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TRADER'S Be & Po

vol.304 Jun 29.2018
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
トピックス ポーク新工場相次ぐ、今秋にはと畜能力4万頭増
市況ニュース 2018年肥育牛価格は軟化、輸出成長が重要に
生体豚、カットアウトともに1月は上昇
業界ニュース 2017全米ビーフパッカートップ30、上位陣の変動なし
輸出動向 豚肉は過去最高、牛肉は日本向け好調−11月
生産動向 フィードロットの飼養頭数、拡大傾向続く
USMEFインフォメーション SMトレードショーに出展−2月14〜16日幕張メッセ
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2017年11月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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トピックス

ポーク新工場相次ぐ、今秋にはと畜能力4万頭増

 
 

NPB(全米豚肉委員会)が2017年のポークファクトを発表し、豚肉の新設工場のと畜能力見通しが掲載された。それによると、2017年秋の段階で新工場による1日当たりと畜能力の増加は、ムーンリッジポーク(2016年稼働)を含めて計2万9800頭、週当たりでは48万7435頭増加する(新設以外の拡張含む)。

2018年秋にはこれが同4万頭・同49万7635頭になる。プライムポーク5100頭、クレメンスフードグループの1万2000頭は変わらないが、トライアンフ―シーボードのスーシティー工場が2シフト・2万400頭体制になるためだ。

さらに2019年秋までにはプレステージファームズの新工場が1万頭体制で稼働するため、同5万頭・同50万7635頭に増加する。これにより、2019年秋には年間のと畜能力規模は2015年と比較して1275万頭増強される。

米国で大規模なポークプラントが新設されたのは、トライアンフのセントジョー工場(シーボードフーズ運営)以来10数年ぶり。世界最大の規模を誇るスミスフィールドのターヒル工場を始め、シーボードのガイモン工場、PSFのマイラン工場などの新設が相次いだ時期からは20数年ぶりとなり、2018年の米国のポークパッカー業界は1990年代初頭のダイナミズムが再来、変動期を迎えることになりそうだ。

  米国の新設ポークプラントのと畜能力
 
市況ニュース

2018年肥育牛価格は軟化、輸出成長が重要に

 
 

2018年の肥育牛価格は、総じて軟化しそうだ。アナリストはその要因として、子牛生産頭数が増加の一途をたどり、肥育牛の出荷が促進されることを指摘する。主要5州の去勢牛(チョイス)の2017年の平均価格は100ポンド当たり121.74ドル。去勢牛・未経産牛のと畜頭数が5%増加したにも関わらず、当初予想の110〜113ドルを大きく超え、2016年の平均価格119.58ドルを上回った。

今年の去勢牛・未経産牛のと畜頭数は、前年比2.5%増の見込み。一部には2011年以来で最多となる2610万頭を予想するアナリストもいる。出荷・と畜頭数の増加によって、生体牛価格は昨年よりも低く抑えられそうだ。

今年の牛肉生産量の予想は約274億ポンド(前年比5%増)。2017年の同3.8%増に引き続き増加する。豚肉は5.3%増、ブロイラーは1.8%増の見込み。食肉・家きん肉類の供給量は1035億ポンド(同3.4%増)と、昨年の2.6%増を上回る大幅な増加となる。USDAの最新予測によると、今年の国民1人当たりの食肉消費量は推定222.2ポンドで、2017年(216.9ポンド)を5.3ポンド上回り、2004年の過去最高記録を塗り替えることになる。

マクロ経済指標は依然良好だが、この大量供給が上手く消化されないと、食肉業界の収益性は悪化する可能性もある。昨年より約13億ポンド多い牛肉を消化するためには、国内外での牛肉需要が一段と重要になる。

成長し続ける米国経済、失業率の低さ、最低賃金の上昇は、国内の牛肉販売を下支えするが、牛肉よりも安い豚肉や鶏肉の供給も増加するため、昨年を超える輸出成長が必要だ。輸出業者が特に重視しているのは日本、次いで韓国。2017年(1〜10月)の牛肉輸出量は2億9300万ポンド(14.3%)成長したが、日本だけでその半分以上をけん引している。

 

※2018年1月8日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

生体豚、カットアウトともに1月は上昇

 
 

例年、1月の豚肉卸売価格は、と畜頭数の減少を反映して上昇基調で推移する。豚のと畜頭数は12月上旬にピークを迎え、小売業者のホリデーシーズンの手当が一巡すると、モモの価格が急落する。これに伴い、ポークのカットアウト価格も12月後半には下落に転じ、1月に入ると回復する。過去10年間で9回はこのパターンであり、今年も同様の値動きをすると予想される。

現在のカットアウトの平均価格は、100ポンド当たり78ドル。すでにイースター(2018年は4月1日)に向けた仕入れが動き始め、モモの価格は回復の兆しが見え始めた。ベリーは高値にあり、ロインとバットも上昇しつつある。

1月後半の生体豚の現金取引価格は、過去の傾向からみて月前半より3%上昇するだろう。生体豚の現金取引価格に加え、先物取引価格も2月受渡し分が同71.4ドルと上昇気配にある。この要因は、季節的なカットアウト価格の値上がりと、新設工場の稼働によりと畜能力が拡大したことで、先行きの生体豚をめぐる競争が激化すると予想されていることだ。

生体豚の現金価格は月後半に3%上昇すれば、1月末から2月上旬のカットアウトは80ドル前後になる。昨年の1月末に、カットアウトと生体豚価格は100ポンド当たりで13〜14ドルの値差があった。競争が熾烈化すれば、この差は1ケタ台後半まで縮まると予想され、パッカーマージンも縮小するだろう。

生体豚の供給増は比較的緩やかで、好調な輸出により消化されている。2月のポークカットアウト価格を左右するのはベリーの価格だ。昨年は小売で活発な販促が行われたことで、ベリーのプライマル価格は100ポンド当たり180ドルにまで上昇し、これがポークカットアウト価格を約5ドル上昇させた。今年もベリーの値動きが注視される。

 

※2018年1月8日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

 
業界ニュース

2017全米ビーフパッカートップ30、上位陣の変動なし

 
 

キャトルバイヤーズウイクリー紙は「2017年全米ビーフパッカートップ30社」を発表した。これは同紙が毎年調査しているもので、1日当たりのと畜能力を基にランキングしている。それによると、トップ30社の合計は52工場・12万6715頭で、順位に大きな変動はない。

1位はタイソンフーズ(6工場)とJBS USA(9工場)で2万9000頭。3位はカーギルプロテイン6工場・2万3000頭、4位はナショナル・ビーフ・パッキングの2工場・1万2000頭。4大ビーフパッカーのと畜能力の合計は9万3000頭で、トップ30社の73%を占める。各社の2016年の牛肉販売高はタイソーンフーズ145億1300万ドル、JBS USA135億ドル、カーギルプロテイン111億ドル、ナショナルビーフ69億8400万ドル。

9位のCSビーフパッカーズ(1700頭)は2017年5月にキャビネスビーフ(テキサス州アマリロ)とJ.R.シンプロット(アイダホ州ボイジ)が合併したもの。

  2017年全米ビーフパッカートップ30
 
輸出動向

豚肉は過去最高、牛肉は日本向け好調−11月

 
 

US Census Bureau 公表データによると、11月の食肉輸出量は前年同月を上回った(USDA・ERSのデータは未入手)。

【豚肉】国外需要の強さが大幅な輸出増に繋がっている。冷蔵・冷凍および調理済み豚肉の11月の輸出量は18万333トン(前年同月比3.8増)。過去最高だった前年同月を上回り、11月としての最高記録を更新した。

最大市場のメキシコ向けは5万9334トン(3.2%減)と減少したが、第二位の日本(3万7884トン)を大きく引き離している。メキシコ向けの1−11月累計は13.1%増で過去最高の水準に近い。

韓国向けは11月34%増、1−11月累計でも30%増と引き続き好調で、輸出に占める割合は前年の6.9%から8.4%に上昇。中国・香港向けは1万6544トン(同10%増)。2017年の中国の需要はさほど強くなかったが、2018年も勢いが増すとは考えにくい。それでも、1−11月累計に占める割合は9%に達しており、米国産豚肉の輸出が長期的に拡大を続けていく上では、重要な役割を担う可能性がある。

【牛肉】冷蔵・冷凍および調理済み牛肉の11月の輸出量は8万7120トン(同3.3%増)。日本、香港向けの勢いが強く、カナダ・韓国向けの減少分を補った。1−11月累計は86万1757トン(同12.9%増)。日本が最大の市場となっている。

11月の日本向けは2万1039トン(同15%増)。驚くべきことは、8月から関税が引き上げられて以降も2ケタ台の成長をキープしていることだ。8〜11月の累計輸出量は前年同期比32%増で、日本の米国産牛肉に対する需要は強い。

 

※2018年 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  米国の豚肉(バラエティーミート含む)の輸出量の推移
 
生産動向

フィードロットの飼養頭数、拡大傾向続く

 
 

牛肉業界の供給サイドにとって、今年最大の課題は、肥育業者が積極的な出荷を維持し、これから夏季にかけて増加する飼養頭数を最小限に抑えることだ。12月のフィードロットの飼養動向調査の数値は弱気で、出荷の促進が必須であることが確実となった。

11月のフィードロット導入頭数は前年同月比11%増、12月1日現在の飼養頭数は同8%増。これは12月1日現在の数値としては2011年以来で最大だ。フィードロットへの導入頭数は9カ月連続で前年を上回っている。

アナリストは、1月1日の飼養頭数は前年より9%近く増加すると予想する。12月の導入は前年を下回ったが、出荷も低調だった。「12月の出荷率は2007年以来で最低。過去5年平均と比較すると、望ましい出荷頭数より10万4000頭少ない」という。

去勢牛・未経産牛の枝肉重量が引き続き注視される。昨年の夏秋のコンディションはこれまでになく良好で、牛の肥育状況は記録的だ。平均体重の増加は1日当たり5ポンドを超えることも珍しくなかった。このため、去勢牛・未経産牛の枝肉重量は、季節的なピークを過ぎた12月上旬にも増加し、12月最終週で去勢牛平均903ポンド、未経産牛846ポンドを記録した。

枝肉重量は季節的なトレンドに反して5週連続で増加し、その時期としては記録的な水準にある。ピークが後にずれたことで、春季に向けた減少は通常よりも遅いペースになりそうだ。

 

※2018年1月8日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
USMEFインフォメーション

SMトレードショーに出展−2月14〜16日幕張メッセ

 
 

米国食肉輸出連合会(USMEF)は、2月14〜16日の3日間、幕張メッセで開催される「SMTS(スーパーマーケット・トレードショー)2018」にブース出展します。SMTSはデリカテッセン・トレードショー2018、第13回こだわり食品フェア、第3回外食FOOD TABLEとの4展合同開催により、小売・中食・外食の垣根を越えた商談会として開催されます。

USMEFブースでは、2018年の春夏に展開する新スタイルのクローズキャンペーン「たくさん食べて応募しよう! アメリカン・ビーフマイレージプレゼントキャンペーン」(仮テーマ)の内容を紹介するとともに、昨秋から提案を強化して好評を得ている「ポンドステーキ」の販促サポートを紹介。またスーパー関係者向けに作成した新たなガイドブック「アメリカン・ビーフ新マーチャンダイジングガイドブック」も配布します。

ポークでは、昨年からに制定した「ごちポの日(5月第3日曜日)記念キャンペーン」の2018年の展開内容とともに、今年から新たに提案するアメリカン・ポークのおいしい食べ方「低温調理」を紹介します。ビーフ、ポークともに商品展示と試食を通して、販売促進のための新しいアイデアをご提案しますので、ご来場の際は是非ともUSMEFブースにお立ち寄りください。

 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ビーフ・ファクト・シート