北米自由貿易協定(NAFTA)をめぐり、牛肉生産者や他の農業団体のロビー活動が実りつつある。トランプ政権が新たに掲げたNAFTAの青写真では、現行の農業分野の規定は米国の経済に利益をもたらすものであることを認めている。
これは、米国の食肉業界にとって大きな成果だ。特に牛肉産業は、NAFTAの再交渉や離脱によって年間数十憶ドルの損失が出る可能性があると危惧されていたからだ。米国・カナダ・メキシコの3国間の牛肉産業は高度に統合され、生体牛や牛肉の貿易が行われている。実際、牛肉はNAFTAの大きな成功事例の一つだ。
1993年にNAFTAが発効して以来、米国産牛肉のメキシコ向け輸出は750%以上増加した。一方で、米国はカナダにとって最大の輸出市場となり、牛肉輸出全体の70%、生体牛輸出ではほぼ100%を占め、またメキシコはカナダにとって4番目に大きな輸出市場となっている。
通商代表部(USTR)は、NAFTAの交渉開始へ向けた具体的な目標の要約を公表した。18頁に及ぶ要約は21の領域にわたるもので、「物品貿易」に始まり、続いて「SPS(衛生と植物防疫のための措置)」が挙げられている。
「物品貿易」の目標は、NAFTA加盟国間における米国の貿易収支を改善し、貿易赤字を削減することだとし、農産物に関しては現在相互的に行われている関税ゼロでの市場アクセスを維持すること/残る関税を引き下げ、または撤廃し、他の国が米国市場へ輸出するのと実質的に同等になるよう、NAFTA加盟国で米国産農産物の競争機会を拡大すること/米国産農産物の輸出に対する差別的な障壁、関税割当制による制限的な貿易管理、あるいは不当な手段による市場アクセスの不公平など非関税障壁の撤廃に努めること/輸入品に影響を受けやすい米国の農産物については、関税の引き下げ交渉を開始する前に、連邦議会と綿密な相談を行い、適切な調整期間を設けること―などが盛り込まれている。
全米肉牛生産者牛肉協会(NCBA)は、「再交渉における政府の目標は総じて、米国の牛肉業界にとって有益なものばかりだ。特に、関税ゼロのアクセスと、科学的根拠に基づく公衆衛生および動植物検疫基準を達成すれば、この数十年間もたらされてきた恩恵を今後も継続できる」と歓迎している。
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