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TRADER'S Be & Po

vol.328 Mar 11.2019
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
トピックス 寒波、洪水による畜産への被害大―中西部
ポーク関連ニュース 牛枝肉重量の減少加速、肥育牛価格を下支え
輸出動向 1月の牛肉輸出1%減、日本向けは8%増と好調
1月の豚肉輸出、報復関税の影響で1%減
ワールドトレード ブラジル産牛肉の輸入再開でUSDAが現地検査
中国の豚肉供給、ASFで大幅不足
生産動向 2019年の牛肉生産量予想を下方修正―USDA
消費トレンド 食肉はネット販売に後れ、簡便性商品が伸びる
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2019年2月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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トピックス

寒波、洪水による畜産への被害大―中西部

 
 

米中西部では寒波に続き、広範囲にわたる洪水によって農業分野と肉牛産業が大打撃を受けている。肉牛生産分野では繁殖農家から肥育業者まで、4カ月近く悪天候との戦いが続いている。特にネブラスカでは、多くのフィードロットがぬかるみ状態となり、肥育コストの上昇、出荷の遅延、枝肉重量の減少が発生している。

一方、ミズーリ川の氾濫による洪水で、ネブラスカ東部、アイオワ、ミズーリでは数万エーカーが浸水。植え付け期を目前にした広範囲な農地が打撃を受け、多くの畜舎が全半壊し、数千頭の家畜が死滅した。

ネブラスカは史上最も広い範囲が被害を受け、同州の93市町村のうち77市町村が非常事態宣言を発令した。洪水による被害は、すでに家畜4億ドル、農作物にも植え付け困難や遅延により4億4千万ドルの損失が発生している。これらの概算は様々な団体が試算したもので、家畜の損失の詳細は明かになっていないが、生体豚・家きん類よりも肥育牛の損失額が大きいという。

またネブラスカでは厳しい寒波により、例年よりも死産が多く発生し、母牛の損失は10〜15%に及ぶという。ネブラスカの1月1日付の総飼養頭数は680万頭でテキサスに次いで多い。うち経産牛は計200万頭。同州肉牛生産者協会は先週から補償金の給付を開始した。

コロラド州立大学の研究者は「悪天候による出荷遅延、肥育日数の長期化、飼料転換率の低下、出荷時の重量低下、肥育重量増加コストの上昇が危惧される」という。カンザス州立大学の情報では、飼料コストはほぼ横ばいながら、1ポンドの増体にかかるコストは前年同期比で5〜7セント上昇している。

 

※2019年3月25日 CATTEL BUYERS WEKKLY

 
市況ニュース

牛枝肉重量の減少加速、肥育牛価格を下支え

 
 

悪天候などでフィードロットの環境が悪化していることから、アナリストは「今後数週間は枝肉重量の減少に拍車がかかる。平均枝肉重量の8ポンド減は、牛肉生産量の約1%減に相当する。牛肉生産量の減少は第2四半期の肥育牛価格を支える要因になるかもしれない」という。

平均枝肉重量は前年水準を大幅に割り込んでいる。3月9日までの週の平均重量は806ポンド(前年同週比16ポンド減)、前週比では4ポンドの減少。去勢牛の平均は871ポンド(同10ポンド減)。未経産牛の平均は814ポンド(同9ポンド減)。前年同週比での大幅減は、同週のと畜頭数が9000頭増加したことも影響している。

先物取引価格にも、悪天候とフィードロットの環境悪化の影響が表れている。4月受渡し契約分の生体牛先物は、3月12日の終値が100ポンド当たり126.65ドルだったが、その後は上昇に転じ、21日は129.90ドルを付け、前々週の現金取引価格127.14ドルを2.76ドル上回った。

4月分先物取引の高値は肥育業者を勢いづけた。先週の現金取引で、南部平原の肥育業者の唱え値は130ドル以上でスタートし、ネブラスカ、アイオワでは生体牛130ドル、枝肉205ドルで取引された。

 

※2019年3月25日 CATTEL BUYERS WEKKLY

 
輸出動向

1月の牛肉輸出1%減、日本向けは8%増と好調

 
 

USDA公表、USMEF編さんの食肉輸出統計によると、1月の輸出量は牛肉・豚肉ともに前年をわずかに下回った。牛肉の輸出量は10万4766トン(前年同月比1%減)、輸出額は6億4230万ドル(同3%増)。と畜1頭当たり換算額は284.85ドル(同3%減)。1月の牛肉生産量に占める輸出割合は12.2%(正肉単体9.7%)。

主要市場である日本向けは2万5925トン(同8%増)、1億6700万ドル(同12%増)。バラエティーミートの輸出(主にタン)は特に好調で、輸出量、輸出額とも36%増加した。

日本市場は2018年12月30日、CPTPP協定の発効により競合国の関税率が38.5%から27.5%に引き下げられ、4月1日、CPTPP加盟国間の関税率は26.6%に引き下げられ、米国産との格差がさらに拡大する。

 昨年、記録的な実績を上げた韓国向けは1万7900トン(同4%増)、1億3430万ドル(10%増)と引き続き好調。米韓FTAにより、米国産牛肉の関税が施行前(2012年)の40%から18.7%に引き下げられた(豪州産24%、カナダ産は26.6%)ことが追い風になった。

ASEAN向けはインドネシアとフィリピンがけん引し、4644トン(同49%増)と大幅に増加。台湾向けは4215トンで横ばい。香港向けは7047トン(同36%減)。

  牛肉(バラエティーミート含む)の月別輸出量
 
 

1月の豚肉輸出、報復関税の影響で1%減

 
 

1月の豚肉輸出量は20万1835トン(同1%減)、4億9410万ドル(同9%減)。輸出額の1頭当たり換算は44.75ドル(同12%減)。生産量に占める輸出割合は23.6%(正肉20.3%)で、昨年の24.7%(同21.5%)から1ポイント余り低下した。

メキシコ向けは6万6293トン(同9%減)、9610万ドル(同28%減)と報復関税の影響が続いている。メキシコ市場で米国産豚肉は依然としてトップシェアを保っているが、カナダ(1万1500トン・26%増)、欧州(305トン・91%増)からの輸入が増加している。中国・香港向けも報復関税の影響から2万6744トン(同16%減)、5320万ドル(同32%減)と大幅に減少した。

日本向けは3万2910トン(同6%減)、1億3520万ドル(同8%減)。米国産豚肉に対する日本の関税率に変化はないが、CPTPP加盟国は2018年末から関税が低減され、2月1日には日欧EPAが発効、いずれも4月1日からはさらに引き下げられる。

オセアニア向けは豪州、NZともに増加し9272トン(同22%増)、2480万ドル(同12%増)。ASEAN向けはフィリピン、シンガポールでの成長が著しく、3895トン(同28%増)、990万ドル(同25%増)。台湾向けは2591トン(同153%増)、490万ドル(同70%増)。台湾では欧州産、カナダ産の輸入が減少し、米国のシェアは19.5%と前年同月(9%)の2倍に。韓国向けは1万8491トン(同2%減)、5000万ドル(同8%減)。

 

※USMEF news release

  豚肉(バラエティーミート含む)の月別輸出量
 
ワールドTトレード

ブラジル産牛肉の輸入再開でUSDAが現地検査

 
 

ブラジルの農務大臣は、ブラジル産牛肉の米国向け輸出の再開に向けて、USDA(米農務省)による施設検査・監査が6月10日〜28日の間に行われることを、公式サイトの文書で明らかにした。

米国は、ブラジル産牛肉の安全性に関する懸念のため、2017年6月にチルドビーフの輸入を全面的に停止した。USDAの当時の発表によると、ブラジル産牛肉のうち出荷不適合の判定割合は11%で、他の市場から輸入するチルドビーフの判定割合1%を大幅に超えていた。

ブラジル当局の発表によると、今後予定されているUSDAの検査は、ブラジル産食肉製品およびその処理工場が規定の衛生条件を満たしていることを確認する目的で行われ、検査結果は公表される見込みだという。

 

※2019年3月26日 Meatingplace.com

 
 

中国の豚肉供給、ASFで大幅不足

 
 

USDA・FAS(米農務省海外農業局)が公表した新たなレポートでは、中国で猛威をふるうASF(アフリカ豚コレラ)の影響で、中国の豚の総飼養頭数は2019年末までに13%減の3億7400万頭となり、年間の豚肉生産量は5%減の5140万トンとなる見込みだ。

レポートでは、中国は国内需要と供給の差を埋めるために、豚肉の輸入を33%増加させて200万トンにする必要があると推定している。報復関税により、中国の米国産豚肉製品の関税率は62%に上昇した。これが撤廃されれば、米国の生産者は中国向け輸出を著しく増加させることが可能になる。

CNBCは木曜日、両国間の交渉担当者が貿易協議を継続する中で、トランプ米大統領が中国の米国産商品購入を「2倍または3倍」にすることを推進していると報じた。中国は6年間で米国のエネルギー、農業、航空機製品を最大1兆2000億ドル購入することを申し出た。

中国ではASFの流行が続いており、OIE(国際獣疫事務局)に115件の症例を報告している。この疾病が2019年の中国の豚肉生産に大打撃を与えることは確実視されている。

 

※2019年3月21日 Meatingplace.com

 
生産動向

2019年の牛肉生産量予想を下方修正―USDA

 
 

USDA(米農務省)が公表した最新の食肉需給予想によると、2019年の牛肉生産量予想は273億ポンド。前回公表の予想から3億1000万ポンドの下方修正となった。その理由は、2018年12月のフィードロット導入頭数が予想より少なく、2019年前半の導入頭数も減少することが見込まれるためだ。

肉牛生産地帯が寒波に見舞われたことで、フィードロットの肥育環境が悪化し、導入頭数の制限に繋がったとみられる。結果として、2019年の推定と畜頭数が下方修正された。

AMS(農業マーケテイング局)の週間と畜データは、寒波による枝肉重量の軽量化を示している。と畜における雌牛の割合が予想以上に多いことも枝肉重量低下の一因で、1頭当たりの平均枝肉重量の予想も下方修正された。

例年、肥育牛価格のピークは春季。今年も季節的な上昇傾向を辿っているが、と畜頭数が減少して枝肉重量が軽量化する中で、グリルシーズンに向けた需要が高まると、ボックスビーフ価格が上昇する可能性がある。牛肉生産量の下方修正・枝肉重量の低下予想を加味して、2019年の生体牛の予想価格は116〜123ドルに引き上げられた。

 

※2019年3月25日 CATTEL BUYERS WEKKLY

 
消費トレンド

食肉はネット販売に後れ、簡便性商品が伸びる

 
 

シールドエアー社のフードケア部門/クライオバックが食肉消費に関する210の分析を編さんした報告書「Power of Meat 2019」(第14版)によると、アメリカ人が食料品店で食肉を購入する方法と、家庭でそれを調理する方法に、微妙な、しかし明確な変化が起こっていることが明らかになった。

注目すべき変化の1つは、インターネットでの食品購入が増加する中、食肉(家きん肉含む)は後れを取っていること。もう一つは、精肉売り場だけでなく冷凍食品や惣菜売り場などでも食肉製品の購入が増えていることだ。報告書では、売り場・部門ごとの管理から離れて、食事のシーンから商品や販売方法を考え直す時が来ているとしている。

2018年には、利便性を重視した食肉製品の売れ行きが好調だった。付加価値型(5.1%増)、調理済(2.5%増)、冷凍食品(2.2%増)などが伸びている。さらに買い物客の25%は、一食分の食肉製品をその都度購入。特にZ世代およびミレニアル世代ではその都度購入する割合が高い。

買い物客はソーシャルメディアやレシピサイトを使って献立のヒントを得ている。74%は決まった献立を繰り返しがちだといい、47%がレシピサイト、31%が料理番組、29%がフェイスブック、26%がPinterest、24%がYouTubeを見てヒントを得るという。ソーシャルメディアを利用する買い物客は、インターネットでの購入や都度購入の頻度、ミールキットや付加価値型食肉を購入する頻度が高く、販促に非常に敏感であるという。

インターネット販売を利用して食肉を購入するのは全体の1%未満だが、サプリメントのインターネット購入者は39%にのぼる。食肉は他の分野の後を追う形だ。21%が何らかの食肉をインターネットで購入したことがあり、14%がチルドでの購入経験がある。

消費者の食肉の調理方法は平均4〜5パターン、主にコンロ、オーブン、グリル、クロックポット(電気鍋)だが、インスタントポットやノンフライヤーの利用も急速に広がりつつあり、調理方法と食事をもとにした食肉のマーチャンダイジングやレシピ開発を行うことが重要になっている。

 

※2019年3月18日 CATTEL BUYERS WEKKLY

 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ビーフ・ファクト・シート