生体豚の現金取引価格が堅調に推移し、先物価格を下支えしている。アイオワ・ミネソタの現金取引価格は、前年水準の45%高で推移。新設の2つの処理工場がパッカーと生産者のマージンと市場マインドに明らかな影響を与えている。
昨年は生体豚の供給が一日当たりの処理能力を超えたことで、生産者は販売価格の値下げを余儀なくされ、パッカーは稼働時間の延長や土曜日の稼働を迫られた。スーシティとコールドウォーターの2工場はまだフル稼働には至っていないが、この地域の生産者が出荷タイミングを調整できるゆとりを生み出している。
10月最終週の土曜日のと畜頭数は20万頭、前年同週比30%減。2015年同週の23万2000頭も下回る。過去3週間の土曜日のと畜頭数は、前年水準の35%減で推移。枝肉の重量は前年並みを維持しており、これが現金価格を支える一因になっている。
生体豚の供給は、今後も記録的な水準が年末まで続く見込みだ。と畜能力が拡大したこともあり、生産者は出荷の制約に向き合わずに済んでいるが、豚肉の販売価格には新設工場の影響はほとんどない。10月第4週のカットアウト価格は100ポンド当たり76.7ドル。生産量が4.6%増加する中にあって前年同週比4.9%高をつけた。
豚肉の需要は好調だ。一部にはスポット市場での販売量が13%減少したことで、需要が停滞し始めたと見る向きもある。しかしスポット市場の減少は、パッカーがフォーミュラ取引やフォワード取引での予約販売を増やそうと尽力してきたこと、また9月の輸出量が急増したことで、結果的にスポット市場の流通量が減少した。
とはいえ、ハム、ピクニック、トリム等の一部の製品は予想されていた価格よりかなり高値になっており、今後数週間は注視する必要がある。海外市場での売れ行きとともに、年末のホリデーシーズンへ向けた販促にも影響を及ぼす可能性がある。
MPR(パッカーの義務的価格報告制度、メキシコとカナダ向けは対象外)による輸出量は、過去4週間の平均で前年比21%減。ただ10月28日までの週で輸出量は急回復しており、年末に向けた輸出需要が動き始めたとみることもできる。いずれにしろ、現状は急増する食肉生産量を吸収できている。需要が予想以上に良好で先物市場も回復している。今後の鍵は輸出市場が停滞の兆候を見せるかどうかにかかっている。
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