい。

豚モモの在庫は1億1460万ポンド(同1.7%増)、過去5年平均4.6%増。モモの需要は依然として強く、小幅な増加にとどまったが、ベリーは7090万ポンド(同31.9%増)、過去5年平均比57%増と在庫過多な状態が続いている。ポークロインは5010万ポンド(同43.4%増)、過去5年平均比24%増。

 

※2020年3月2日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  豚肉の冷凍在庫の推移
 
業界ニュース

3月は全米デリ・ミート月間―2団体が共同キャンペーン

 
 

北米食肉協会(NAMI)と全米豚肉委員会(NPB)は、3月を「全米デリ・ミート月間」(National Deli Meat Month)として大規模な共同販促キャンペーンを展開している。

2団体は、それぞれビーフ・チェックオフとポーク・チェックオフを運用したプロモーションを行っているが、今回の1カ月間の共同販促キャンペーンでは「デリ・ミート」に照準に合わせた新たな取り組みを実施している。

キャンペーンの販促用グラフィックやファクトシート、栄養情報、最新のニュースなどを提供する新設サイトを設け、小売業者、健康関連業者や栄養士、レストラン事業者、消費者にデリ・ミートをアピールする。

NPBのマーケティング戦略ディレクターは「3月は全米栄養月間でもあり、デリ・ミートを訴求する絶好の好機だ。食肉加工品は数々の研究やアメリカ人のための栄養ガイドラインでも、健康でバランスの取れた食事ができる食品として認められている。デリ・ミートはタンパク質やビタミン、ミネラルの手軽な栄養源。またサステナビリティを語る上でも重要な役割を担うことを周知するとは大きな意義がある」。

NAMIのサステナビリティ担当バイスプレジデントは「ステーキやチョップ、ローストだけではなく、デリ・ミートやその他の調理済み食肉を使って、栄養とタンパク質に富んだ食事を作ることができる。これは同時に家畜を無駄なく利用することに繋がり、サステナビリティの論理にも大きく貢献している」という。

 

※2020年3月3日 FOODMARKET.com

  全米デリ・ミート月間
 
生産動向

フィードロット飼養頭数、過去4番目の多さ

 
 

2月1日時点のフィードロット飼養頭数は1193万頭(前年同月2.2%増)。2月としては過去12年間で最多であり、1996年の統計開始以降でも4番目に多い。前年同月比25万2000頭の増加は、すべてサザンプレーンズ(南部平原)のフィードロットでの増加によるものだ。

飼養頭数最多はテキサスの294万頭(前年同月比19万頭増)。カンザスは3番目に多く240万頭(同15万頭増)。この2州を除き、ネブラスカ(248万頭・同10万頭減)、アリゾナ、アイオワ、ミネソタ、サウスダコタでは減少した。

フィードロットへの1月の導入頭数は195万5000頭(前年比0.6%減)。カリフォルニア(14%増)、カンザス(16%増)、ミネソタ(13%増)を除くすべての州で導入が昨年より減少した。1月の出荷頭数は193万1000頭(同1.1%増)。アリゾナ、コロラド、ミネソタ、サウスダコタ、ワシントンの各州で増加、テキサスでは1%減少した。

 

※2020年3月2日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
USMEFインフォメーション

4〜6月に「春のアメリカン・ビーフキャンペーン」

 
 

米国食肉輸出連合会(USMEF)は、春の需要期に向けたアメリカン・ビーフ販促活動の一環として、4月1日から6月30日まで「2020年春のアメリカン・ビーフキャンペーン」を実施します。

「買って、食べて ごちそうステーキ肉が当たる! アメリカン・ビーフ300kg山分け!」をキャッチコピーに、精肉売場店頭でのクローズドキャンペーンとして展開します。賞品は4月賞=ヒレステーキ600g・100名様、5月賞=サーロインステーキ1kg・120名様、6月賞=リブロースステーキ1kg・120名様。

キャンペーンシールが貼付された商品を購入されたお客様が、その場で応募&当落を確認できるもので、過去4年連続で実施しているため、お客様の認知度が高いキャンペーンです(2019年4〜6月実施時=応募総数16万2千件)。

マネキン試食販売に代わる販促手法として、アメリカン・ビーフ商品全体の需要喚起や行楽シーズン、ゴールデンウィーク等のハイシーズンに向けて焼肉・ステーキ等の訴求に是非ご利用ください(法律の規定上、キャンペーンシールは、店頭価格300円/パック以上のアメリカン・ビーフ商品に貼付をお願いします)。

ご希望の方に、キャンペーン応募シールを提供いたします(発送開始3月25日)。

お問い合わせはUSMEF・笠谷(tkasatani@usmef.org)まで。

  買って、食べて、ごちそうステーキ肉が当たる!アメリカンビーフ300kg山分け!アメリカンビーフプレゼントキャンペーン
 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ポーク・ファクト・シート