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TRADER'S Be & Po

vol.339 Sep.9.2019
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
トピックス 日米貿易交渉の大枠合意、食肉産業界は歓迎
基本合意は関係者にとって大きな前進―USMEFコメント
市況ニュース 生体牛価格、暴落から持ち直す
ボックスビーフ価格がストップ高に
豚肉市況予測 生体豚先物はストップ安、中国向け輸出予想にズレ
業界ニュース 牛肉の小売需要は好調続く、出荷も活発
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ポーク(2019年7月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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トピックス

日米貿易交渉の大枠合意、食肉産業界は歓迎

 
 

トランプ大統領が8月25日、日本との貿易交渉について大枠で合意したと発表したことを受けて、米国の食肉生産者や産業界からは歓迎の声が相次いだ。

米国食肉輸出連合会(USMEF)のダン・ハルストロム会長兼CEOは、「日本は米国産豚肉および牛肉にとって最大の輸出先であり、この合意が関税率引き下げとアクセス拡大につながることを歓迎する」とのステートメントを発表した(別項参照)。

全米豚肉生産者協議会(NPPC)は、「豚肉業界で最も重要な輸出市場において、国際的に平等な条件で競争できることになる大枠合意を歓迎する」とコメント。アイオワ州立大学のヘイズ博士は、「合意によるアクセス拡大の結果、日本向け豚肉の輸出額は2018年の16億ドルから今後15年間で22億ドルまでに成長する」との推定を示した。

全米肉牛生産者牛肉協会(NCBA)は、「日本市場において米国産牛肉が平等な条件下で競争できることになることは、牛肉業界にとって素晴らしい勝利だ。トランプ大統領と貿易チームのたゆまぬ取組みに、アメリカの農家を代表して心から感謝する」と述べた。昨年度の日本向け牛肉輸出額は20億ドルを超えているが、米国産牛肉には38.5%もの高い関税が課せられている。

この合意は、フランスで開催されたG7で発表された。トランプ大統領は9月の国際連合総会での調印を見込んでいると話した。

 

※2019年8月26日 Meatingplace.com

 
 

基本合意は関係者にとって大きな前進―USMEFコメント

 
 

米国食肉輸出連合会(USMEF)のダン・ハルストロム会長兼CEOは、日米貿易交渉の基本合意が発表されたことに関して、以下の声明を発表した(要旨)。

今回の発表は、米国の食肉生産関係者ならびにサプライチェーンに従事する人々にとって素晴らしいニュースだ。世界で最も競争の激しい食肉輸入市場において、米国産豚肉および牛肉は平等な条件下で競争できるようになる。

また、USMEFや業界パートナーが数十年にわたり築いてきた日本の顧客基盤にとっても、非常に前向きな進展だ。日本の顧客は、米国産豚肉および牛肉にとって非常に高いロイヤリティを保ってきたが、現行の関税システムの下では米国産食肉の輸出の可能性を十分に発揮できていなかった。

日米貿易協定を最優先したトランプ政権、特にこの協定成立に向け尽力してきたUSTR(通商代表部)とUSDA(米国農務省)の関係者に対して、USMEFは心から感謝申し上げたい。日本へのアクセス拡大は、米国の食肉業界だけでなく全米の農業、そして農村経済にとっての大きな前進になる。

 

※2019年8月26日 USMEF News release

 
市況ニュース

生体牛価格、暴落から持ち直す

 
 

生体牛価格は、大手パッカーのビーフ工場の火災による閉鎖・と畜能力低下の影響で暴落していたが、ようやく回復傾向をみせ始めた。主要5州の生体牛価格は、8月第3週に100ポンド当たり5.69ドル下落し、106.68ドルと今年の最安値水準まで急落。枝肉価格は11.28ドル安と衝撃的な下げ幅で、170.95ドルと今年の底値(6月最終週)の179.02ドルを大きく割り込んだ。

瞬間的には99.92ドルまで落ち込んだ生体牛価格は、第4週には持ち直し、木曜日の終値は104.97ドルとなった。アナリストは「パッカーマージンが記録的に高く、現金取引のベーシス(先物価格との差)がプラスであることから、取引量自体は良好だ。ただしプラスのベーシスは、短期的に見て現金価格の回復幅を抑制する要因になるだろう。当面のサポートライン(支持線)は102ドル、次いで98ドル。一方で最初のレジスタンスライン(抵抗線)は112〜114ドル、次ぎは118ドルになる」と予想する。

10月までは生体牛の供給が増加基調だが、11〜12月期の供給は前年水準と同程度になるため、第4四半期の現金取引の最高値は114ドル前後の水準になるだろう。

 

※2019年8月26日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

ボックスビーフ価格がストップ高に

 
 

8月第4週のビーフカットアウト価格は、木曜日にストップ高となった。カットアウト平均価格は100ポンド当たり218.12ドルで、前年同週比6.6%高。前週比では総合平均が6.61ドル高、チョイスは6.32ドル高、セレクトは5.94ドル高。スポット取引ではチョイスが22.32ドル高とフォーミュラ取引よりも大幅に高騰した。

牛肉の生産量が前週比で推定1.1%増であるにもかかわらず、カットアウト価格は劇的に上昇した。同週のと畜頭数は推定65万1000頭。去勢牛・未経産牛の推定と畜頭数は約52万頭。土曜日のと畜頭数は推定6万4000頭。これは当初の予想値よりも多い。

火災で閉鎖された工場の1日当たりと畜能力6000頭分のロスを埋めようとして、タイソンフーズが他の5工場でのと畜を増加させたことに加え、他のパッカーも通常より稼働率を上げたことがうかがえる。

生体安・部分肉高によって、パッカーマージンは記録的な水準に高まった。アナリストによると、8月2週の平均マージンが1頭当たり142.42ドルだったのに対し、3週は245.67ドル、4週は425.82ドルを記録したと推定される。ただ、「レイバー・デー(9月第1月曜日)の連休向けの買付けを遅らせていたバイヤーの手当が一巡すれば、マージンの急騰はすぐに収まるだろう」とアナリストはいう。

 

※2019年8月26日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
豚肉市況予測

生体豚先物はストップ安、中国向け輸出予想にズレ

 
 

8月前半の2週間、ポークカットアウト価格は上昇基調にあったが、16日に急落した。秋季に豚肉供給量が記録的な水準になることが、生体豚の現金取引価格の値下げ圧力になるとの見方から、10月分の先物取引がストップ安となった。

この数カ月間、生体豚の現金取引と先物価格の相関に変動性が高まっていた。以前には、先物価格は現金取引価格のベンチマークとされていたが、現在の現金取引はカットアウト価格の影響をより強く受けている。

下図は、現在のカットアウト価格(86.26ドル)が前年比で19.5ドル・29%高であることの主因が、ベリーの高騰とハム(モモ)の上昇によることを明確に表している。16日のベリープライマル価格は100ポンド当たり169.81ドル。前年比で91ドル・115%高となっており、カットアウト平均を約14.4ドル上昇させている。

  ポークカットアウトのパーツ別価格の前年比増減(2019年8月12-16日の週Vs前年同週)
 

ベリーの価格は依然として非常に変動性が高い。8月は小売の販促とフードサービスの安定的需要により、スポット市場の供給が不足しがちなため、こうした価格動向は珍しくない。6・7月のベリーの価格が例年の季節変動に反して弱気で推移したため、小売業者にとっては、晩夏の販促に魅力的な価格のアイテムとなった。

また、春季に蓄積したエンドユーザーが在庫の消化を急いだことも6月のベリー価格の下げ要因となったが、このことが現在の価格上昇にも繋がった。問題はこの価格水準が秋季に向けて継続するかどうかだ。供給が増加し、小売の販促が減少する9月下旬から10月にかけて、ベリー価格は季節的に弱まる傾向にある。ベリーの卸売価格が上昇中のため、小売価格も9月上旬を目安に上昇する見込みで、小売価格の上昇と豚肉供給の増加により、ベリー価格には値下げ圧力が強まるだろう。

  ポークベリーの価格推移と季節変動
 

カットアウトを左右する2つ目の要因は、ハム(モモ)の価格だ。ハム・プライマル価格は推定69.3ドル、前年比で12ドル・21%高。前週は90ドルと高かったが、16日に急落した。メキシコ向けの新規受注の減少も一因と考えられる。

8月前半のカットアウト価格の上昇は、ハムの上昇がけん引した。6月の価格が季節的に安かったため、メキシコおよび米国内のバイヤーの購入意欲が強まり、現在の上昇に繋がった。最新の輸出データによると、メキシコ向け輸出は停滞している。ハム価格が今後どこまで反落するか。それが今秋のカットアウト全体の大きなカギとなる。

  ハム(モモ)の価格推移と季節変動
 

今後の中国における状況も、大きな懸念事項だ。先物関係者はすでに、中国のアフリカ豚コレラ(ASF)の影響予測に疲れ苦しんでいるだろう。過去6カ月間、先物市場は中国向け輸出が増加するとの予想に基づき価格を上昇させてきたが、一気に反落した。とはいえ、下図が示す通り、中国の生体豚価格はここにきて上昇しており、長期的には国際的な豚肉価格を押し上げる要因になることは確かだろう。

 

※2019年8月19日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  中国の豚価格の推移
 
業界ニュース

牛肉の小売需要は好調続く、出荷も活発

 
 

今夏、小売における牛肉需要と販売は好調だ。レイバーデー(9月最初の月曜日)の連休にかけて、さらなる期待が高まっている。この期間は7月4日(独立記念日)とメモリアルデー(5月最終月曜日)に続き、牛肉販売が3番目に増加する時期だ。しかしこの祝日週が終われば、牛肉需要は弱まる傾向にある。

昨年8月の最終週のカットアウト価格は100ポンド当たり207.78ドル、その後9月から10月上旬にかけて7.50ドルも下落した。しかし今年のチョイスのカットアウト価格は、昨年9月(平均203.52ドル)よりも大幅に高い水準で推移すると予想される。

アナリストは「牛肉需要は地域の気温にも影響を受けるため、8月後半の小売の売れ行きはまちまちだが、牛肉が食肉売場の売れ行きを牽引していることに変わりはない」という。火災による工場閉鎖に伴う牛肉生産量の減少は当初予想より穏やかで、スーパーは牛肉販促を予定通り継続するだろう。

フィードロットでも活発な出荷が続いているため、枝肉重量は8月第2週の平均で去勢牛が878ポンド(前年同週比3ポンド減)、未経産牛806ポンド(同5ポンド減)といずれも前年を下回っており、週間の牛肉生産量は微減傾向にある。

 

※2019年8月26日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ポーク・ファクト・シート