1〜2月の肥育豚価格は、例年より速いペースで上昇した。ベリーの高騰や出荷頭数がUSDAの当初予想を下回って推移したことが要因だが、ここにきてベリー価格が急落、肥育豚価格も反落している。
季節的に過去最高値に迫っていたベリーの価格は、3月第1週に100ポンド当たり137.86ドル、前週比15%・24ドル安と急落した。2月9日に記録したピークからは25%・45ドル安だ。この下落により、豚肉のカットアウト価格は2月のピークから100ポンド当たりで約7ドル値下がりした。
ただ、ベリーの価格は昨秋と比べると依然としてかなり高い。ベリー価格の季節変動性や在庫が今もかなりひっ迫している状況から、加工業者は今春に向けた売り出し価格に関して、これ以上の値下がりを回避するだろう。
2015年の春、ベリーは60ドル代の安値で取引された。これは前年のPED危機の間に価格が高騰し、その後に供給が回復したためで、ベーコンの需要や消費者の好みが変化したためではない。消費者のベーコンに対する嗜好や需要は根強い。ここ数週間で起きたことは、上がり過ぎたものは下がるという古典的なサイクルだ。肥育豚のと畜頭数もUSDAレポートが示す水準に近くなっている。
3月第1週の総と畜頭数は231万1000頭、前年比3.9%増。第2週も230万頭を超え、3月の週間平均と畜頭数はおよそ228万5000頭で推移するだろう。肥育豚価格は下方調整され、季節的傾向に基づいた価格予想に近づいている。
生体豚・豚肉市場ではポジティブな要素もある。1つは、欧州や南米の生産者が国際市場へ提供できる価格に対し、米国産の価格競争力がさらに強まっていること。世界市場では豚肉への強い需要があり、1〜2月に生産された米国産豚肉は、推定で22%以上が輸出に仕向けられた。
2017年の豚肉生産量は、前年を大きく上回ることが予想され、先物市場はそのリスクを見込んで安値をつけいる。豚肉輸出の安定拡大が最も重要だ。今年後半の生体豚の先物価格は現在、過去2年間に比べてかなり安くなっている。今夏に稼働予定の新施設が生体豚需要を下支えすること、また豚肉輸出が引き続き堅調にするとの見方も反映されているが、この秋冬の生体豚価格は、豚肉の輸出にマイナスになるような出来事には敏感に反応、影響を受けやすい状況にある。
|