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TRADER'S Be & Po

vol.342 Oct.28.2019
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 生体牛回復基調へ、カットアウトも上昇
トピック 9月の中国の豚肉輸入76%増、牛肉も高水準
輸出展望 2020年は輸出拡大、牛肉7%増、豚肉16%増の予測
リテール 10月の豚肉月間で、牛肉との競合激化
業界ニュース CAB15年連続の成長、2019年会計年度3.1%増
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2019年8月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

生体牛回復基調へ、カットアウトも上昇

 
 

生体牛価格(100ポンド当たり)は、10月第1週に2ドル近く上昇。第2週も1ドルほど値上がりし、回復基調に転じた。ボックスビーフ価格が安定し、先物取引価格が上昇しているためだ。

市場関係者は、カットアウト価格は季節的に需要が落ちる9月には低下し、10月中旬に安定すると予想していたが、そのとおりの展開となった。中国からの牛肉需要が増加するとの予想が報じられたことで、先物が反発したことも要因だ。

第1週の生体牛現金取引価格は平均109.21ドル(前週比1.91ドル高)、枝肉は171.77ドル(同1.98ドル高)。しかし、これは火災による大手パッカーの工場閉鎖前よりもはるかに低い。閉鎖前は生体牛が112.37ドル、枝肉は182.23ドルだった。

先物の10月契約分は、月曜から水曜までに290ポイントを上昇し、木曜日の終値は112.40ドル。第1週の現金価格に対して3ドルのプレミアムがあることから、生体牛の現金取引価格はさらに上昇することが見込まれる。

ボックスビーフ価格は、小売の販売も好調であることからカットアウト価格が総合平均で209.49ドル、前週比14セント高。チョイスは0.60ドル安だったが、第2週には3.92ドル上昇した。11月には12月のホリデーシーズンへの手当が入ることから、今後も上昇すると予想される。

 

※2019年10月21日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
トピック

9月の中国の豚肉輸入76%増、牛肉も高水準

 
 

9月の中国の豚肉輸入は、前年同月比76%増と急増。牛肉の輸入量も月間最高記録に近づいた。税関総局の14日の発表によると、今年1〜8月の豚肉輸入量は133万トンで、前年同期比で43.6%増加したという。ロイター通信によると、9月に到着した輸入豚肉は16万6000トンと、先月の16万3000トンをわずかに上回った。

アフリカ豚コレラ(ASF)の大きな影響により、中国の豚肉の小売価格は前年比84%上昇し、kg当たり43.4元(6.14ドル)に上昇。食品価格指数は2012年1月以来最高になっている。

豚肉不足により、高価な牛肉の輸入も増加している。ロイターの試算では、9月の到着量は14万9666トン(前年同月比50%増)と今年7月の月間最高量15万2213トンをわずかに下回る水準。税関総局の発表では、今年1〜9月の牛肉輸入量は113万トン、同53.4%増。

 

※2019年10月14日 FOODMARKET.com

 
輸出展望

2020年は輸出拡大、牛肉7%増、豚肉16%増の予測

 
 

米国の食肉価格は、主要3畜種がすべて過去最高の生産量にもかかわらず、全般的に前年よりも高い水準で推移している。これは、国内および輸出の両方で強い需要があることの証拠だ。

米国と中国の貿易交渉が10月11日に部分的な合意をみたことで、中国市場への輸出が増加する可能性がでてきた。さらに、米国の食肉輸出にとって最も価値の高い市場である日本も、米国製品の関税を他の国と同等の条件にする貿易協定に合意した。

2つの合意は、2020年の食肉価格を強気にさせる可能性がある。すでに来年の先物価格には強気ムードが反映されており、市場関係者は、11月の米中首脳会談での中国への大量輸出の合意と包括的な貿易協定の可否を注視している。

先週の牛肉・豚肉・鶏肉の総生産量は20億1000万ポンドで、この5週間平均は20億2900万ポンド(前年同期比4.5%増)。牛肉生産量は5億2990万ポンドで、前年比1.2%減少だが、カットアウト価格は6%高い。豚肉生産量は5億7330万ポンド、前年比9.2%増と記録上で2番目に高く、カットアウト価格は2.6%安。

ブロイラー生産量は推定8億3960万ポンド(同3.4%増)。生産の急増にもかかわらず、食肉全体の価格が安定していることは、国内需要が引き続き良好な状態にあることを示し、輸出の増加は、来年の食肉価格のインフレに繋がる可能性があることを示している。

現状における牛肉・豚肉の2020年の輸出見通しは以下のとおり。

【牛肉】

2020年の牛肉輸出量は33億5500万ポンド(前年比7%増)、輸入量は28億2500万ポンド(同2.8%減)の予測。豪州とNZの牛肉が中国に向けられており、2020年も同様の傾向が予想される。日本ではカナダ産に奪われたシェアを取り戻しつつあり、日米間の新協定が発効されれば、関税率はカナダ産と同じになる。

これらによって、2020年の米国の純牛肉貿易は530百万ポンドの黒字となり、2011年以来で最大の黒字幅となる見通し。貿易量の黒字は、国内流通量の減少を意味する。

現在の予測では、2020年の牛肉生産量は1億5700万ポンド。予想される貿易黒字と在庫調整増を考慮すると、2020年の国内供給量は1.2%減少すると予想される。国民一人当たりでは1.8%減と予想され、牛肉価格の上昇が予測される。

【豚肉】

2020年の豚肉輸出の予測は引き続き強気。ASFによる中国と東南アジアの供給不足は回復に長い時間を要する。ワクチンがない上、この地域には生産を迅速に立ち上げるためのシステムがない。繁殖豚をすべて更新して新しいプロセスを開始しても、結果が現れるには2021年初頭までかかる。

2020年の豚肉輸出量予測は74億4300万ポンド(同16.2%増)、前年より10億ポンド以上増加する。輸入量は、ポーランドからの輸入が高価格とASFの影響で遅れ、カナダはアジアへの製品の出荷を増やすため、さらに減少する。一人当たりの豚肉消費量は1.5%減の予想。

生産量・供給量は依然として大きいが、国内流通量が減少する可能性がある。小売業者と処理業者が供給を確保しようとするため、一時的な供給タイトあるいはそれが繰り返される可能性があり、注意が必要だ。

 

※2019年10月14日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  2020年の米国の食肉輸出入予測
  米国の豚肉生産量に占める輸出割合の推移
 
リテール

10月の豚肉月間で、牛肉との競合激化

 
 

10月は全米豚肉月間だ。これは全米豚肉委員会が推進するプロモーションであり、小売業者は引き続き牛肉を販促しているが、牛肉の広告価格よりもはるかに低い豚肉価格との競合に直面する。

豚肉の生産量は季節的な急増の真中にある。前週の生産量は前年同週比7%増加し、週当たりと畜頭数は260万頭をはるかに超え、過去最高を記録した。この傾向は1カ月間続くことが見込まれる。

豚のと畜頭数が前年を3.5%上回っているのに対し、牛のと畜頭数はわずか1.1%増。年初からの牛肉生産量は、これまでのところ枝肉の重量が軽いため、昨年よりもわずかに高い水準にとどまっている。

生産量とは相反して、8月の小売価格は豚肉が1ポンド当たり平均3.90ドル(前年同月比2.1%増)、生鮮牛肉価格は同5.81ドル(同0.3%高)。しかし今月の豚肉月間により、多くの小売チェーンで豚肉の販促が強化されると、これも変化する可能性がある。

現状、牛肉チョイスのカットアウト価格はポークカットアウト価格に対して比較的競争力があり、またトリミングは値下がりしている。2つのカットアウト間の価格差は、100ポンド当たり140ドル未満。火災による大手パッカーの工場閉鎖以前は160ドルを超えていた。

50CL(赤身率50%のトリミング)の週平均価格も、9月第1週の87.20ドルから、10月第1週には47.67ドルまで低下している。90CLは同期間で4.78ドル低下。10月1週のカットアウト価格はビーフ209.35ドル(前年比4.0%高)、ポーク74.73ドル(同6.9%安)で、豚肉の牛肉に対する挑戦が続いている。

 

※2019年10月21日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
業界ニュース

CAB15年連続の成長、2019年会計年度3.1%増

 
 

サーティファイド・アンガス・ビーフ(CAB)LLCは、CABブランドが13年連続、プレミアム・アンガス・ビーフのオリジナルブランドが15年連続で成長したことを発表した。9月末で終了した2019会計年度は、世界の1万9000近いグローバルパートナー(加工業者、フードサービス、スーパー等)が12億5000ポンド(前年度比3.1%増)を販売した。

2019会計年度は、強い需要と安定した価格に後押しされ、年間のうち9カ月で新記録録を樹立。うち6カ月は過去最高を記録した。製品別ではプレミアムステーキ(ミドルミート)3.8%増、エンドミート3.4%増、牛ひき肉は前年度を200万ポンド上回った。

CABプライム製品は36.6%増と大幅に増加。これは、マーブリング(脂肪交雑)の多い牛が歴史的に多かったことで可能になった。従来はフードサービスが主体だったが、小売でもより高い品質を求める顧客へのアピールとして提供が強化された。また小売向けでは「ナチュラルライン」の販売も増えた。

海外市場での販売量は2億750万ポンドに達し、世界で最高品質な牛肉としての浸透が広がった。成長をけん引したのは日本。次いで台湾、コロンビア、ドミニカ共和国での伸びが高かった。

小売市場向けは5億3750万ポンド(同8.8%増)と記録的な増加。プライム製品の販売促進に加えて、グリル・ロースト・テールゲーティングに焦点を当てたプロモーションが注目を集めた。

フードサービス市場では4.6%増。10年間連続の成長で、高級レストラン、ステーキハウス、グルメバーガー、バーベキューレストランがこの成長に寄与した。付加価値製品も3300万ポンドを超える新記録を達成。21の製品カテゴリのうち18カテゴリが成長した。

 

※2019年10月10日 FOODMARKET.com

 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ビーフ・ファクト・シート