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TRADER'S Be & Po

vol.302 Dec 4.2017
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 生体牛価格、予想より早く下げ基調に
需給展望 豚肉生産は2018〜2019年も拡大、輸出動向を注視
輸出動向 9月の豚肉輸出は横ばい、牛肉は増加維持
ポーク関連ニュース 中国の米国産豚肉輸入、今後3年間は増加見通し
業界ニュース 牛枝肉格付用の新カメラシステムを修正―AMS
USMEFインフォメーション USMEF40年の活動の足跡をホームページに掲載
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2017年9〜10月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

生体牛価格、予想より早く下げ基調に

 
 

生体牛の現金取引価格は2週連続で下落した。例年、生体牛価格は感謝祭後に値下がりに転じるが、今年は予想以上に早い展開で肥育業者は戸惑っている。11月14日に12月受渡し分の先物取引価格が100ポンド当たり119.50ドルまで値下がりしたことで、肥育業者の姿勢は売りに転換し、同日に主要5州で1万3725頭が平均119ドル、15日には北部で6万4300頭が枝肉平均189〜189.50ドルで販売された。

前週の主要5州の生体牛平均は122.71ドルで、3〜4ドルの下落。枝肉価格は同191.62ドルで2ドル強の値下がりとなった。出荷間近の肉牛が増えており、出荷増による値下がりが続く可能性がある。

一方、ボックスビーフの価格は、11月第2週にカットアウトの平均価格が100ポンド当たり205.77ドルまで上昇。これは前年同週比で12.5%高く、一部の小売業者は値上げに踏み切った。チョイスとセレクトの価格差は22.41ドルまで広がっており、ホリデーシーズンに向けてチョイスの引き合いが強いことが読み取れる。チョイスの値上げに伴う売れ行き鈍化の兆しは見られないが、先行き、ホリデーシーズンに向けた小売の販売動向と輸出需要を注視する必要がある。

もう1つ注意すべきなのは枝肉重量だ。最新の週間報告(11月4日までの週)では去勢牛の平均重量が902ポンド、未経産牛は833ポンド。いずれも過去5年平均よりは高いが、前年同週比ではそれぞれ11ポンド・9ポンド低い。肥育業者は生体牛の価格維持にはタイムリーな出荷を継続する必要がある。

アナリストは、投資家たちが穀物先物市場から肥育牛先物市場へその資金を続々と移していることを懸念している。最新のCFTCレポートによると、投資目的で長期保有する生体牛は13万2203頭で、前週の12万456頭からさらに増加。肥育素牛の取引においても長期トレードが増えている。12月受渡し分の先物価格が火曜に107ポイント下落、水曜には70ポイント上昇、木曜には再び65ポイント下落するといった上下動を繰り返した背景には、こうした投資家の動きも影響しているようだ。

 

※2017年11月20日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
需給展望

豚肉生産は2018〜2019年も拡大、輸出動向を注視

 
 

2017年の豚肉市場は小売の販促タイミングや輸出状況に大きく左右されたが、今後2年間はこの動きが継続しそうだ。飼料コストの安さは、他の食肉よりも豚肉生産の拡大を後押しする。豚肉生産者の大部分はトウモロコシ農家を兼業しており、トウモロコシの備蓄増・現物安は、当然、養豚用飼料への仕向けが増える要因となるだろう。

過去のこうした状況では、供給の増加分を消化するために生体豚・豚肉価格は暴落した。だが牛肉と同様、国内外での需要が追い風となり、生産農家が受ける価格の影響は最小限で済んでいる。2017年の豚肉生産量は、現在の推定で257億ポンド(前年比3%増)。にもかかわらず、ポークカットアウト価格は推定で100ポンド当たり83.9ドル(同6.7%高)。

最新の豚飼養動向では、繁殖豚は約610万頭(同1.2%増)とこの10年で最も多い。繁殖豚の増加と生産性向上の相乗効果で、2018・2019年の豚肉生産量は拡大する見込み。2018年の豚肉生産量は2.7%増、2019年は1.9%増と予測されている。全生産量のうち輸出比率は22%。

2017年の豚肉輸出量は、55億8100万ポンド(同6.5%増)の見通し。2018年には5%増、2019年には2.7%増と予想する。米国の豚肉輸出のカギを握るのは主に中国だろう。最近、ある中国企業が米国産豚肉を10億ドル購入すると発表したが、これだけで今後3年間の豚肉輸出量が全体で6%伸びる可能性がある。2018年の全米の国民一人当り豚肉供給量(枝肉重量ベース)は65.4ポンドで1%増加する見込み。

価格見通しは、生体豚・枝肉価格の2017年の推定平均は100ポンド当たり67.4ドル(同10.5%高)、ポークカットアウト価格は100ポンド当たり83.9ドル(同6.7%高)。新たに2工場が開業したことで、処理業者のマージンには下げ圧力が加わっている。2018年にはさらに開業予定の工場や、2シフト体制への移行する工場もあり、処理能力が増加すれば、生産の拡大に対応しやすくなるはずだ。

2018年の生体豚・枝肉価格は71ドル前後、ポークカットアウトはわずかに弱まるとの見通し(1.1%安)。2019年は供給の増加を主因に低迷すると予想されているが、最も注視すべきなのは輸出の変動要因だ。中国向けの増加は確実な強気要因だが、日本と欧州とのFTA、NAFTAやTPPの解消は、米国の豚肉業界に強い逆風をもたらす可能性もある。

 

※2017年11月6日 CATTLE BUYERS WEEKLY

  米国の国民1人当たりの豚肉供給量
 
輸出動向

9月の豚肉輸出は横ばい、牛肉は増加維持

 
 

USDA公表、USMEF編纂の食肉輸出統計によると、9月の豚肉の輸出量は前年比横ばい、牛肉は増加基調を維持した。9月の豚肉の総輸出量は18万3481トンで、前年同月ならびに前月とほぼ変わらず。輸出額は5億380万ドル(前年比3%増)。第3四半期を終え、累計輸出量は179万トンと前年と同水準だが、輸出額は10%増の47億1000万ドルに達した。

9月の牛肉の輸出量は、前月からは減少したものの、前年比では2%増加し10万3552トン、輸出額は6億1690万ドルと4カ月連続で6億ドルを超えた。1〜9月累計は92万6985トン、前年同期比9%増。輸出額は52億7000万ドル(前年比16%増)。

【豚肉・国別】これまでの輸出増をけん引してきたメキシコ向けは6万3771トン(同4%減)、輸出額は1億2210万ドル(同7%減)とペースダウン。日本、中国・香港でも減少したが、韓国、カナダ、中南米、ASEAN諸国、台湾などで増加傾向を示した。

韓国向けは9362トン(同33%増)、2590万ドル(同27%増)。1−9月累計では12万633トン(同27%増)、3億3090万ドル(同31%増)。カナダ向けは2万436トン(同4%増)、7760万ドル(同9%増)。1〜9月の累計は15万5713トン(同3%増)、5億9240万ドル(増減なし)。コロンビア向けは8629トン(同55%増)と勢いを継続、新たに南米市場をけん引している。コロンビアでは国内生産が消費の拡大に追いつかない状況にあり、加工品仕向けで米国産豚肉が好まれている。

日本向けは9月に減少傾向を示したものの、累計輸出量は28万9947トンでほぼ横ばい、輸出額は11億9000万ドル(同3%増)。チルドポークは15万8962トン(同3%減)、輸出額は7億5000万ドル(同2%増)。中国・香港向けは国内生産の増加の影響が続き、1〜9月累計で37万3814トン(同8%減)、7億8110万ドル(同1%減)。

  米国の豚肉(バラエティーミート含む)の輸出量の推移
 

 

 

【牛肉・国別】アジア、西半球では9月も強い勢いが継続。主要市場である日本は、フローズンビーフに対する関税の引き上げ(38.5%から50%へ)にもかかわらず健闘。9月のフローズンビーフの日本向けは1万512トン(同44%増)、チルドは1万2663(同38%増)を記録。1〜9月累計は23万6536(同22%増)、14億5000万ドル(同30%増)。

韓国向けは小売部門の需要拡大にけん引され、1−9月累計の輸出量は13万1774トン(同7%増)、輸出額は8億5690万ドル(同20%増)。チルドビーフが3万1648トン(同85%増)、2億8300万ドル(同92%増)と大幅に増加し、シェア拡大を続けている。米国産チルドビーフが7割のシェアを握る台湾も1万3615トン(同19%増)、1億6200万ドル(同24%増)と増加基調を維持。

メキシコ、カナダ向けは前年同月をわずかに下回ったが、輸出額は増加した。フィリピン、インドネシア、ベトナムの強い成長に後押しされ、ASEAN諸国向けは2万9974トン(同8%増)、1億4910万ドル(同53%増)。この地域は特にバラエティーミートの需要が強い。カリブ海諸国はハリケーンの影響が大きく、9月の輸出量は22%減と激減したが、1〜9月累計では増加基調を維持している。

  米国の豚肉(バラエティーミート含む)の輸出量の推移
 
ポーク関連ニュース

中国の米国産豚肉輸入、今後3年間は増加見通し

 
 

報道によれば、中国の大手Eコマース企業が米国産牛肉と豚肉を今後3年間で計13億ドル購入することで合意したという。うち3億ドルがMontana Stockgrowers Associationとの取引で、うち1億ドルは新設処理工場へ支払われるようだ。多くの報道が牛肉の取引に注目しているが、これは豚肉市場にとってこそ重大な情報だろう。

これまでの情報によると、中国は10億ドル近くの豚肉製品を米国の大手豚肉生産者から購入する。中国政府はラクトパミンを使用した豚肉を許可していないが、米国の生産者は近年、ラクトパミンフリーの豚肉の生産を拡大している。

一部の部位に需要が見込める牛肉とは違い、中国のバイヤーは余分なコストを調整しやすいよう、豚肉を枝肉単位で購入することも多くなりそうだ。USDAの最新のレポートによれば、β作動薬を使用していない豚肉は100ポンド当たり80セント(枝肉重量ベース)、枝肉は1.68ドル高くなる。

中国は今年これまで、冷蔵・冷凍の米国産豚肉を毎月平均2000ドル、さらに副産物を2200ドル輸入。9月までの累計輸入額は豚肉・副産物合わせて3億7400万ドル、年間では5億ドルに達する勢いだ。

報道で伝えられる取引が実行されれば、米国の対中国輸出額の6割を占め、全体の輸出額を6%増加させることになる。中国の豚肉需給は大部分が自給自足であるが、その消費量は絶大で、輸入に関するわずかな変化も世界の豚肉取引市場に多大な影響を与える。

 

※2017年11月13日 Pork Profit Maximizer

  とうもろこしの生産者価格と需要量に対する在庫率
 
業界ニュース

牛枝肉格付用の新カメラシステムを修正―AMS

 
 

USDA・AMS(農務省農業販売促進局)は、牛枝肉の格付けに用いている新たな枝肉撮影カメラの画像解析ソフトウェアに修正を加え、従来のカメラと性能を統一した。このカメラは9つの牛肉工場に今夏に導入されたが、AMSの格付官は、新カメラは従来のものよりプライムとチョイスの格付割合が高いのではないかとし、11月9日から修正を実施したという。

AMSはパッカーや他の関係者と協議の上、カメラによる画像解析技術を使用する全工場を対象に、格付け変更の手順を40度から20度に変更し、ソフトウェアも修正した。AMSによれば、カメラによる格付け度合が20度以上離れていた場合、USDAの格付官が格付けを変更できるようにしたという。

新カメラを使用していたパッカーはカメラの差による格付割合への影響はないとしていた。アナリストも「カメラの性能が統一されたことで、プライムやチョイスの格付け割合に目に見える減少が起こることは考えにくい」と指摘する。新たなカメラを導入する以前の6月、9工場で格付けされたプライムとチョイスの割合は計75%、最新の記録(11月3日までの週)の両グレードの合計は75.28%となっている。

 

※2017年11月20日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
USMEFインフォメーション

USMEF40年の活動の足跡をホームページに掲載

 
 

米国食肉輸出連合会(USMEF)日本事務所は、この12月で設立40周年を迎えました。公式ホームページに、これまでの活動の変遷を記録した「USMEFジャパン―市場開拓の足跡〜History of USMEF Activities〜」を掲載いたしました。

設立以来、日本市場で展開してきたキャンペーンやイベントと、食肉業界の主な出来事を対にした年表形式で記載しています。アメリカン・ビーフ、アメリカン・ポークが時代の要請に応えたキーワードと新しい商品・販売提案でどのようにして市場を切り開いてきたかの足跡とともに、牛肉の輸入自由化、ウルグアイラウンド合意、安全性に関する問題や震災など、食肉需給に大きな影響を与えた歴史的出来事も網羅されています。
https://www.americanmeat.jp/trd/aboutus/history/index.html

 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ビーフ・ファクト・シート