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TRADER'S Be & Po

vol.331 Apr.22.2019
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 牛肉価格は需要拡大期を前に足踏み
出荷予測 豚と畜頭数と豚肉生産量、さらなる下方修正も
ワールドトレード 中国、ASFで豚の3分の1を失う可能性も―ラボバンク社
NAFTA後の農産物輸出効果を推定―パーデュー大
業界ニュース OSIグループが豚肉処理業者を買収
JBSがImperial American Wagyu Beef社を買収
フードサービス 2019年のレストラン業界、売上8630億ドルへ
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ポーク(2019年2月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

牛肉価格は需要拡大期を前に足踏み

 
 

いよいよ春季が到来し、牛肉の需要が上向く時期を迎えた。しかし今年はイースターが4月22日と例年より遅いことから、牛肉の売れ行きが好転するのは4月下旬から5月第1週にずれ込む可能性があり、市況はそれまで足踏み状態が続きそうだ。

例年、牛肉の需要は春季から夏季に向けて増加し、5・6月に年間のピークを迎える。メモリアル・デー(5月最終月曜日)と独立記念日(7月4日)の2つの連休が山場となる。

先週の生体牛現金取引価格は2週連続で下落した。主要5州の生体牛の平均価格は100ポンド当たり126.34ドル、枝肉は205.60ドル。それぞれ前週比2.62ドル安、2.04ドル安だった。

一方、格付と枝肉重量に関するデータをみると、3月22日までの週のプライムの格付割合は10.10%、チョイスは72.10%。合計(チョイス以上)は82.2%で歴代4番目に高い(最高は83.02%)。同週の枝肉重要は平均801ポンド、前週比は横ばいだが、前年同週比では17ポンド減。この低下は、同週のと畜頭数(63万6139頭)の1万3225頭分に相当する。

このため、ボックスビーフのスポット取引はわずかに強含んだ。カットアウトの全体平均価格は227.04ドル、前週比0.89ドル高、前年同週比では3.9%高となった。チョイスは1.16ドル高、セレクトは0.53ドル安。輸出が拡大していることも牛肉価格の下支えの一因となっている。

USDAの週間レポートによると、輸出量は937ロード(≒コンテナ、前年同週比22%増)を記録した。NAFTA加盟国向けは25ロード増だが、他の海外市場向けは369ロード増と大幅に増加した。

 

※2019年4月8日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
出荷予測

豚と畜頭数と豚肉生産量、さらなる下方修正も

 
 

肥育豚の先物価格は、過去2週間で大幅に回復した。この要因の1つは中国のASF(アフリカ豚コレラ)の影響。中国の一部の主要地域で繁殖豚が昨年より40%も減少し、豚肉供給が不足する可能性が大きく、世界の豚肉貿易にかなりの影響を与えることが予想される。すでに中国向け輸出が急増している欧州とカナダの2カ国では、提示価格の上昇が報告されている。

今秋以降の米国の豚肉生産を予測する上で、USDAの3月1日現在の豚飼養動向報告をみると、肥育豚の飼養頭数は6794万8000頭(前年比2.1%増)。180ポンド以上(3月〜4月前半に出荷見込み)は、アナリストの2.4%増予想に対して1.6%増にとどまっている。

3月の4週間の豚と畜頭数は、週平均で前年比約3.4%増。USDAの報告が正しければ、3月に出荷が前倒しされたか、あるいは4月のと畜頭数が減少することになる。120〜179ポンドの肥育豚(4月後半から5月に出荷見込み)は同1.8%増で、アナリストの予想に近い。

秋季以降の供給予想で重要なのは、繁殖豚と分娩見込み頭数だ。3月1日の繁殖豚は推定634万9000頭(同2.2%増)。アナリストの平均予想1.9%増を上回り、1999年の夏以来で最多となっている。

3〜5月期の分娩見込み頭数は前年比0.6%増の予想。この時期の分娩見込み頭数の割合は49.1%(過去3年平均49.6%)。この調査が行われたのは生体豚価格が大幅に回復する前なので、当時市場に広まっていた悲観主義を反映した部分もあるだろう。

分娩見込み頭数が調査どおりなら、3〜5月期の子豚生産頭数は同2%増未満になる可能性があり、豚価を下支えする要因になる。6〜8月期の分娩見込み頭数の予想は同0.3%減。最近の価格回復を踏まえれば、この悲観的な見方は変わるかもしれないが、調査結果通りであれば、2019年12月〜2020年2月期の豚と畜頭数は同1%増未満になる可能性がある。

今年の春夏期および秋季の供給増加は2〜2.5%増。現時点でUSDAは2019年の豚肉生産量を3.8%増と予想している。これは前回公表時の5.2%増を下方修正したものだが、3月の調査が正しければ、豚肉生産量はさらに下方修正される可能性もある。

 

※2019年4月1日 Pork Merchandiser's Profit Maximizer

  米国の繁殖豚の飼養頭数の推移
 
ワールドトレード

中国、ASFで豚の3分の1を失う可能性も―ラボバンク社

 
 

ラボバンク社が発表したフード&アグリビジネスに関する最新レポートによると、2019年に中国ではASF(アフリカ豚コレラ)による損失が生体豚全体の35%にのぼると予想。ベトナムでの損失も飼養頭数の10%超に及ぶとしている。

同レポートは、ASFにより減少する中国の豚肉生産量は、欧州全土で供給される豚肉と同量、全米の豚肉生産量より3割多い水準だとしている。さらに中国の豚肉業界の再建には数年を要すると予想している。

貿易制限や他の要因により、牛肉をはじめ他の食肉の需要が伸びてはいるものの、豚肉供給量が減少すれば、食肉全体の価格が高騰する。輸出企業はアジア向け輸出のチャンスが到来することになるが、中国向けの食肉輸出が増加するに伴い、他の輸入国で製品不足が起こることが予想される。

「短期的に市場が不安定化し、世界の食肉価格の高騰につながる可能性がある。またASF発生の可能性がある豚肉生産国、例えばドイツのような代表的な豚肉生産国からの輸入を制限するような動きも強まり、中国や東南アジアのASFに対する貿易対応を複雑化するかもしれない」と指摘している。

同社アナリストの推定では、2019年の動物性タンパク質の供給は全体で約1000万トン不足すると予想している。先週の米農務省のレポートによると、中国向け豚肉輸出量は7万7732トンで、週間輸出量の最高記録を更新した。

 

※2019年4月12日 Meatingplace.com

 
 

NAFTA後の農産物輸出効果を推定―パーデュー大

 
 

パーデュー大学は、NAFTAに代わるUSMCA(アメリカ・メキシコ・カナダ協定)における米国産農作物輸出に関する新たな研究を発表した。USMCAは議会での批准が難航しているが、同大学が行った4つのモデルのうち3つの状況下で、米国産農作物のメキシコ、カナダ向けの年間輸出額は激減すると予想している。

第一のモデルでは、これまで通り貿易方針に変更はないと想定してNAFTAとUSMCAを比較。その分析結果では、米国の2カ国向け農作物輸出額は、乳製品および家きん類部門を中心に全体で4億5400万ドルの黒字と予想された。

第二のモデルは、米国が2カ国に課している鉄鋼・アルミニウム関税およびその報復関税を考慮。その結果、米国の農作物輸出額は18億ドルの赤字となった。第三のモデルは、米国が課す新たな関税と、中国など他国による報復関税など全てを考慮して分析。結果は79億ドルの赤字と予想された。

もう1つのモデルの分析結論は別の研究からまとめられており、NAFTAが失効した場合にどうなるかを推定している。議会がUSMCAを承認せず、トランプ大統領がNAFTAから撤退した場合の推定であり、この場合の米国の農作物輸出額赤字は約94億ドルに達するという。

同研究ではNAFTAの効果として、米国の農作物輸出額は2013年から2015年の間に年間平均630億ドルに達し、米国の農作物輸出におけるメキシコ、カナダ向けの割合は1995年から2017年の間に14.2%から29.8%に倍増したこと。さらに、1995年から2017年の間、メキシコとカナダは米国にとって最大の農作物輸入先であったことも示している。

 

※2019年4月8日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
業界ニュース

OSIグループが豚肉処理業者を買収

 
 

OSIグループ(イリノイ州オーロラ)は、イリノイ州バリントンに本社を置く豚肉処理業者「ローズパッキング社」を買収したことを発表した。OSIグループは現在、18の国と地域に65の施設・事務所を保有しており、同グルーブのシニアエグゼクティブバイスプレジデント、ケビン・スコット氏は「ローズパッキングの買収により、新たな処理能力と魅力的な販売チャネルが追加されることは、我々の既存事業を戦略的に補完し、成長戦略の成功に直結する」とコメント。ローズパッキング社のドワイト・スティールCEOは、経営陣とともに同社に残り、OSIのリーダーシップの下で経営の統合に取り組む。

 

※2019年4月9日 Meatingplace.com

 
 

JBSがImperial American Wagyu Beef社を買収

 
 

JBS USA社(コロラド州グリーリー)は4月5日、ネブラスカ州オマハにあるImperial American Wagyu Beef LLCを買収したことを発表した。

同社のアル・バイヤー氏(牛肉部門の米国地域統括)は「Wagyu Beefが当社製品に加わることは、顧客の需要や進化する消費者トレンドに合わせた多様な製品ラインナップを展開する当社の戦略の一環である。Wagyu市場は急速に拡大しており、今回の買収を契機に、当社の規模とノウハウを活用して、この製品群をより幅広い顧客と消費者に提供する」とコメント。

Imperial American Wagyu Beefは、ホルモン剤、成長促進剤、抗生物質を投与しておらず、米農務省(USDA)の等級基準ではなく、日本のビーフ・マーブリング・スタンダード(BMS)に基づいた脂肪交雑基準を採用。製品はオマハの工場で共同処理されている。

 

※2019年4月8日 MEAT&POULTRY

 
フードサービス

2019年のレストラン業界、売上8630億ドルへ

 
 

NRA(全米レストラン協会)は、2019年のレストラン産業の展望に関するレポートを発表した。2019年は経済の成長と消費者マインドの高まりに牽引され、レストラン業界の売上は8630億ドルに成長すると予想し、以下の5つのキートレンドを示している。

1)競争激化のビジネス環境=レストラン事業者の景気についての見方は概ね楽観的だが、競争圧力は低下しないとの見方で一致。加えて人件費の上昇、および連邦、州、地方レベルでの立法および規制上の複雑な状況によって、業績と収益に圧力が加わる。

2)労働力確保が最大課題=長期的な経済拡大により、多くのビジネスで労働力確保が困難になっている。レストラン業界も労働力の長期的な構造変化の影響を受け続けており、従業員の採用と維持が直面する最大の課題の1つ。

3)継続的な需要拡大=米国消費者の家計は健全で、世帯数における高所得世帯の割合はこれまでになく高い。消費者の飲食店サービスに対する需要は、過去の水準と比べて依然として高いことから、好調な事業者は競争激化の環境下でも利用者を増やすことができる。

4)テクノロジーの導入拡大=新技術の導入拡大が続く。その内容は業態間で異なるが、消費者が最も求めているのは、顧客サービスを向上させ、注文や支払いを容易にし、テイクアウトや配達のより便利なオプションを提供することに焦点を当てた技術が導入されることだ。

5)食の嗜好の急速な進化=現代の消費者が欲しているものは、新たな食の社会的トレンドと合致している。2019年のトレンドは、より環境にやさしい視点、世界の味・料理のさらなる追求、子供向けを含む健康的な商品の利用可能性の拡大、食品調達の新たな選択肢の探求などである。

◎食事&メニューのトレンドはクリーン&グリーン

シェフの予想によれば、2019年のレストラン料理とメニューは、「ゼロ・ウェイスト」な料理(※1)、「ハイパーローカル」な食材(※2)、「ベジ・フォワード」な料理(※3)や「ナチュラル」な食材の影響が強まる。

地産地消、健康的な選択肢、そして環境に優しい食品は消費者にとってますます重要になる。消費者の大多数がこれらの選択肢があることがレストラン選びに直接影響するとしている。また自宅でオンデマンドのテレビやビデオを見る時間が増え、お気に入りのレストランから質の高い食事や食材を購入することに興味を示している。

※1「ゼロ・ウェイスト」は三大目標として(1)有害物質を排出しない(2)大気汚染を生じさせない(3)資源をむだにしない―を提唱。また4L=Local(地域主義)、Low cost(低コスト)、Low impact(低環境負荷)、Low technology(高度な技術にたよらない)を重要視している。

※2超地域密着型の地産地消。USDAの定義するローカルフードは「産地500マイル以内」、他の定義が「100〜150マイル以内」なのに対し、「ハイパーローカル」はレストラ ンの近くで、レストランの管理下で育てられ、加工、調理されるもの。

※3ベジタリアン料理、野菜中心の料理。完全な菜食主義ではなく、野菜をメインにしたメニュー・食べ方のトレンド・ワード。

 

※2019年4月8日 FOODMARKET.com

 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ポーク・ファクト・シート