米国政府がKORUS(米韓自由貿易協定、以下米韓FTA)の破棄を検討していることに対して、農畜産業界団体から抗議が相次いでいる。韓国は、米国にとって5番目に大きな農産物輸出市場。米国産牛肉の輸出先としては2番目に大きく、米国産豚肉においても非常に価値のある市場であり、協定を破棄すれば、韓国は米国産牛肉と豚肉製品に対する関税を引き上げる可能性があり、今後の輸出に影響を及ぼすとして、業界団体は議会議員らに対し、トランプ大統領と他の政府高官を説得して破棄を取りやめるよう要請している。
一方、政府は多額の対韓貿易赤字を問題視しており、米国のサービス輸出が伸びない原因となっている非関税障壁について、韓国に対応を求めている。米国が協定破棄の検討を表明したのは、8月22日のKORUSの見直しをめぐるビデオ会議でのこと。米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表、韓国産業通商資源省の通商交渉本部長の金鉉宗氏が出席した。
ライトハイザー氏は米韓FTAをめぐる米政府の懸念を強調し、見直しの可能性について言及。米韓の経済関係は非常に重要だが、残念なことに米韓FTAから米国民は多くの恩恵を受けていないと述べた。2012年3月に米韓FTAが発効して以降、米国の物品の輸出は減少し、対韓貿易赤字は3倍近くに膨らんだ。
北米食肉協会(NAMI)会長兼CEOのバリー・カーペンター氏は先週、米国の第5位の農産物輸出相手を失うことは大きな過ちだとして、議会議員に書簡を送り、トランプ大統領、ライトハイザー氏やソニー・パーデュー農務長官に破棄を取りやめるよう要請した。
書簡では、FTA発効後に食肉業界が得た利益が強調された。米国が米韓FTAを破棄すれば、国内の生産者や処理業者は直接的かつ即座に損害を受けることになること、また米韓FTAの下で韓国向けの牛肉の年間輸出が82%増加し、2012年の5億8200万ドルから2016年には10億6000万ドルに増加、韓国市場ではショートリブやチャックロールなどが米国市場より明らかな高値で取引されていること、さらに科学的根拠に基づいた貿易ルールを確立し、米国産牛肉に対する関税40%の撤廃など、米国産牛肉業界が韓国で競争力を増す条件を揃えてきたことを訴えている。
USMEFの最新データによると、今年1〜7月の韓国向け牛肉輸出量は9万8944トン(前年同期比9%増)、輸出額は6億2940万ドル(同19%増)。豚肉輸出量は10万3142トン(同30%増)、輸出額は2億8260万ドル(同36%増)。ソーセージ、フローズンベリー、およびその他の製品に課される関税は、2014年と2016年に段階的に撤廃された。FTA以前、米国産チルドポークには22.5%、フローズンポークには25%の関税が課されていた。
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