中国・カナダ・メキシコの豚肉需給、市況関連の今月のポイントは以下のとおり。
【中国】中秋節が終わり、来週の祝日に向けて生体豚平均価格は全国的に横ばいから弱含み。だが、生体豚・豚肉の損益は地域間で格差が広がっている。ASF発生で需要の落ち込みが伝えられているが、上海や北京など東部の人口過密地域で高値がつくことから輸入需要が増え、欧州はじめカナダ、ブラジルの利益につながっている。
今週、浙江省の豚肉価格はキロ当たり19.9元(=ポンド1.32ドル)に高騰、江蘇省では14.5元(同0.96ドル)に落ち着いた一方、遼寧と黒竜江省では10.9〜11.8元(同0.72-0.78ドル)に下落した。全国平均価格はおよそ14元で、前年比7%安。
【カナダ】海外農業局(USDA・FAS)の予想によると、カナダの豚肉生産量および輸出量は2019年もおおむね横ばい。豚肉業界は、今秋に米国の生体豚価格が安値になるのを見越して、カナダ政府に対して援助を要請している。
マニトバ州とケベック州に養豚場が新設され、処理施設も少しずつ増加するに伴って、2019年の母豚の飼養頭数は1万2千頭増加する見込み。業界では来年以降、と畜能力が推定15万頭増加するが、その一部は改修工事であることから、実質的な影響は最小限に抑えられるとみられる。
米国向け生体豚の輸出は毎年600万頭弱で安定しており、今年の米国出荷は肥育素豚458万頭、と畜用豚80万頭と予想される。カナダで生産される生体豚の約19%が米国へ輸出される見込み。豚肉も同様の割合となりそうだ。
今年のカナダの豚肉生産量は213万トン、2019年は微増の214万トンと予想される。今年の輸出量は135万トン、米国向け鈍化がアジア・メキシコ向けの成長を相殺していることから、2019年も横ばいと見込まれる。
【メキシコ】メキシコでは生産能力の拡大へ向け、重点的な垂直統合をはじめとする大幅な業界投資が行われていることから、豚肉生産量は拡大を続けている。国内の豚肉価格上昇と飼料価格の低下が、生産者の利益率向上を示している。
生産ペースを上回る消費量の増加が引き続き貿易を下支えするだろう。2018年の輸入量は115万トン(前年比6%増)、2019年は120万トン(同4%増)と予想されている(枝肉重量ベース)。
今年の消費量は前年比5%増、来年はさらに4%増の237万トン、一人当たりの消費量は今年の17.3kg(3%増)から来年には17.78kg(同3%増)に増える見込み。今年の生産量は131万トン(同3%増)、来年は136万トン(同4%増)の予想。
8月の生体豚価格は上昇し、平均価格はポンド当たり0.85米ドル、前年比4%高で2015年1月以来の高値となった。米国の生体豚価格は低迷しており、2国間の生体豚価格差は史上最大に拡大。こうした価格差にもかかわらず、報復関税も影響して、メキシコ向け輸出は2016年7月以降で最低の水準。ペソ換算で、8月のメキシコの生体豚価格は前年比10%高、2014年の最高値を更新した。
豚肉輸入量は7月までの累計で53万5500トン(前年比4%増)、うち米国からは45万9580トン(2%増)。カナダからは6万8850トン(15%増)、欧州からは倍以上の3217トン。国別シェアは米国86%、カナダ13%。
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