USDA・AMS(米国農務省農業販売促進局)は10月23日、豚枝肉の格付基準の改正案を公表し、パブリックコメントの公募を開始した。改正案では、従来の赤身率・脂肪率や歩留まりに主眼を置いた現行の基準とは大きく異なり、リーンカラ―(赤身の肉色)とマーブリング(脂肪交雑)を主な基準とし、プライム、チョイス、セレクトといった等級区分が設定される。
AMSは過去数年間にわたり、豚肉の品質や消費者の嗜好性などに関係する複数の要因について幅広い調査研究を行ってきた。今回の改正案はそれらをベースとし、消費者意識に合った格付を行うことで、豚肉生産者や処理業者を支援するものになるとしている。コメント募集期間は2017年12月22日まで。
豚枝肉の格付基準が改正されるのは1985年以来だ。業界は、現行の格付基準は今日の豚肉製品の多様な価値が反映されているとはいえず、今回の改正案はバイヤーと売り手が品質評価を共有する有効な手段として、業界の再活性化に繋がるかも知れないと期待する。
格付対象範囲は枝肉だが、枝肉に適用されたグレードは、文書やラベルで追跡可能な限り、その枝肉由来のカット全てに適用できる。枝肉は「クラス」と「グレード」ごとに区分される。「クラス」はと畜時の家畜の明白な従性遺伝で決定され、①去勢豚②未経産豚③母豚④成熟後の去勢豚⑤未去勢豚の5つに分類。「グレード」は枝肉の赤身の品質によって決定されるが、対象は去勢豚と未経産豚で、母豚、成熟後の去勢豚、未去勢豚は対象外。
去勢豚・未経産豚の枝肉は、大きく分けて2つの特徴的品質、つまり(1)赤身の肉色と(2)マーブリングの量によって「等級」分けされる。等級はプライム、チョイス、セレクトの3段階。赤身の品質評価は、背最長筋のカット表面(10番目のリブの断面かロイン中の他の断面あるいはバックリブを取り除いた後のボンレスロインの腹部の赤身で最少でも4インチ四方)を、AMSの指定による写真撮影などの補助用器具や装置を使用して測定する。
背最長筋は最低でも若干の締まりがなくてはならない。「わずか」な締まりもない赤身は、格付から除外される。肉色とマーブリングの評価は、NPB(全米豚肉委員会)のデータが基にされる。肉色は1〜6まで、マーブリングは1〜10までで、それぞれの評点と等級の関係は下表のとおり。
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