8月第3週の生体豚先物価格は、生産量が予想より少ない一方で、輸出が非常に好調なことから安定した足取りでスタートしたが、ベリーが急落したことで下落に転じた。他の製品、特にトリミングの価格も下落し、カットアウト価格に悪影響を及ぼした。
秋季に向けた市況見通しは、国内外で豚肉の需要が高いことから、価格は前年水準を上回ると予想されるが、強気と弱気が混在している。その要因を整理してみた。
強気要因:生体豚のと畜頭数は前年より多いが、6月公表のUSDA予想よりは少ない。先週のと畜頭数は4月上旬以来最高の水準が予想されていたが、実際には約233万2000頭(前年同期比1.6%増)にとどまった。
8月19日までの6週間のと畜頭数は、同2.1%増。6月1日付の飼養動向調査で、この期間に出荷となる120〜180ポンドの頭数は同4.3%増と推定されていた。これはあくまで供給フローの一時的な動きなのか、あるいは最新のデータを基に秋季のと畜頭数の予想値を修正するべきなのか、判断が難しいところだ。さらに新たな処理工場の稼働時期でも、と畜頭数は変わってくるだろう。
需要、特に輸出需要は今年これまで好調だ。供給が増加に転じる秋にも輸出増が継続するのかが注目される。パッカーが輸出を増加させようとしていることは、メンダトリープライスレポート(パッカーの義務的価格報告制度)の最新のデータでも明らかだ。ただ、この制度からはNAFTA加盟国に対する実績を知ることはできない。
レポートによる4週間の輸出量は、前年同期比で約50%増加している。この2週間では、ハム(モモ)が単体で週当たり平均560万ポンド輸出され、同180%増となっている。今秋の週間と畜頭数は史上最高に達すると予想されるが、輸出の堅調ペースが維持されれば、市況は支えられるはずだ。
弱気要因:先物価格は先週初めには高値が付くと予想され、10月受渡し分は100ポンド当たり70ドルを超えると見られていた。しかし、週末までに10月分取引は約400ポイント下げ、66ドルとなった。秋季までの高値予想は、ベリー価格の高騰に支えられるというのがカギだったが、ベリーのプライマル価格は急落した。
べリーは、これまでも8月に価格が大幅に下落することがあった。小売業者が販促価格を見直し、販売量を制限するためだ。USDAの最新レポートによれば、ベーコンの販売価格は急上昇している。価格が前週比10%高を記録したのは、2013年前半以来のことだ。卸売価格に連動して小売価格が修正されるまでには時差があるため、ベーコンの小売価格は今後数週間上昇を続けるだろう。
このところ、処理施設がと畜を急増させているため、他の豚肉製品も急落している。72CLのトリミングは例年8月に下落するとはいえ、この数日で22%も下落した。春夏は生体豚の重量が減少したことで、と畜増の一部は相殺されていたが、それも変化しつつある。生体豚重量は全体的に前年より若干低いが、飼養中の去勢豚・未経産豚の重量は、4月下旬以来初めて前年の水準を超えた。今秋、新たに2工場が操業を開始すると見られているが、その時期と集荷量が秋季の市場を左右する重要な要素となるだろう。
|