コロラド大学が発表した新たな研究によると、豚肉などの食肉は、タンパク質を多く必要とする離乳食期の乳児の重要な栄養源となり得ることが明らかになった。生後6〜12ヶ月の急激な成長期に、食肉を乳児の補助食品の選択肢とする母親は少ない。しかし、今回の研究では、(粉ミルクまたは母乳の補助食品として)食肉を与えられた乳児は、初期の身長の発達面で有利であることが示唆された。
同大学の小児科の主任研究者、ミニュワ・タン助教授は「重要な微量栄養素を含む豚肉などの食肉は、優れたタンパク源として離乳食期の乳児にとって重要な補助食品となり得る。研究では5カ月齢でタンパク質の摂取量を増加し、豚肉を食事に採り入れると、身長の成長曲線に有益であることが明らかになった」という。
この研究では、5〜12カ月齢の健康な乳児(人工乳栄養児)64人を、豚モモ肉や牛肉のピューレなど食肉由来の補助食品と、乳製品由来の補助食品を与えたグループに分け、1日のタンパク質摂取量を研究期間前の体重1s当たり2gから、研究期間中は3gに増加させた。カロリーと脂質の摂取量は食肉、乳製品の両グループとも同量を維持した。その結果、食肉の方が、乳製品グループより12カ月齢時点で身長の成長率が約1インチ高く、さらに7カ月間の研究期間終了時に過体重になるリスクが増加しないことがわかった。
先行研究では、母乳育児中の乳児について、食肉由来の補助食品が過体重を招くことなく身長の増加を促すとの研究があったが、今回の研究で母乳、人工乳のいずれにおいても同様の結果が得られたことになる。アメリカ小児科学会は、4〜6カ月齢で固形食品の導入することを推奨しているが、母乳栄養児は人工乳栄養児よりも鉄分が不足するリスクが高い。食肉を補助食品とすれば、鉄分と亜鉛の摂取が容易になる利点もある。
WHO(世界保健機関)も早期にタンパク質を摂取する必要性を認識し、乳児ができるだけ毎日、食肉、家禽類、魚、卵を食べるよう推奨。USDA(米農務省)およびFDA(保健福祉省)は、乳児の成長に栄養素が重要な役割を果たすことを考慮して、「2020〜2025年 栄養に関するガイダンス」に乳児の栄養摂取に関するガイドラインを含める方針だ。
NPB(全米豚肉委員会)の栄養情報共有・研究マネージャーのアドリア・フセス氏は「この研究が特に素晴らしいのは、栄養豊富な豚肉が家族全員の食事において重要な役割を果たせるとわかったことだ」としている。
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