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TRADER'S Be & Po

vol.346 Jan 6.2020
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
年頭所感 『2020年 新たな挑戦の年に向けて』
ランキング ビーフパッカー上位30社、と畜能力1位はJBS
ワールドトレード 北米貿易の課題解消、USMCA批准
アジアの供給不足で世界の食肉価格が上昇
生産動向 フィードロットは収容能力のほぼ上限に
市況ニュース 生体牛は横ばい、カットアウトは再落
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2019年10月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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年頭所感

―日米貿易協定施行の年―
『2020年 新たな挑戦の年に向けて』

米国食肉業界を代表し、旧年中の格別のご愛顧ならびにご厚情に深謝申し上げますとともに、謹んで新年のごあいさつを申し上げます。

2020年の日本は、いよいよオリンピック・イヤーを迎えて社会経済の活性化が期待されます。アメリカン・ミートにとりましても、新たな飛躍に向けたスタートの1年となります。日米貿易協定の施行により、日欧EPAやTPP11加盟国と同等な関税率の下で、いよいよアメリカン・ミートの真価を発揮できる環境が整います。

昨年、アメリカン・ビーフについては『アメリカン・ビーフはパティがうまい』をキャッチコピーに、本格的なハンバーガーの紹介を通じて、アメリカン・ビーフのおいしさへの理解促進を図りました。グルメハンバーガーショップと連携したインスタグラム・ツイッターキャンペーンを首都圏だけではなく、京阪神にも拡大して展開しました。

一方で、ベーシックな素材である「切り落とし」商材の新たなメニューの開発・提案とともに、アイダホ州のソウルフードである「フィンガーステーキ」を日本初上陸の新メニューとして提案し、いずれの施策も新しい切り口での提案として、多くの量販店や外食企業で採用されるなど、大きな反響を得ることができました。

アメリカン・ポークにつきましては『三ツ星 ごちそうアメリカン・ポーク』キャンペーンの一環として、「かんたん低温調理」を提案し、アメリカン・ポーク本来のジューシーさを味わえる調理法を継続して紹介。また、米国で人気の「プルド・ポーク」の新たな販促資材を作製し、セミナーやイベントを通じて普及しました。

さらにビーフ、ポークの共通施策として、米国パッカーと日本企業が連携して開発した多彩な「ブランド・ミート」の訴求にも注力。展示会「外食ビジネスウィーク」(8月)、「ファベックス大阪」(10月)に出展し、それぞれのストーリーや独自性へのこだわりをアピールしました。また、現在、人気の高まっているBBQについても「URBAN BBQ」のコンセプトの下で、一層の浸透を図り、大きな成果を上げることができました。

2018年9月から輸入が再開されたアメリカン・ラムについては、「ラムの常識がかわる」とのキャッチコピーで、その品質の高さとおいしさをお伝えしてきました。

昨年5月の月齢制限撤廃に続き、日米貿易協定が施行される今年は、アメリカン・ビーフ、ポークともに様々な選択肢が広がります。関税率が段階的に下がることにより、付加価値の高い商材や加工度を高めた製品の可能性が出てきます。アメリカン・ビーフの取り組みでは、量販店や焼肉店などに対し、ロイン系をはじめよりグレードの高い部位の提案を充実させ、アメリカン・ポークではやわらか・ジューシー・おいしさの3拍子揃った「三ツ星 アメリカン・ポーク」の特長を活かす提案を継続強化すると同時に、加工食品分野での取り組みも強化していく方針です。

東京五輪では、世界の多くのアスリートの活躍を通じて感動が日本中に広がり、それが社会の活況にも繋がるものと推察します。その源となる健康的でより豊かな食生活にアメリカン・ミートが寄与することによって、日本のビジネス・パートナーの皆様が繁栄に満ちた1年となりますように、米国食肉業界が一丸となって邁進していく方針ですので、今後とも「おいしいアメリカン・ミート」へのご支援とご指導をよろしくお願い申し上げます。

米国食肉輸出連合会
ジャパンディレクター 山庄司 岳道

 
  アメリカン・ビーフ及ごちポロゴ画像
 
ランキング

ビーフパッカー上位30社、と畜能力1位はJBS

 
 

本紙調査による「全米ビーフパッカーランキング」(1日当たりのと畜能力を基にしたランキング)では、JBS USAがと畜能力において引き続き全米1位の牛肉処理業者となった。ただし年間売上高と処理頭数では、タイソンが1位となる。

JBSは現在のと畜能力を全米9工場・2万9000頭と公表している。これは6工場・2万8000頭の処理能力を持つタイソンフーズを1000頭上回るが、2018年のタイソンフーズ社の処理頭数は689万5000頭で、JBSの680万頭を上回っている。

牛肉の売上高(2018年度総売上高・2018年9月30日までの実績)は、タイソンが154億7300万ドルで全米1位。JBSは140億ドルだった。カーギルはと畜能力2万3000頭、2018年度の総と畜頭数630万頭、売上高123億ドルで、引き続き3位となった。

JBSは、ミネソタ州パイプストーンにあるJ&B Groupの付加価値型牛肉加工施設とのリース契約を発表。今後数カ月以内に取得する予定(購入額は非公表)だという。この施設は12月末に閉鎖される予定だったが、これにより130人の雇用が保護されることになる。

上位30社の1日当たりと畜能力は、この1年でわずかに減少した。上位30社合計のと畜能力は、52工場・12万6430頭。前年の52工場・12万6870頭より440頭少ない。上位5社合計は27工場・9万8500頭で前年(9万9000頭)から500頭減少した。

上位3社の2018年の商業用と畜におけるシェアは61.5%、去勢牛・未経産牛におけるシェアは69.5%。上位5社では、同76.8%と2017年比0.3%減。去勢牛・未経産牛におけるシェアは84.4%で0.2%上昇した。

 

※2019年12月16日 CATTLE BUYERS WEEKLY

  2019ビーフパッカー上位30社
 
ワールドトレード

北米貿易の課題解消、USMCA批准

 
 

米国、メキシコ、カナダ間の農業とその他の貿易を覆っている雲が、まもなく晴れる。3カ国は2018年11月、新たな貿易協定(米国・メキシコ・カナダ協定、通称USMCA)に合意した。メキシコとカナダは2019年初めに協定を批准。米国下院では民主党議員が承認に異議を唱えて数カ月の議論を要したが、12月10日に承認された。

USMCAは、1994年に発効した北米自由貿易協定(NAFT)に代わるもの。米国から両国への農産物輸出(年間400億ドル)の継続拡大を保証するとともに、1年ほど前にメキシコが米国産豚肉に対して行ったような関税を課すことを抑制する。

メキシコとカナダは2018年、米国の農産物輸入が最も多い2カ国だった。国際貿易委員会は、USMCAによってメキシコとカナダへの農産物・食品輸出は年間22億ドル(1.1%)増加すると予想している。米農務省は、2020年度の米国の農産物輸出額は主に大豆、豚肉、乳製品の輸出増加が見込まれることから、8月時点の予想より20億ドル多い1390億ドルに修正した。

豚肉輸出額は、中国からの需要を主因に4億ドル多い67億ドルへと上方修正。2019年の中国への豚肉輸出額は55億1800万ドル。牛肉輸出額は価格の軟化により、2億ドル少ない76億ドルへ下方修正された。米国の食肉・家きん肉産業は、年間55億ドルの製品をカナダとメキシコに輸出している。

USMCAを迅速に承認するよう議会に要請してきた北米食肉協会(NAMI)、全米肉牛生産者・牛肉協会(NCBA)などの業界団体は、米国の食肉・家きん類業界で最も重要な海外市場である2カ国に対して、関税ゼロでアクセスを保つことができる協定の批准に歓迎のコメントを発表した。

 

※2019年12月16 日CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

アジアの供給不足で世界の食肉価格が上昇

 
 

アジアでアフリカ豚コレラ(ASF)が拡大し、中国、ベトナム、フィリピンの生体豚減少を主因に、2020年の食肉価格は7%も高くなる可能性がある。FAO(国連食糧農業機関)は、世界で取引されている製品の価格インフレを広く捉えるために、毎月さまざまな食品の価格指数を公表している。

例えば、FAO豚肉指数は、米国およびブラジルの冷凍豚肉の輸出額と、ドイツの豚枝肉の市場価格をベースに作成されている。値はすべて米ドルに換算されるため、為替変動を考慮する必要があるものの、実際に多くの地域で食肉価格が上昇している。

FAO食肉価格指数(2002〜2004=100)は、11月が177.2と前年より17.2%高い。この上昇は豚肉価格の上昇が要因で、豚肉指数は前年比23%高。ただし、通貨安の影響も考慮すると、特定の市場の状況ははるかに劇的になる。例えば、ドイツの生体豚価格(ユーロ換算)は現在、1年前と比較して45%高、デンマークの生体豚価格は同53%も上昇している。

南米の状況も同じく深刻で、現在アルゼンチンの生体豚価格は昨年より83%も高く、ブラジルでは42%上昇している。生体豚価格が抑制されている唯一の市場は北米であり、これは貿易戦争と米国産豚肉に課された高い関税の結果だ。

米国の生体豚先物価格は現在、世界的な供給不足がやがて米国市場に影響を与えるとの予想もあり、春夏へ向けて大幅なプレミアムを付けている。また、特定のカットと枝肉の価格は大きく異なる場合がある。代表的なものはモモの価格だ。国内では季節的な需要が強く、またアジアとメキシコへの輸出増から、生体豚価格が前年を下回っている中で、モモの価格は前年より70%も高い。

FAOの最新の世界牛肉価格指数は前年よりも約7%高いが、これには変動がありそうだ。注目されるのは世界最大の牛肉輸出国であるブラジルの価格が、ここ数週間で急上昇したことだ。11月末のブラジルの牛の価格は前月比で40%高い。同様に、中国の旧正月用の手当で豪州の牛肉と生体牛の価格が急激に上昇した。 豪州の牛ひき材(90CL)は、1年前と比較して37%も上昇している。

2020年の食肉価格の見通しは強気だが、食肉の需要と価格は世界経済の状況にも左右される。米中間の貿易戦争の拡大、Brexit、地域紛争の混乱は食肉需要に悪影響を与える可能性がある。現在の「サプライ・ショック」は初期の状況だ。需要の回復力と価格の上昇は、2020年の夏から秋にかけて完全な姿を表すだろう。

 

※2019年12月9日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  FAO調査による世界の月間食肉価格指標の推移
  世界の生体豚・豚枝肉価格の前年比(2019 vs 2018・11月下旬週の対比)
 
生産動向

フィードロットは収容能力のほぼ上限に

 
 

米国のフィードロットは、10月の大量導入以降、最重量区分についてはほぼ収容能力いっぱいの状態が続いている。20日公表予定のキャトル・オン・フィード調査によると、11月の導入は前年比1%増と推定される。11月1日時点の飼養頭数は2011年以降最多だったため、12月1日時点の飼養頭数は前年同月比2%増と予想される。

アナリスト6人の予想を平均すると、11月の導入は前年比1.1%増。出荷は昨年よりと畜日数が1日少ないため同2.7%減、12月1日現在の飼養頭数は同1.9%増の予想だ。12月1日以降の出荷は活発で、12月前半の大量のと畜は年末まで続きそうだという。

ショーン・ウォルター(アナリスト)の試算によると、2019年の肥育業者は赤字で終わりそうだという。リスクマネジメントを除いて考えれば、2019年の収支は一頭当たり40ドルの赤字と予想され、最も大きな損失が出たのは第3四半期。8月に起きた大手パッカーの火災による工場閉鎖で現金取引価格が急落し、損失が拡大した。PCC損益分岐点予測と現在の生体牛先物から判断すると、収益性は12月に回復し、2020年第1四半期の終わりまではプラスのマージンを維持する可能性が高いという。

 

※2019年12月16日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
市況ニュース

生体牛は横ばい、カットアウトは再落

 
 

12月第2週の生体牛現金取引は、鈍い展開となった。しかし価格は最低でも前週から横ばいの気配だった。主要5州の生体牛平均価格は100ポンド当たり118.92ドル、前週比0.71ドル高。枝肉の平均価格は188.10ドル、同1.27ドル高で推移した。

ボックスビーフのカットアウト価格は、パッカーが祝祭日の注文に対応すべく生産を再度増加させたことから下落が続いた。週当たりの推定と畜頭数は第1週の67万9000頭、第2週は66万2000頭。カットアウト総合平均価格は100ポンド当たり225.71ドル、前週比4.63ドル安で前年同週比では7.7%高。

第1週のチョイスの平均価格は226.02ドル、5.02ドル安。第2週は前半4日間でさらに下落し、木曜時点で215.65ドル、同8.91ドル安。アナリストは「カットアウト価格は、今後2回の祝祭日週があることで、1月中旬まで底支えされるだろう」と予想する。

 

※2019年12月16日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ビーフ・ファクト・シート