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TRADER'S Be & Po

vol.349 Feb.17.2020
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 中国の新型コロナウイルス、輸出国の市況かく乱
新型コロナVと生産増が豚肉の値下げ圧力に
輸出動向 2019年の豚肉輸出は過去最高、牛肉も80億ドル超に
業界ニュース プライムの生産量は増加基調
ポーク関連ニュース 急増した豚と畜頭数、今後は季節的な減少へ
ワールドトレード 新型コロナウイルス、豪州の牛肉輸出に打撃
業界ニュース CABがSteakholder Rewardsプログラムを開始
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ポーク(2019年12月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

中国の新型コロナウイルス、輸出国の市況かく乱

 
 

中国は、危機的な食肉供給不足を招いたアフリカ豚コレラ(ASF)との戦いが続く中で、新型コロナウイルス(nCoV)の流行に対処するという新たな不運に見舞われた。ASFでは、食肉輸出国の多くが中国向け輸出の増加で恩恵を受けていたが、今回の新型コロナウイルスでは需要が落ち込み、輸出国も脅威にさらされつつある。

中国政府は、ウイルスの拡大防止のために都市を閉鎖、市民の移動を規制する大胆な措置を講じざるを得ない状況に追い込まれた。あらゆる外食店舗で売上が激減し、観光もストップしているため、全ての輸入食肉に影響が出ている。特に豪州産は、食肉全般の価格に値下げ圧力が強まっている(別項参照)。

米国産牛肉の中国向け輸出はこれまで非常に少なかったため、実質的な影響はない。しかし、先に署名された米中経済・貿易協定の第一段階合意による輸出増への期待は、当面の間、保留にされる可能性が高い。

米国の牛肉業界で直接的な影響を受けているのは先物市場だ。ウイルス拡大による影響が明らかになるにつれて、生体牛の先物取引は売り優勢となった。2月受け渡し契約分の取引は、一月最終週の月曜から水曜までに310ポイント下げ、100ポンド当たり121.75ドルまで下落。4月契約分は407ポイント、6月分は402ポイント、8月分は384ポイントの下落となった。

これを受けて生体牛の現金取引も値下がりし、同週は100ポンド当たりで生体牛が122〜123ドル、枝肉は194〜195ドルと下落。前週平均(生体牛124.30ドル・枝肉198.83ドル)を下回った。新型コロナウイルスの発生、拡散には多くの疑問とともに今後の拡大懸念が強く、市況の不透明感が強まりそうだ。

ただ、米国産牛肉の輸出は急増している。アナリストによると、この2週間の輸出は前年同期比50%増、USDAの週間調査では牛肉販売量の20%を超えたという。急増の主因は、1月1日から発効した日本との貿易協定で、関税率が大幅に引き下げられた日本向けの輸出が増加したことだという。

 

※2020年2月3日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

新型コロナVと生産増が豚肉の値下げ圧力に

 
 

豚肉の市況は、多くの外的な不確定要因の影響を受け続けている。2019年後半には、米中間の貿易交渉によって激しい変動が起こった。両国が第一段階の合意に達したことで需要の急増が期待されたが、中国での新型コロナウイルスの発生により、再び激しい変動が起こりそうだ。

2020年の米国の牛肉・豚肉・鶏肉・七面鳥肉の総生産量は、推定1064億ポンド超。前年の記録的水準よりさらに2.5%、26億ポンドも増加する見込みで、5年前に比べると14%・130億ポンドの増加だ。この増加の大部分は、アジアでのアフリカ豚コレラの拡大による世界的な食肉の供給不足によって吸収されると予想されていた。

新型コロナウイルスによる感染症の発生は、この輸出予測に重大なリスクをもたらす。短期的には、地方当局がヒトやモノの移動に規制を課す間、アジア市場向けの製品輸送に影響を与える。さらに、人々が公共の場を避けようとすることで、特に外食店に影響を与えることが予想される。

長期的には、この感染症が当該地域の経済成長に打撃を与え、消費者需要を悪化させた結果、食品を含む全ての商品市況が急激に軟化する可能性が生じる。新型コロナウイルスについては、現時点では不明なことが多いが、パンデミックが起こると輸出が停滞し、価格の大幅な下振れリスクになる。

 

※2020年2月3日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  肥育豚価格の推移(アイオワ/ミネソタのリーンホッグ)と米国の国民1人当たりの豚肉消費量(枝肉換算)
 
輸出動向

2019年の豚肉輸出は過去最高、牛肉も80億ドル超に

 
 

USDA公表・USMEF編さんの食肉輸出データによると、2019年の米国の豚肉輸出は量・額とも過去最高に達し、輸出額は70億ドルに迫る勢いをみせた。

12月の豚肉輸出量は28万2145トン(前年同月比34%増)と急増し、過去最高(2019年11月)を9%上回った。輸出額は7億6000万ドル(同44%増)。この結果、2019年の年間輸出量は267万トン(同10%増)、輸出額は69億5000万ドル(同9%増)に達し、それまでの記録を量(245万トン・2017年)、額(66億5000万ドル・2014年)ともに上回った。

2019年の1頭当たり換算の輸出額は53.51ドル(同4%高)。年間豚肉生産量における輸出比率は26.9%、前年(25.7%)を上回り、2012年以降で最高となった。正肉単体では23.6%(前年22.5%)。

中国・香港向けは12月も右肩上がりで、輸出量11万876トン(昨年の4倍強)、輸出額2億7490万ドル(同約6倍)。2019年の年計は66万5665トン(前年比89%増)、14億5000万ドル(同71%増)。

メキシコ向けも好実績を残した。12月は6万6181トン(同10%増)、1億3760万ドル(同46%増)と過去2年間で最高。年間では5月までの報復関税の影響で、70万8133トン(同9%減)、12億8000万ドル(同2%減)。

リーディングマーケットである日本向けの年計は36万9891トン(同6%減)、15億2000万ドル(同6%減)。減少の一因は、欧州やカナダ産と比べて関税面で大幅に不利だったシーズンドポークが8600万ドル減少したことだが、1月1日より日米貿易協定が発効し、米国産豚肉および豚肉調整品に対する日本の関税率は競合国と同レベルに引き下げられた。

その他の市場では、南米向けが15万2125トン(同12%増)、3億8230万ドル(同16%増)と過去最高を更新。中央アメリカ向け9万8182トン(同14%増)、2億3950万ドル(同19%増)、オセアニア向け11万6113トン(同31%増)、3億3920万ドル(同34%増)といずれも過去最高を記録した。

  米国の豚肉類の輸出量推移
 

2019年の米国の牛肉輸出量は132万トン(同2.5%減)、輸出額は81億ドル(同3%減)。2019年の輸出額の1頭当たり換算は309.75ドル(同4%安)。年間の牛肉生産量における輸出比率は14.1%、正肉単体では11.4%だった。

牛肉輸出量は2018年の記録的水準から減少したが、その一因は日本向けの減少だ。日本向けの輸出量は31万1146トン、輸出額19億5000万ドル(いずれも前年比6%減)だった。

豚肉と同様、日本向け牛肉にかかる関税は、1月1日から主要競合国と同等まで引き下げられた。USMEF会長兼CEOダン・ホルストロムは「日本のバイヤーは長い間、関税の引き下げを待望していた。すでに熱い反応があり、2020年以降の確実な成長を期待している」とコメントしている。

韓国向けは過去最高の25万5758トン(同7%増)、18億4000万ドル(同5%増)。日本に次いで2番目に大きい市場となった。2019年の韓国の輸入チルドビーフ市場における米国産のシェアは、前年の58%から62%に拡大した。

台湾向けは4年連続で過去最高を更新し、6万3538トン(同6%増)、5億6710万ドル(同3%増)。台湾のチルドビーフ市場における米国産のシェアは約75%に達し、アジア市場で最も高いシェアを獲得している。

3番目に大きな市場であるメキシコ向けは、23万6707(同1%減)、11億ドル(同5%増)。うちバラエティーミートは10万645トン(同4%増)と好調で、特にトライプへの需要が高まっている。トライプの輸出額は1億1170万ドル(同30%増)。

  米国の牛肉類の輸出量推移
 
業界ニュース

プライムの生産量は増加基調

 
 

長年の品種改良の結果、米国の牛肉業界ではUSDA格付けのプライムビーフの生産が増え続けている。増加に伴ってプライムの価格は低下傾向にあり、チョイスとの価格差が狭まって、プライムの供給が需要を超える危惧や、景気後退によって需要が落ち込む可能性も指摘されつつある。

畜産マーケティング情報センター(LMIC)のレポートによると、2019年のプライムの格付け割合は平均8.60%だった。2020年も増加を続けており、年始の2週間の割合は9.65%(前年同期9.16%)。

USDA調査では、過去5年平均のプライムの割合は4.35%〜6.80%で、第4四半期が最も高い傾向にある。2017年の割合は6%だったが、2018年には7.95%に上昇。同時にプライムとチョイスの価格差が縮まった。

LMICは地域別の割合もレポートしているが、プライムの発生率が高い1〜5の地域では、過去5年平均が10.88〜13.80%、2019年は週間平均17.03%。これに対し6の地域は3.72%、7〜8地域は9.20%、9〜10地域は9.20%となっており、プライムの増加は全ての地域で見られているわけではない。LMICは、肥育牛の重量が増加していることも一因である可能性があるという。

 

※2020年2月3日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
ポーク関連ニュース

急増した豚と畜頭数、今後は季節的な減少へ

 
 

過去2週間に出荷された肥育豚頭数は、一年前より明らかに多い。先週のと畜頭数は推定270万3000頭(前年同期比14%増)。先々週は272万頭(同9.4%増)だった。このと畜頭数の急増と、新型コロナウイルスによるアジア向け輸出の鈍化予測が、ポークのカットアウト価格に悪影響を与えている。

12月の4週間と1月の2週間のと畜頭数を合算すると、1542万9000頭となり、2018〜19年の同期6週間と比べて4.2%増。12月1日時点の豚飼養頭数調査の180ポンド超の頭数より約3ポイント少ないが、120〜179ポンドの飼養頭数は4.6%増だったが、過去3週間のと畜頭数は7.8%増加している。

最近のと畜頭数の増加率は、飼養調査が示したものより高いが、今後は季節的な減少局面に入る。2月下旬から3月・4月上旬までのと畜頭数は、前年水準から約2%しか増加しないと推定されている。これまでのこの期間の週間平均と畜頭数は247万4000頭、2%増加すれば週間と畜頭数は252万頭。供給がタイトになることで、肥育豚をめぐる競争が激化し、インデックスとカットアウト間の価格差は“正常な”水準になるはずだ。

 

※2020年2月3日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

 
ワールドトレード

新型コロナウイルス、豪州の牛肉輸出に打撃

 
 

中国での新型コロナウイルスの拡大により、世界中の株式および商品市場が混乱し、中国への食肉輸出にも影響が出ている。特に豪州では、牛肉・生体牛の輸出業者が需要への悪影響を危惧している。

豪州の肉牛・牛肉業界の有力ニュースサービス「Beef Central」は、大手輸出業者の見方として「過去4カ月間、中国向けの牛肉価格は激しい上下動を繰り返してきたが、新型コロナウイルスで新しい段階に入った。今後、中国向けの牛肉取引で多くの影響が出るだろう」との見方を報じた。

中国政府は発生元の武漢地域からの出入国制限、外出禁止令、春節休暇の延長を指示し、ウイルス感染への恐怖で国中の人々が自宅にこもっている。不要な外出を控え、外食をしなくなったことで牛肉の需要は大幅に低下。各省間の輸送や労働の制限で、牛肉流通も制限される事態となった。

豪州にとって中国は、従来の主要輸出先では日本や米国を抜いて、2019年には最大の牛肉輸出先国となった。豪州の輸出牛肉量のうち、中国向けは30万トン、シェアは24.4%を占めるまでに拡大。生体牛の輸出でも3番目に大きな市場で、2019年は15万8126頭と前年(13万6227頭)を2万頭余り上回っている。

豪州の大手輸送企業によると、需要が一夜にしてほぼなくなったため、先週時点で中国の港湾では輸入の鶏肉、豚肉、牛肉および他のクールコンテナが、最大で6000本も引き取られないままになっているという。

中国のほとんどの人が外出を避けているため、最も悪影響を受けているのは外食部門だが、豪州の大手業者は、中国の食肉の需要全体が劇的に変わってしまったと語っている。

 

※2020年2月3日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
業界ニュース

CABがSteakholder Rewardsプログラムを開始

 
 

CAB(サーティファイドアンガスビーフ)は、ロイヤリティー・プログラムとして「Steakholder Rewards」を開始する。CABを購入した消費者に特典を提供し、CABの価値を消費者と共有していくことが狙い。

このプログラムには、専用サイトで誰でも自由に登録できる。CABの購入やサイトの動画閲覧、レシピのシェア、アンケートへの回答、友人への紹介などに応じてポイントが付与され、さまざまな特典との交換ができる。

有名シェフとのユニークな機会や特別イベントにVIPとして参加できるチャンスが与えられるほか、カービングナイフ、プレミアムウェアなどの賞品を獲得できる。

ブランド・マーケティング担当のバイスプレジデントは、「Steakholder Rewardsプログラムは、消費者にCABブランドと、それを提供するパートナーとの関係を深めるような体験を提供することによって、農場から食卓まで一貫したCABプログラムへの理解をより深めていただく楽しい企画だ」としている。

 

※2020年2月6日 FOODMARKET.com

 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ポーク・ファクト・シート