2017年の豚肉市場は小売の販促タイミングや輸出状況に大きく左右されたが、今後2年間はこの動きが継続しそうだ。飼料コストの安さは、他の食肉よりも豚肉生産の拡大を後押しする。豚肉生産者の大部分はトウモロコシ農家を兼業しており、トウモロコシの備蓄増・現物安は、当然、養豚用飼料への仕向けが増える要因となるだろう。
過去のこうした状況では、供給の増加分を消化するために生体豚・豚肉価格は暴落した。だが牛肉と同様、国内外での需要が追い風となり、生産農家が受ける価格の影響は最小限で済んでいる。2017年の豚肉生産量は、現在の推定で257億ポンド(前年比3%増)。にもかかわらず、ポークカットアウト価格は推定で100ポンド当たり83.9ドル(同6.7%高)。
最新の豚飼養動向では、繁殖豚は約610万頭(同1.2%増)とこの10年で最も多い。繁殖豚の増加と生産性向上の相乗効果で、2018・2019年の豚肉生産量は拡大する見込み。2018年の豚肉生産量は2.7%増、2019年は1.9%増と予測されている。全生産量のうち輸出比率は22%。
2017年の豚肉輸出量は、55億8100万ポンド(同6.5%増)の見通し。2018年には5%増、2019年には2.7%増と予想する。米国の豚肉輸出のカギを握るのは主に中国だろう。最近、ある中国企業が米国産豚肉を10億ドル購入すると発表したが、これだけで今後3年間の豚肉輸出量が全体で6%伸びる可能性がある。2018年の全米の国民一人当り豚肉供給量(枝肉重量ベース)は65.4ポンドで1%増加する見込み。
価格見通しは、生体豚・枝肉価格の2017年の推定平均は100ポンド当たり67.4ドル(同10.5%高)、ポークカットアウト価格は100ポンド当たり83.9ドル(同6.7%高)。新たに2工場が開業したことで、処理業者のマージンには下げ圧力が加わっている。2018年にはさらに開業予定の工場や、2シフト体制への移行する工場もあり、処理能力が増加すれば、生産の拡大に対応しやすくなるはずだ。
2018年の生体豚・枝肉価格は71ドル前後、ポークカットアウトはわずかに弱まるとの見通し(1.1%安)。2019年は供給の増加を主因に低迷すると予想されているが、最も注視すべきなのは輸出の変動要因だ。中国向けの増加は確実な強気要因だが、日本と欧州とのFTA、NAFTAやTPPの解消は、米国の豚肉業界に強い逆風をもたらす可能性もある。
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