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TRADER'S Be & Po

vol.298 Oct 10.2017
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 生体牛・牛肉卸売価格は第4四半期に回復ムード
ベリー続落、カットアウトと生体豚価格を引きずる
ポーク関連ニュース 7月の輸出低調、第4四半期の豚価は輸出需要が鍵
生産動向 9月1日現在のフィードロット飼養頭数3.6%増
フードサービス アマゾンレストランがオンライン注文のOlo’sと提携
リテール関連 食肉小売価格、短期的には値下げ、2018年は上昇
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2017年7月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

生体牛・牛肉卸売価格は第4四半期に回復ムード

 
 

9月初旬まで低迷していた生体牛の現金価格と牛肉の卸売価格は、10月に入って回復傾向を見せ始めた。肥育牛のと畜頭数が年間で最多の時期に、ボックスビーフ価格が安定する動きを見せていることで、第4四半期の市況展開に楽観ムードが広がりつつあるが、この動きが確かなものとなるためには、小売業者の積極的な牛肉の販促が続くことが必要だ。

10月は全米豚肉月間だが、現状の牛肉価格は、豚肉よりもかなり割安感がある。豚肉は新工場の稼働もあり、1日当たりと畜頭数が記録的水準に達し、生産量の増加に伴う価格の下落も予想されるが、小売業者にとって牛肉マージンの良好さが維持できれば、第4四半期も牛肉の販促は活気を継続できるだろう。

牛肉は輸出も堅調で、国内外の需要が順調ならば11月から増加し始める肥育牛の供給増も消化できる。フィードロットの飼養動向では、肥育日数150日以上の牛は11月1日には前年比2%減、12月1日には同11%増まで拡大し、2018年1月1日には17%増に達すると予想される。このカテゴリーの飼養頭数は、9月から来年3月までに29万2000頭増加する見込みで、肥育業者はタイムリーな出荷を継続することが重要だ。

9月第3週の生体牛の現金取引価格の平均は100ポンド当たり108.50ドル。これに対し、先物は10月分が108.97ドル、12月分は115.05ドル。これまで先物価格よりも高値をつけてきた現金価格が相対的な安値に転じた。

先物価格は上昇後の利食い売りもあって反落したが、通常、先物が高い場合、生産者は高値を見越して肥育を続けがちだ。これが過度な在庫につながることが多い。枝肉重量が前年比で1%増加した場合、週間と畜頭数に換算すると、6400頭の増加に相当する。アナリストは「第4四半期の現金取引価格が安定するかどうかは、と畜頭数の水準が鍵になる」と指摘する。

 

※2017年10月2日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

ベリー続落、カットアウトと生体豚価格を引きずる

 
 

ポークベリーの暴落が凄まじい。ベリー価格は7月に100ポンド当たり200ドル超に跳ね上がったが、その後数週間で50%減、半値になった。これがカットアウト価格と生体豚価格にも影響している。ベリーは価格変動性が非常に高い商品だが、200ドルを超えるまでに価格を押し上げた需要の強さに驚かされる。ただ、卸売価格の価格変動が実際に消費者に波及するまで本当の需要は解らない。

ベーコンの小売価格は、初夏の卸売価格を反映して調整されている。USDA調査の小売価格の月次データによれば、8月のベーコンの平均小売価格はポンド当たり6.24ドル。史上最高値を記録し、前月比で7.3%高、前年同月比では14.5%高。ベーコンの小売価格が6ドルを超えたのは2014年の夏以来のこと。この年はPEDvの拡大により豚肉の供給が大幅に不足したことで、5月から10月にかけベーコンの小売価格が急騰した。

今年はそうした混乱はない。今後数カ月間はベーコンの需要が季節的に落ち込む半面、肥育豚の供給は急増することが予想される。

 

※2017年9月18日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

 
ポーク関連ニュース

7月の輸出低調、第4四半期の豚価は輸出需要が鍵

 
 

7月の豚肉輸出量は、豚肉価格の上昇もあって落ち込んだ。各国のバイヤーは米国の豚肉生産が晩夏から秋季にかけて大幅に増加することを見込んで、7月の高騰は短期的なものと見込んで購入をセーブしたのかも知れない。

7月の豚肉総輸出量は3億9000万ポンド(前年同月比3.8%減)、実数では1550万ポンドの減少。この大きな要因は、中国向け輸出量が急減していること。7月は中国本土向けが2000万ポンド(同57.4%減)、2700万ポンド減。香港向けは840万ポンド(同39.2%減)。

最大の輸出市場であるメキシコ向けは1億2870万ポンド(同10.4%増)。1-7月累計では10億2000万ポンド(同22.7%増)で、全体の輸出増を支えている。韓国向けも7月が同18.6%増、1-7月累計で同31.9%増と堅調だ。

週間輸出動向を基にした推定で、8月の輸出は緩やかな増加基調に転じ、9月は同7%増と見込まれる。2016年秋季は豚肉輸出が急増し、豚価を支えた。出荷頭数・豚肉生産量が大幅に増加する今秋の市況は、さらに輸出の重要性が高まる。特にメキシコ向けは昨年の月平均が1億6000万ポンド。今年は1億7000万ポンドをこの市場で消化できるかどうかだ。中国の減少分を吸収できる市場は限られている。メキシコ向けのハム(モモ肉)の輸出を維持できるかどうかが第4四半期の生体豚・豚肉価格にとって大きな鍵となるだろう。

7月の牛肉総輸出量は2億3940万ポンド(同10%増)、2180万ポンド増加した。輸出先トップの座を維持する日本が、この増加の大部分を占める。7月の日本向けは7470万ポンド(同22%増)。第2位のメキシコ向け4030万ポンドを大きく引き離している。日本向けの1-7月累計は4億7700万ポンド(同25%増)。

香港向け2180万ポンド(同33%増)など、他のアジア市場向けの輸出も伸びている。8・9月の週間輸出データを基にした推定では、8月の牛肉輸出量は2億9400万ポンド(同28%増)、9月は12%増と見込まれる。この予想が正しければ、今秋の牛肉生産量の増加分の過半は輸出市場で吸収され、それが牛肉のカットアウト価格を下支えするだろう。

 

※2017年9月18日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  米国の豚肉類輸出量の推移(月間・枝肉ベース)
  米国の牛肉類輸出量の推移(月間・枝肉ベース)
 
生産動向

9月1日現在のフィードロット飼養頭数3.6%増

 
 

USDAの調査によると、9月1日現在のフィードロット(収容能力1000頭以上)の飼養頭数は1050万4000頭(前年同月比3.6%増)で、実数では36万9000頭増となった。アナリストの予想を上回っていることで、先行きの市況観はやや弱気となったが、肥育日数が150日以上の牛は前年の79%にとどまっている。10月1日には87%まで増加する見込みだが、この水準であれば短期的には何とか処理できそうだ。

1つの懸念材料は、コーンベルト地帯の“見えない”供給である。この地域には1000頭未満の規模のフィードロットがあり、そこでの飼養頭数は月間調査には含まれていない。その代表州ともいえるアイオワの9月1日現在の総飼養頭数は前年比10%増となっている。

8月の導入頭数は192万8000頭(同2.6%増)、重量区分ごとにみると、800ポンド以上は前年同月比で45%増、86万5000頭増。600ポンド未満でも同様の増加を示している。600〜699ポンドは5000頭減、700〜799ポンドは1万1000頭減。

8月の出荷頭数は197万9000頭(同5.9%増)、3万2000頭増。過去5年平均比では8万4000頭の増加で、順調な出荷が続いている。出荷が10%以上増加したのは、カリフォルニア、アイオワ、オクラホマ、サウスダコタなど。

 

※2017年10月2日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
フードサービス

アマゾンレストランがオンライン注文のOlo’sと提携

 
 

生鮮食品の配達サービス「アマゾンフレッシュ」に続き、外食配達サービス「アマゾンレストラン」の展開にも力を注ぐアマゾンが、外食業界でオンライン注文システムを提供するOlo’sと提携して事業を推進することがわかった。

Olo’sの創業者でCEOのノア・グラス氏は「アマゾンと共同することで、Olo’sを利用する外食業界の顧客基盤に新たな配達チャンネルを提供し、飛躍的な販売増加に貢献できることに感激している」と語り、アマゾンレストランの統括マネージャー、ガス・ロペス氏は「この統合によって、Olo’sのデジタル・オーダー・テクノロジーの影響力が強まり、アマゾンの外食ネットワークが急成長を続ける。アマゾンレストランは新たなレストランをスムーズに打ち出すことができ、アマゾンプライム会員に新たな選択肢とスピーディーな配達サービスを提供できる」と語った。

アマゾンレストランと統合されるOlo’sのAPI(アプリケーションプログラムインターフェース)「レイルズ」は、タブレットにインストールすることなく様々な環境からの注文を可能にするもので、外食経営者が自店のメニューを第三者市場で販売し、売上を加速することを支援する。アマゾンレストランからの注文は、既存のPOSシステムと統合され、確認の手間や待ち時間を削減し、手作業によるエラーの可能性を低減する。

Olo’sのテクノロジーにより、レストランは「ディスパッチ」や「レイルズ」を通した配達サービスの他、電話やPC、携帯、アプリ、アマゾンの提供する「アレクサ」を搭載したデバイスなどから注文を受けて、店頭受取やカーブサイド・ピックアップを提供することができるようになる。

Olo’sは現在200超のブランド・4万店舗にわたるレストランネットワークを保有し、デジタル注文と配達サービスを提供。2005年にフューチャーフォンのテキストメッセージで注文を行う技術からスタートし、現在は6000万人の消費者が、アップルビーズ、チリズ、チポトレ、デニーズ、ファイブガイズバーガーズ&フライズ、ジャンバジュース、ヌードルズ&カンパニー、レッドロビン、シェイクシャック、ウイングストップといったレストランブランドの注文にOlo’sを利用している。

 

※2017年9月26日 Meatingplace.com

 
リテール関連

食肉小売価格、短期的には値下げ、2018年は上昇

 
 

2018年の食肉価格は総じて上昇傾向が見込まれるものの、2017年末までは牛肉・豚肉の小売価格に値下げ圧力が続きそうだ。USDA・ERS(米国農務省・経済調査局)の予想によると、牛肉・子牛肉価格は2017年に2.0〜1.0%下落するが、2018年には1.0〜2.0%上昇する見込み。

この牛肉価格の下落は、豚肉価格のさらなる値下げ圧力となる。2017年の豚肉生産量は4.9%増加すると見込まれ、2017年の豚肉の小売価格は0.5%安〜0.5%高のレンジで変動し、2018年は1.5〜2.5%高と予想されている。

牛肉・子牛肉の価格は7月から8月の間で0.7%値下がり。前年同期比では0.8%高。8月の豚肉価格は前月比1.4%高、前年同月比0.9%高。ハム(モモ)の価格が下落する一方で、ベーコン価格は2.7%、ポークチョップは2.0%値上がりした。

家きん類の価格は前年同月比1.0%高。2017年の家きん類価格は0.5〜1.5%上昇し、2018年はさらに1.5〜2.5%上昇すると予想されている。食品全体の消費者物価指数(CPI)は、7月から8月にかけ0.1%上昇し、食品価格は前年同月比で1.1%上昇した。

 

※2017年9月26日 Meatingplace.com

 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ビーフ・ファクト・シート