2月最終週のポークカットアウト価格は100ポンド当たり59.6ドル。前年比23%安と、2009年秋以来の最低水準となった。遅れていた政府統計が出揃ったことで、豚肉の供給増加がより鮮明になった。
12月第1週以降の豚と畜頭数は、累計3194万2000頭(前年同期比3.2%増)。この数値は12月の豚飼養動向調査で予想された水準より多い。同報告では、120ポンド超の肥育豚頭数は前年比2.5%増と推定されていた。生体重量も昨年より増加しており、豚肉生産量の増加に拍車をかけている。
年始以降の豚肉生産量は週当たり平均5億2750万ポンドで、昨年より週平均で2200万ポンド多い。供給が増加する一方で、需要面は事前予想よりはるかに厳しい状況に直面している。12月の時点では、USMCA協定に調印すればメキシコの追加関税がすぐに解消されると考えられていたが、いまだに実現していない。米国で生産される豚モモ肉の3割が輸出されるメキシコでは、依然として20%の関税が課されている。
メキシコ向けの輸出数量を維持するためには、輸出業者は関税分を相殺するべく値引きを強いられているが、メキシコ側は同協定批准後の関税問題の解消を見据えて、必要な分しか購入していない。中国も、ここ数週間は米国産豚肉に活発な動きを見せているが、関税は62%を課したままだ。中国市場でもEU産やブラジル産などとの競合のために、値下げを余儀なくされている。
一方、国内の小売業者はこの低い価格を受けて、第2四半期に販促を活発化すると見られている。USDAのレポートは、フォワード取引(22日以上後の受渡し契約)の量が急増することを示している。この大半はロインとリブで、メモリアル・デーと父の日の週末へ向けた小売の主要販促商品だ。
しかし、市場の力学はすぐに変わる可能性がある。12月の飼養動向調査から推測される3月〜4月上旬のと畜頭数は、前年比2%前後しか増加せず、4月下旬から5月にかけてはさらに鈍化するため、価格が変動する可能性もある。
ASF(アフリカ豚コレラ)が、世界市場で引き続き大きな懸念となっている。中国では繁殖豚が大量に処分され、今年後半には顕著な供給不足が起こる可能性がある。中国ではこの疾病がかなり長期間にわたって蔓延する可能性があり、豚肉供給量が不足し、その調整のために輸入需要がますます増加するだろう。
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