USDA(米国農務省)が公表した豚飼養動向報告(9月1日現在)を基に豚肉の短中期的な供給状況と来夏までの価格を予想してみる。
【2017年秋冬期】
9月1日現在の肥育豚の飼養頭数は6746万2000頭(前年比2.6%増)。これらは9月から来年2月にかけて出荷される。重量区分ごとにみると、9月から10月後半にかけて出荷される180ポンド超の区分は前年比3.9%増。9月のと畜頭数は969万3000頭(同3.3%増)だが、新設2工場の詳細データを加味すると、直近2週間のと畜頭数は上方修正される可能性がある。
120〜179ポンドの飼養頭数は3.9%増。これは10月後半から11月末にかけて出荷されるだろう。予想通りならば、週間と畜頭数が260万頭を超える週も出てくる。新たに2工場が稼働したことで、処理能力についての懸念はない。市況の鍵となるのは輸出を含めた豚肉販売量だ。
先週、先物価格が反発したのは、豚肉販売量の見通しがより前向きとなったことが一因だ。先物市場は、今後2カ月間で増加する生産量の大半は、海外市場で吸収できるという希望的観測の下で推移している。新工場の稼働で昨年のようなパニック売りが回避されることから、肥育豚平均価格はアイオワ・ミネソタベースでポンド当たり53セント、前年比14%高と予想される。しかし過去5年平均比では25%近い下落で、生体豚・豚肉価格は歴史的な安値水準にある。
【2018年春期】
来年3〜5月に出荷される肥育豚頭数は、この9〜11月間の子豚生産頭数で決まる。9〜11月期の分娩見込み頭数は307万頭、前年比0.8%増とされ、前回のレポートより0.1%上方修正されている。これは繁殖母豚数の50.4%で、例年通りの比率となる予想だ。一腹当たりの産子数のトレンドを勘案すると、9〜11月の子豚生産頭数は前年比1.6〜1.8%増と予想される。
2018年第1四半期の枝肉価格はアイオワ・ミネソタベースで平均64セント、前年比3%安と予想される。今年2月はベリーの価格が急騰し、カットアウト価格を支えた。来春のベリー価格は前年より大幅安となるが、生体豚の需要増と季節的な価格上昇を加味すると、第2四半期の枝肉価格はポンド当たり75.6セント、前年比11%高と予想される。
【2018年夏期】
2018年夏の供給は、2017年比2%増の見通し。これは12〜2月期の分娩見込み頭数が1.3%増加し、一腹当たりの産子数も増加傾向にあることを前提とした予想だ。ただ昨年は第4四半期に繁殖豚が著しく増加した。今年は年末にかけた母豚の増加は控えめと予想されるが、12月1日現在の繁殖豚の飼養調査を注視する必要がある。
12〜2月期の子豚生産頭数を2〜2.3%増とすると、来年第3四半期の枝肉価格は73セント、前年比4.3%高と予想する。枝肉価格上昇の主な理由は新設工場の生体豚需要。この影響でパッカーのマージンは低下していくことになるだろう。来年第3四半期のポークカットアウト価格は前年比6%安と予想される。
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