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TRADER'S Be & Po

vol.324 Dec 17.2018
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 肥育牛続伸、カットアウトも前年上回る
中国のASF等で2019年の豚先物にプレミアム
ランキング ビーフパッカー上位30・と畜能力でJBSがトップ
主要ポークパッカー、と畜能力は1日50万頭に迫る
ワールドトレード 食肉3団体、新NAFTA支持・関税撤廃を要請
食肉在庫 牛肉は積み増し、豚肉は消化進む―10月末
業界ニュース 労働者不足が最重要課題に
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2018年10月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

肥育牛続伸、カットアウトも前年上回る

 
 

11月第4週の生体牛現金取引価格は、主要5州の去勢牛平均で生体牛が100ポンド当たり115.39ドル、枝肉は同181.89ドル。それぞれ前週比2.39ドル高、4.51ドル高と今年3月以降で最高値を付けた。

パッカーが祝日(感謝祭)後のフル稼働週へ向けて積極的な買付を行ったことから、南部平原では生体牛が116〜117ドル、北部では112〜116ドルで取引された。第5週もその勢いが継続し、南部平原では生体牛が118ドル、前週比2ドル高となった。

枝肉重量が前年割れで推移していることも強気の一因だ。10月の北部の気候が影響したことに加え、南部平原の肥育業者が積極的な出荷を続けており、11月第3週の去勢牛平均重量は900ポンド(約408s)、前週比4ポンド減、前年同週比2ポンド減。未経産牛は826ポンド(約375s)、前週比2ポンド減、前年同週比横ばい。

一方で枝肉の格付割合は、プライムが記録的な水準に達している。11月第3週のプライム発生率は9.58%、前週の9.81%(過去最高)に次いで高い。チョイスは71.08%、セレクトは16.52%。

第4週のカットアウト価格の全体平均は100ポンド当たり210.79ドル。前週比0.12ドル安だが、前年同週比では3.1%高。チョイスのカットアウトは211.22ドル、前週比0.42ドル安、前年同週比2.0%高。

 

2018年12月3日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

中国のASF等で2019年の豚先物にプレミアム

 
 

11月第4週のポークカットアウトの終値は100ポンド当たり66.93ドル、前年比(18.7%安)。プライマルカットのほとんどが昨年より安値で取引されており、ベリー、ハム(モモ)、ロインがその要因の大半を占めている。

感謝祭の前週の豚と畜頭数は、史上最多の261万8000頭を記録。短期的な豚肉供給は潤沢であることから、取引価格は国内外を問わず軟化傾向を示している。

しかし、ここ数日の先物市場は回復の兆しを見せている。CME(シカゴ先物商品取引所)の豚先物取引価格は、2019年分の平均がポンド当たり約0.76ドル。2018年の平均は同0.65ドル。2019年の豚肉生産量は3〜5%の増加が見込まれるが、先物価格は17%高と明らかなプレミアムがついている。

これは、中国でのアフリカ豚コレラ(ASF)の拡大とメキシコ向け豚肉の関税撤廃による輸出需要の拡大予測が主因。メキシコの報復関税(20%)が撤廃されれば、今年は精彩を欠いていたハム(モモ)も好転する。先週のハムのプライマル価格はポンド当たり50セント割れ、前年比21%安の水準。

来年の先物価格が今年より20%近く高い主因は、中国でASFが急速に拡大していることだ。1件目が報告されてからわずか3カ月間で70件を超える症例が報告され、まだ未報告の症例も大いに潜んでいると推測される。

中国の生体豚価格は、夏季の底値から値上がりしてはいるものの、いまだに前年同期より安く、2016年の水準と比べてもかなり安いため、中国の輸入需要は短期的には限定的だろう。

欧州の最新の輸出データによると、9月の中国向け輸出量は前年同期比10%減。EUの豚肉輸出の主要3カ国と米国の枝肉価格をグラフが示す通り、現時点で米国産が欧州より8〜18%安い。しかし米国産豚肉は62%の関税が課されていることから、やはり非常に不利な状況にある。

中国でASFが拡大を続けると、繁殖豚が急減し、来年の夏から秋にかけ子豚の生産が不足する可能性が大きい。しかし米国産豚肉の関税率が変わらなければ、欧州産が増加し、次いでカナダ産とブラジル産が増加するだろう。

 

※2018年11月26日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  アメリカとEUの豚枝肉価格の推移
  中国の子豚・肥育豚・豚肉の価格推移
 
ランキング

ビーフパッカー上位30・と畜能力でJBSがトップ

 
 

キャトル・バイヤーズ・ウイークリー紙は「第31回全米ビーフパッカー上位30社」をまとめた。これは1日当たりのと畜能力を基にしたランキングで、それによると、JBS USAが9工場・2万9000頭と、タイソンフーズ(6工場・2万8000頭)を抜いて初めて第1位となった。

しかし牛肉の売上高はタイソンフーズが全米1位の座を維持した。JBS USAの2017年会計年度のと畜頭数は680万頭で、タイソンフーズの推定676万頭を上回ったが、牛肉の売上高はタイソンフーズの148億2300万ドルに対して、JBS USAは135億ドルだった。

3位のカーギル・プロテインは6工場・2万3000頭。と畜頭数は630万頭、牛肉売上高123億ドル。4位はナショナルビーフパッキングで2工場・1万2000頭、323万頭、73億5000万ドル。

上位30社合計の1日当りと畜能力は、52工場・12万6870頭。前年(52工場・12万5715頭)と比べて1155頭増加した。内訳はアメリカンフードグループの500頭増、ニコラスミート650頭増、FPLフーズ200頭増、ウエスタンリザーブプロテイングループ150頭増、CSビーフパッカーズ100頭増、ローンスタービーフ75頭増。タイソンフーズは推定で1000頭減少した。

上位3社のと畜頭数に占めるシェアは61.7%と、前年(63.1%)から1.4ポイント低下。去勢牛・未経産牛のと畜頭数に占めるシェアは69.1%で、同1.7ポイントの低下。上位5社のシェアは78.2%で昨年から変わらず。去勢牛・未経産牛に占めるシェアは84.2%で同2.4%低下した。

 

※2018年11月26日 CATTLE BUYERS WEEKLY

  2018年 ビーフパッカーランキング上位30社(上位20社まで抜粋)
 
 

主要ポークパッカー、と畜能力は1日50万頭に迫る

 
 

全米豚肉委員会(NPB)は、2018年の主要ポークパッカーの推定と畜能力(工場別・1日当たり)を公表した。それによると、主要47社・グループの合計と畜能力は49万4385頭で、前年より1万550頭増加した。トライアンフとシーボードの合弁により、昨年稼働したアイオワ州スーシティーの新工場が2シフト体制に移行し、1万200頭増加したことが主因。

47社・グルーブ以外の工場を含めたと畜能力は49万7985頭。週当たり(週5.4日稼働計算)の能力は268万9119頭に達した。2019年も新工場(プレステージファーム等)の稼働が計画されており、1日当たりで50万頭、週当たりでは270万頭を突破する見込みで、生体豚の争奪競争がさらに激化しそうだ。

第1位のスミスフィールドグルーブは10工場・13万300頭。ターヒル工場が2000頭増強したほか、ファームランド社のマンモス工場が1900頭増加した。第2位のJBSは5工場・9万3000頭で前年と変わらず。3位はタイソンフーズで7工場・8万1300頭(250頭増)。

4位はホーメルの2工場・2万9500頭、5位はハットフィールド・クオリティー・ミーツの2工場・2万3700頭。ただ6位のトライアンフ、7位のシーボード、8位のトライアンフ−シーボードは豚肉のマーケーティングがシーボード基準で統一されており、シーボードグループとみなして合算すると3工場・6万2400頭になる。

  主要ポークパッカーの1日当たりと畜能力(2018)
 
ワールドトレード

食肉3団体、新NAFTA支持・関税撤廃を要請

 
 

アルゼンチンのブエノスアイレスで開催されたG20経済首脳会議で、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)が3カ国の首脳によって正式に署名された。それを受けて、アメリカの3つの食肉団体は同協定を支持するコメントを発表、またトランプ政権に米国産食肉に課されている関税の撤廃に向けて引き続き取り組むよう要請した。

米肉食肉輸出連合会(USMEF)のダン・ホルストロム会長兼CEOは、「USMEFはUSMCAの最終決定を支持する。また米国産豚肉・牛肉への報復関税を招いたメキシコやカナダとの鉄鋼関税紛争の解決へ向けた継続的な取り組みを期待する」と述べた。

北米食肉協会(NAMI)のジュリー・アンナ・ポッツ会長兼CEOは、正式署名を歓迎しつつも「3カ国間の報復関税の撤廃が実現するまでは、前NAFTAの利点は完全には復活しない」とコメント。全国豚肉生産者協議会(NPPC)のジム・ハイマル会長は「長期的には関税率ゼロでの豚肉貿易を維持する新協定に満足している」と評価、同時に「現在、米国産豚肉に課されている20%の報復関税が解除されるためには、メキシコの金属製品に課している輸入関税を撤廃することも不可欠だろう」と付け加えた。

またUSMEFとNPPCのメンバーは、中国との貿易紛争の解決を改めて要請した。NPPCの推定によると、中国の貿易紛争に起因する業界の損失は今までのところ10億ドル。一部では「NAFTA 2.0」と呼ばれる冒頭の協定は、今後3カ国すべての立法機関で承認される必要がある。

 

※2018年12月3日 Meatingplace.com

 
食肉在庫

牛肉は積み増し、豚肉は消化進む―10月末

 
 

牛肉・豚肉・家きん肉の10月末の冷凍在庫は、24億7400万ポンド(前年同月比1.4%増)と過去5年平均比では10.4%増だが、10月の消化率は、過去5年平均の3.6%減に対して、5.6%減と大幅に減少した。

牛肉、豚肉の一部製品で価格が高騰したため、ユーザーはスポット市場で購入するよりも在庫を消化する動きを強めた。食肉全体の供給は拡大基調の継続が見込まれているが、この在庫の減少は2018年終盤の価格を支えるだろう。

牛肉の在庫は計5億1540万ポンド(同1.6%増)、過去5年平均比8.7%増。年末の需要に向けて一部のエンドユーザーが在庫を積み増しているようだが、前月比では過去5年平均の1.4%増に対して、今年は1.6%増。特にボンインビーフの在庫は前年同月比5.4%増、過去5年平均比15.6%増となっている。

豚肉の冷凍在庫は計5億7060万ポンド、前月比3.2%減。豚肉の生産量は増加しているが、と畜から消費までの流れは今のところスムーズで、在庫の減少は2019年2〜4月分の生体豚価格の下支え要因となるだろう。

 

※2018年11月26日 Pork Merchandiser's Profit Maximizer

  牛肉の冷凍在庫の推移
 
業界ニュース

労働者不足が最重要課題に

 
 

キャトルバイヤーズウイークリー紙が行ったビーフパッカー上位30社の調査の中で、多くのパッカーは「熟練の労働者が不足していること」を業界の最重要課題に挙げている。JBS USAのアンドレ・ノゲイラCEOは「業務効率を継続的に高めていくために、適格かつ熟練した労働者を確保することに注力する」と述べた。

カーギル・プロテイン社のブライアン・サイクス社長は「労働者不足は当社が取り組みを続けている大きな課題だ」とし、移民政策の変更、好調な経済、4%未満の失業率などが相まって、農業・製造業での労働力をめぐる競争が激化し、さらに豚肉・鶏肉業界での処理能力拡大が競争に拍車をかけているという。

比較的小規模な企業も同様の影響を受けている。と畜能力1日1300頭の処理業者・セントラルバレーミーツ(カリフォルニア州)のブライアン・コエーリョCEOは「労働力は依然として第一の課題だ。安定した労働力を確保できないことが、生産目標と販売計画の達成を妨げる要因になっている」と語った。

 

※2018年12月3日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ビーフ・ファクト・シート