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TRADER'S Be & Po

vol.294 July 24.2017
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 肥育牛価格、先物に引きずられ下げ止まらず
ベリー急落が生体豚にも影響、今後は強気と弱気が混在
トピックス 日本のSG発動で追加される関税額試算・2800万ドル
ワールドトレード アルゼンチンが米国産豚肉の輸入開始、1992年以来
輸出動向 上半期の輸出好調、牛肉はアジア、豚肉はメキシコ等が牽引
セーフティ関連ニュース OIEが世界の抗菌性物質の使用に関するレポート公表
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2017年6月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

肥育牛価格、先物に引きずられ下げ止まらず

 
 

生体牛の現金取引価格は、夏場の底値を探る動きが続いている。8月第1週は、月曜に先物価格が大幅安となり、現金価格が下げ止まる望みは早々に消えた。火曜日の主要5州の取引量は2万5000頭と少な目だったが、平均価格は生体牛が100ポンド当たり115〜116ドル、枝肉は同184〜185ドルだった。水曜は先物価格がさらに下落し、8月受渡し契約分の生体牛価格は110.00ドルで取引を終えた。

現金取引と先物の価格差が開いていることを、肥育業者は引き続き商機ととらえ、水曜日の現金取引は7万頭を超える大量取引となった。しかし、投機筋が買い越してる状態で、決済が先延ばしされていることから、現金価格はさらに下落する懸念が強まっている。

先週の主要5州の平均取引価格は、生体牛が117.30ドル、枝肉が187.36ドルで、前週とほぼ同水準だった。月曜日には安定して上昇に転じるとの予想もあったが、8月受渡し分の終値が270ポイント減の112.75ドル、10月分は297ポイント減の111.12ドルだった。

これを受けて、ネブラスカとアイオワの現金取引は約6600頭が生体牛115〜116ドル、枝肉184.40ドルで取引された。ネブラスカは生体牛が116ドルを維持したものの、他の州では115ドル。水曜日には全地域で大規模な現金取引が行われ、生体牛は115ドル前後、枝肉は182〜184ドルで売買された。

フィードロットの8月の損益分岐点は100ポンド当たり105〜106ドルで、在庫一掃を行っても販売利益が出る状況だが、アナリストらによると、先物市場の総取組高は、5月初めの記録的な高水準をピークに20%減少しているという。投機筋の8・10月分取引の清算は徐々に早まってきており、10月受渡し分の取引の次なるターゲットは103ドル。一部の投機筋は諦めムードに入り、取引をやめたがっているようで、これが現金取引のマイナス材料となることも考えられる。

 

※2017年8月14日 CATTLE BUYERS WEKKLY

 
 

ベリー急落が生体豚にも影響、今後は強気と弱気が混在

 
 

8月第3週の生体豚先物価格は、生産量が予想より少ない一方で、輸出が非常に好調なことから安定した足取りでスタートしたが、ベリーが急落したことで下落に転じた。他の製品、特にトリミングの価格も下落し、カットアウト価格に悪影響を及ぼした。

秋季に向けた市況見通しは、国内外で豚肉の需要が高いことから、価格は前年水準を上回ると予想されるが、強気と弱気が混在している。その要因を整理してみた。

強気要因:生体豚のと畜頭数は前年より多いが、6月公表のUSDA予想よりは少ない。先週のと畜頭数は4月上旬以来最高の水準が予想されていたが、実際には約233万2000頭(前年同期比1.6%増)にとどまった。

8月19日までの6週間のと畜頭数は、同2.1%増。6月1日付の飼養動向調査で、この期間に出荷となる120〜180ポンドの頭数は同4.3%増と推定されていた。これはあくまで供給フローの一時的な動きなのか、あるいは最新のデータを基に秋季のと畜頭数の予想値を修正するべきなのか、判断が難しいところだ。さらに新たな処理工場の稼働時期でも、と畜頭数は変わってくるだろう。

需要、特に輸出需要は今年これまで好調だ。供給が増加に転じる秋にも輸出増が継続するのかが注目される。パッカーが輸出を増加させようとしていることは、メンダトリープライスレポート(パッカーの義務的価格報告制度)の最新のデータでも明らかだ。ただ、この制度からはNAFTA加盟国に対する実績を知ることはできない。

レポートによる4週間の輸出量は、前年同期比で約50%増加している。この2週間では、ハム(モモ)が単体で週当たり平均560万ポンド輸出され、同180%増となっている。今秋の週間と畜頭数は史上最高に達すると予想されるが、輸出の堅調ペースが維持されれば、市況は支えられるはずだ。

弱気要因:先物価格は先週初めには高値が付くと予想され、10月受渡し分は100ポンド当たり70ドルを超えると見られていた。しかし、週末までに10月分取引は約400ポイント下げ、66ドルとなった。秋季までの高値予想は、ベリー価格の高騰に支えられるというのがカギだったが、ベリーのプライマル価格は急落した。

べリーは、これまでも8月に価格が大幅に下落することがあった。小売業者が販促価格を見直し、販売量を制限するためだ。USDAの最新レポートによれば、ベーコンの販売価格は急上昇している。価格が前週比10%高を記録したのは、2013年前半以来のことだ。卸売価格に連動して小売価格が修正されるまでには時差があるため、ベーコンの小売価格は今後数週間上昇を続けるだろう。

このところ、処理施設がと畜を急増させているため、他の豚肉製品も急落している。72CLのトリミングは例年8月に下落するとはいえ、この数日で22%も下落した。春夏は生体豚の重量が減少したことで、と畜増の一部は相殺されていたが、それも変化しつつある。生体豚重量は全体的に前年より若干低いが、飼養中の去勢豚・未経産豚の重量は、4月下旬以来初めて前年の水準を超えた。今秋、新たに2工場が操業を開始すると見られているが、その時期と集荷量が秋季の市場を左右する重要な要素となるだろう。

 

※2017年8月21日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  ポークベリープライマルの価格推移
 
トピックス

日本のSG発動で追加される関税額試算・2800万ドル

 
 

米国から日本へ輸出される冷凍牛肉に対する関税が38.5%から50%に引き上げられたことで、新たに支払われる関税額は約2800万ドルにのぼる可能性がある。この試算を行ったエコノミストによると、米国産牛肉の総関税額予想は、関税27.2%の豪州産牛肉と比べて約2倍になるという。

関税引き上げにより、日本のエンドユーザーが米国産の冷凍牛肉に支払うコスト、特にショートプレートのコストが増加する。本紙8月7日号で述べたとおり、エンドユーザーが関税率50%でショートプレートを輸入する場合、米国の輸出業者の価格が変わらなければ、1ポンド当たり17セントのコストが追加される。

ショートプレートは主に牛丼チェーン店で使用されている。競争の激しいこの業界は、価格の変化に影響を受けやすいが、仕入れコストの上昇は避けられないだろう。問題は、この関税を避けてチルドビーフの取引が増加するかどうかだ。

USMEFによれば、2017年前半のチルドビーフの日本向け輸出量は計7万807トン(前年同期比40%増)、輸出額は5億1100万ドル(同38%増)。日本での米国産チルドビーフの市場シェアは5割を超えている。米国からチルドで輸出されたショートプレートは計3万1589トン(同33%増)で、これは、米国が輸出するショートプレート全体の4割を占める。

チルドでは保管できる期間が短く、一度日本に着いてから冷凍する場合のコストや輸送コストもアップする。もう一つのリスクは、大量にチルドに切り替えると、チルドビーフにもセーフガードが発動される可能性があり、エコノミストはどれだけの量がチルドに切り替わるかは未知数だとしている。

 

※2017年7月14日 CATTLE BUYERS WEKKLY

 
ワールドトレード

アルゼンチンが米国産豚肉の輸入開始、1992年以来

 
 

アルゼンチンが1992年以降初めて米国産豚肉の輸入を許可する。米国政府が2国間で合意したことを発表した。この合意により、米国産の豚に由来する冷蔵・冷凍の豚肉および豚肉製品の輸出が可能になる。

アルゼンチンは1992年以降、動物衛生上の理由から米国産豚肉の輸入を停止していた。今後、両国で未解決の技術的問題を全て解決するための協議を再開し、その後、アルゼンチンの食品安全当局員が訪米し、米国の食肉検査制度について現地検証を行う。

この合意は8月15日、マイク・ペンス副大統領とアルゼンチンのマウリシオ・マクリ大統領がブエノスアイレスで行った会談で成立した。全米豚肉生産者協議会(NPPC)は、2016年の肥育豚の平均価格140ドルのうち、50ドル・36%は輸出によるものだとし、「米国産豚肉は輸出への依存度が高い。今回の政府の発表によって、生産者がこの巨大な豚肉消費国へ自由にアクセスできるようになることを歓迎する」との声明を発表した。同協議会は、米国産豚肉の輸入を今も禁止しているインドやタイなどの国々と輸出再開に向けた交渉を行うよう、トランプ政権に働きかけている。

 

※2017年8月17日 Meating place.com

 
輸出動向

上半期の輸出好調、牛肉はアジア、豚肉はメキシコ等が牽引

 
 

USDA公表・USMEF編さんの食肉輸出統計によれば、米国産豚肉および牛肉の輸出は6月も前年を上回り、上半期を通じて堅調だった。と畜一頭当たりの輸出額も増加した。上半期(1〜6月)の牛肉(バラエティーミート含む)輸出量は60万6876トン(同12%増)、輸出額33億5000万ドル(同15%増)。6月の牛肉生産量に占める輸出比率は13%、正肉でも10%近くを占めた。1〜6月の輸出比率もほぼ同じ。6月のと畜牛一頭当たり換算の平均輸出額は264.51ドル(同6%増)。上半期累計では269.21ドル(同8%増)。

国別では、日本向けが6月も増勢を強め、輸出量は2万7521トン(同7%増)、輸出額は1億7440万ドル(同13%増)と2000年以来で最高となった。上半期の日本向けは15万812トン(同23%増)、9億580万ドル(同28%増)。うち、チルドビーフ7万807トン(同40%増)、5億1100万ドル(同38%増)を達成し、日本のチルドビーフ市場で50%を超えるシェアを獲得した。日本の小売や外食産業では、米国産牛肉への需要が高まっているが、日本向けの冷凍牛肉は2018年3月まで関税率の引き上げに直面することが課題だ。

上半期の韓国向けは8万3357トン(同13%増)、5億2770万ドル(同21%増)。台湾向けは2万376トン(同19%増)、1億7900万ドル(同26%増)。香港向けは5万6846トン(同11%増)、3億5740万ドル(同17%増)と2ケタ台の成長。メキシコ向けは11万4923トン(同3%増)、4億5970万ドル(同3%減少)。

ベトナムとインドネシアへの輸出が倍増し、フィリピンでも需要が高かったことで、ASEAN諸国向け2万532トン(同85%増)、9900万ドル(同61%増)と大幅な伸び。2016年に輸出を再開した南アフリカは、米国産バラエティーミートの四番目の輸出先として急浮上し、上半期の輸出量(主にレバー)は7849トンと前年同期の約5倍にのぼった。

 
   牛肉(バラエティーミート含む)の月別輸出量の推移
 
 

豚肉(同)の輸出量は、6月に20万229トン(前年比6%増)と、6月としての過去最高を記録。輸出額は5億2710万ドル(同4%増)。これにより、上半期の累計は125万トン(同13%増)、32億1000万ドル(同16%増)に達成した。上半期の生産量全体に占める輸出割合は全体で27.8%、正肉単体では23%。と畜豚一頭当たり換算の輸出額は54.09ドル(同12%増)。

国別では、メキシコ向けが6月も記録的ペースを維持し、上半期計で39万8565トン(同23%増)、7億3160万ドル(同29%増)と引き続き量的には1位。この増加の主因は、輸入か国内産かを問わず、メキシコの豚肉消費量が著しく増加していること。メキシコの一人当たりの豚肉消費量は、この10年余りで3割余り増加し、USDAの予想では今年18kgに達する見込み(枝肉換算)。メキシコの豚肉生産量もこの10年で約3割増加している。

輸出額1位は引き続き日本だが、6月の日本向け輸出量は3万401トン(同8%減)、輸出額は1億2430万ドル(同10%減)。上半期は20万175トン(同4%増)、8億1060万ドル(同8%増)と前年を上回っている。うちチルドポークは10万7032トン(同2%減)、5億100万ドル(同5%増)。

韓国向けは9万4545トン(同31%増)、2億5850万ドル(同38%増)。この増加は、米韓FTAの下で多くのカットに関税がかからないこと、またHMR関連商品の需要増などが要因。韓国では口蹄疫の影響で国内生産が不足しており、下半期も堅調な輸出が維持されれば、2011年の記録を凌ぐ可能性がある。

中国・香港向けは、27万1297トンで前年同期を下回ったものの、輸出額は3%増加(5億5840万ドル)。これはバラエティーミートが高値であるため。上半期のバラエティーミートの輸出量は19%増の17万2269トン、輸出額は28%増の3億6720万ドル。コロンビアとチリの劇的な成長により、中央・南アメリカ向けは51%増(8万1930トン)。ASEAN諸国ではフィリピン、シンガポールが好調で、全体で20%増(2万3207トン)。

 

※USMEF News release

 
   豚肉(バラエティーミート含む)の月別輸出量の推移
 
セイフティ関連ニュース

OIEが世界の抗菌性物質の使用に関するレポート公表

 
 

国際獣疫事務局(OIE)は、世界の家畜生産者が動物に対して抗菌性物質をどのように使用しているかのレポートを初めて公表した。「OIE 動物における抗菌性物質の使用 年次レポート―世界の使用状況に理解を深める」との表題で、2010年から2015年にわたり、OIEに加盟する180カ国のうち、160カ国から収集したデータを基に、世界と地域ごとの分析が行われている。
主要な調査結果は次のとおり。

   
OIEの全加盟国130のうち96カ国(74%)が、家畜の成長促進を目的として抗菌性物質を使用することを認めていないと回答。
加盟国のうち25カ国が、成長促進のために使用することを許可している抗菌性物質の一覧を提示。最もよく挙げられているのはチロシンとバシトラシン。コリスチンは25カ国のうち10カ国で使用が認められている。
加盟国130カ国のうち89カ国(68%)が、2010年から2015年の間、家畜に使用した抗菌性物質の量をOIEへ提示した。
調査の回答に際しては、加盟国40カ国が、回答内容が最も簡略な「報告オプション1」のテンプレートを使用。19カ国が「報告オプション2」、最も詳細な「報告オプション3」を30カ国が使用した。
抗菌性物質として最も広く使用されていたのは、テトラサイクリンとマクロライド系抗生物質。主な投与方法は経口投与だった。
   

OIEは「このレポートが提供する情報は、世界で抗菌性物質が動物にどう使われているか、より良く理解するための大きな第一歩だ」としつつも、「データ収集システムと収集したデータ量について改善を行うには、加盟国のさらなる協力と支援が必要だ」としている。

 

※2017年8月14日 Meating place.com

 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ビーフ・ファクト・シート