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TRADER'S Be & Po

vol.316 Aug 13.2018
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 生体牛の現金取引、予想に反して上昇
トピックス 貿易紛争の損失で120億ドルの支援プログラム―USDA
アニマルウェルフェア 多国籍食品会社7社が動物福祉基準を推進
ポーク関連ニュース 赤身肉が心血管の疾患リスク低減、
新たな研究で明らかに
生産動向 フィードロット飼養頭数1330万頭に増加
食肉在庫 6月末在庫、牛肉は前年比8%増、豚肉0.2%増
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2018年6月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

生体牛の現金取引、予想に反して上昇

 
 

7月の生体牛市況は異例の展開となった。通常であれば、盛夏は牛肉の売れ行きに影響し、出荷待ちの肥育牛頭数が増加することで、現金取引価格は下落する。しかし今年は、7月第1週の現金取引価格が100ポンド当たりで6ドル近く上昇。第2週は2ドルほど下落したが、第3週には回復した。

先物市場はこの3週間、8月受渡し契約分がおおむね105〜109ドルで取引され、現金取引価格の支えにはならなかった。しかし肥育業者の損失が蓄積する一方で、処理業者のマージンは1頭当たり100ドル超が続いてきことから、パッカーは肥育業者に対する強気な姿勢を和らげた。

驚くのは、第3週の取引頭数が前週比で2.5倍に達したにも関わらず、パッカーが仕入値を上げたことだ。第2週の取引頭数はわずか5万357頭。第3週も前半はパッカーの買い気が弱かったが、金曜日に取引が一気に活発化し、主要5州で計12万8312頭が取引された。平均価格は生体牛112.61ドル、枝肉で179.00ドルとなり、それぞれ前週比で2.11ドル高、4.95ドル高となった。

第4週は肥育業者が生体牛115ドル、枝肉185.7ドルで売り出したのに対し、パッカーは生体牛108〜110ドルで購入。前週比で横ばいから小幅安で推移した。

 

※2018年7月30日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
トピックス

貿易紛争の損失で120億ドルの支援プログラム―USDA

 
 

米国農務省(USDA)のソニー・パーデュー長官は「米国の畜産・農産物に対する不当な報復関税の影響は110億ドルに及ぶ」と述べ、USDAが最大120億ドルの損失補償・支援プログラムを承認すると発表した。

長官は「トランプ大統領から、自由で公平な相互的な貿易条件づくりに取り組む間、農業生産者を保護するための短期的な救済戦略を作るようにとの指示を受けた」とし、「大統領はすべての米国の農家と牧場経営者を支援すると約束した。勤勉な米国の農業生産者は、中国の違法な取引行為と違法な報復関税により打撃を受けている。USDAは農業生産者が他国に制定された非友好的な関税に耐えているのを傍観するつもりはない」と述べた。

支援プログラムは農業サービス局(FSA)の①市場活性プログラム(対象は大豆、ソルガム、トウモロコシ、小麦、綿、乳製品および豚肉生産者への段階的な直接支払い)②農業販売促進局(AMS)を通じた食品買い上げ・配給プログラム(果物、ナッツ、米、マメ科植物、牛肉、豚肉、牛乳など)③海外農業局(FAS)による輸出市場の新規開拓を目的とした貿易促進プログラムの3つ。

この発表を受けて、全米豚肉生産者協議会(NPPC)は「報復関税という十字架を背負った米国の養豚農家を救済するため、トランプ大統領が迅速に措置を講じることを称賛する」とし、ジム・ハイマーレル会長は「米国の貿易政策の再構築が複雑であることを認識しつつも、米国の豚肉が世界の市場で公平に競争する機会を早期に取り戻せることを願っている」との声明を発表。

北米食肉協会(NAMI)のバリー・カーペンターCEOは声明で、「一部の貿易相手国が課した不当な関税により、大規模な経済的損失に直面する豚肉・牛肉の生産者に対し、USDAが短期的な救済を行うことに感謝する。プログラムの詳細の発表を期待している」と述べた。全米肉牛生産者・牛肉協会(NCBA)も救済措置を評価するコメントを発表し、中国市場へのアクセス拡大の重要性を強調した。

 

※2018年7月25日 Meatingplace.com

  HEAT HEALTH
 
アニマルウェルフェア

多国籍食品会社7社が動物福祉基準を推進

 
 

多国籍食品会社7社が、動物福祉に関する世界的な基準の策定を迅速化するための世界連合=GCAWを設立した。参加するのはネスレ、ユニリーバ、イケア・フード・サービス、アラマーク、コンパス・グループ、エリオール・グループ、ソデクソの7社。

GCAWはプレスリリースで、毎年、食品用に飼育された700億頭羽以上の家畜のうち、70%が動物福祉面で不十分な扱いを受けていることに留意し、共通の目標を特定し、改善を推進するために、食品会社として家畜動物福祉の専門家とより密に連携するためのプラットフォームを提供することを目指すとしている。

同連合は家畜福祉問題を優先し、業界の変革へ向けたロードマップを策定するとともに、生産者の動物福祉の実践を強く支援するため、実行へ向けた研究とパートナーシップを通じて、ナレッジを強化していく計画だ。

当初はケージフリー政策、ブロイラー鶏の福祉、養殖魚の福祉、抗菌剤の耐性、およびと畜と輸送の5つの分野の世界的基準に焦点を当てる。変革のための計画については、2019年初めに公表される見通し。

 

※2018年8月2日 Meatingplace.com

 
ポーク関連ニュース

赤身肉が心血管の疾患リスク低減、新たな研究で明らかに

 
 

ポークチェックオフの資金提供で行われた新しい研究によると、赤身肉を取り入れた地中海式の食生活によって、心血管疾患のリスク要因を低減できることがわかった。

American Journal of Clinical Nutritionに掲載されたこの研究では、地中海式の食生活において、赤身肉摂取量を典型的な量(1日3オンス)から低摂取量(1週間に3オンス)にまで変化させて比較した。その結果、1週間に赤身肉を18オンス消費すると、コレステロール値が低下し、血圧が低下することが明らかになった。

主任著者で、パデュー大学の学生であるローレン・E・オコーナー氏は「研究参加者のLDLコレステロール(心血管疾患の発症を予測する最も強力な予測因子の1つ)は赤身肉の摂取で改善された。総合的にみて、心臓の健康指標は、地中海式の食生活で改善する」としている。

研究参加者41名(女性28名、男性13名)は三段階の試験を行った。第1段階では、各参加者が地中海スタイルの食事パターンで、1週間に3オンスの赤身肉を5週間摂取。次の段階では5週間、通常の食生活に戻した。第3段階では、地中海式の食事で赤身肉の消費量を減らし、3オンスを1週間に2回のみに摂取。赤身肉の消費量を切り替える段階の順序はランダムに割り当てられた。

体重が過剰または中程度の肥満の成人は、摂取する肉が赤身肉かつ未加工であれば、その摂取量を減らしても減らさなくても、地中海式の食生活を採用することで、多様な代謝性心筋症疾患のリスク要因を改善できると結論付けられた。

USDAの「赤身」のガイドラインを満たす8つのポークカットと、この研究にも使用されたポピュラーなポークテンダーロインの脂肪量は、皮なしの鶏胸肉と同等である。「地中海風ポーク・ケバブ」や「ハーブをまぶした地中海風ポークテンダーロイン」など、豚の赤身肉を地中海式の食事に取り入れたレシピは、https://www.yummly.com/page/porkに掲載されている。

 

※2018年7月26日 NPB News release

  HEAT HEALTH
 
生産動向

フィードロット飼養頭数1330万頭に増加

 
 

USDAが公表した最新のフィードロット飼養動向調査によると、7月1日時点の全フィードロットの総飼養頭数は推定で1330万頭(前年同月比3.9%増)だった。飼養頭数が減少したのはアイダホ、ミネソタ、サウスダコタの3州のみ。飼養頭数が最も多いのはテキサス(274万頭)で、前年比7万頭増。次いでネブラスカ(240万頭)・同17万頭増、カンザス(224万頭)・同5万頭増。

6月の導入頭数は、ミネソタ、ネブラスカ、サウスダコタ、テキサスを除く全ての州で前年を上回った。出荷頭数は、テキサス、ワシントンを除く全ての州で前年以上を記録した。

テキサスA&M大学のデイビッド・アンダーソン氏は最も興味深いのは未経産牛の頭数だと指摘する。未経産牛・去勢牛の飼養頭数の内訳は、四半期ごとに更新されるが、同日付の未経産牛の総飼養頭数は415万4000頭(前年比約8%増)。2001年7月(444万6000頭)に次いで2番目に多く、去勢牛は712万8000頭で、1996年以降で最多である。

USDAが半期に一度公表する牛の飼養動向調査でも未経産牛の頭数が多く、繁殖用に保留された未経産牛は前年比2%減少しており、肉牛生産の拡大基調は終わりに近づいていることがうかがえる。全米の牛・子牛の総飼養頭数は1億300万頭(同1%増)、雌牛4190万頭(同1%増)、肉牛3250万頭(同1%増)、乳牛940万頭(横ばい)。

フィードロット外で飼育されている500ポンド未満の子牛と、その他の500ポンド以上の未経産牛・去勢牛は合計で3710万頭(同1%増)。2018年の子牛生産頭数は推定3650万頭(同2%増)と予測される。

 

※2018年7月30日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
食肉在庫

6月末在庫、牛肉は前年比8%増、豚肉0.2%増

 
 

6月末の牛肉の冷凍在庫は4億4860万ポンド(前年比8%増)、前月比では3%減、過去5年平均比では2%増となった。ボンレスビーフは前年比6%増、前月比4%減、ビーフカットは同31%増、7%増。

豚肉の冷凍在庫は5億6000万ポンド(同0.2%増)、前月比では10%減、過去5年平均比では3%減となった。ボーンインピクニックは前年比6%減、前月比28%減、ボンインハムは同26%減・31%増、ボンレスハムは同10%減・4%減。ベリーは前月比16%減だが、前年同月比では130%増。ロインは全体で同20%減・12%減。

Wall Street Journalは6月の食肉・家きん類製品の「備蓄急増」と報じているが、冷凍在庫は2017年9月にはすでに記録的水準に達しており、2018年5月には赤肉・家きん類の合計で25億ポンドを超えていた。6月末の在庫も25億ポンド超と予想されていたが、実際は24億3600万ポンドと減少。鶏肉の在庫は記録的に多いが、豚肉、牛肉、七面鳥肉は前月より低下した。

 

※USMEFreport

  食肉の在庫量の推移
  牛肉の在庫量の推移/豚肉の在庫量の推移
   
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ビーフ・ファクト・シート