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TRADER'S Be & Po

vol.293 July.10.2017
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
ワールドトレード 中国で米国産牛肉輸入再開イベント、パーデュー長官出席
中国向けEVプログラム、4社が承認
市況ニュース 生体牛の現金取引価格が続落、先物安が影響
豚肉価格は堅調を維持、供給増も需要が底支え
生産動向 フィードロット導入頭数12.2%増、飼養頭数は2.7%増
ポーク関連ニュース 豚肉の冷凍在庫6%減、ベリー依然少ない
業界ニュース 米国がブラジル産牛肉の輸入停止 安全性に懸念
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ポーク(2017年5月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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ワールドトレード

中国で米国産牛肉輸入再開イベント、パーデュー長官出席

 
 

USDA(米国農務省)のソニー・パーデュー長官は6月30日、中国・北京で開かれた米国産牛肉の輸入再開祝賀会に出席し、ネブラスカ産プライムリブの入刀セレモニーを行った。米国産牛肉が中国に輸出されたのは、2003年の輸出停止以来13年ぶりとなる。米国産牛肉の輸出再開は、5月11日にトランプ政権が発表した米中「100日計画」の一環で、初出荷された牛肉は6月19日に中国へ到着した。

パーデュー長官は「中国の消費者が一度米国産牛肉を味わえば、もっと食べたくなるでしょう。中国へ出荷される製品は、安全で、非常に美味しく、健康に良いものです。米国産牛肉の輸入再開は、米中の友好関係の大きな発展の先駆けとなるでしょう」と語った。

中国は近年、牛肉輸入国として急成長し、牛肉の輸入額は2012年の2億7500万ドルから2016年には25億ドルへと増加している。パーデュー長官は7月1日に上海を訪れ、スーパーマーケット「 シティ・スーパー」の米国産牛肉プロモーションにも参加した。

北京でのイベントには、NCBA(全米肉牛生産者牛肉協会)のクレーグ・ウーデン会長らも参加し、USMEF(米国食肉輸出連合会)のアジア太平洋シニアバイスプレジデントであるジョエル・ハガード氏が司会を務めた。ハガード氏は、「米国産牛肉が中国へのアクセスを回復するまで、長い道のりだった。USMEFは米国の輸出業者とともに、このダイナミックな市場で強い基盤を築くチャンスに胸を躍らせている」と語った。

 

※2017年6月30日 USDA News release / FOODMARKET.com

  ネブラスカ産プライムリブの入刀セレモニー
 
 

中国向けEVプログラム、4社が承認

 
 

USDA・AMSは中国向け輸出証明プログラムの内容を6月12日に公表したが、6月13日にはグレーターオマハ・パッキング社とタイソンフーズ社のレキシントン工場、ネブラスカ工場がそれぞれ承認され、両工場から中国向けの出荷が開始された。

6月15日にはJBS.USAのスウィフトビーフ社のオマハ工場、その後はクリークストーンファームズプレミアムビーフ社のアーカンソーシティ工場が承認された。クリークストーンは6月第4週後半に中国向け牛肉の生産を開始し、今週にも出荷を行う予定だ。

中国の人口はおよそ14億人。米国農業連合会のエコノミスト、ケイトリン・マカロック氏によると、2011年までの中国の牛肉輸入量は5万トンほどだったが、2012年に倍増。その後4年間で輸入量は9倍に増加し、2016年には60万1000トンに達した。

2003年に米国産の輸入が禁止されて以降、豪州がこの成長市場で最大のシェアを獲得。これにウルグアイが続いてきた。中国は世界最大の牛肉輸入国になることが予想され、米国産製品の主要な輸出先国になる可能性がある。過去14年間、中国市場は実質上変化してきた。2003年当時は、中国の輸入する牛肉の80%を米国が提供していた。そのうち、20%以上はタン、腎臓、レバーなどの内臓肉だった。

 

※2017年6月26日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
市況ニュース

生体牛の現金取引価格が続落、先物安が影響

 
 

生体牛の現金取引価格は続落している。先物市場の安値が原因の1つだ。6月分先物価格は、21日の終値が100ポンド当たり119.50ドルと、4月26日以降で初めて120ドルを割り込んだ。このため、現金取引価格は生体牛121〜123ドル、枝肉194〜195ドルと前週比でそれぞれ8ドル、12ドルの下落となった。

6月前半の強気展開から一転、後半の2週間で生体牛価格は14ドルも下落。肥育業者のマージンは大幅に圧縮されたが、牛の供給が季節的に増加し続けていること、また盛夏に入ると、牛肉の売れ行きが停滞するため、現金取引価格はさらに下落することも予想される。

6月第2週の平均価格は生体牛130.12ドル、枝肉205.95ドル。前週比でそれぞれ5.95ドル、12.42ドルの下落だったが、前年同週比では7.9%、6.0%高で、現金価格がここまで暴落するとの予想はなかった。

ボックスビーフ価格は生体牛価格よりも下げ幅が小さいが、先週は特にミドルミート(ロイン系)の下落が加速した。先週4日間でセレクトのカットアウトは100ポンド当たり2.88ドル、チョイスは6.96ドル値下がりした。取引量は361ロード(≒コンテナ)で前週とほぼ横ばい。

2月第2週のカットアウト価格は平均238.07ドル、前年同週比11.6%高と2015年8月第4週以来の最高値をつけており、アナリストは「小売業者は牛肉の卸売価格の低下を期待しているため、さらに値下がりする可能性が大。チョイスのカットアウトは短期間で235〜236ドルまで値下がりするだろう」と予想する。

 

※2017年6月26日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

豚肉価格は堅調を維持、供給増も需要が底支え

 
 

生体豚の現金取引価格は、年間の最高値まで上昇した。生体豚価格が夏季に上昇するのは珍しいことではないが、この高騰は一部の市場関係者を驚かせている。上昇要因の1つは、ベリーの高騰だ。ポークカットアウト価格は100ポンド当たり101.9ドル、2カ月前と比較すると38%高、前年同期比でも13%高。4月の底値からの28ドル上昇したが、その大半はベリーの価格上昇(12.5ドル高)によるものだ。

下のグラフは、ベリーの卸売価格とスライスベーコンの特売価格(USDA週間レポートに基づく)の関連を示している。6月のベーコンの小売価格が5月に比べて8%安いのに、同時期の卸売価格が年間の最高値にあるのは不可解に見えるかもしれないが、6月の販促分が予約されたのはおそらく4月だろう。小売価格は卸売価格より2カ月遅れるため、現在の小売価格に対応するベリーの卸売価格は4月にさかのぼることになる。

ベリーの冷凍在庫は例年より大幅に減少しており、さらなる高値になることもあり得る。しかし現在のベリー価格の高騰は、ベーコンの小売価格が急上昇する前段階であり、消費者の需要次第で今後の上昇は制限されるだろう。

ロイン価格もこの数週間好調だ。この時期に手頃なグリルアイテムとして、ポークチョップの需要が高まる。ハム(モモ)、リブ、バットも上昇しているが、カットアウト価格への貢献度はそれほど高くない。その他では、ポークトリミング価格が100ポンド当たり105ドルと、今月初めから21ドル、前年同月比では30ドル近く高い。

72CLポークトリミングの価格は、50CLビーフトリミングと対比される。50CLビーフトリミングの価格が急上昇したことで、ポークトリムへの需要が強まってきたためだ。さらにトリムの上昇は数多くの品目、特にハムの最低価格を押し上げることに繋がっている。

 

※2017年6月26日 NPB Pork Merchandiser's Profit Maximizer

  ポークベリーの卸売価格と小売用ベーコンの先物価格の推移
  ポークカットアウト価格の対比(2017年6月22日Vs2017年4月26日)
 
生産動向

フィードロット導入頭数12.2%増、飼養頭数は2.7%増

 
 

USDAが6月23日に公表したCOF月次報告では、全米におけるフィードロット(収容能力1,000頭以上)の6月1日時点の総飼養頭数は1109万6000頭、前年同月比2.7%増となった。これはアナリストの予想平均をわずかに上回っている。

5月の導入頭数は前年同月比112.2%、出荷頭数は同108.8%。収益性の高さと入れ替えコストの有利さから、5月はフィードロットへの肥育素牛導入が進んだ。出荷頭数は、昨年8月から連続して前年を上回っている。

5月は、2016年に比べて平日が1日多かったことから、と畜施設へ送られた牛は195万1000頭となり、過去5年平均(186万7000頭)に比べて4.5%増となった。

 

※2017年6月26日 NPB Pork Merchandiser's Profit Maximizer

 
ポーク関連ニュース

豚肉の冷凍在庫6%減、ベリー依然少ない

 
 

主要食肉の4月末時点の冷凍在庫は23億3300万ポンド(前年比1%増)、過去5年平均比では4.4%増となった。前月比では5.7%増加したが、4月の牛肉、豚肉、家きん類の生産が急増したことを勘案すると、冷凍在庫への大きな影響はなく、需要の強さがうかがえる。

4月末の豚肉の冷凍総在庫は5億9910万ポンド(同6%減)、過去五年平均では8.8%減。前月比では9%増となった。このうち、ハム(モモ)の在庫は1億1400万ポンド(同12.5%減)、過去5年平均比2.9%減。前月比では26%増加したが、過去5年平均の4月の増加率は28%であり、在庫過多の状況ではない。ベリーの在庫は3400万ポンド(同53%減)と依然として少ない。ピクニックとトリミングの在庫も相対的に低水準で推移している。ピクニックは850万ポンド(同26%減)、過去5年平均比42.5%減、ポークトリムは4080万ポンドで前年とほぼ同水準だが、過去5年平均より26%少ない。

 

※2017年6月26日 NPB Pork Merchandiser's Profit Maximizer

 
業界ニュース

米国がブラジル産牛肉の輸入停止 安全性に懸念

 
 

USDA(米国農務省)は6月19日、食品安全上の懸念があるとして、ブラジル産牛肉の輸入を停止すると発表した。3月以降、USDA FSIS(食品安全検査局)はブラジルから輸入される全ての食肉製品に対し検査を行っていたが、約190万ポンドに当たる106ロットが不合格となった。

USDAによれば、公衆衛生上の懸念、衛生状態、動物衛生上の問題からだという。他国の不合格率が1%であるのに対し、ブラジル産牛肉の割合は11%と非常に高いという。ブラジル農務省が適切な措置を行い、USDAが問題ないと判断するまで、輸入を停止する。

 

※2017年6月23日 Meatingplace.com

 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ポーク・ファクト・シート