11月第4週のポークカットアウトの終値は100ポンド当たり66.93ドル、前年比(18.7%安)。プライマルカットのほとんどが昨年より安値で取引されており、ベリー、ハム(モモ)、ロインがその要因の大半を占めている。
感謝祭の前週の豚と畜頭数は、史上最多の261万8000頭を記録。短期的な豚肉供給は潤沢であることから、取引価格は国内外を問わず軟化傾向を示している。
しかし、ここ数日の先物市場は回復の兆しを見せている。CME(シカゴ先物商品取引所)の豚先物取引価格は、2019年分の平均がポンド当たり約0.76ドル。2018年の平均は同0.65ドル。2019年の豚肉生産量は3〜5%の増加が見込まれるが、先物価格は17%高と明らかなプレミアムがついている。
これは、中国でのアフリカ豚コレラ(ASF)の拡大とメキシコ向け豚肉の関税撤廃による輸出需要の拡大予測が主因。メキシコの報復関税(20%)が撤廃されれば、今年は精彩を欠いていたハム(モモ)も好転する。先週のハムのプライマル価格はポンド当たり50セント割れ、前年比21%安の水準。
来年の先物価格が今年より20%近く高い主因は、中国でASFが急速に拡大していることだ。1件目が報告されてからわずか3カ月間で70件を超える症例が報告され、まだ未報告の症例も大いに潜んでいると推測される。
中国の生体豚価格は、夏季の底値から値上がりしてはいるものの、いまだに前年同期より安く、2016年の水準と比べてもかなり安いため、中国の輸入需要は短期的には限定的だろう。
欧州の最新の輸出データによると、9月の中国向け輸出量は前年同期比10%減。EUの豚肉輸出の主要3カ国と米国の枝肉価格をグラフが示す通り、現時点で米国産が欧州より8〜18%安い。しかし米国産豚肉は62%の関税が課されていることから、やはり非常に不利な状況にある。
中国でASFが拡大を続けると、繁殖豚が急減し、来年の夏から秋にかけ子豚の生産が不足する可能性が大きい。しかし米国産豚肉の関税率が変わらなければ、欧州産が増加し、次いでカナダ産とブラジル産が増加するだろう。
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