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TRADER'S Be & Po

vol.348 Feb 3.2020
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
ワールドトレード 米中協定で牛肉輸出は劇的拡大へ
米中貿易協定が米国産豚肉に及ぼす影響
市場展望 牛肉業界、今年も見通し良好
ポーク関連ニュース 豚肉価格、卸価格変動も小売価格は安定
トピック 豪州の森林火災、家畜にも甚大な被害
USMEFインフォメーション SMトレードショーにメンバー4社と出展
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2019年11月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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ワールドトレード

米中協定で牛肉輸出は劇的拡大へ

 
 

米中貿易交渉の第1段階の協定が署名されたことで、米国の牛肉業界は待望していた対中輸出に大きな後押しを得た。2月3日発行予定の協定により、米国産牛肉の対中輸出を阻んでいた技術的障壁のほぼ全てが撤廃される。これにより、世界で最も人口の多い市場で高い競争力を持つための基盤ができ、米国の牛肉業界は大きな変化を迎えるだろう。

USTRのロバート・ライトハイザー代表は「今回の協定で、中国は米国からの農産物購入額を2017年の240億ドルから400億ドルに増加することが予想される」と述べている。協定では、中国が牛肉やその他の米国産農産物に課してきた多くの非関税障壁を撤廃することになっている。

牛肉に関しては4つの要素がある。リスク評価の完了次第、米国の牛肉および牛肉製品の月齢制限(現状30カ月齢以下・BSEにより2003年に課された)を廃止する。これにより、米国産牛肉および牛肉加工品の許容製品範囲が拡大し、米国が国内消費および輸出を許可している製品により近くなる。

また、米国ですでに施行されている牛肉および牛肉製品のトレーサビリティシステムが容認される。これは国際獣疫事務局(OIE)のBSE向けガイドラインを超える内容となっているため、追跡は農場までではなく、と畜時点までに限られる予定だ。

米国で広く使用されている動物医薬品3種(ゼラノール、酢酸トレンボロン、酢酸メレンゲステロール)については、国際基準で認可された最大残留値が採用される。米国で生産される牛肉全体の、少なくとも半分が中国への輸出基準を満たすことになる。

◎中国、ラクトパミンのリスク評価へ

2019年に米国は、推定330億ポンドの牛肉を連邦政府検査済の工場で生産した。中国はこれらの工場から牛肉を受け入れる。肥育されている牛の大半(推定70%程度)が、何らかの形で補足飼料であるβ作動薬あるいはラクトパミンを与えられているが、言い換えれば30%の肥育牛由来の牛肉が基準を満たしており、100%の子牛と繁殖牛(雌、雄)を合わせると、全牛肉の半分が中国への輸出基準を満たすことになる。

ただし、フィードロットはパッカーに対し、β作動薬を使用していないことを証明する必要がある。FSIS(食品安全検査局)は、その牛肉が中国向けの輸出を目的としたものであれば、これを承認する可能性が高い。

中国はこの件に関して詳細を明らかにしていないが、代わりに、米国の専門家と協議し、牛および豚のラクトパミン(ペイリーン)に対するリスク評価を遅滞なく可能な限り早く進めるとしている。評価は、CodexとJECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)双方のリスク評価ガイダンス、およびラクトパミンのリスク評価に則った方法で行われる見通し。

リスク評価は、立証可能なデータと米国で認可されたラクトパミン使用条件に基づいて行われる。中国と米国は合同調査グループを設置し、リスク評価結果に基づいて踏むべき段階を協議する予定だ。

 

※2020年1月20日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

米中貿易協定が米国産豚肉に及ぼす影響

 
 

米中間の経済・貿易協定の第一段階の合意では、2017年を基準として、中国が米国から購入する農産物を2020年に125億ドル、2021年には195億ドルを追加購入することになった。つまり、中国の米国産農産物の購入額は2020年に365億ドル、2021年には435億ドルになる。

昨年、中国の米国産食肉の輸入に関しては期待と失望があった。協定署名後も、輸出業者に様子見ムードがあるのも頷けるが、中国が協定の条件を遵守すれば、中国への食肉輸出は劇的に増加する可能性がある。

2017年の中国の米国産豚肉および豚肉製品の購入額は6億6230万ドル。冷凍豚肉、特に6分割枝肉に目が行きがちだが、中国は米国産豚バラエティーミートの大量輸入国でもある。冷凍豚肉の購入量は12万8059トン(製品重量ベース2億8200万ポンド)、総額1億6140万ドル。豚バラエティーミートは3万3715トン、総額1億7340万ドル。

2019年、中国は豚枝肉とカット、バラエティーミートの双方の輸入を大幅に増加した。1〜11月累計で、米国産冷凍豚肉の購入量は29万5437トン(6億5100万ポンド)、6億4600万ドル。年後半の3カ月間で輸出が加速し、12月の出荷量は4万トンを超えたとみられる。

中国の輸入データによると、冷蔵・冷凍および調理済み豚肉の2019年の輸入量は210万トンで、うち米国のシェアは約12%。2020年に豚肉輸入量は50%増、製品重量ベースで315万トンになると推測される。

現在の中国の動きから見ると、中国は米国からの購入シェアを拡大させていくと予想される。その理由は、欧州で価格が急上昇していること、また現在の米国の生産拡大ペースは欧州をはるかに上回っていることだ。2020年と2021年に中国が米国産豚肉の購入量を増加させるには、政治的、経済的いずれの面でも条件が揃っている。

中国での米国産のシェアが25%まで急増すれば、米国の総出荷量は78万7000トン、豚肉製品単体で総額17億ドルに達することになる。さらに豚内臓の購入額は2億5000〜3億ドルに増加する見込みだ。2019年の水準を大きく上回る数字だが、これでもまだ低い可能性がある。

すでに中国のバイヤーは2020年受け渡し分の豚肉約60万トンを契約している。シェア35%なら総計輸出は110万トン超、総額24億ドルになる。これは予想幅の上限だが、ありえない数字ではない。実現すれば、中国への輸出は枝肉重量ベースで30億ポンド(約136万トン)に達する。

  中国の2017年の米国産農産物購入額と品目割合/中国の米国産食肉の購入額の推移
 

2020年の米国の豚肉生産量予測は286億3600万ポンド、前年比9億3800万ポンド増。中国の需要増加は、この生産増を吸収して余りある。現時点で最も未知数なのは、中国が合意目標達成のためにどれだけ豚肉の購入を増やすかだ。

今回の貿易協定では、現在課せられている米国産豚肉への報復関税については触れられていないため、関税は継続すると推測される。この協定に関して一部懐疑的な見方があるのは、そのためだ。しかし、中国政府の管理する企業は関税を容易に回避でき、米国の豚肉製品価格を抑えるために引き続き関税を利用する可能性が高い。それでも、この協定は今後2年間の豚肉市況の強気要因となり、ポークカット、特にモモやカタといった比較的安価な品目の価格上昇が見込まれる。

 

※2020年1月20日 Pork Merchandiser's Profit Maximizer

 
市場展望

牛肉業界、今年も見通し良好

 
 

2020年の牛肉産業界は、多くの分野で好調な一年になるだろう。玉石混交だった昨年は、繁殖農家の収益と肥育業者のマージンがほぼ1年を通して圧縮され、肉用牛の総飼養頭数は2013年以降で初めて減少することになった。

一方でビーフパッカーは、2年連続で予想をはるかに上回る記録的な営業マージンに恵まれた。だが、2020年は昨年のように肥育業者よりも有利な状態は見込めず、高いマージンは維持できないだろう。

今年を楽観視する理由は、「中国」と「日本」の2つに集約される。中国はアフリカ豚コレラ(ASF)の影響による食肉不足を補おうと懸命になっていることから、米国産豚肉および牛肉の世界的な需要は一層拡大するだろう。日本では1月1日に米国産牛肉・豚肉の輸入関税が競合国と同水準まで引き下げられたため、今年の対日輸出は大幅に増加する見込みだ。

主要3大食肉の今年の国内需要を2019年と同レベルと仮定すると、今年の食肉・家きん類の総生産量の約2%増は、輸出の増加で相殺されそうだ。USDA(米農務省)は2020年の食肉総生産量を、過去最大の1081億4400万ポンド(前年比2.7%増)と予想している。

ブロイラーが最も多く452億5000万ポンド(前年比3.2%増)、次いで豚肉286億8000万ポンド(同3.8%増)、牛肉275億1500万ドル(同1.4%増)の予想。牛肉にとっての一つの懸念は、格段に安い豚肉と鶏肉の供給増で国内販売が減少する可能性だ。

◎食肉輸出は量・額とも増加見込み

USDAの2020年の食肉輸出予測は、量・金額とも2019年より増加する見込み。中国からの需要増で、豚肉輸出量は71億ポンド(2019年62億9600万ポンド)、輸出額は推定67億ドル(同55億1800万ドル)の予想。

ブロイラーの予測は74億2500万ポンド、52億ドル。牛肉は33億500万ポンド(同31億400万ポンド)で3番目だが、輸出額は最も多い76億ドル(同72億8100万ドル)になると予測されている。牛・豚肉のバラエティーミートの予測は17億ドル(同15億6200万ドル)。

これらの予想は、今年の肥育牛全体の価格を下支えすることに繋がる。2019年の生体牛の年間平均価格は100ポンド当り118.18ドル(同117.12ドル)だったが、今年の予想平均価格は117ドル。肥育素牛(去勢)はオクラホマシティベースで143ドル。生産者にとっては、安定した価格で意外性の少ない好調な一年となることが期待できる。

国内外の牛肉需要が高い水準で維持できれば、パッカーマージンも2019年の記録的実績に迫ることができるかもしれない。最大手のタイソンフーズは2019会計年度(9月28日まで)の牛肉部門の営業利益が史上最高の11億700万ドルに達する見込みだ。これを達成すれば、同分野の営業マージンは2018年の6.7%に対して7.0%ということになる。2020年度、タイソンはマージンを6.5〜7.5%と見込んでいることから、さらに記録的な年になる可能性がある。

 

※2020年1月13日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
ポーク関連ニュース

豚肉価格、卸価格変動も小売価格は安定

 
 

12月の豚肉小売平均価格はポンド当たり3.81ドル、前月比1.3%安、前年比1.9%高。豚肉卸売価格はこの2年間で大きく変動しているが、小売価格は比較的安定して推移してきた。これは豚肉の小売マージンが他の食肉に比べて非常に高く保たれてきた影響も大きい。

11月のポークカットアウトの平均価格は、昨年の最低水準と比較して19%高、12月は100ポンド当たり79ドルで前年比11%高。ポークチョップ(ボンレスおよびボンイン)の平均価格は3.39ドル、前年比0.8%高だが、2015年12月と比べると10%安。12月の牛ひき材の小売平均価格は3.86ドル、2015年比6%安。しかし、これら2品目の値下がり幅は、スキンレスブレスト(鶏ムネ肉)の下落幅よりはるかに小さい。

2015年の同ブレストの平均価格はポンド当たり3.35ドルと牛ひき材とポークロインの平均価格より安いものの、それでも3ドル台だった。2019年12月の同ブレストの平均小売価格は1.39ドルで、2015年12月より58.5%も安い。

反対に、ボンインチキンレッグの12月の平均価格はポンド3.11ドルと、2015年12月の小売価格のおよそ2倍だ。過去3年間の食肉小売価格のインフレは比較的安定しているものの、時とともに生じる消費者の嗜好の変化に応じて、特定の製品については大幅な変動がみられる。

 

※2020年1月20日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  米国の豚肉の小売価格と卸売価格(カットアウトバリュー)の推移
 
トピック

豪州の森林火災、家畜にも甚大な被害

 
 

オーストラリアの壊滅的な山火事により、1月20日の時点で少なくとも27人が死亡、2万7000平方マイル以上の土地・森林が燃え、ニューサウスウェールズ(NSW)州だけで少なくとも1万3000頭の家畜が死んだ。

同州にはオーストラリアの牛群の18%がいる。死亡した牛の数は不明だが、損失した家畜のほとんどは羊と言われている。

 

※2020年1月20日CATTLE BUYERS WEEKLY

 
USMEFインフォメーション

SMトレードショーにメンバー4社と出展

 
 

米国食肉輸出連合会(USMEF)は、2月12〜14日の3日間、幕張メッセで開催される「SMTS(スーパーマーケット・トレードショー)2020」にメンバー企業4社とともに出展します。

USMEFブースでは、1月1日に発効した日米貿易協定による関税率削減に関する情報提供とともに、アメリカン・ビーフについては「ショルダークロッドのステーキ提案」、さらに「フィンガーステーキ」「イタリアンビーフ」などアメリカのご当地グルメニューを紹介します。

アメリカン・ポークでは、提案を強化している「低温調理メニュー」と「プルドポーク」(ぐるなびの2020年トレンドメニューに選定され、今春の注目度1メニューになっています)を紹介。また、関税率が段階的に撤廃されるソーセージやベーコンなどアメリカ産の食肉加工品を紹介します。

ビーフ、ポークともに提案メニューの試食提供をはじめ各種パンフレット・ガイドブック等も配布しますので、ご来場の際は是非ともUSMEFブースにお立ち寄り下さい。なお、パッカーブースには以下の4社が出展します。

【共同出展パッカー】

Jones Dairy Farm
 CK International
 National Beef Packing
 TREX Corp,

 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ビーフ・ファクト・シート