NAMI(北米食肉協会)の年次会合で紹介された「2018 Power of Meat」 レポートによる、10項目のキー・トレンドの要旨を紹介する。このレポートは、210人のアナリストが食肉の購買、調理、消費の傾向を顧客目線で調査したもの。
食品小売業界は、競争力と人口統計学的な推移、さらにテクノロジーや利便性、健康志向、透明性といったメガトレンドによって再構築されている。食肉部門も、流通計画から消費に至るまで、この潮流に沿って変化している。
食肉部門は、ターゲットを絞った広告、マーケティング、マーチャンダイジングを通じて、様々な消費者層に対するアプローチを多様化することで、顧客ロイヤリティを増進し、競争上の優位性を引き出す重要な部門であり続けることができる。
食肉業界は小売業界とチームを組んで買い物客の食肉に対する知識を広げることで、需要と売上を増加させることができる。現状では、消費者の食肉に対する知識は乏しく、わずかな種類のカットや品目しか購入しないという消費者が83%にのぼっている。
インターネットや競合他社が太刀打ちできないようなサービスを提供することも、競争で優位に立つためには重要だ。食肉の調理方法に関する情報源として、デジタルツールがトップの座を占めた一方で、レシピやメニューの提供、あるいは量り売りをする食肉売場の対面サービスを評価する買い物客が38%もいる。
生鮮・調理済みのいずれの食肉部門でも、明白なブランド志向がここ12年で最高値に達している。買い物客の多くに、よく知られたブランドの製品を購入する傾向があるが、他のものを購入するきっかけは、より良い品質や価値、一貫性を知ることだという。ブランド志向が強い一方、販促をきっかけに普段買わないブランドを試す買い物客が62%にも達する。
栄養面を重視する買い物客は、製品の個別の特徴に高い関心を持ち、週間支出額が高い。低脂肪のカットを選び、消費量をほどほどに抑えることを主眼とした“知識ある肉選び”を行う上で、80%近い買い物客が健康上・栄養上の情報が役立つと感じている。店舗では、10人に7人が摂取量をコントロールする目的でパッケージのサイズに注意を払っており、またタンパク質含有量、総脂肪量およびナトリウム量などの情報にも関心を持っている。
買い物客の多くは、食事のラインナップに利便性を重視した食品を採り入れる傾向がある。レンジ加熱食品、惣菜、加工済み食肉製品の消費量は、昨年にはさらに拡大した。加工済みの食肉製品は、製品の種類や価格、調理方法と品質に関する情報発信を増やすことで、さらなる成長ができる。購入頻度の高い買い物客は、夕食の全メニューを取り揃えたコーナーや、完全調理済み食肉製品の品揃えの拡大も評価している。
消費者は生産地、育成地、動物衛生、環境活動について知りたがっている。さらに食肉・家きん類のパッケージにあるナチュラル、オーガニック、牧草肥育、ホルモン剤不使用、抗生物質不使用といった文言を認知しつつある。こうした情報の透明性が売上を増加させる要因になるだろう。
その他、レポートが示唆するキー・トレンドは「食肉販促調査のルーティーン化」「スーパーの勢力拡大」「食肉のWEBオーダーの普及」「オムニチャンネルのチャンス拡大の兆候」「品質、品揃え、価格、経営上の強みに対する関心の高まり」など。 |