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TRADER'S Be & Po

vol.336 Jul 16.2019
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 牛肉需要は夏枯れ期へ、カットアウトは軟調
豚肉は供給増で価格修正局面、先物高を相殺
ポーク関連ニュース 豚肉の冷凍在庫増加、モモ7.8%増、ベリー4.7%増
ワールドトレード カナダとEU、ASFゾーニング・貿易継続で合意
ブラジル大手パッカー、生産能力を拡大
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2019年5月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

牛肉需要は夏枯れ期へ、カットアウトは軟調

 
 

今年の牛肉需要はこれまでのところ堅調だが、暑さで需要の弱まるいわゆる夏枯れ期に突入した。例年この時期には牛肉の卸売価格が下落しており、昨年7月には5週間で5.68ドル下落した。

ただ、生体牛の現金取引は異なる動きをすることもある。事実、昨年は7月1日までの週に100ポンド当たり106.87ドルと年間最安値をつけて、その後に急上昇した。

今年の生体牛価格は6月最終週に前週比約4ドル高と強含んでおり、今後の展開は独立記念日(7月4日)の週の売れ行きと気候に左右されるだろう。

アナリストは「牛肉需要が年間で最も高い時期は間もなく終わる。夏枯れ期に入ると需要の落ち込みが続き、気温の上昇と夏休・新学期の支出が相まって、消費者の牛肉支出金額は減少する。例年、5月のピークから7月末までに、牛肉需要は約5%低下する」という。

しかし国内の牛肉需要は依然好調だ。生産量は前年水準を維持、平均卸売価格は前年を超えている。雇用と賃金の増加が続いており、これが国内需要を支えている根本的な要因だ。今年のボックスビーフの累計販売量は前年とほほ同等。

今週は祝祭日による稼働日数の減少で、と畜頭数は57万頭にとどまる見込み。先々週のカットアウト平均価格は100ポンド当たり215.00ドル、前週比3.15ドル安だが、前年比では1.0%高。先週は前半4日間でチョイスが0.79ドル安、セレクトは2.65ドル安となり、チョイスとセレクトの価格差は木曜日時点で22.13ドルと、今年最大の価格差に拡大した。

 

※2019年7月1日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

豚肉は供給増で価格修正局面、先物高を相殺

 
 

中国の食肉不足が熾烈な争奪戦をもたらすとの予想から、春季の先物市場は強気一色となり、その値上がりは①パッカー・ユーザーの販売価格を押し上げ、②生産者は生産効率の最大化を試み、③業界全体での在庫蓄積に繋がった。

これら全ては、夏季の需要が爆発的に増加するとの仮定が基になっていたが、現在の状況はまるで異なっている。結果的に生体豚、生体牛の双方で大幅な価格修正が起こっている。特に生体豚は困難な状況だ。(グラフ参照)

6月現在、週間の豚肉供給量は1カ月前の予想よりも大幅に多い。グラフは過去4週間の移動平均を示しているが、先週の豚肉生産量は前年比16.4%増、過去2週間はそれぞれ同10.8%増と8.4%増。つまり過去3週間の週間生産量は、前年比で平均5500万ポンド多いことになる。

輸出は昨年より好調だが、この生産増加分を吸収する市場はどこにもない。USDAの週間豚肉輸出データによると、現在の週間冷蔵・冷凍豚肉輸出量は前年比でおよそ700万ポンド増。これは過去数週間の供給増加分の12%に相当するが、先週のパッカーの生産増加分7400万ポンドに占める割合はさらに少ない。

他の食肉の生産量増加率は、豚肉に比べると小幅だ。先週の牛肉生産量は5億2230万ポンド(前年比1.2%減)。過去4週間でも前年を若干下回っている。先週のブロイラー生産量は推定7億9700万ポンド(同2.1%増)。

市場が今後どう展開するのかは、今秋の中国および他市場との貿易見通しにかかっている。中国の相次ぐ注文キャンセルにより、先物市場は弱気な反応を示した。しかし中国は未だ3億6000万ポンドの豚肉を予約しており、8・9月にはさらに注文の増加が予想されている。

とはいえ、夏期の先物市場からはASF要因の値上がり分が全て消え、秋期市況からも半分が消えた。短期的にはスポット市場の現金取引価格が重要な要素となるだろう。生体豚は現在、大幅な価格修正の真っただ中にいる。5月の出荷の遅れと涼しい気候により、この時期にしては枝肉重量が大幅に増加している。

6月の大幅な出荷増の結果、週間生産量も大幅に増加した。しかし、と畜頭数の6〜8%増が継続するとは考えられない。生産者が出荷ペースを基に戻せば、7・8月の生産量は鈍化する。夏の暑さも迫っており、供給量が変化する可能性を考えるのは今だ。現在の市場価格が最も魅力的な水準になるかも知れない。

 

※2019年6月28日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  米国の食肉(牛肉・豚肉・鶏肉・七面鳥)生産量(週当たり・枝肉ベース)
 
ポーク関連ニュース

豚肉の冷凍在庫増加、モモ7.8%増、ベリー4.7%増

 
 

5月末時点の豚肉冷凍在庫は推定6億2870万ポンド(前年同月比0.8%増)、過去5年平均比2.7%増。前月比で1.2%増加した。過去5年平均による前月比増減は2.8%減であり、夏期の値上がりを予想して、一部のエンドユーザーは在庫の積み増しを選択したようだ。

先週の豚肉生産量は前年比16%増。生産量が増加する中で、5月の在庫増加は短期的な視点では市況の弱気要因となる。モモの冷凍在庫は1億5010万ポンド(同7.8%増)、過去5年平均比7.9%増。前月比では24%も増加した。

ベリーは6410万ポンド(同4.7%増)。前月比では過去5年平均1%減に対して4.9%増。ロインは4580万ポンド(同25%増)。ボンレスロインは前年比微減だが、ボンインロインは81%増。

 

※2019年6月28日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  豚肉の全在庫量の推移
 
ワールドトレード

カナダとEU、ASFゾーニング・貿易継続で合意

 
 

カナダと欧州連合は、アフリカ豚コレラ(ASF)のゾーニング計画に合意した。これはASF発生後にも豚肉製品の安全な取引を無病地帯から継続することを可能にするためのもの。ASFがアジアとヨーロッパの一部に広がっていることを踏まえ、「カナダの豚と経済を保護するための準備の一部である」とカナダの農業大臣は声明で述べている。

ゾーニングは、病気を管理し、国際貿易を促進するために使用される国際的に認められたツール。ある地域でASFの症例が確認された場合、国際獣疫事務局(OIE)の原則に従って確立された地理的境界が発生を封じ込めるために定義される。無病地帯はその境界の外側。

 

※2019年7月8日 Meatingplace.com

 
 

ブラジル大手パッカー、生産能力を拡大

 
 

ブラジルの大手牛肉処理業者、JBS SAとMarfrig Global Foods S.A.は、国内外の牛肉需要の増加に対応するために生産能力を拡大している。Meatingplace.comによると、JBSはミナスジェライス州にあるFriboi工場で新たに700人を雇用。国内外市場への供給を焦点に生産能力を50%拡大する計画だという。

一方のMarfrigは、マットグロッソ州にある牛肉パティ工場の生産能力を拡大中だ。年内にも月間2500トンから5500トンに拡大する。このうち約3500トンは国内の大手ファストフードチェーンに供給される予定だという。

JBSのItuiutaba工場は、冷蔵牛肉の米国向け輸出を再開するための手続きの一環として、今月初めに米国から衛生技術者の代表団が訪れたブラジルの牛肉処理工場の1つである。同代表団は6月28日まで、他の牛肉および豚肉処理工場を訪問予定。Ituiutaba工場は中国向けにも輸出が許可された工場の一つだ。

JBSは昨年10月、中国市場向けの供給を視野に、ミナスジェライス州のItuiutaba工場とIturama工場で生産能力を2倍に拡大するため、4500万レアル(1160万ドル相当)を投資していることを発表した。

ブラジルの食肉処理業者は、アジアで発生しているASFを一因に、国際的な食肉需要の急増に対応しようとしている。ブラジルの牛肉輸出量は今年前半の5カ月間で前年同期比18%増の69万4341トン、うち39.2%が中国および香港へ輸出された。ブラジル農業省は6月14日、マットグロッソ州の17歳の牛からBSEが検出されたことを受けて、中国向けの輸出を一時停止していたが、この措置は7月13日に解除される。

 

※2019年6月24日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ビーフ・ファクト・シート