NRA(全米レストラン協会)は、2019年のレストラン産業の展望に関するレポートを発表した。2019年は経済の成長と消費者マインドの高まりに牽引され、レストラン業界の売上は8630億ドルに成長すると予想し、以下の5つのキートレンドを示している。
1)競争激化のビジネス環境=レストラン事業者の景気についての見方は概ね楽観的だが、競争圧力は低下しないとの見方で一致。加えて人件費の上昇、および連邦、州、地方レベルでの立法および規制上の複雑な状況によって、業績と収益に圧力が加わる。
2)労働力確保が最大課題=長期的な経済拡大により、多くのビジネスで労働力確保が困難になっている。レストラン業界も労働力の長期的な構造変化の影響を受け続けており、従業員の採用と維持が直面する最大の課題の1つ。
3)継続的な需要拡大=米国消費者の家計は健全で、世帯数における高所得世帯の割合はこれまでになく高い。消費者の飲食店サービスに対する需要は、過去の水準と比べて依然として高いことから、好調な事業者は競争激化の環境下でも利用者を増やすことができる。
4)テクノロジーの導入拡大=新技術の導入拡大が続く。その内容は業態間で異なるが、消費者が最も求めているのは、顧客サービスを向上させ、注文や支払いを容易にし、テイクアウトや配達のより便利なオプションを提供することに焦点を当てた技術が導入されることだ。
5)食の嗜好の急速な進化=現代の消費者が欲しているものは、新たな食の社会的トレンドと合致している。2019年のトレンドは、より環境にやさしい視点、世界の味・料理のさらなる追求、子供向けを含む健康的な商品の利用可能性の拡大、食品調達の新たな選択肢の探求などである。
◎食事&メニューのトレンドはクリーン&グリーン
シェフの予想によれば、2019年のレストラン料理とメニューは、「ゼロ・ウェイスト」な料理(※1)、「ハイパーローカル」な食材(※2)、「ベジ・フォワード」な料理(※3)や「ナチュラル」な食材の影響が強まる。
地産地消、健康的な選択肢、そして環境に優しい食品は消費者にとってますます重要になる。消費者の大多数がこれらの選択肢があることがレストラン選びに直接影響するとしている。また自宅でオンデマンドのテレビやビデオを見る時間が増え、お気に入りのレストランから質の高い食事や食材を購入することに興味を示している。
※1「ゼロ・ウェイスト」は三大目標として(1)有害物質を排出しない(2)大気汚染を生じさせない(3)資源をむだにしない―を提唱。また4L=Local(地域主義)、Low cost(低コスト)、Low impact(低環境負荷)、Low technology(高度な技術にたよらない)を重要視している。
※2超地域密着型の地産地消。USDAの定義するローカルフードは「産地500マイル以内」、他の定義が「100〜150マイル以内」なのに対し、「ハイパーローカル」はレストラ ンの近くで、レストランの管理下で育てられ、加工、調理されるもの。
※3ベジタリアン料理、野菜中心の料理。完全な菜食主義ではなく、野菜をメインにしたメニュー・食べ方のトレンド・ワード。
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